電脳戦機バーチャロン マーズ

【でんのうせんきばーちゃろん まーず】

ジャンル 3Dロボットアクション
対応機種 プレイステーション2
発売元 セガ
開発元 ヒットメーカー(旧AM3研)
発売日 2003年5月29日
定価 6,800円(税込)
配信 ゲームアーカイブス
2013年3月21日/800円
判定 シリーズファンから不評
ポイント テムジン無双テムジンゲー
半分以上の機体が前触れ無く削除
ガタガタのストーリー
ロード地獄
フォースの代替品には程遠い
収録曲の多さは随一
電脳戦機バーチャロンシリーズ


概要

ゲーセンで大人気を博した3Dロボット対戦アクションゲーム『電脳戦機バーチャロン』シリーズ第4作。
初の家庭用オリジナル作品で、シリーズ第3作『フォース』稼働から2年後に発売された。

セガ製業務用機基板と家庭用機の性能差やネット対戦環境回りなどの技術的な問題で家庭用移植が実現できなかった『フォース』に代わり、『フォースの入門編』という位置づけで製作されため、システム面は同作に基づいている。

また、「今まで『バーチャロン』に触れたことがなかった新規ユーザーを取り込む」というコンセプトが掲げられており、アーケード版では表立って語られることのなかった世界観やストーリー性が初めてゲーム内で取り上げられたことも大きな特徴となっている。

『フォース』が未発売だったことからファンからの期待も大きかったが、粗が多い出来であったため、ファンからの評価は芳しくない。

特徴

ゲームはマーズ独自のストーリーに沿ってゲームを進める「ドラマチックモード」、純粋に敵を倒して勝ち進む「チャレンジモード」、そして対戦用の「バーサスモード」の三つのモードを遊ぶことが出来る。

  • ドラマチックモード
    • このゲームのキモで、主人公は戦争の秩序を守る特殊部隊『MARZ』に属し、与えられるミッションをクリアしていく。ゲームを進めるにつれ、これまで設定資料や小説、ドラマCDなどで語られていた設定がゲーム内容に反映されており、バーチャロン世界の根幹にも関わる大きな戦いに発展して行く。
      • 大まかに説明すると、バーチャロンの世界は企業によって統治されており、従来の国家間戦争は廃止され、ルールの中でショービジネスとしての側面を含む限定戦争という形で代用している。そこでヒロイックでショービジネスに向いた戦闘兵器としてバーチャロイド(VR)が用いられており、この限定戦争のルールに違反した者を専用高性能VRを駆使して取り締まるのがMARZである。
    • ミッションは戦いばかりではなく「護衛」や「探索」などというものもあり、従来のバーチャロンでは見られない多種多様な戦いが楽しめる。
    • 敵VRを撃破すると一時的に能力が上がるアイテムや回復アイテム、設定資料アイテムが入手できることがある。
    • 条件を満たすと機体が支給される。
  • チャレンジモードは「フォース」のルールを適用したアーケードモードのようなもので、自機と僚機を選んで現れる敵を倒してクリアを目指す。
  • バーサスモードは文字通り、対戦用のモード。
    • 2人で対戦の場合は縦分割・横分割のみ(SS版OMG同様)で、DC版オラタン等にあった「本体・画面・ソフト2つずつ用意してのシステムリンク」は存在しない。
  • アクション面のシステムに関しては『フォース』と変わりないため、そちらの記事を参照してほしい。
    • 簡単に言うと、自機の行動によって挙動が変わる3種類の搭載武器(RW(右)/CW(センター)/LW(左))や特殊技などを駆使しながら、敵機体との戦闘を行うものである。

