注意:このページではWii用ソフト『風来のシレン3』と、その移植版であるPSP用ソフト『風来のシレン3 ポータブル』の二つについて紹介する。
判定はともに「シリーズファンから不評」。


不思議のダンジョン 風来のシレン3 からくり屋敷の眠り姫

【ふしぎのだんじょん ふうらいのしれんすりー からくりやしきのねむりひめ】

ジャンル ダンジョンRPG
対応機種 Wii
発売元 セガ
開発元 チュンソフト
発売日 2008年6月5日
定価 7,140円(税込)
判定 シリーズファンから不評
ポイント 新要素の失敗
ゲーム性に合わないシナリオ
テンポ・インターフェースの劣化
難易度はイージー推奨
力を上げまくると途端にヌルゲーに
2008年のガッカリゲー筆頭
風来のシレンシリーズ関連作品リンク

概要

高いやりこみ度と中毒性を誇る『風来のシレン』シリーズの8年ぶりのナンバリングタイトル。
リメイク作品の『DS』を除けば、『外伝』以来となるシレンシリーズの新作であり、多くのファンが待ち望んでいた。
レベル継続などの不安要素や3ヶ月の発売延期があったものの、発売前は期待の声が大きかった。
しかし発売後、以下のような部分で批判が多く出た。


ストーリー

風来人…
不思議な謎や冒険を求め、諸国を旅して回る者たちのことである。
彼らは何度も危険な目にあいながらも、旅の神・クロンの加護を信じて、今日も危険なダンジョンの奥深くへと進む。

シレンと語りイタチのコッパもまた、そんな風来人のコンビだ。
久しぶりに都に来たシレンとコッパは、ある男と出会う。
シレンは男のことを「センセー」と呼び、十数年ぶりの再会を喜んだ。
センセーはシレンに、石でできた奇妙な形の鍵を見せる。

これが伝説の「からくり屋敷」の鍵だと…。

からくり屋敷。
刻々と姿を変え、その奥にはとんでもない秘宝が眠ると言われる、伝説の屋敷。
古来より、数々の風来人がこの屋敷を追い求めたが、誰一人見た者はいないという。
その屋敷の「鍵」とされるものが、今手元にあるのだ。

シレンの体を流れる風来人の血が、また騒ぎ出した。

だが、それは思いもよらない、波乱万丈の旅の始まりだった…

問題点(賛否両論点含む)

システム関連

  • 今までの『風来のシレンシリーズ』はダンジョンから出るとレベルが1に戻されていたが、今回は『トルネコの大冒険3』同様レベルが1に戻らない継続仕様
    採用した理由は不明*1だが、『トルネコ3』と同じく評判は芳しくなかった。
    • 『トルネコ3』と違い、レベルアップに必要な経験値自体は過去作の『シレン』シリーズと同じくらいで、強さの割に経験値が少ない敵もあまりいないため、レベルリセットのダンジョンでも従来と同じくらいのスピードで成長する。その点は改善された。
    • しかし今作はトルネコ3と違い、ストーリーの途中で中ボスが複数存在するため、攻略のためにはある程度のレベルは必須になっている。
    • 本シリーズは『初代作』から非常に自由なプレイが可能であり、あえて敵から逃げてクリアしていくといったことも可能であった。しかしレベル継続によって、こういった逃げプレイなどをしているとレベルが足りずボスに勝てなくなってしまうため、過去作と比べ自由度が狭められてしまっている。トルネコ3のそれとはまた違った問題点が浮上する結果となった。
  • 今作にはパーティーキャラクター(仲間)がおり、クリアまで仲間は強制的に同行することになるが、本作の仲間は全員プレイヤーと同じ仕様となっており、操作していない仲間も罠を踏む上に、1人でも倒れるとクリア失敗となる。そのため、仲間は常に全員を生存させなくてはならず、逃げる場合は自分だけでなく仲間も考慮する必要性が増え、退却の際の難易度が上がってしまった。
    • 一応、「復活の草」というアイテムを所持していれば、仲間もそれを消費してその場で復活できる。
    • ケンゴウ系モンスターの特技「装備品弾き飛ばし」を受けると、丹精込めて鍛えた装備品が仲間に当たって即ロスト、というプレイ意欲が大きく削がれる場面もある。
    • 人数が増えたぶん罠を踏む可能性も2倍3倍となっており、慣れていないプレイヤーにとっては戦力というよりむしろただのお荷物。
    • 仲間がいるとアイテム欄が20個から30個に増えるのだが、結局は仲間用の装備がアイテム欄を圧迫するため、メリットになっているとは言い難い。
    • 満腹度は全員に個別に存在するが、プレイヤーとして操作しているキャラクターのみが減少する仕様になっている。そのため、3人を分け隔てなく操作することで食料の節約にはなる。
  • 何の前触れもなくストーリー内で仲間の途中交代・強制加入があるため、加入直後は装備なしのまま引き連れて歩かなければならないことも。
    • ストーリー中は仲間の加入を任意で変更できない。ストーリー後半ダンジョンは3人で攻略しなければならないので、冒険失敗を避けるためには3人分の武器・防具を鍛える必要がある。
    • 時には反逆を起こすこともある(混乱・狂戦士状態などでパーティアタックしてくることはもちろん、シナリオの中で仲違いをし、ボスキャラとしてシレンに歯向かうこともある)ため、仲間といえど決して油断してはいけない。
  • ダンジョン攻略中はプレイヤーが操作する仲間キャラクターを任意で交代できるのだが、プレイヤーキャラが睡眠状態などで操作不能になると交代できなくなる。
    • プレイヤーにとっては、そういった状況でこそ他の動ける仲間に交代し、ピンチを打開したいものなのだが。
    • 特に、仲間と同士討ちをする「狂戦士状態」にプレイヤーがかかってしまうと、プレイヤーは隣にいる仲間を全力で殺しにかかるのに、仲間はプレイヤーから逃げるようなことをせず、ひたすら棒立ちのままなぶり殺しにされるという事故が起きる(詳しくは後述)。
  • プレイヤーが操作しない仲間は「作戦」である程度動きを設定できるが、「ジグザグに移動して敵の飛び道具を避ける」といったテクニックは自動的に行えない。また、部屋の入り口や通路に罠ができるとついてこなくなってしまう事もある。
    • 思った通りの動きをさせたい場合は、「全員操作モード」に切り替えてプレイヤーが操作することとなる。しかし、全員操作モードは1ターンに3人を動かすためテンポが非常に悪い。使うのはボス戦の時とピンチになった時くらいだろう。
    • 仲間キャラクターは「その場で待機」させる作戦にしておいて連れ歩かない方が、プレイヤーが動きやすくなることも多い。
  • 「心得」の項目で仲間がアイテムを自動的に使うように設定できるが、隣接している敵にカゲぬいの杖を振る、背中の壺をちからの回復にだけ使ってしまったりと、おかしな使い方が多い。そのくせお腹が減っても何故かおにぎりは食べない。
    • アイテムは使うべき状況と使うべきでない状況があり、特定の状況なら必ず使うということはありえない。
    • アイテムを勝手に使用されてしまうと非常に困るので、非常事態では「全員操作モード」に切り替えて、プレイヤーが自分で考えて使った方が無難である。
    • デフォルトで設定されている状態だと頓珍漢な行動を取ることが多いため、余計な機能は取り外すようにするのが無難であり、システムとしては形骸化している。
  • 本作ではゲームの開始前に、イージーとノーマルの二種類の難易度を選べる。が、本作は仕様上、イージーモードでのプレイが推奨される。
    + ノーマルモードの問題点
    • イージーではダンジョンで死亡しても、リセットすればダンジョンに突入する前の状態に戻れる。すなわち、倒れて失ったアイテムを任意で取り戻す事が可能。
      • PS版『トルネコ2』・『トルネコ3』・『少年ヤンガス』を彷彿とさせるルールだが、これらの作品に比べてイージーっぷりに磨きがかかり、ダンジョン内でセーブしてロードしたデータをリセットすると「ダンジョン内で死亡したことになり、アイテムを没収される」から「ダンジョン突入前の状態に戻る」というルールに変更された。
      • ゲーム内では言及されないが、最初の冒険で復活の草が5個支給されるというオマケもある。
    • ノーマルはダンジョンに入った時に強制セーブがあり、死亡した時に失ったアイテムを取り戻すことができない。従来のシレンシリーズと同じルールではあるが…。
    • ちなみに『シレンGB1』にも難易度を選択するシステムはあったが、そちらでは難易度によってダンジョンの出現アイテム・モンスターが変わるシステムだった。本作では難易度を変えても、そういったゲームバランスは一切調整されない。
  • もしノーマルを選んでしまうと、ストーリーダンジョンで倒れてアイテムを失った場合に面倒な事になる。
    • 今作は通常のRPGのように、前のダンジョンをクリアした時のアイテムを持ち込み、次のダンジョンで継続使用することが前提のバランスであり、途中からは持ち込みなしクリアがほぼ不可能なダンジョンが増えてくる。
    • 序盤はまだいいが、後半で一度でも死んだ場合、序盤のダンジョンへ行って幾らかアイテムを集めて来なければならず、リトライに非常に時間がかかる。
      • 終盤では、そのステージをクリアしないと前のダンジョンに戻れなくなる時がある。そんな時にクリアに失敗してアイテムを失ってしまうと、いわゆる「詰み」に近くなってしまう。
    • ワールドマップのメニューからなら「どこでもダンジョン」というストーリー進行に応じて階層が増えるダンジョンもあり、そこで収集することもできる。前のダンジョンに戻れなくなった時の救済措置とも取れなくはない。
      • しかし、どこでもダンジョンの低層は落ちているアイテムが貧弱で、このダンジョンも持ち込みなしで挑むと10Fに辿りつくのすら難しいバランスである。
    • ただし中盤以降は、アイテムをお供えして強化・増殖させる「竜脈」という新システムがダンジョン内にあるため、これを利用すれば装備の修正値と必要最小限のアイテムの入手、強化は簡単にできる。
  • ノーマルを選んだ際のメリットが特にない(セーブデータのアイコンが変わる程度)上に、ゲーム開始後に難易度を変更できない
    • そのため、よほど「死んだらゼロに戻る」にこだわるプレイヤーでもない限りはイージーの選択が推奨されている。
  • 「イージー・ハード」や「ノーマル・ハード」ではなく、「イージー・ノーマル」というノーマルでプレイすることが前提のような表記にしているのが嫌らしいところ。
    • ある程度シリーズをやりこんでいて自信があるプレイヤーほど、情報をよく調べずにノーマルを選んでしまい、想像以上の難易度に地獄を見ることが多かった。
  • 今作は後述するシナリオ主導型となったことやレベル継続で、全体的なバランスがRPGに近くなってしまっており、ここにローグライクの要素を無理に詰め込んだことがミスマッチの原因であるといえる。
    • もともと死んだらすべて失うという仕様は「極限状態で全ての手段を惜しまず使用させる」という意図の仕様、それは従来のストーリーダンジョンのように素潜り前提で持ち込みが救済といったバランスで出来ている場合に意味があるものである。このバランス崩壊は、継続前提のバランスに対して全アイテムロストというルールを押し込んだ結果の産物であると言える。
    • 簡潔にまとめるなら、 一度全滅すると装備品を含めたアイテム全てを失った状態で強制セーブされるドラゴンクエストシリーズ を想像すれば、本作のノーマルモードの問題点がいかなるものか理解できると思われる。
  • 過去作と比べてテンポが悪い。
    • 例として、通常移動、ウィンドウの表示(開閉するたびに演出が入る)、メッセージの表示(メッセージが表示しきれないとウィンドウを表示できない)、敵味方の攻撃モーション、喰らいモーション、ザコ敵死亡の消滅時に入るようになった死亡モーションが遅い(特に鈴なり童系*2モンスター)、ストーリーダンジョンで死亡するとすぐ再スタートできずタイトルメニューに戻される。
    • 特に攻撃モーションの遅さは『トルネコ3』でも指摘されており、素振りによる罠確認が面倒。旧作と同じだと思って行うと、慣れない内は罠を確認できたのに先に進んで罠を踏んでしまうことも。
    • ローグライクゲームや不思議のダンジョンシリーズの面白さはテンポの良さに集約されていると言っても過言ではないため(1ターンが短いというミクロ視点から「やられてもすぐ再挑戦」というマクロ視点まで)、テンポが悪いとストレスが溜まる。
    • 上記で例に挙げたトルネコ3と比べても大幅にテンポが悪くなっているため、大きな不評を買った。
  • 3Dになったことで、下のマスが壁になっているマスにある罠やアイテムが何かが分かりづらい。
    • 一応スティックなどで視点を上に向けることもできるが、見渡せる可動範囲は狭い。また、そうした手順を挟むことがテンポを損ねているとされる。
  • 過去作で搭載されていた便利機能、ボタン一つで通路を進んでくれるiダッシュ、未識別の杖の使用回数の表示、ダンジョンにすぐ再挑戦できる機能が無い。
    • ローグライクゲームでは上記と同じくらい操作の快適性も重要となってくる。そこもこの批判の理由となった。
  • 倉庫がトルネコシリーズと同じようなものとなり、作業スペースが消失した。そのため倉庫でアイテムを使えなくなった。
    • そのため、天の恵みの巻物を使ったり特定の壺を割って中身を取り出したりしたいときは、脱出の巻物を用意してダンジョンに潜って使う必要があり面倒。
    • 倉庫内の保存の壺の中身からアイテムを引き出すこともできなくなった。
  • 新システム「竜脈
    • シナリオ中盤のダンジョンから登場。
    • アイテムを1つ「お供え」して「結界の巻物」で結界を張ることで、ターン経過に応じて、お供えしたアイテムに何らかの良い効果が起こる。
      • 武器なら修正値が増えたり印が付いたり、草なら同じ草が増えたり、巻物なら祝福されたり別の巻物になる……といった具合。
    • 竜脈はモンスターと同様に9つの属性のいずれか1つを持っており、属性によってお供えしたアイテムが得られる効果が変わる。
    • 結界は竜脈の周囲1マスに張られる。モンスターやプレイヤーが侵入すると結界は壊れ、アイテムの成長は止まってしまう。
      • 結界の巻物を2枚読むと周囲2マス、3枚だと周囲3マス……と結界の範囲が拡大するが、その分アイテムの成長速度が早くなる。
    • 本作独自の稼ぎ要素だが、結界にモンスターが侵入してこないようにプレイヤーが見張り続ける必要がある、お供えしたアイテムに何の効果が起きるかがランダム、壁に隣接している竜脈は結界を張れないため利用できない、といった不便な点から面白くないという意見も多い。
      • 竜脈は道具持込可能ダンジョンにしか登場しない。持込不可ダンジョンにも出現すれば独自の面白さが生まれたはずなのだが。
    • ちなみに竜脈がない部屋で結界の巻物を読むと、プレイヤーと周囲のキャラクターのHPを100回復する効果に変わる。
      • しかし「竜脈の巻物」や「吸収の杖」など、竜脈がないと全く使い道がないアイテムもある。

シナリオ・演出関連

  • タイトル画面を飛ばせなくなった上、量が多くなった。このため、起動してから風来日記を開くのに40秒近い時間を要するようになった。
  • 今作はシナリオ執筆に『クロノ・クロス』『バテン・カイトス』などで有名な加藤正人氏を起用し、「アニメムービーを搭載」「伏線を張り巡らせた展開」でシナリオを重視したゲームになっているが、その肝心の出来がローグライクゲームという要素にまったくマッチしていない。
+ シナリオのネタバレ注意
  • 本作は「竹取物語」と日本神話の「神産み」が重なり合った作品である。その他、若返りの薬とされる「変若水(ヲチミヅ)」や秦の方士である「徐福」などが登場する。「竹取物語」は有名だが、それ以降は劇中でのフォローが薄いため、予備知識がないとシナリオに置き去りにされてしまう。
  • 「からくり屋敷の眠り姫」とされるかぐや姫は原典の設定とは異なり、地球人の豪族の姫と言う設定である。3寸ばかりの子で竹から生まれた、などは姫をかくまうために「竹取の翁」が作った話であり、5人の貴族からの婚約の話も、後付けで作られた話とされている。
    • かぐや姫は本編より1000年前の人物であり、シレンの先祖である「1000年前のシレン」の幼馴染であった。ある日、姫は財産目当てに国司から追われる身となり、数名の武士と共に逃亡している。「1000年前のシレン」は国司の追手だが、姫や警護の武士らと幼馴染故に姫の居場所を密告せず、密かに護っていた。しかし国司らに居場所を突き止められた姫は、護衛の武士を全員喪い、自らは死の間際にシレンの再会を願い「からくり屋敷」にて1000年の眠りについたという設定である。
      • 武士たちは「1000年前のシレン」が裏切ったために居場所がバレたと思い、その怨みから今も戦鬼という亡霊と化しながらも姫を守っている。後に情報をリークしたのは警護の武士の1人であるケイマの仕業であり、「1000年前のシレン」は濡れ衣を着せられていただけであることが発覚するが、そのことに関する伏線はほとんどない。強いて挙げるなら、ケイマだけは友人でもあるはずの「1000年前のシレン」に対し攻撃的であるくらいか(裏切った動機は私利私欲と嫉妬心であるため)。だが、裏切り者であるケイマはしれっと戦鬼の1人に交じっているので、情報をリークしていながら警護の武士たちと共に戦死したことになっており、行動に矛盾が生じる。情報を売った国司に裏切られたということだろうか。
      • この真実は終盤に国司の子孫である人物より明かされ、武士たちは真の裏切り者を斬り捨て、濡れ衣を着せられていた「1000年前のシレン」への非礼をシレンに向けて詫びる。
  • 本作の事件の黒幕は黄泉津大神ことイザナミである。物語同様に国産みの際に亡くなり、黄泉比良坂にて自身の腐敗した姿を夫のイザナギに見られたことをきっかけに離別。現世へ復讐しようとするが、イザナギに現世の道を「千引きの岩」で塞がれてしまう(ゲーム本編では月が「千引きの岩」とされている)。
    • 1000年に一度「黄泉の門」が開くとされており、イザナミは「千引きの岩」を壊すべくかぐや姫に憑依し、 イザナギの子孫である シレンを利用することを企てる。
      • ちなみにかぐや姫が1000年生きられるのは前述のヲチミヅによるもの。キーアイテムのような存在だが、作中では突然その存在が言及されるので、唐突感は否めない。こちらも強いて伏線を挙げるなら、途中で「ヲチミヅ峠」と言うダンジョンを攻略する程度である。
      • 竹取の翁の正体は前述した徐福であり、ヲチミヅと引き換えにイザナミの手下になっているのだが、こちらも名前こそ出るが、これと言った伏線も特にない。
  • まず、メインシナリオが長い。だいたいエンディングまで20~30時間とクリアするまでの時間も膨大にかかる。
    • 他のシリーズも慣れないプレイヤーが遊ぶと膨大な時間がかかるものが多いが、熟練者が順調に進めても20時間程度はかかってしまう。
      • 短いダンジョンもあるが、それでもクリア前に攻略するダンジョンの数は26個もある。シナリオも「序盤→四天王戦→からくり屋敷(表)→ホウライ王国→からくり屋敷(裏)→終盤」となり、更に過去編も挟む。
    • クリア後の「もっと不思議のダンジョン」を本編と捉えるプレイヤーにとっては、とても面倒かつ苦痛。
  • イベントスキップやセリフの早送りが不可能なため、ダンジョンでやられてリトライする場合もう一度見なければならない。
    • 上記の仕様がなくても、エンディングまでが長い。ダンジョンも特徴がなく、ただ抜けるだけのものばかりなので単調になりがち。
  • さらにシナリオ内容にも問題があり、具体的な例を以下にあげる。
    • 使用可能キャラがシレンと繋がりのあるキャラだけ。シナリオが終始内輪話で終わってしまい、規模が大きいはずなのにこぢんまりとした印象となってしまっている。
      • 作中で「おぼろ」というくのいちキャラも出るのだが、これと言った見せ場もなく退散するうえ、終盤では完全にかませ犬であり、何のために登場させたのかよくわからない人物となっている。1000年前の物語との関連も一切ない。
    • 「風来人」の設定の大幅改編(改悪とも評される)。これまでのシリーズでは全くの無縁であった「運命」という要素を前面に押し出しすぎている。
    • セリフの間が悪く、場の空気に合っていない言い回しが多いため、シリアスなイベントシーンでも雰囲気が台無しにされてしまい、感情移入しづらい。
    • 序盤の四天王ボス「大ワシのジョニー」の卑怯な罠によってシレンがマムルに変身させられてしまい、「二度と元の姿にはもどることはない」と断言されてしまうが、逃げ延びて村に帰ると村長が元に戻すアイテム「打ち出のこづち」を持っており、次のダンジョンでシレンの変身はあっさり解除される*3。しかも次のダンジョンをクリアすると、大ワシは別の四天王に始末されたことが判明する。「二度と戻れないと言われながら次のダンジョンですぐ元に戻るご都合主義」「過去作からモンスターの肉で変身していたシレンが魔物の姿から元に戻れないと言われても実感が湧かない」「逃がしたとはいえ主人公達に勝った幹部を粛清する敵」「負けた相手にリベンジできないすっきりしない展開」と突っ込みどころが多い。
    • からくり屋敷の構造やそれによる世界の危機など、ストーリーの核心にまつわる謎についても、何のヒントも与えられていないのに一瞬で答えを悟って説明口調でペラペラと語り出す超展開に、プレイヤーは置いてけぼりをくらうことも。新キャラの「センセー」の行動や発言にも一貫性がなく、疑問点や問題が多い。
  • 過去作品と比較し違和感のある部分が非常に多い。
    • シレンが日本神話に出てくるような神の子孫であるなどの今作で明かされた設定が例としてあげられる。
    • 本作は上記の通りシリアスな作風となっており、『シレン2』にあった「ほのぼの、何でもアリ、ギャグ」の部分を大きく削られてしまったことに不満を持つファンは多かった。
  • シレン2』や『外伝』にも登場していたキャラクターであるアスカの言葉遣いが変化した。
    • 元々は「○○でござる」という古風な話し方が現代風に変化したことに、アスカのファンはかなり悲しい思いをした。
    • ゲーム内では、「もうそんな歳でもない(大人になった)から」といった趣旨の発言をアスカ本人がしている。が、過去のアスカの性格にそぐわないとする者もいる。
    • ちなみに、アスカの言葉遣いの変化はシナリオ担当の加藤氏の案であり、一部の開発スタッフは反対したとのこと。
  • また、駄目シナリオにつきものともいえる電波要素もある。
    • ファンの間で最もよく批判されるのが「死ね、月よ」という発言。こういった台詞回しは加藤氏のシナリオ作品ではよく登場しており*4、氏の味ではあるのだが、後述するように今作は氏の作風に合わない作品であるため、ファンからは究極の電波発言と冷笑されるに至った。
    • それ以外にも上記の「センセー」は、後半になればなるほど敵のちょっとした発言から真相を見抜いたりするなど異常なまでに察しが良く、この部分も電波といわれる要因となっている。
+ 上述の場面の動画

  • それ以上に、RPG的な部分がローグライクのシステムとうまくマッチしなかったことで様々な問題があるといえる。
    • ストーリー主導になったことで全体的にRPG要素に引きずられて、ローグライクに必要な「多くのアイテムがランダムで落ちているダンジョンを死んだらやり直し」という部分が上手く機能しておらず、上記のシステム関連の問題の元凶となってしまっているという指摘もある。
    • また、ダンジョンの合間にストーリーを挟むため多くのダンジョンがレベル継続に合わせて細切れで、それによってシナリオの展開がとても急展開に見える出現アイテムも範囲が狭いなどの関係で竜脈のないダンジョンは再訪する価値が低くなっているといった点が、アイテムをやりくりしながら全体の戦略を練るという、ローグライクゲームの根本的な楽しみの一つがなくなっているという問題を生じさせてしまった。
  • 全体的な雰囲気として『風来のシレン』という作品に合わないシナリオであり、従来のファンからは 黒歴史 扱いされている。
    • 一方で、上記で張られた伏線などはきちんと回収しており、日本神話と竹取物語を組み合わせた世界設定など評価できる点も少なからずあるため、
      「風来のシレン」及びローグライクというゲーム性を重視するジャンルに当てはめてしまったことがもっとも大きな問題であったと言える。
    • 他の新規タイトルで普通のRPGのシナリオとしてやっていれば、まだ良いシナリオだったのではないかという声もある。
  • BGMがほぼ総入れ替えされ、モンスターハウスや店の曲もまったくのオリジナルとなった。
    • 新BGMは全てすぎやまこういち氏の弟子である松尾早人氏が担当しているのだが、パッケージやタイトル画面ではすぎやま氏の名前しか載せられておらず、明らかに嘘を書いている。すぎやまこういち氏の曲も使われているが、すべて過去作の曲となっている。
    • 決して松尾氏に非はなく、曲も決して悪くはないのだが、ビッグネームであるすぎやま氏が担当した既存の曲と比べてガッカリしたプレイヤーもいた。
  • ストーリーをウリにしている割にキャラクターボイスがない。
    • もっとも、シレンは喋らない主人公であり、CVは無い方がシリーズの雰囲気に合っているという意見もある。