問題点

  • 頻発するローディング
    • 機体選択画面で機体のCGを読み込む度にローディング、タイトル画面でモードを選べばローディング、ミッション開始でローディング、ドラマチックのメニューで項目を選ぶたびにローディング、その他…『メダロットR』を彷彿とさせられる。
      • とにかく頻繁に発生する。ゲームの進行を阻害する大きな原因で、ストレスになるレベルである。特に機体選択の時に顕著。
      • 小さな画像しか表示しないバーサスモードの準備画面でもローディングが発生する。これは間違いなく内部で機体を画面に表示するときと同じ処理をしている。さらにバーサスモードだけではないが、戦闘開始前にバーチャロイド紹介というローディング時間がある。なぜ二重に読みこむ必要があるのだろうか?
  • 機体の収録数
    • ファンを激怒させた一番の問題点。フォースから機体のバリエーションはほとんど削られており、残っているのは色や一部パーツを変えただけのマイナーチェンジ機種。悪あがきのような水増しをあからさまに計っている。
      • マイザー系列には薔薇の三姉妹機は一応入っているが、スペシネフ、バルシリーズ、フェイ=イェン、エンジェラン系列は各系列一機種のみ。フォースで初登場した“景清”は系列ごと抹消されている。
      • 一方でテムジン、VOX、アファームド系列はかなりの数が参戦しているなど、系列毎の偏りが酷い。恐らく、削られた機種はビジュアル面での変化に乏しいため、同系列でも外見の変化が大きいこの二つの機種を優先したのだろうか、一応エンジェランに関して「フォースでは2on2対戦での僚機支援に特化した性能の機体だった為、シングルプレイシチュの多いマーズ用に単騎戦闘用のオリジナルバリエを創作した」とあるのでゲームデザイン的に単騎行動させ難いというのもリストラ理由として考えられる。
    • フォースの記事を参照してもらえれば分かるが、フォースは多彩な機体が注目を浴びた一方、システムの仕様によって軽々と機体を乗り換えることが出来ず、すぐには自分の願った機体を使えないという問題点を抱えていた。ゆえに本作では自宅で様々なレア機体を試せると期待されていたのだが、裏切られたファンの怒りは相当なものとなった。
    • なお、各機にはバリエーションと別にカラーリングバリエーションがあるのだが、それを出すのが非常に面倒。ドラマチックの周回がカラーリング出現条件という信じられない機体も。
  • テムジン系列のあからさまな優遇
    • テムジンはバーチャロンの「顔」と言ってもいい人気機種なのだが、それにしても先述の「数」に加え、「質」の面でも優遇されすぎている。
    • まずは、数の面を挙げる。プレイヤーが使用出来るテムジン系機体は10機。
      + テムジン系詳細
      テムジン707系列 MZV-707S テムジン707S
      MZV-707S/V テムジン707S/V
      MBV-707J テムジン707J
      MBV-707J(SF) テムジン707J スペシャルフォース
      MBV-04-10/80adv テン/エイティ アドヴァンス
      テムジン747系列 MZV-747J テムジン747J
      MZV-747J/V テムジン747J/V
      MZV-747HII テムジン747HII
      MZV-747HIIA テムジン747HIIA
      VR-747 Type-a8 テムジン"護焔艦隊筆頭機" ホワイトナイト
      MBV-747AII テムジン747AII(チャレンジモードのCPU専用)
      • ちなみにそのほとんどが、外見的にはカラーバリエーション+指揮官用の頭飾りが装備された程度の差異しかない。
        • 707系の機体はテン/エイティ以外はほぼすべてがコンパチレベルの違いしか無く、747系は747J、747H、ホワイトナイト、747AIIと一応差別化はされている。
        • ちなみに、フォースの基幹機体だった747Aは実はいない。火力と装甲を重視した747Hの対になる存在であった高機動型の747Fもリストラされている。
  • これ以外の機体だと、多いところでは先述のVOX系列が9機*1、アファームド系列の機体がJタイプ・Tタイプ合わせて7機。このように、数の面では他系列にも多いものはあるが、少ない系統に偏っているのは否めない。
  • 続いて「質」の問題だが、この点がとりわけ批判されることが多い。最初から搭乗できるテムジン707Sの高性能さもさることながら、拍車をかけるようにドラマチックモードの中盤で必ず支給される後継機種テムジン747J系が多くの機体の上位互換状態と化しているため。機動力があり、運動性もよく、命中させやすく威力も高い攻撃を備えている為、最初から最後までせいぜい1回の乗り換えだけで十分……というより他機体を使う意味が無い
    + 武装詳細
  • 十字状のカッターを撃ちだすTCW(通称「十字カッター」「十文字」など)は他の機体の似たような攻撃が距離減衰含めてもせいぜい150出ればいい方なのに対し長距離から出しても300ほどのダメージを叩き出す。これだけならまだしも、この十字カッターは実は「敵に当たるとダメージを与えつつ別の敵にもう一度向かっていく」というとんでもない性質がある。
    • つまり2on2の状況では自分と味方の2ヒットで600ダメージを常に狙える。600という数字にこだわらなければ、倒れている敵に当てて「敵でもその僚機でもない、味方からの攻撃」という奇襲に使える。それでも300なのだからこの攻撃がどれほど強力なのかが分かる。ドラマティックモードでは敵が増えるほどどんどん当たる敵が増えていく。
    • 一応補足しておくと「カッター発射までに二回剣を振るモーションがあるため発生が遅く、弾速は立ちライフル程度で誘導も上下左右どの方向にもかなり弱い」と性能自体は対戦では使い辛い。しかしダウン中を狙えばダメージが下がるが簡単に当てられ、もう片方の敵にも普段通りのダメージを与えられる。
      そしてほぼ移動しないバーチャロイド以外の敵が同時に、大量に出現する事の多いドラマティックモードとの相性があまりにも良すぎる事が強くプレイヤーの印象に残る。
    • 初期機体のテムジン707Sも確かに高性能ではあるが、装甲値が800しかない。これはマイザー系で最も硬いΗ(イータ)と同じで、つまりは「テムジンを軽量級にしたらどうなるか」という実験機ともいえる。結果実験は大成功で見事に強機体になった。ちなみにテムジン747Jは1000で平均的。一応テムジン747Aの1050と比べ低くはなっている。どうやらMARZには「軽装甲で高機動」の思想があるようだ。