モンスター関連

  • 新システム属性が登場。モンスターの体色によって9つの属性が設定されており、こちらが攻撃したり攻撃されたりすると何らかの効果を発揮する。
+ リスト
属性名 属性効果 該当モンスター(代表例)
熱属性 通常攻撃が一定確率で痛恨の一撃になる タトゥーバード、だましカタナ、妖怪にぎり変化
気属性 通常攻撃時に一定確率で満腹度を5%減らす デブータ、イアイ、大チンタラ、マゼゴン
幻属性 プレイヤーの攻撃を一定確率でかわす 地獄の使者、ジャノメぼうず、妖怪にぎり元締
知属性 通常攻撃が一定確率で必中になる マムル、ゲイズ、死の使い、マルジロウ父
樹属性 杖の効果を一定確率で無効化する あなぐらマムル、マゼドン、ゲンナマゲイズ
雷属性 通常攻撃時に一定確率で金縛りの追加効果 コガタナバチ、ケンゴウ、マゼルン、ギタンマムル
土属性 一定確率で透明状態になって移動する オヤジ戦車、ワラドール、ガイコツまおう
鋼属性 一定確率でプレイヤーから受けたダメージの一部を反射 カラクロイド、ゴウジョウ戦車、タイガーウホーン
影属性 一定確率でプレイヤーの攻撃を吸収して回復する アイアントド、シハン、冥王、アビスドラゴン
  • 上記の表を見て分かる通り、属性の特殊効果は一定確率で発動するものばかりであり、ランダム性および運ゲー要素が増している。
    • 一定確率で痛恨の一撃が出る熱属性は、ダメージ2倍ではなく攻撃力2倍、かつ本作の盾のダメージ計算式が割合軽減ではないため、ダメージが2倍以上になる。
    • 一定確率でプレイヤーを金縛り状態にする雷属性は、連続で発動すると普通の敵1匹相手に痛い連続攻撃を受けることになる。
    • 熱属性や雷属性以外も、透明になって奇襲してくる土属性、回避率が上がる幻属性など、プレイヤーにとって不利になる要素ばかり。
    • 「状態異常になったモンスターは属性の発動率が2倍になる」という仕様があり、戦闘を有利にするために敵に仕掛けた状態異常が仇になる事がある。
  • 例えば、今までの作品では痛恨の一撃を出してくるモンスターは「タウロス系」のみだったのだが、本作では赤色の体色のモンスターが所構わず繰り出してくる。
    • 熱属性のモンスターはストーリーの序盤から登場するため、対策アイテムや良い装備が出ないために為す術なく倒れるケースが増えてしまった。
    • 今までは一部のモンスター固有の特性だった「痛恨の一撃」や「腹減り攻撃」などの特殊能力が、本作では同じ属性であればどんなモンスターでも使ってくるので、モンスターの個性が薄くなってしまった。
    • 属性を抜きにしても、シレンのモンスターは元から個性的な特殊能力を持っている敵が多かったのだが、この属性によってほとんどのモンスターが2種類の特殊能力を持っている状況になっており、どちらの能力にも警戒しなければならないので非常に面倒。
  • 熱属性や雷属性が厄介な一方、知属性や気属性はあまり強くはないというように、属性がモンスターの強さに大きく影響しているのだが、属性を考慮せずにカラーリングを設定した感が咎めない。
    • 序盤の赤色・黄色のモンスターは特に強敵とされる。代表的なのは熱属性のタトゥーバードやだましカタナ*5、雷属性のケンゴウやマゼルン*6など。
      しかし、これらのモンスターがレベルアップして色が変わると、属性による脅威度は逆に低下する。
    • 例えば装備を弾くモンスター「ケンゴウ」は雷属性であり、特技を防ぐために装備を外すと、雷属性で連続攻撃を受ける可能性があるため危険。
      だが、レベルアップして「イアイ」になると気属性になり、属性的には大きくパワーダウンしてしまっている。
  • ちなみに、プレイヤーの武器や盾にもこの属性を印として付与できるようになっているが、武器の印は「付与した属性の敵以外への攻撃力が少し上がる」といった能力で敵の属性のような特殊な効果は得られず、「敵を弱点属性で攻撃すれば大ダメージ」というような要素がないためプレイヤーへのデメリットが大きい。
    • 盾の印は「付与した属性の敵から受けるダメージが減る」というもので、武器よりは有用であったりする。
  • 本作で初登場した新モンスターも、能力がつまらなかったり見た目に愛嬌がなかったりと評判が良くない。
+
  • タトゥーバード系
    • 他のモンスターより攻撃回避率が高く、攻撃が命中しても高確率でウィングガードでダメージを半減させる。レベル3のスカーバードはそれに加えて影属性で攻撃を吸収して無効化してくる。レベル1のタトゥーバードは序盤から出現する上に熱属性であり、こちらが中々ダメージを与えられず手こずっている内に痛恨を繰り出してくる。矢で攻撃すればウィングガードされないなどの弱点はあるが、戦闘を長引かせるだけで何の面白みもない能力と批判されている。
  • 鈴なり童系
    • 倒すとフロア中のモンスターを起こす・金縛りを解除する厄介な性質を持つ。こいつを倒すと鈴を鳴らしながら昇天する長い演出を見せられるので、単純にテンポも悪い。
    • レベル4になると倒した瞬間その部屋がモンスターハウスになる。通路にいると強制的にワープさせてからモンスターハウスを作らせるという嫌がらせ仕様。防止するにはクイの盾(止の印)を装備して通路で倒す、変化させて倒すなどの限定的な手段に限られてしまう。
    • 実は水が弱点で、水がめの水をかけることで能力を封印させることが出来る。しかし、初見でこの弱点に気づくのはまず不可能。
  • 火ダルマ系
    • 風来のシレン2の必勝ダルマみたいなモンスター。名の通り燃えていて、床に落ちているアイテムを焼いてしまうが、それ以上に厄介なのが「とりつき」状態異常にしてくること。
    • これを受けると毎ターンダメージを受けるだけではなく、仲間がとりつかれた相手を敵とみなして攻撃してくる(厳密にはとりついたダルマを振り払うには直接攻撃を当てる必要があるので、とりつきを解除させようとする思考が働いている)。プレイヤーも仲間に話しかけることが出来ず、話しかけようとすると攻撃してしまう。本作のキャラクターの強さが全て装備に依存している関係上、装備が強くなるほど危険な状態になる。
    • 炎を無効化するので、肉を得ておけばアークドラゴン・アビスドラゴン対策になるという利点はある。火炎入道の肉で同じことはできるが。
  • 無念虚無僧系
    • 「気合のシャクハチ」を吹いて部屋内にいるモンスターの攻撃力を上げるのだが、その際「部屋内にいるモンスターの攻撃力が上がった」などではなく、「マムルの攻撃力が上がった」「チンタラの攻撃力が上がった」というようにモンスター1体ごとに個別に表示されるため、モンスターハウスなどで特技を使われるとメッセージログが凄まじい量になる。メッセージログが流れきってない状態でメニュー(道具画面)を開こうとすると、何故かログが流れ切るまで待たされる。レベル1はまだマシな方で、レベル3から防御力も上げるようになり、レベル4は部屋内ではなくフロア内が対象になる。
  • アンペリウム系
    • 電撃を出して周囲8マスに固定ダメージを与えてくるが、『外伝』のいかずちの杖やプルン系のように他のキャラクターに伝導していくわけではないため攻撃範囲が狭い。さらに、ドラゴン系やオヤジ戦車系などの特技の固定ダメージはレベルが上がると威力も上がるのが恒例なのだが、何故かこのアンペリウム系の電撃の固定ダメージはレベルが上がっても威力が上がらないため、手抜きとみなされている。
  • 分裂クラゲ系
    • 分裂するのは「水路上で攻撃を受けて死ななかった時」のみ。ぬすっトド系上位種やゴウガシャ系は無条件で分裂するのだが、こいつは分裂を名前に冠しているのに分裂する状況が限定されすぎである。ちなみにプレイヤーからHPを吸収して自分のHPを回復する特技も持っているが、何故かドレイン系ではない。
  • 大岩
    • 外見はただの岩で移動も攻撃もしないが、攻撃して倒すといきなり目を見開いて「最後の一撃」を放ってくる。最後の一撃は命中率が低いが、当たると300もの大ダメージを受ける。意味不明な初見殺しである。
  • 理不尽なボス戦。状態異常やワープ・ふきとばしなどの位置移動効果が効かないのは当たり前で、単純に殴るのと回復を繰り返すだけの単調で力押しのボス戦。
    • 一緒に湧いてくる雑魚にも状態異常が効かないことがあり、またボス戦ごとに効いたり効かなかったりするので、試してみるまで判断が付かない。
  • ボス戦では救助要請ができない上に、なぜか脱出の巻物も無効化されるので、十分な装備や回復手段を用意できていなければ確実に詰んでしまう。
    • 「ボス戦で逃走不可」はRPGでは珍しい設定ではないが、倒れると全てのアイテムを失うゲーム性の本作においては理不尽でしかない。旧作の「持ちかえりの巻物」や「リレミトの巻物」はボス戦でも使用可能だった。