  • 一応「採算度外視の贅沢なチューニングが施されている(MARZの機体には必勝が求められるため)」という公式設定はある。しかし、それならば「ドラマチック限定の強力機体にする」「支給される他機種にも同様に強力な改修を施してプレイヤーに配備する」など方法はいくらでもあった筈だが、そういう気遣いは無い。ただし後者には例外がある。
  • 当然ながら対戦バランスは崩壊し、このテムジン無双とでも言うべき優遇の嵐にファンがMARZに付けたあだ名がテムジンゲー
    + 他の特徴的な機体
    • テムジン747HII
      • MARZに登場するテムジンで上記のテムジン747Jとほぼ同時期に支給される。
      • フォースの747Hと比べ装甲値が200以上高い1350(指揮官型のHIIAは1500)もありながらも機動力はテムジン747A以上とトンデモ性能。
        • しかし元となったテムジン747Hがバランス自体は良いが武装面でほんのり弱機体気味で、そもそも1対多の状況が多いドラマチックで大元の性質が援護機である本機では割と厳しい。
        • HIIの性能を考えるとおそらく747FのMARZ改修版がいないのは747Jが高機動で(元となったであろう747Aと比べて)軽装甲の位置づけだからである可能性が高い。実際は容量や納期の問題だと思うが。
    • VOXリー、VOXルー
      • 何故かラインナップに入っている、エネミー用のザコ機体。機動性はそれなりに高いものの、CW関連の武器しか使えない
      • VOXシリーズはテムジン系列の様に基幹機種に武装ユニットを換装する事で性能を調整するのではなく、素体に多彩な武装ユニットを合体させる事で様々なVRとして完成させるというコンセプトである。つまり、リーやルーは中の人だけで走り回っている状態に等しい。
        • リーは小型のグレネード、ルーはダンに似たミサイルしか使えず、後は機体の正面にちょっと判定が出るだけのダッシュ近接と、VOX系共通の特殊武器「ミーロフ・ガン・システム」が使えるのみ。
        • 当然、他機体との性能差は歴然としている。対戦のランダムでこれを引いたら、相手に何もできないまま弄り殺されるだろう。
        • 用途としても縛りプレイ・対戦プレイでの極端なハンデぐらいしかなくオマケ要素に限りなく近い。他の機種系列がひどく冷遇されている中での実装なため「こんな機体をプレイアブル化するくらいなら他の機体を実装しろ」という批判を加速させる燃料になってしまった。
    • アファームド・ザ・ハッター
      • 後述するハッター軍曹のスペシャルカスタム機。
      • 見た目はテンガロンハットを被ったアファームドTのムキムキなバーニングマッスルだが、武装はアファームドJCのトンファー…だけである。
        • つまりほとんど射撃攻撃ができない、ダメージソースがほぼ全て近接攻撃の真の漢の機体となったアファームド。一応JCのRWが無くなっただけでナパームやソニックリング、飛んでいくテンガロンハットは使えるが…。
        • もちろんというべきか、フォースのレギュレーションを守っている機体の中では最高の機動力を持つ。もちろん装甲も厚い。
        • 高機動と重装甲を両立したアファームドザバトラーに比べ、その後継機ともいえるアファームドJCがやや軽装甲になってしまったため、ある意味ではバトラーの正式な後継機…と言えなくもない。
        • が、やはり対戦では射撃能力の圧倒的な低さから弱機体。バトラーの基本戦術も実は…。
      • 余談ながら、彼の持つ武装はドラマティック・トンファー、必殺技もキック・ザ・ドラマティックどの辺がドラマティックなのだろうか。
    • マイザーΔ(デルタ)
      • フォースにも登場するサイファーの後継機。
        • なぜここにいるかというと、有志の検証の結果MARZのマイザーΔはライデンと全く同じ機動性であることが発覚した。つまり高機動とは名ばかりの軽量級、あるいは重装甲とは名ばかりの重量級。
        • そんなこんなでMARZ屈指の弱機体として知られている。そもそも機動力のインフレが凄まじいMARZが悪いといえば悪い。
        • 止めを刺すかのように解放条件が非常にめんどくさい薔薇の三姉妹機も一般のマイザーΔと同じ性能。一応S.L.C.ダイブ後に0%にならない武装ができたり、指揮官機のシルビー機のみ一部攻撃が変わっているなど違いはあるにはあるが…。
        • 後述のあの機体ほどではないにしろ、なぜ他の専用機のようにステータスを強化しなかったのか?
    • ライデン(gfk) (E1、E2)
      • OMGの頃から設定として存在していたS.H.B.V.D.(特殊重戦闘VR大隊、通称特戦隊)に特別に配属されている第三世代型ライデンのスペシャルカスタム機。
      • フレームから通常配備されているライデンと異なる為か、通常のE型ライデンの装甲値が1200なのに対し、gfkライデンのE2型が300以上高い1550で、E1型はなんとゲーム中最高値の1600。テムジン707Sのぴったり2倍である。
        • それよりもとんでもないのが機動力。初めて戦ったときは10人中10人が確実にその足回りの性能に混乱する。それもそのはず、ダッシュの持続時間こそあまり長くないものの、速度だけならば軽量級の扱いをされているテムジン707Sと同等なのである。
        • その他様々な硬直の短縮やエネルギー消費量の減少、さらには発射数の増加など、全体的に強化されている。
        • 当然他の超高性能テムジンと並んで対戦バランスの崩壊の片棒を担いでいる。こいつらのせいで唯一MARZにも登場しているフォースの3強の一角であるVOX Janeが中位ランクまで落ちている。Janeも普通に戦えば強いのだが、他が強すぎた。
    • テムジンa8
      • 白虹騎士団(びゃっこうきしだん)の専属テムジン。その見た目から白騎士、もしくはホワイトナイトと呼ばれている。
      • モーションと武装はテムジン747Aがベースで、装甲値は通常のE型ライデンと同等、機動性は基本はオラタンテムジンでダッシュキャンセルはオラタン10/80がベースにされている。
        • つまり重装甲もさることながら機動性がフォースではなくオラタンの機体と遜色ないため、文字通り他の機体とは「次元が違う」強さを有している。とにかく各動作の硬直が少なくフォースの機体はまだしも、MARZの超高性能機体群や前述のgfk系ライデンでさえ歯が立たない。余程遊ばない限り大抵の機体に勝てる。