    • そのくせ、前述の大ワシに敗北して逃走するイベントシーンでは脱出の巻物で普通に脱出している描写がある。
  • 風来のシレンDS』で批判された、「ゲイズの催眠術の対策手段の少なさ」が全く改善されていない、それどころか改悪されている。
    • 「ゲイズの催眠術使用率」も、『DS』ほどではないが相変わらず高く、一度操られると2~3ターン連続で操られることもザラである。
    • この使用率の高さの上、本作ではゲイズ系の催眠術の行動に「道具を投げる」が追加されている。催眠術によるアイテム投げは『トルネコ2』や『トルネコ3』にもあったが、シレンシリーズでは『3』から導入されてしまった。
      • 壺を投げたらほぼ確実に割れる他、装備中の武器や盾だろうと容赦なく投げる。もちろん、目の前にいるゲイズに向かって投げたら問答無用でロスト。実質的にケンゴウ系の上位互換と化している。
    • しかも今作では、部屋中に催眠攻撃をかけるという凶悪極まる特殊能力を持つ「ゲンナマゲイズ」というレベル4モンスターが登場。開幕でゲンナマゲイズのいる部屋に入れられた場合、取れる対策は非常に限られてしまう。
      • ゲンナマゲイズは高難易度ダンジョンの終盤にしか出現しないが、いくらなんでも能力インフレが過ぎていると大いに批判されている。
    • 催眠攻撃への対策になる「ゲイズの盾」は千年洞窟900階、「魔転換の腕輪」はツワモノの穴90階に行かないと手に入らないかなりのレアアイテム。
      • 持ち込み不可の「ツヅラの迷宮」ではどちらも入手できないため、催眠対策不可の状態で進まなくてはならず、もはや嫌がらせの領域を超えている。
      • あまりに問題視されたためか、『4』ではもっと不思議系統のダンジョンでも対策用として「ややゲイズな盾」が普通に出現する、『5』では新システムのお香によって盾無しでも完全シャットアウト可能になる、などプレイヤーのとれる対策が増えた。
  • ゲイズ系以外にも、プレイヤーの所持アイテムに危害を加えるモンスターは、過去作以上に凶悪化している。
    • プレイヤーを転ばせアイテムを落とすマルジロウ系モンスターは、前作では壁を背にして戦えば転ばされてもアイテムを落とさずに済んだが、本作では何故か前に転ぶせいでアイテムを落とすのを防げない。何故突進されて後ろに吹っ飛ばされたのに、前に転ぶのだろうか。
      • 対策は「転ばぬ先の杖」だが、本作では杖の回数分だけしか効果がない(過去作では回数0でも効果を発揮するアイテムだった)。また、杖を振れば相手を転ばせられる効果も削除されている。幸いにも、転ばぬ先の杖自体は過去作より入手が容易になっている上に、他の杖より多めの回数で入手できるので、回数0になるまで転ばされることはそうそうない。
    • 本作は呪いは「装備品が呪われたら印の効果も消える」という凶悪な性能が追加(『トルネコ3』や『シレンDS』と同じ仕様)。「おはらいの巻物」では基本的に1つしか解呪できないので、呪いをかけてくるワラドール系が凶悪なモンスターと化している。対策は「呪いよけの腕輪」しかないが、入手が困難なアイテムである。
    • ケンゴウ系は壁を背にすれば装備弾きの脅威が減るが、レベル4になるとランダムな方向に弾き飛ばしてくる。対策となる「必着の腕輪」も用意されているが、『外伝』とは異なり持ち込み不可ダンジョンの店限定というレアアイテムなので、対策らしい対策になっていない。
    • 総括すると、ゲイズ系やケンゴウ系が過去作以上に脅威になっているにも拘らず、対策法がない、またはかなり限定されている状態になっている。アイテムロストは精神的にもかなり痛い攻撃なので、プレイヤーからすれば理不尽でしかない。
  • フロアにいる限り何処からでもホーミングする炎攻撃を放つ「アークドラゴン」や「アビスドラゴン」の存在。
    • 従来のシリーズでも存在した凶悪モンスターだが、本作では積極的に炎攻撃をするうえに、プレイヤーキャラの最大HPを上げづらいので脅威度が増している。
    • 「どこでもダンジョン」と「千年洞窟」では出現モンスターの種類が少ないためにアークドラゴンやアビスドラゴンが1フロアに3、4体出現することもあり、数ターンで50、60ダメージを何度も受けて窮地に追い込まれやすくなる*7
    • 「ドラゴンシールド」と「爆炎守りの腕輪」を同時装備することで炎ダメージを4分の1に抑えられるが、この2つがあってようやくなんとかなるレベルである。
    • 本作には「ねだやしの巻物」も「ジェノサイドの巻物」も存在しないため、ダンジョンの深層に行く際はコイツらの対策手段を必ず用意しなければならない。仲間が2人以上いるなら、透明の杖をお互いにかけ合うことで回避できる。しかし、下記の問題があるので仲間を連れて行くのがリスキー。
  • 「みだれ大根」は一定の距離に入ると狂戦士の種を投げてくる*8。仲間が一緒にいる場合、プレイヤーが狂戦士状態になってしまうと、隣にいる仲間を全力で殺しにかかる。
    • この時既に仲間が一緒に行くような指示があった場合、仲間は暴走したプレイヤーから離れたりしないのでひたすらなぶり殺しにされる。
    • プレイヤーが強力な武器を持っていると仲間は数ターンで死ぬ危険性があり、復活の草を持っていても使い切るまで仲間を殺し続けてしまうので実質効果が無く、ゲームオーバー確定である。
    • 仲間が倒れるとダンジョン攻略失敗になるので、仲間がいる時にこいつの攻撃を受けただけでダンジョン攻略失敗になると言っていい。
    • 「みだれ大根」はクリア後ダンジョンにしか登場しないが、もう1種の狂戦士化特技を使うモンスター「そっくりダケ*9」はクリア前ダンジョンにも出現する。こちらはみだれ大根と違って隣接時にしか特技を使えないが、みだれ大根のいるダンジョンは「仲間を連れていかなければ良い」という対処法があるのに対し、こちらは仲間がいる状態で戦わなければならない。
  • 基本的なモンスター行動パターンの変化
    • 敵ターンが「移動分のみを処理→攻撃分のみを処理」から「1匹ずつ行動内容に関わらず処理」になりモンスターの行動を予測しにくくなった。
      • 旧作では「敵Aの射線上に敵Bが移動→敵Aの飛び道具を敵Bが受ける」という戦法が使えたが、それができるかどうかは個々で行動順を判定しないと事前に知ることはできなくなった。
      • 身代わり状態の敵が倒れた場合、行動を残した敵の行動はそのターンのうちに主人公に向かうため、身代わりの杖は実質弱体化した。
    • 部屋内で主人公を視認したモンスターは、視界から主人公が消えると元の移動方向に戻る。
      • 飛び道具持ちへの対処として通路への誘導が定石といえたのだが、今作ではそれができないことがある。
      • 敵としては縄張りに侵入した主人公への対処よりも散歩を優先していることになるため、特に合理性はない。
    • 通路と部屋の境界で斜め移動できる部屋*10では出入り口で敵が右往左往する。
      • 純粋に敵の頭が悪くなっている。
    • これら全てプレーヤー側からすれば、モンスターの行動を予測や誘導しにくくなっただけで特にメリットはない。
  • 状態異常表示の劣化
    • 旧作では、睡眠や倍速のように一目でわかるもの以外のほとんどの状態異常は、モンスターの頭上に状態異常のアイコンが表示されていたのだが、何故か視覚的に判別不能な状態異常が増えた。「空振り状態」に至っては、状態異常の開始や終了のテキストもなく、過去作にあったアイコンもなくなっている。
  • 即死級の状態異常にしてくる敵が多い割に、その予防策が存在しないことが多い。このシリーズでは「アイテムを使い切って死ぬ」のが良い死に方と言われることがあるが、本作は「アイテムを使う暇を与えず殺す」ために使い切る選択肢自体が発生しない状況が頻発する。
    • 催眠*11、おにぎり状態*12、狂戦士*13。これに土属性による透明化先制攻撃、雷属性、熱属性が加わる。特に「ガイコツまおう」は土属性による透明化状態でも杖を振ってくるので過去作以上に凶悪な性能となった。
    • また、本作では『シレンGB2』にあった「おにぎり状態で爆風や炎を受けたり、デロデロの湯を踏むと即死する」要素が復活したのだが、おにぎり状態にしてくる杖を振る「ガイコツまてん」はアークドラゴンと同じフロアに出る事があり、意図せずおにぎり状態で即死するケースが激増している。
  • 合成モンスター「マゼルン」がシナリオダンジョンに出現しないため、装備を強化しにくい。合成の壺もあまり拾えない。
    • どこでもダンジョンには出現するものの、寄り道する必要があり面倒。
    • 装備を強化してシナリオをゴリ押し攻略するのも難しくなっており、本作の難易度を上げている一因と言えよう。
    • 本作にはマゼルンの特殊能力を教えてくれるNPCがいないため、初見プレイでは合成に役立つモンスターだと気付かない恐れもある。