        • 武装面も隙がなく、威力は低いものの出し方によっては爆風が消える前に次の爆風が作れるLWのボム、フォースに登場したマグロバスターことテムジン707J/CのTRWと同等の威力を持ちながらも硬直は半分近いTRW、威力は低いが相殺性能が高いため相手動かすのに最適な攻撃を最高5連射できるCWのカッター、すれ違う瞬間にダッシュ攻撃を当てられるほどの回頭性能ともはやなんでもあり。
        • 一応近接攻撃回りはテムジン747Aとほとんど同じなので、「近接戦に持ち込めば…」と考えるかもしれないが、原型機の747A自体TRW近接の極悪な判定を持つ突き(通称「牙突」「邪神突き」)を筆頭に近接攻撃が強く、わざわざ近接を振らずとも「回頭性能を生かして至近距離から裏切り前ビ」というローリスクハイリターンな択もあるため、相手の近接戦に付き合う必要さえない。どうしろというのか。
        • もう一度言うが対戦ではまともに戦っても勝ち目がない。元々フォースは攻撃が当たりにくい仕様で、機動力の高い軽量級が稼働当初カテゴリごと強機体と言われていたことからわかるように、このゲームにおいて総合的な機動性の高さが重要かがわかる。
      • このハチャメチャな性能から「フォースの家庭用が出た今、MARZを買う価値があるとしたらこの機体で遊べること」とまで言われている。
      • 余談だが、この強さは原作再現。白虹騎士団はMARZ所属機以上のハイスペックVRを取り揃えており、設定では「もともと強力なMARZ仕様のテムジンの16倍の出力を誇り、最大出力時は約256倍もの出力差となる」「所持しているスライプナー一本が普及型のVOX系VRの84倍の値段」という法外な強さを持っている*2。この設定を鑑みると狂った強さにも納得できる。
        • 更に言うならマーズ登場機は「大幅にリミッターを課せられた状態」で、「搭乗者自身の肉体にもリミッターが課せられ」ており、これでもまだ本来のスペックには程遠いという有様。
  • 階級システムの苦
    • 本作ではフォース同様に階級システムが存在するが、フォースとは違い戦場に赴く一兵卒ではなくMARZ捜査官という立場上、階級システムはフォースとは異なる仕様になっている。
      • 具体的にはフォースでの階級ランクが候補生から元帥までの合計21階級なのに対し、マーズでの階級ランクは準査から上級特査までの合計8階級となっている。
    • ミッション終了後の結果画面に「BATTLE SKILL POINT」という項目が存在するのだが、これは所謂戦闘技術得点であり、少ない攻撃で敵機を素早く撃破すればするほど階級が上がりやすくなるのだ。
    • 更に階級が「一査」以上になると指定条件下で精鋭部隊用やイベント戦で登場するボス級のカスタム機を撃破することで該当機体が支給されるようになるのだが、そこに至るまでの条件がかなり厳しい為、ランク上げに途方もない時間が掛かる事になってしまっている。
      • 攻撃力の高い攻撃で素早く敵機を撃破すればするほど効率よく階級を上げることが出来る為、この要領さえ理解できれば二査まで上げるのはさほど苦ではないものの、二査以降は最早周回プレイ必須と言えるレベルに昇格までの要求点数が厳しくなる為、最高位である「上級特査」になるためには腕前やプレイスタイルによっては何十周ものやり込みをしなければならない。後述のようにドラマチックモードは1周分のプレイ時間が決して短くはなく、しかも単調かつ面倒なミッションが多い為苦行に感じる人は多い。特に、多忙でまとまった時間が割けないプレイヤーにとっては致命的な問題である。
  • シナリオの不備・説明不足
    • 大前提の時点でプレイヤーに具体的な説明がない。まず「敵」が誰でどの陣営なのか、具体的にどんな犯罪をプレイヤーが取り締まるのか、正常な限定戦争とは一体何なのか、戦争中における犯罪とは前線真っ只中に存在しているものなのか…など、設定の根幹が明確に示さないまま物語が進行する。おかげで常に置いてけぼりをくらわされている感が否めない。
      • 例えばバーチャロンの根幹設定である『限定戦争』の場合、OPで大雑把に「商業・興行として取り仕切られた危険な玩具」と説明される。人類が建前は平和を謳いつつ画面越しに戦争を楽しんだり、スポーツやエンターテイメントのように扱っている事は分かるのだが、では「敵」や「犯罪」とは一体何なのか、といった部分には全く触れられない。主任務であるはずの「犯罪の取り締まり」もただ敵を撃破して回るばかりで要諦が分からない。
      • 主人公(プレイヤー)が所属するMARZも、「人気を博している火星戦線のシェア争い激化に伴って増加した犯罪に対処する組織」とされるが、そもそもシェア争いが誰の、そして何のシェアかさえ説明されない。報道や放映、VR開発企業のシェアか?と想像を巡らせても、結局その取締りに戦場まで出動する必要性と結びつかず謎である。
      • 物語終盤、MARZの設立目的は隠れ蓑に過ぎず、真の目的と黒幕が存在することが明かされるのだが、つまり国際的組織傘下にある筈のMARZがある企業の尖兵であった事になってしまう(いわば警察や運営が一企業の私兵集団になっていたようなもの)。MARZ自体が観客に視聴されていてもおかしくないはずだが、対外的にも商業的にも批判されないのか等々、疑問も多い。
      • 主人公の身に起きた様々な不可解な仕打ち(後に黒幕の仕業という事が発覚)は一体何だったのか、中盤まで答える者は誰もおらず、上司もかたくなにそれを秘匿する。「情報漏洩を恐れたのでは」という考え方もできるが、刺客が送られてくる時点で黒幕にMARZの動向は探知されているわけで、情報漏洩への対応としては遅すぎる。その癖主人公に対してはロクな支援が行われない。
      • 突如アクシデントによって転送された危険地帯から離脱を図る最中に、上層部はこちらの危機的状況を知りながら「(重要な意味を持つ)クリスタルを回収せよ」と言い出す。管轄外区域であり早々に離脱しなければならないと警告しながら、である。上層部の怪しさの演出と言えなくもないが、こうして入手するキーアイテムの大半が説明不足、あるいはかなり抽象的にそれとなくヒントを出すといった感じで、シナリオ上の占める意味合いも今一つ伝わって来ない。
        こうしたキーアイテムはイベント戦を経てNPCから入手する事もあるのだが、大抵「何故持っていたのか」「何故プレイヤーに渡すのか」等をはぐらかして渡してくる。結局理由が明かされないまま終わってしまうので消化不良感も大きい。
      • 中盤、主人公がある理由で戦争が禁止された封鎖区域に入ってしまうのだが、その中で下されるミッションは友軍の基地や仲間の護衛。敵も普通に狙ってくる。さらにはどこから湧いたのか僚機がついている事まである。ミッションは特定のステージで発生するが、その内容はランダムで決まるために、こういった「立入禁止区域から脱出せよ。ミッションは味方輸送機の護衛」などという訳のわからない状況が発生してしまう。
    • 登場キャラクターにもクセがある。
      • 筆頭となるのは無駄に熱い男ハッター軍曹。前半で勝手に人を「心の友よ!」と言っておきながら、上層部にブチ切れて脱走し、戦場をかき回すだけのバーサーカーと化してプレイヤーから所持品を強奪しに来たり、状況に関係なく唐突に助太刀に来たり、プレイヤーを勝手にライバル認定する。ネタとしてはとても面白いキャラであり実際ファンも多いのだが、それはそうとしてストーリー的に一体何がしたかったのかさっぱり分からない。
      • S.H.B.V.D.やリリン・プラジナーなど熱心なファンには嬉しいキャラクター達も名前などが登場するが、知らないプレイヤーにとっては思わせぶりな台詞や他方での伏線らしき何かが投げっぱなしで勝手に話が進む。
      • 元々バーチャロンのメディアミックスはホビージャパンや電撃ホビーマガジン等の模型誌やプラモデル*3等のゲーム書籍ではない媒体が中心であり、バーチャロンを知って間もないようなロボゲーマー層をターゲットとするマーケティングと根本的にズレている。誰もが設定や世界観に興味を持つとも限らないし、それらのメディア媒体に触れられる機会がないという場合もあるため、古参ファンでも設定を知らないプレイヤーは珍しくない。
      • 主人公が前述の「黒幕からの妨害」で月に転送され、敵に襲われているところに別の組織「白虹騎士団*4」のメンバーが助太刀してくれるが、なんと彼は「直感」で主人公を巡るトラブル解決に乗り出す事に。組織人・軍人としてそれはどうなのか*5
      • 黒幕についても説明不足な点が多く、その目的も判然としない。プレイヤーはなし崩しに警察任務とは全く関係ない命令ばかりに従わされ、気付いたらなぜか人類の存亡の危機に関わり、よくわからないまま危機の回避に成功したという有様で、エンディングもプレイヤーの活躍で何が起こり、何が解決したのかあやふやでわからない。
+ 黒幕と終盤の物語について(ネタバレ注意)
  • 今作の黒幕として扱われる、本作オリジナルの敵キャラにして謎の知性体『ダイモン』は「かつて月面で発見された遺跡『ムーンゲート』の主であり、人類よりも昔、地球圏を支配していた種族の残留思念」という非常にややこしい存在。
    • 『ムーンゲート』とはバーチャロンの設定の根幹に関わる重要な遺跡。バーチャロイドに関連するオーバーテクノロジーの殆どは、このムーンゲートを解析することでもたらされた。
    • 彼は後にネットワークを掌握して水面下で人類を操っていたことが明らかにされるのだが、「なぜ人類を操って限定戦争を仕組ませたのか」「なぜ人類の滅亡を企むのか」という最重要設定は最後まで明らかにはされず、ダイモン自身もラスボスとしての直接対決をしないまま降板してあやふやなまま物語は終了する。そのためEDが非常に分かりづらい。
    • 最終戦でタングラム(後述)を乗っ取りラスボス化…したのかもしれないが、その辺りの描写も乏しく実際のところは不明。
    • 最後はタングラムの謎の語りかけで物語は幕を閉じてしまう。いきなり「Something wonderful」とか言われてもプレイヤーには何が何だかさっぱりわからない。
    • ちなみに姿はただの「文様の描かれた丸い球」としか描写されない。雑魚タイプの他にボスとしても2タイプあるが、そちらも大きさの異なる球体が繋がっているだけ。初代バーチャロンの根幹にも関わる設定を持っているとは思えないほど地味で小物臭い。
  • 他にもいろいろと突っ込みどころが散見される。もちろん、「あえて無視すべき、楽しい突っ込みどころ」もあるにはある。
  • 単調かつ面倒なミッション
    • 目新しいシチュエーションが増えているが、基本的には任務に関わらず敵を淡々と順次撃破していくだけのものが大半なため、要所で挟まれるイベント戦やボス戦までは作業的になりがち。
      • 特にCOMの思考ルーチンが非常に粗末な作りで、基本的な戦術が露骨なほどこちらの隙を待つものであり、しびれを切らして攻撃したとしてもCOMの特権である超反応をフルに生かしたジャンプによる回避ばかり行う為、もともと攻撃の当たりにくい仕様*6もあって通常戦闘のテンポが非常に悪いものになっている。
      • というかこの思考ルーチンが最低難易度でも最高難易度でもほとんど変わらない為、ノーマルをクリアできればアルティメットクリアもさほど難しくはない。しかし、それは逆にノーマルでも初心者には厳しいことを意味する。実はルーチンが粗末なおかげである攻撃をするとほぼ確定でダッシュ攻撃をしてくるのだが、初心者がそのことを気付けるかどうかはまた別の問題である。
      • 前述の通り僚機がつく場合もあるが、機体を選べない上、闇雲に暴れまわるだけの一辺倒な戦法しか取らないためコンビネーションも難しい。
      • 一ミッションで出現する敵数も多く、長時間の戦闘を強いられるのも難点。
      • 序盤から一対二の戦いが多く、しかも連戦が多く最低難易度でも初心者には辛い。終盤は一対三の戦いもある。
      • イベント戦ともなると敵側はVRとは思えない異常な耐久力になり、無駄な時間ばかりかかってしまう。いくらカスタム機とはいえ物には限度がある。
    • ミッションの難易度自体はバーチャロンに慣れている人にとっては易しいのだが、それは先述の標準機であるテムジン707→747系を使用している場合に限る。『上述テムジン以外の機体の数的不利な状況に対する対応力』を全く考えなかった結果、そもそも他機体を使用する事自体が単調な戦闘を伸ばしてしまい、さらにテンポを悪化させるため、機体支給はコレクションして満足するのが実態。
    • 操作システム上から見てどう考えても向かないような三次元的なアクションステージがある。
      • バーチャロンは確かにジャンプからの空中戦の要素があるが、空中での行動の選択肢はかなり制限があり、見た目ほど自由な動きができない。特に本作のベースとなったフォースはそれが顕著であり、その中でも空中での機動性が低いスペシネフとアファームドでは一部の足場に飛び移れないことも。