ダンジョン関連

  • ストーリー中盤のダンジョン「内郭」では、無敵状態のボス2人+倒しても復活する雑魚複数に囲まれながら特定の床を踏む、パズル要素(?)の強いボス戦がある。
    • 当然戦闘中であるため、袋叩きにされながらいったりきたりしてスイッチを押す必要がある
    • ただ、全員操作前提のボス戦はタクティカルコンバットのような形で、従来とは別の面白さがあると評価する声もある。
    • 「特定の床を踏む」という勝利条件はノーヒント*14だが、下記のダンジョンよりはよっぽど謎解きをしている。
  • 「内郭」の次のダンジョン、「壺中夢幻」に関する問題。このダンジョンは各階層に落ちている「壺の欠片」を3つ集めると4Fでボス戦が発生するのだが、ボスを倒しても一定の条件を満たしていないと1Fに戻されてやり直しになってしまう。
    • やり直しになった際にコッパが謎を解く必要がある旨の発言をするが、やり直しになる条件は普通にゲームをプレイしていてもまず分からない。そのコッパの発言は「何かコツがあるみたいだ」といった内容で何のヒントにもなっておらず、ノーヒントのまま再度ボス戦をさせられる。
    • 一応、有志によって条件が判明しており、ボスの現在HPを特定の範囲にする事で倒せる模様。総ダメージが261~289で倒せるのを確認。何故か290~299では倒れないが、このボスは毎ターンHPが10自動回復するので、回復させて261~289の間に調整してダメージを与えると倒せる。それ以上では戻されてしまう。
    • しかし、通常プレイでこの条件に気づくプレイヤーがいるとは思えない。「謎は解らないが何度も往復して何度も倒せばそのうち突破できる」というのが正攻法になってしまっている。一発でクリアできてしまうプレイヤーもいるが、3回も4回もやり直したプレイヤーもいる。
    • ただし、このダンジョンはボス戦を含めて4Fと短く、1Fからやり直しになっても倒れた時のようにアイテムを失うわけではないので、再度ボスに辿りつくのに要する時間は少ない。
  • エンディング後のアイテム持ち込み不可ダンジョンのバランスもあまり良くない。例えば、4階と言う浅いフロアにおいて「妖怪にぎり見習い」が出てくる。
    • この時点ではHPが30もあり、盾無しでは10近くのダメージを受ける強敵*15。武器・盾を装備していないと殴りあったらほぼ負けてしまうが、当然ながらこの浅いフロアまでに装備が整うとは限らない。やっとの思いで倒してももう1体いた場合の絶望感は半端ない。もっと不思議的なダンジョンに相当する「ツヅラの迷宮」では武器も盾も手に入らない恐れがあるので非常に危険。
    • 初代作』で同様に持ちこみ不可ダンジョンの序盤に「とおせんりゅう」という強敵が出ていた反省か、以降のこういったダンジョンの序盤は装備アイテムが整っていなくても進める難易度バランスになっていたのだが、本作ではそれをぶち壊しにしている。
  • アイテムを持ち込めるが最初から強い敵が出るダンジョン「ツワモノの穴」では50階を超えると敵の攻撃力がインフレ化し、最大強化した本作最強の盾を装備していようが100以上のダメージを受ける。999階ダンジョン「千年洞窟」も、深層に行くたびに敵が強化されていく。
    • 敵の攻撃力がどんどん上がる一方で、敵のHPや防御力はほとんど上がらない。そのため、「やられる前にやる」ゲームバランスになっている。
    • 強化しすぎた盾によるマンネリ化の解消のためとも取れるが*16、投石攻撃を行う「デブーゴン」がいれば数ターンで瀕死になってしまうように、調整不足感が否めない。
    • 最強の盾を作らない限りこれらのダンジョンに潜るのは自殺行為に等しくなり、半ば最強装備の製作を強制化させていると言える。
  • ダンジョン内の問題ではないが「ツヅラの迷宮」の出現条件が非常に面倒。
    • まず肉集めのイベントがあり、指定の肉を3つ同時に渡さなければならない。この同時と言うのが曲者で、3つ揃っていない状態で渡しても肉が無くなるだけでもう1度集め直さなければならない。一体何を以ってこのような嫌がらせ仕様にしたのか。
    • それよりも面倒なのが月の石集めで、ダンジョンにランダムで落ちている石を99個集める必要がある。最初のダンジョンを繰り返し行けば楽に集まるが、それでも1度に2~3個程度なので作業感が否めない。
  • シリーズ恒例の罠ダンジョン(罠を逆利用する特殊ルールのダンジョン)がない。
    • しかし、「カラクロイドの肉」を使用する事でワナ師状態になる事が可能。罠ダンジョンはなくても罠ダンジョンのシステムはできているようだ。
    • 肉ダンジョン(これも準レギュラーの特殊ダンジョン)はあるのだが、殆ど説明も無く唐突に登場する。肉システムの説明もされず、分かりづらい。
  • 発売後に追加ダンジョンが配信されたが、たったの2つだけ。ハードこそ違うが、10種類以上の週替わりダンジョンが配信されていたWindows版『月影村の怪物』や『外伝』と比較すると少なすぎる。ダンジョン内容も微妙だった。
    • 神秘のほこら
      • 1Fから強いモンスターが出てくるため、アイテムを使って逃げ回る必要があるダンジョン。道具持込は不可能。
      • しかし、開始時の所持アイテムが大きいおにぎりだけ。1Fからそこそこの数の敵が配置されている上に、常に通路が視界不明瞭。1Fで為す術無く倒されることが非常に多く、バランスが悪い。
      • 『シレンGB2』の壺の洞窟では最初からとじこめの壺を3つ所持していたし、『トルネコ3』のまぼろしの洞くつは1Fの敵の初期配置数がかなり少なかったのだが、このダンジョンではこういった1Fの調整が一切無い。
      • 透視の腕輪が落ちている上に、固め飛ばしの杖などの対処アイテムが豊富に手に入るので、アイテム回収が軌道に乗ればそこまで難易度は高くない。20Fまで行けば脱出の巻物が落ちているので、本作では比較的入手困難な透視の腕輪を持ち帰れるという点では需要があった。
      • また、主人公のレベルは普段通り上がるので、11Fから出る妖怪にぎり元締をおにぎり投げで倒せば一気にレベルが上がり、シレンが一撃で死ぬことはほぼ無くなる。その気になれば白紙の巻物も入手できるので、全滅の巻物などを書けば経験値稼ぎができてしまう。逃げダンジョンとしてはいかがなものか。
    • 妖しい洞窟
      • 全10Fだが、ほとんどのフロアにモンスターハウスが存在する。道具持込が可能。
      • 6Fは雑魚モンスターしかいないボーナスフロアで、店には様々な武器盾が売っている。また、7Fで落とし穴を踏めば6Fに戻ることも可能。
      • 10Fにはアビスドラゴンなどの強敵が出現するものの、ツワモノの穴や千年洞窟と違ってレベル4超過モンスターは出てこない。
      • 「忍の腕輪」があればモンスターハウスも怖くないため、鍛えた装備の試し斬りダンジョンとしては微妙であった。
    • 現在は通信サービスが終了しているため、Wii版・PSP版共に配信ダンジョンを入手することはできない。
  • 「ダンジョン対戦」というシリーズ初の2人対戦機能もあった。
    • Wi-Fiを介して全国のプレイヤーと対戦できる機能。『シレン5』に先駆けて対戦機能を実装したことは評価できる。
    • ルールは規定の階層まで先に辿り着いた方が勝利、または相手が倒されたら勝利、という単純なもの。
    • 対戦といっても相手を妨害することはできず、相手の状況もメッセージログでしか確認できない。
    • 最初からLv15・最大HP70で開始するため、序盤は落ちているアイテムもあまり必要なかったりする。
    • Wi-Fiサービスが終了した現在では遊べなくなっている。