このように本作にはどう見たって誰も得をしない仕様やフォースやその他過去作をプレイしていたらすぐに気付くはずのミスが多い。さらに再現性100%のバグもあり、ロクにテストプレイもせずに出荷した疑惑がある。さらに、フォースで使えた半バグの技(回り込みターボ近接や町〇特攻等)がそのまま使えることがさらに疑惑を助長している。

賛否両論点

  • 操作性
    • 残念なことに、これまでの家庭版でお馴染みだったツインスティック(専用コントローラー)が発売されなかった。元々操作が独特なゲームではあるので初体験者や初心者、アーケードに慣れているシリーズファンは苦労するかもしれない。
      • ただし、PSコントローラのボタン・スティックの多さと、各ボタン機能の割り当てが自由に変更可能であるEDITのおかげで、セガサターンやドリームキャストのコントローラーよりは操作しやすい(ツインスティックを疑似的に表現できるため)*7。とはいえ標準で用意されている操作タイプはかなり使いづらいため、必然的に自分でカスタマイズする必要がある。
      • なかにはSS版等のツインスティックをPS2用に改造して対応させてしまったユーザーがいる。
      • 発売から約10年後に対応ハードは違うものの、待望のMARZで使うことが想定されているツインスティックが発売された。
  • 演出
    • 各ミッション毎にテロップ演出とボイスが入るのだが、ミッション内容と関係のない物が多過ぎる。さらに「あれ、同じテロップ前にもなかったか?」と感じられるほどバリエーションに乏しい。
    • パイロットの乗っている筈の機体ですら「機体の頭部」が顔グラとして表示されて通信を行うため、喋っているのがパイロットか機体か分からなくなってくる。設定上(ある特別機を除いて)機体そのものが喋るはずは無いのだが、パイロットの乗っている機体ですらやたらと人間らしい細かい仕草をしながら会話をするので、これまた違和感が凄い。また自軍の拠点及びトレーラーの防衛ミッションにおいても、中に人間が乗っている筈のレーダーサイトやトレーラーですら「レーダーサイトの画像」や「トレーラーの画像」が顔グラとして表示されて通信を行うため、喋っているのが人間か建造物か分からなくなってしまっておりこちらもまた違和感が強いものとなってしまっている。リアル系でもスーパー系でもない別の新ジャンル「バーチャロン」が完成している。
    • それが顕著なのが敵キャラクター「薔薇の三姉妹」が駆るマイザーや、重要人物であるハッター軍曹のアファームド・ザ・ハッター。前者はパイロットのセリフに合わせてお嬢様歩きをしたり、去り際にわざわざ優雅な一礼をして飛び去るなど、前述したような人間らしい動作が目につく。
      • これに関しては、「 バーチャロイドの制御OSには操縦者の精神とリンクさせるM.S.B.S.(Mind Shift Battle System)が用いられており、M.S.B.S.がONの状態では生き物の様に滑らかで複雑な動作をする(OFFではそういった動きは不可能になる) 」という設定が存在するため、それ自体に矛盾がある訳ではない。
    • ただハッター軍曹の場合はこれに輪をかけて「人間らしい動作」が多く、OPムービーでは西部劇のガンマンよろしくテンガロンハットを指で押し上げたり、第一章の最終ステージではバーチャロイドごと磔にされたまま大型レーザーで撃たれて(機体が)悶絶しまくる。当然だがハッター軍曹は単なるパイロットなので、実際に痛みを感じたかのような仕草をする必要はない。*8。最早擬人化の域。
    • 因みにこのステージで敵を倒すと軍曹は自ら拘束を解く自分で外せるのなら助けに行かなくても良かったのではないのだろうか
      • これを「臭い」「滑ってる」と取るか、素直に「面白い」ととるかはプレイヤー次第。やや過剰気味なおかげで「面白いけど滑っている」状態となっている感がある。
      • ちなみにデザイン担当のカトキハジメ氏は「私は全然(違和感は)感じないですね。最初からキャラのつもりでいたので」と語っている。
      • 殊に本作はキャラクター性を強く打ち出し、ムービーなどでスキップできない状態の「バーチャロンの人間らしい動作」を頻繁に見せられるため、否が応にも多くのプレイヤーの印象に残ることになってしまった事も要因の一つであろう。
  • 黒幕に『囚われている』という設定で、いきなり始まるタングラムの独白には唖然としたプレイヤーも多い。見ての通り目玉である。これが喘ぎ声を上げたりする様はなんとも言い難い気持ちになる。しかもタングラムの声を担当したのはよりにもよって井上喜久子氏だったりする。
    • なお、DC版「オラタン」の時点で隠しムービーに同様の井上氏担当によるタングラムの意味不明な謎の独白があった事は付け加えておく。

評価点

  • ドラマチックモードのキャラが濃く、見ていて飽きない。
    • 過度に熱血な先輩キャラクターに、ゆかな氏の声が可愛い謎の女性オペレーター、さらにベテランの若本御大が演じるラスボスと豪華すぎる。
  • 豪華声優陣。
    • 上述したオペレーターのゆかな氏やラスボスの若本規夫氏以外にも、ストーリーで登場するパイロットを演じる折笠愛氏や辻谷耕史氏、ナレーションの立木文彦氏等々有名声優の数々が名を連ねる。「日本一歌のうまいサラリーマン」こと、セガ社員・光吉猛修氏も上記のハッター軍曹として登場、彼のオーバーリアクションを熱演している。
  • バーチャロンの世界に浸る事ができる。
    • よく分からないシナリオも、設定集などである程度世界観を知っていればどうにかついていくことができる。またデータベースという用語集があり、独特の世界観や前作までのストーリーも知ることができる。今までの作品ではストーリーや背景はゲーム内で語られることがなかったため、予備知識がないプレイヤーにはほとんど意味不明であった。
  • PS2のアナログコントローラーによる擬似ツインスティック操作は良好。
    • PS2コントローラはスティックが左右対称についているため、操作の違和感はない。
  • 結果的には不評の声が多数になってしまったが、単なる戦闘以外のミッションをバーチャロンでやろうとした事自体は評価されてもいいとの声も一部で存在している。
  • テムジン無双。
    • 強力なテムジンで相手をバッタバッタとなぎ倒す「俺tueeeeeee」に楽しみが見出せるならば。
    • また、これらの超高性能機体群に関連して今までバーチャロンではありそうでなかった、いわゆる初代ストIIのベガのような「ボス性能の機体」と戦うことができる。
      • フォースの機体で例えるなら「テムジン747A」「テムジン747H」「ライデンE2」「ライデンE1」の4機種だけではあるが、条件を絞るとこれがまたとてつもなく強く、なかなかに攻略のしがいがある。
    • ちなみにフォースの時点で「テムジンだけ3世代全て登場し、しかも今までの曲も全てリメイクされて、とどめに新型の747系列の3機種全てにBGMが用意されている」と明らかにテムジンが優遇されていたことも忘れてはならない。
  • 収録曲数の多さ
    • 長らく日の目を見なかったが、家庭版フォースがゲーム中のBGMをOMG、OT、フォース、光吉の4タイプに切り替えられることを受け、「ひょっとしたらこれはなかなかにすごいのでは?」という意見が出てきた。
    • ACの移植なので当たり前といえば当たり前なのだが、それまでの家庭版バーチャロンは他のシリーズの曲を流すことは出来なかった。しかしMARZはフォースのアレンジ移植とも言える為か、フォースまたは本作でアレンジされていないオラタンのBGMがランダムで流れることがある。アレンジされているBGMについてはアレンジ版、つまりはフォース版が流れる。
      • しかしオラタンのBGMが流れるのはドラマチックモードだけで、しかも流れるBGMが決まっていないミッションのみ。その上ランダムで選ばれるBGMの中には当然フォースのBGMも含まれている為、特定のBGMを出すのはかなりめんどくさい。
      • 止めとばかりにオラタン屈指の人気を誇るテムジンの宇宙BGMのフォース版「High On Hope '01」とライデンBGMのMARZ版「Into The Crimson '03」はランダムBGMの中には入っていない。後者は実質ボス性能のライデンを駆るS.H.B.V.D.戦のBGMなので通常ステージには出せないのはわかるが、前者ははっきりとした理由がわからない。ちなみにOMGプレイヤーなら確実に最初に聞くテムジンBGMのフォース版「In The Blue Sky '01」もなぜか入っていない。
      • もちろんというか景清のBGMである「Kiriste Go-men!」は入っていない。景清が何をした
    • オリジナルとアレンジとボーカル版をひとまとめにしたとき、MARZに入っていないステージBGMは上記の「Kiriste Go-men!」とOMGのベルグドルBGM「Higher Ground」だけなので、限定的なBGMの種類数だけならMARZでの新規BGMの差で家庭版フォースよりも多いことになる。
  • カラーバリエーションも豊富
    • カラーエディットこそは無いが、色違いコンパチも含めてXbox360版フォースに無い個性的なカラーリングがあるのは一応評価点。
    • イキすぎな性能はさておき、MARZの紺カラーテムジンやホワイトナイト等は今作のみ。プラモ化もされている。
    • 「金髪+ピンクカラー」のフェイVH等個性的なものもある。ちなみに該当カラーはおぱんつもおピンクになる。

総評

ゲームとして破綻している面は無くクソゲーと言うほどではないが、上述した問題点や賛否点により、当時「フォースの移植」を期待していたファンが落胆したことは言うまでもない。多く出回りすぎた事もあり、瞬く間にワゴンの主となった。

そして約9年の時を経て、フォースがXbox360に移植され家庭で限定戦争に参入できるようになった今、多くのチャロナーにとってのMARZの存在意義はほぼ完全に消滅している状況である。
今作に求める存在意義があるとすれば、やはり先にも示した「747Jや白騎士によるテムジン無双」「something wonderfulなMARZ節全快のストーリー」の2点に限られるであろう。*9

ゲーム外の多媒体でしか触れることのできなかった世界観やストーリー性を具体的に取り込んだ最初で最後の作品であり、より深くバーチャロンの世界観に浸りながらプレイすることもできただろうだけに、非常に惜しいというほかない作品である。