アイテム関連

  • 2』や『外伝』にあった装備品掛けが廃止され、ダンジョンから持ち帰った装備の使い道が減っている。
    • 他にも、『2』の「もののけ王国」や『外伝』の「エレキ箱」のようなモンスター収集・育成要素がカットされてしまった。
    • 「竜脈」で属性を付与しないと作れない武器や盾が多く、作り方は中々凝っているのだが、装備品掛けが存在しないようでは作る意欲があまり湧かないだろう。
  • アイテムの履歴がすべての種類で共通となった(旧作は杖は杖、壷なら壷で記憶)のだが記憶数が50と少なく、もっと不思議のダンジョンでは履歴が機能しない場合が多い。
  • 剣や盾を錆びなくする効果「メッキ」が、サビ罠やケロぼうず系の錆び攻撃を受けると特定の確率で剥がれてしまうようになった。
    以前のシリーズにも同様の効果のあるモンスターはいたが、今回はすべての錆び攻撃で剥がれる可能性があるという仕様に変更された。
    • 剣や盾をメッキする手段は少なく、決して簡単にメッキできるわけではないため、メッキ手段を手に入れたときのカタルシスが減っているという指摘がある。
      ただ、以前のシリーズではメッキをかけるだけで空気になる罠やモンスターが多く*17、本作でマンネリの解消を図ったとも言えるため、賛否両論な点である。
  • 「ぬれた巻物」は、旧作では次のフロアに行くと必ず乾いて元の巻物に戻る仕様だったが、本作では何度か階を下りて乾くと白紙の巻物になる仕様に変更された。
    • 「白紙の巻物」は、読んだことのある巻物全ての代わりになるという極めて便利かつ強力なアイテムである。
      • そのため、いらない巻物は全て濡らして白紙化を狙った方が良いという事態になっている。これは入手アイテムの良し悪しに一喜一憂するという、ローグライクゲームの面白さ自体を損ねてしまうものだと批判する声もある。
    • 普通のぬれた巻物はいつ乾くかランダムだが、祝福状態のぬれた巻物は次のフロアで必ず乾いて白紙の巻物になるため、容易に量産できてしまう。
      • 白紙を祝福して全滅の巻物にして量産すれば、毎フロア開幕と同時にフロア中の敵を殲滅していくプレイも可能になる。
    • 巻物をぬらす手段も「水がめ」、「水グモの腕輪」、「浮遊モンスターの肉」と豊富に用意されているため、ゲームバランスが崩壊しているという指摘がある。
    • ただ、過去作にも「分裂の壺&吸い出しの巻物」、「モンスターの壺&マルジロウ父」、「吸収の壺&祝福カズラ」のような稼ぎ要素があり、救済的攻略手段として設定されたのではないかという声もある。もちろん白紙の作成・使用は任意であり強制ではないし、水路が存在しないダンジョン(後述のヲチミヅ峠など)では使えない。
    • 「巻物が濡れると白紙になる」システムはローグライクの本家に近い『Nethack』でも登場していたので(当然超強力)、先祖返り的な意味にも取れる。
      • ただし、あちらは白紙に書き込むにもアイテムが必要で、そのアイテムがレアという風にバランスを取っていた。
  • 今作は特に「ちから」の影響が大きく、上限の50近くまで上げると一撃で200、300といったダメージが平気で飛び出るようになる。
    • ザコ敵のHPは終盤でも100前後なので、最強武器での通常攻撃はもちろん、石などの飛び道具でも一撃で倒せてしまう。うまくやればボスもゴリ押し瞬殺可能。
    • 攻撃特化キャラの「センセー」でプレイすると、これでも案外バランスがとれているのだが、やはり「力を上げて物理で殴る」ような終盤の戦闘バランスの取り方は、白紙量産と同様にローグライクらしくないという意見もある。
  • 「焼けた肉」は、焼きおにぎりと同じ要領でモンスターの肉を燃やすだけで入手できる上に、効果の中に拾い識別や力アップといった強力な効果がある。
    • 同じ効果を持つ「特製おにぎり」は入手機会が限られているのに対し、焼けた肉は肉ダンジョンなら大量に入手できてしまう。
    • これにより、前述の肉ダンジョンで「焼けた肉で力を上げて物理で殴る」攻略法が通用してしまう。
    • 一応、焼けた肉の力上昇効果は1フロアにつき1回しか出ない、という制限はある。
  • 『2』や『外伝』もちからを上げるとかなり簡単になるゲームバランスだったが、本作はレベルと同様にちからも継続されるシステムなので、一度ちからを上限まで上げてしまえば、全てのレベル継続ダンジョンが非常に有利になる。
    • ちからの草自体はそれなりにレアだが、竜脈を使えば増殖できるので量産するのも難しくはない。
    • 草投げの杖・草受けの杖・よくきき草・しんぴの草・根性の竹刀などの旧作でちから上昇に役立ったアイテムは登場しないが、それでもちからに関するバランスは良くない。
  • プレイヤーの攻撃力は武器とちからへの依存度が大きく、序盤で武器を拾えないままちからを下げられてしまうとかなり厳しい事態になる。
    • ツヅラの迷宮序盤に出てくるおばけ大根は特に厄介。
  • アイテムを売った時の値段が全体的に安く、買った時の10分の1の価格でしか売れないアイテムもある。落ちているお金も全体的に安く、金稼ぎがしにくい。
    • 泥棒しようにも、大部屋の巻物が削除されたため泥棒しにくくなっている。
    • ストーリー終盤のダンジョン「かぐや御殿」ではギタンマムル*18が出現するので、そのダンジョンを周回すればお金には困らなくなる。
      が、このダンジョンはエンディング後になると通常の手段では二度と入れなくなる。(救助依頼を利用しなければならない)
  • 未識別アイテムが扱いにくくなっている。
    • 「裏道の腕輪」「ただの杖」など、識別しにくい上に使い道がほとんどないアイテムが増えている。
    • 使い捨てアイテムだろうと使うまで呪いの判別ができず、拾った緊急回避アイテムが緊急回避に使えない。
    • それでも杖は必中で複数回使えるので比較的信用できるのだが、樹属性には確率で無効なので使い勝手は悪くなっている。「空振りの杖」に限れば知属性にも無効。
    • 過去作では合成成功時にはおまけで識別されるものがあったが、今作では識別されない。
    • 「ケヤキの杖」「イダテンの札」など旧作に登場したキャラクターを連想させるような未識別名があるが、実際は何の関係もない。
  • 鍛冶屋関連
    • 本作の鍛冶屋の主人は最初は病気で寝込んでおり、利用するには現代と過去の時代を行き来してイベントを進める必要があるが、イベントを進める手段に気づかないといつまで経っても鍛冶屋を利用できない。
    • 装備の印数を増やす手段が旧作の「白紙の巻物や風魔石を異種合成」から変更されたのだが、本作では「ランダムで要求するアイテムと10000Gを鍛冶屋に渡す」という、金とアイテムを両方要求される極めて面倒なものになっている。
    • この手のアイテム要求は、『トルネコ2』の鍛冶屋や前作『DS』のボーグマムルからして評判が悪かったのだが、なぜ本作にも採用してしまったのだろうか。
    • 印数を増やした装備を使わないと絶対に作成できない装備品もある(属性封じの腕輪など)ため、それらのアイテムを作るのに非常に手間がかかる。
    • そのためか、「建物の出入りや村人との会話で乱数を調整して鍛冶屋が要求するアイテムをコントロールする」という妙なテクニックが開発された。

評価点

  • UIの改善
    • トルネコ3で蛇足といわれた「道具を拾うモーション」をオプションでカットできるようになった。
    • ワンボタン(ダッシュボタンのチョン押し)で道具欄を表示できるようになった。
    • 保存の壺の中も整理ボタンで整理できるようになった。