余談

  • 2009年に行われたバーチャロンの作品人気アンケートでは、ブッチ切りの最下位を記録した。
    • だが驚くべき事にバーチャロンの人気投票の際「MARZがいちばん面白かった」と投票したものが少数ながらいたという。彼らはファンからは劇中の台詞をもじり「MARZの犬」などと呼ばれ、賞賛や驚きの目で見られた。
    • かの北斗にも固定ファンが付き愛されたのと同じように、『MARZ節』に魅せられたファンも希少ながら存在したようだ。
  • バーチャロンでは唯一明確なキャラクターが存在することもあり『スーパーロボット大戦』シリーズにも参戦した。
    • 第3次α』ではほぼいるだけ参戦という形となったが、『K』では本格的にストーリーに絡むことになり、原作者監修によるシナリオの再現度の高さもあり、チャロナーとスパロボユーザーには好意的に迎えられた。
      • 原作では「パイロット=プレイヤー」という位置づけのため、スパロボにおけるテムジン及びフェイ・イェンは独自のキャラクター設定を付加しつつパイロットの顔や素性を描写しないという形で半オリジナルキャラクターとして描かれている。*10
      • 一方のハッターは今作で見せつけた濃いキャラクター性のままでの参戦となっており、光吉氏の熱演もあって印象深いキャラとなっている。
  • 2011年のコミックマーケット81にて発行された設定資料本「ハッター軍曹のメモリアルアルバム」にて、「オラタン」以降グラフィック・スタッフとして関わった森康浩氏は賛否両論点にて記した「バーチャロイドの人間らしい仕草」についてこう記している。
+ 抜粋。やや長いので格納

(前略)
一人でイベントシーンの制作を担当していた私は、正直どのようなモーション(演技)を付けたものか途方に暮れていました。理屈で考えれば、喋っているのはパイロットなのですから、その間バーチャロイドは微動だにせず突っ立っていても理にはかなっています。しかし、いくらなんでもそれはエンターテイメントとして成立しません。シナリオのテキストを前に悩む日々が続きました。
そんなある日、最初の台詞の録音データがやって来ました。エピソード冒頭、磔から脱出したハッター軍曹のあのセリフ
「サーンキューーー!ベリマッチ…!!」
聞いた瞬間に衝撃が走りました。まさに後頭部にキック・ザ・ドラマチック*11を喰らったようです。あんなハイテンションのセリフに、普通に磔からモソモソから脱出する演技など付けられる訳がありません。
仮面劇でいいじゃないか!モーションでキャラクター性を表現すべきなんだ!
(中略)
変なテンションになりつつも、そこからは私の心のおもむくままに、三姉妹マイザーにモデル歩きをさせたり、白騎士を颯爽と登場させたり、とにかくイベントシーンのバーチャロイドのあんな動きやこんな動きは全部私の責任です。
(後略)

  • これを見るかぎり、彼が自認する通り劇中での登場人物のオーバーなアクションは彼の仕業のようだ。
    前述の通り、設定上違和感はないとはいえ、誰か意見しなかったのだろうか。
  • シリーズのプログラムを担当してきた石畑義文氏は同メモリアルアルバムにて「MARZに関しては、とにかく開発が大変だったので反省点が多い代わりに思い入れも大きいゲームです」と語っており、少なくともSEGA側にとって「MARZ」が黒歴史ではないことが窺える。
    • 彼はその後「学ぶことが本当に数多くありました」とも語っている。
  • 2013年3月21日、PS2アーカイブスとして配信開始。
    • ローディングに煩わされることがなくなった。PS3用ツインスティックも発売され(期間限定受注生産かつ¥30,000とハードルは高いが)、ゲーム外部分の不満はある程度解消されている。
    • ベタ移植なので、ゲームとして(あるいはバーチャロンシリーズとして)の不満点が改善されているわけではない。またPS3でPS2のエミュレートを行っている都合からか、オリジナルに比べ処理落ちの目立つ箇所が見受けられる。

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最終更新:2023年11月16日 18:08
添付ファイル

*1 ただし、そのうち2機はエネミー用のザコ機体。またBob2号はBob1号の完全上位機種。

*2 MARZ仕様テムジンは前述の通り一般機よりも強力で、747Jは「通常の747型テムジンの24倍の出力」というモンスターマシンである。そしてこのテムジンa8はそのMARZ系テムジンの16倍の出力。

*3 説明書にストーリー解説や設定が載せられている。

*4 『シャドウ』と呼ばれる暴走VRを討伐する組織。一般に限定戦争に参加している勢力とは目的が異なる

*5 一応『主人公の月への転移と共に月面で活動するシャドウが活性化したため、主人公に原因があるのかもしれない』という曖昧な理由はあるが…。

*6 フォースのシステムは2on2を意識した調整のため、それを引き継いでいながら個人行動の多い本作は殊更に攻撃が当たりにくい。

*7 オラタンDC移植版の経験者ならば、ネックであった旋回ボタンと攻撃トリガーをL1~R2にアサインできる、といえば分かりやすいだろうか。

*8 一応裏設定で「ハッター軍曹の生身の姿を見た者がある時期から存在せず、機体と一体化したサイボーグになったのではないか」という可能性に言及しているが、それさえ「可能性」の段階であって確定情報ではない。

*9 しかし前者に関しては、実は家庭用フォースでは初心者アシスト要素として「EX OPTION」機能が実装されており、747Aを選択した状態でこの機能をMAXに設定すればフォースでも手軽に747Jや白騎士のハイスペックぶりを疑似的に再現可能となっている為、ますますMARZの存在価値は皆無に等しくなったと言えるだろう。

*10 ただし、フェイ・イェンは、表向きこそ明言されていないが、担当声優(『α』ではドラマCDでフェイ・イェンを演じた樋口智恵子氏(『UX』に参戦のフェイ・イェンHDを除く)で、一部の言動や設定からバーチャロンの公式ストーリーにおける重要人物である「自我を持つオリジナル・バーチャロイド」こと「ファイユーブ」であるとみられており、一部のタイトルでのみ公式で「本人」と明言されている。

*11 作中におけるアファームド・ザ・ハッターの特殊技。錐揉み回転しながら飛び蹴りを食らわす