    • 値段の付いた矢や石などが、複数持っていてもまとめられるようになった。今までは整頓ボタンを押してもまとめられなかった。
    • 矢の本数が100を超えると、他のアイテムとして整理されるようになった。今までは99本を超えて入手すると消えていく仕様だった。
      • 「矢を100本以上持てるようになる」のはかなり有意義であったため、『シレン4』へも継承された。
  • 二刀流システムの導入。
    • ローグライクゲームは基本的に「武器より盾の方が重要」と言われる傾向があり、その根本部分を覆す事に挑戦したシステムである。
    • これにより、序盤において盾が出てこないままジリ貧になるという事態が多少解消された。また、終盤もリスクはあるが一つの選択肢になりうる。
    • 二刀流専用キャラの「センセー」でクリア後ダンジョンに潜れば、過去作にはない新鮮なゲームバランスで楽しめる。
      • センセーは二刀流のみ可能で盾を装備することが出来ない、つまり防御力を一切あげられない。
      • そのため、体力やアイテムの管理、腕輪による耐性強化といった要素が他のキャラより重要になってくる。
      • なお、二刀流はシレンも可能だが、センセーと異なり、攻撃力が落ちるという点で差別化がなされている。
    • 面白い試みではあったが、後のシレンシリーズにおいては採用されていない。
      • シレン以外の同じ不思議のダンジョンシリーズだと、『世界樹と不思議のダンジョン2』にケンカクのスキルとして、銃と片手剣という組み合わせ限定だがパイレーツのスキルとして登場している。それ以外のローグライクゲームを含めれば、二刀流システムは『不思議の幻想郷 -THE TOWER OF DESIRE-』に登場している。
  • 通常の印の他に、黒印と青印が導入された。
    • 黒印は「メッキ」や「必中の剣」など重複しても無意味な印に該当し、それらを複数合成しても印が重複しないようになった。
    • 青印は「妖刀かまいたち」や「妖光のヤリ」など破格の効果を持つ印に該当し、ひとつの武器につき1つのみしか青印が付かないようになった。
      • バランスが壊れすぎず、かつプレイヤー次第で印を選択する要素なので、概ね好評である。
  • 腕輪は「常時2つ装備可能」「ヒビが入らず壊れない」「合成可能」「鍛冶屋で印数を12まで増加可能」と、シリーズ中で最も自由度が高い。
    • 盾を装備できないセンセーを考慮してか、「爆炎守りの腕輪」「盗みよけの腕輪」といった盾の効果を代用できる便利な腕輪も登場した。
  • 新しいカテゴリーのアイテム、札が初登場。
    • 投げ当てた敵と、その周囲1マスにいる敵全員に何らかの状態異常をかけるアイテム。
      • ただし、身代わりの札と痛み分けの札は投げ当てた敵にしか効果が出ない。
    • 杖と比べると、一度に複数体の敵を対処できる・合成しなくても回数をまとめられるなどの点で勝るが、投擲なので必中ではないという点で劣る。杖と上手く差別化できていると言える。
    • 有志の検証により、一部の札は敵の属性を封じる効果もあることが判明した。
    • 和風のシレンの世界観にも合っており評判が良い。新たな攻撃アイテムとして受け入れられ、『シレン5』に至るまで長く愛用されるアイテムとなった。
  • 特殊床(杖封じの床、巻物封じの床、投擲封じの床)が追加された。
    • 特殊床に乗っているプレイヤーは杖や巻物が使えなくなる、アイテム投げが1マスしか飛ばなくなるなどの制限が発生する。
    • これだけ聞くとデメリットしかない要素に思えるが、特殊床にはワナが配置されないため、「特殊床を歩けばワナを踏む心配がない」という利点がある。
    • また、特殊床はモンスターにも効果を及ぼすため、飛び道具モンスターを投擲封じの床に誘い込み投擲アイテムを稼ぐ、といった有効活用も可能。
    • 「壁の真上のマスにある特殊床は3Dの関係で隠れて見えにくい」という欠点があるものの、状況に応じてメリットにもデメリットにもなる要素で評価は悪くない。
  • LV4に達したモンスターも、名前の後に数字が付く形で更に99までレベルアップするようになった。なお、この仕様は『4』でも引き継がれている。
    (例:マムル→あなぐらマムル→洞窟マムル→ギタンマムル→ギタンマムル2→……→ギタンマムル99)
    • この仕様により、「持ち込み前提のダンジョンでも敵が弱過ぎて鍛えた装備の使いどころがない」という事態がやや緩和された。
      問題点でも述べている通り、インフレしすぎている部分もあるが。
  • ED後のおまけシナリオはギャグ調の雰囲気で、過去作のボス達を登場させるなどファンサービスも多く好評。むしろこっちが本編だという声もある。
    • 更に本作のメインシナリオのエンディングを撤回するような描写が存在していることも、その意見をいっそう強くしている要因とも言える。
    • 加藤正人氏もシリアス一辺倒の他ギャグ調の台詞回しも得意としていたこと、本作を無理に大作指向にする必要も無かったことから惜しかったとも言われている。
    • なお、クリア後シナリオの中で『初代作』のボス「魔蝕虫」が登場するのだが、こいつには(原作通り)補助効果も効くようになっている。本編のボス達にも適用されていればと思われる点である。
    • 他にも『GB2』に登場した「キュラス」、『外伝』に登場した「黒雷仙女」も登場して戦うことになる。
    • エンディング後のある場所では、不思議のダンジョンシリーズでは初となるサウンドテストが導入された。
  • 3種類のもっと不思議のダンジョン(それぞれ30F、50F、99F)が用意されており、プレイヤーの腕前や気分次第で楽しめる。
    • バランスも従来と同じくらい優れているため、本編もこのような形に出来なかったのかと惜しまれている。
  • また、30F建ての「サヌキノ竹林」と50F建ての「ヲチミヅ峠」はシリーズ初の屋外型「もっと不思議」となっており、少し新しい感覚でプレイ出来る。
    • ヲチミヅ峠は全階層で壁が存在しないため、フロアを進むごとに浮遊型モンスターが一気に襲ってくるという独特なゲームバランスとなっている(『トルネコ3』でも見られた)。画面外から「ガイコツまおう」の魔法弾が飛んでくるなどキツい場面が多いが、旧作にはほとんど見られない魅力として評価する声もある。
    • ただ、これらのダンジョンは全階層同じ背景&BGMなので、些か単調さも感じてしまうところもある。
  • 99Fの「ツヅラの迷宮」は正面から挑むとなかなか厳しいが、今作独特のシステムが作用して新鮮な気持ちで挑める。挑戦人数・操作キャラは自由。
    • 特に序盤はワナや敵の能力を利用しやすいため、盾さえ引ければ序盤の他の引き運が悪くとも立て直しが行いやすい設計である。意図したのかは不明だが……。
    • 上記の稼ぎテクが非常に充実しているため自由度も高め。上手く敵を利用すれば焼き肉や白紙量産も可能だが、肉ダンジョンの「ブフーの洞窟」と異なりそこまで行う手順がやや難しく、更に稼ぎをしても死ぬ時は死ぬ敵も多いためある意味バランスが取れている。
    • また、特定階層にはボスが出現するという独自の要素もあり、撃破すると褒美アイテムが手に入る。打開アイテムさえ確保できれば難なく倒せる程度。
    • この手のダンジョンにしては珍しく、仲間を連れて行くことも可能。センセー単騎や3人全員での踏破は非常に難易度が高いが、クリア達成報告も確認されている。
  • 前述したシナリオやテンポの悪さでクリア前に挫折するプレイヤーも多いが、以上の点からシナリオクリアさえできれば後は意外と悪くないとの意見も多い。

総評

今作は全体的に「ローグライクゲーム」というよりも「『風来のシレン』のキャラを使ったローグライク風のRPG」と言うべきシナリオ、ゲームバランスとなっている。
しかしローグライクと普通のRPGのどちらの良点もうまく融合させることが出来なかったことで評価を落とした。
また6年前に発売されていた『トルネコ3』で指摘されていた問題点を継承、あるいは悪化させた部分も多く、「超劣化版トルネコ3」などと揶揄されることも。

初めてローグライクゲームや『風来のシレン』に触れる人間なら楽しめるかもしれないが、シリーズファンほど上記の要素に落胆する出来であった。
そのため、クソゲーとするファンもいれば、クリア後の要素から楽しめたとするファンもいるなど、評価が分かれることもある。


余談

  • ファミ通のクロスレビューでは35点のプラチナ殿堂を獲得しているが、2chなどネットでの評価は低い。
    • シレンファンで有名なタレントの伊集院光氏も「1は100点満点で300点、2は100点満点で315点、3は100点満点で150点」と厳しい評価をしている。
  • 売上は惨憺たるもので、『シレン2』の28万から9万にまで売上を落とした。
    • これは1年半前に発売された『DS』が劣化リメイクと叩かれたことや、時代やハードの違いも一因として考えられる。
    • 同年11月に発売された『GB2』のリメイクである『DS2』も、『DS』の19万から8万にまで落ちこんだ。
  • ファンの期待と不安の入り混じるなか、2010年2月に発売された『シレン4』は発売後に好評を博したが、初週の売上は僅か4万本に留まり、その後も『DS2』同程度の売り上げ止まりとあまりのびなかった。
    • 携帯アプリ版、『DS』、本作と数作続けてファンの期待に十分に答えることが出来なかった結果が売り上げに現れたということだろうか。
  • 「そもそもローグライクゲームそのものの需要が落ち込んでいるせい」という見方もある。
    • 元よりコア向けのジャンルであることに加え、DSでは『チョコボ』や『ポケダン』といったそのほかのローグライクゲームが次々と発売されていたというのも事実であり、市場が食傷気味になっていたということは言えるかもしれない。
  • 攻略本が発売されていない。チュンソフトの親会社であるドワンゴの意向か、月額課金制の公式攻略サイトでの攻略情報配信となった。
    • しかし、肝心のソフトがコケたせいか未だに作りかけの状態で放置されている。そのため、各種攻略サイトを回るのが賢明である。
    • その後発売された『DS2』は普通に攻略本が発売された。

不思議のダンジョン 風来のシレン3 ポータブル

【ふしぎのだんじょん ふうらいのしれんすりー ぽーたぶる】

ジャンル ダンジョンRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 スパイク
開発元 チュンソフト
T&Eソフト
発売日 2010年1月28日(UMD版)
2012年5月15日(DL版)
定価 5,040円(税込、UMD版)
3,980円(税込、DL版)
判定 シリーズファンから不評
ポイント 改善点はあるが少ない

概要(ポータブル)

Wii版発売から約1年半後の2010年1月28日に、PSP移植版が発売された。
以下にWii版からの変更点を挙げる。

評価点(ポータブル)

  • 移動や攻撃モーションがやや高速化(二刀流モーションが特に顕著)、過去作よりは遅いもののWii版と比べテンポが多少良くなった。
    • 一方、ダッシュ等を使用すると処理落ちして、少し動きがカクカクになることがある。
  • 各キャラ専用のダンジョンが2つずつ、計6つの新規ダンジョンが追加された。これらはゲームを始めてすぐプレイできる。
    • レアだったアイテムも手に入りやすいので、ストーリー用のダンジョンを攻略するためのアイテムを確保する手段が増えた。

問題点(ポータブル)

  • ギタンマムルやゲンナマゲイズが落とすギタンの金額が減った。
    • 本作はWii版の時点で旧作よりお金が稼ぎにくいと批判されていたが、さらに稼ぎにくくなってしまった。
  • ダンジョン「地脈のほこら」でフロアの内容(竜脈など)が記録できなくなった。

総評(ポータブル)

PSP版公式サイトにはゲームバランスを徹底的に練り直し!と書いてあるが、実際の変更点はそれほど多くない。
3自体の評価が芳しくなかったこともあいまって、売り上げはWii版を下回る2万本程度となった。

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最終更新:2024年01月06日 17:53

*1 初心者に配慮した説、ストーリーの長さに合わせダンジョンがマンネリにならないようにした説など

*2 倒した際にフロア中のモンスターを起こすペナルティがある。

*3 一応は村長が只者ではないことの伏線とも見ることはできるが。

*4 『クロノ・クロス』の「愛に血を流させてやろう」など

*5 従来作の「ンドゥバ」に該当する、アイテムに化けているモンスター。先制攻撃される事が多く、熱属性による痛恨の一撃が強烈

*6 従来の作品にも登場した合成モンスター。合成のために盾を外した状態で、雷属性で連続攻撃される事がある

*7 今までの作品では、ドラゴン系は出現率が低めで2体同時に来ることはほとんどないか、ジェノサイドの巻物などのアイテムで対策が可能であった。

*8 一直線上ではなく、付近に居ればどこからでも投げて当てることが可能。

*9 空振り、狂戦士、くちなし、ちから下げの中からランダムで1つの効果を与える

*10 壁ではなく空中や水で区切られた部屋

*11 ゲイズ系

*12 攻防0、炎攻撃を受けると焼きおにぎりになり即死。妖怪にぎり見習い系、ガイコツまどう系、罠で発生。自重せずドラゴン系、オヤジ戦車系、地雷と同フロアに存在する

*13 そっくりダケ、みだれ大根

*14 スイッチを押すと音が鳴る他、戦闘中にアスカが「出口への仕掛けを探さないと」と助言する

*15 参考までにシレン2の「にぎりみならい」は3階に出るがHP12、受けるダメージは5程度

*16 例えば前作の同様のダンジョン「あかずの間」では、40~50階で最強ランクの敵が出て、それらが99階まで続く構造になっていた。

*17 尤も、モンスターの方は「印剥がし」という対策不能攻撃をする敵もいるが。

*18 倒すと2000ギタンを必ず落とす