スターフォックス コマンド

【すたーふぉっくすこまんど】

ジャンル 戦略&3Dシューティング
対応機種 ニンテンドーDS
販売元 任天堂
開発元 Q-Games、任天堂
発売日 2006年8月3日
定価 4,571円(税別)
プレイ人数 1~6人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
周辺機器 DS振動カートリッジ対応
判定 シリーズファンから不評
ゲームバランスが不安定
ポイント ダルいタッチ操作の強制
全体的に練り込み不足かつ面倒
キャラクター改変や人を選ぶマルチエンディング
過去作否定の衝撃的シナリオ
搭乗機体とBGMは好評
スターフォックスシリーズ


概要

スターフォックス』シリーズの5作目。携帯用ゲームハードでは初作品である。
未発売で終わった『スターフォックス2』の要素を一部取り入れた、SLG+STGという異色作。

  • SLGパートはラウンド制(所謂ターン制)で行われる。タッチペンで各ユニットのそのラウンドの進路を指定したのち、ラウンドを開始すると敵味方が動き出す。
    • そして味方ユニットが敵ユニットに触れるとSTGパートでの戦闘に突入する。
  • STGパートにおいては、画面は旧来の『スターフォックス』シリーズと似ているものの、機体の上昇・下降・旋回動作、ローリング、ボムは全部タッチペンのスライド操作。宙返り(緊急回避)・Uターンは下画面に表示されたボタンをタッチで発動する。
    • なおボムは自機の前方に発射するものではなく、下画面に表示されるマップに落とす位置を指定するというもの。旧来とは全くの別物だが使い勝手は良い。保持数の最大は機体によって1~3個となった。
    • その他こまごまとした機体操作もみなタッチペンフル稼動だが、通常攻撃のレーザーは普通にボタンで発射。しかも十字キーなども含め、ほとんどのボタンで発射可能という謎の仕様である。
    • 慣れればかなりまともに動かせるようになるが、後述するように操作に不慣れなプレイヤーのやる気を削ぐ要素が多い。
    • DSのボタン数はSFCと変わらないので、タッチに頼らずとも過去作同様の操作体系を構築できたはずなのだが。

あらすじ

アパロイドの脅威は去り、ライラット系に再び平和が訪れていた。
だがある時、無人の星となったベノムの酸の海から突如、アングラー皇帝率いるアングラー軍が姿を現し各地に攻撃を開始、瞬く間に占領していった。
この危機に際し細々と家業を続けていたフォックスは、単身立ち上がりコーネリアへと向かう。


問題点

主な問題点はSTGパートにおけるタッチペン主体の独特すぎる操作性と、不快感の強いストーリーの2点。

操作体系は前述した通りで、旧来の作品との比較ばかりでなく他にも類を見ないほど特殊であり、この操作に慣れないうちは理不尽なほどに難易度が高く感じられる。
この関係で全体的に初心者殺しが激しいのだが、ゲーム自体は操作がとにかく特殊なだけで、慣れてしまえば『64』より難易度は低くやりごたえがない。
残るのはEDを収集する作業になるのだが、そこではシナリオ面での問題点が立ちはだかる。

システム関連

  • 戦闘には時間制限があり、戦闘中に回復アイテムを取るか、敵弾をローリングで弾くかで回復することが出来る。時間切れになると墜落し残機を一機分失う。
    • だが戦闘終了後の残り時間はそのまま次の戦闘に引き継がれる上、ユニット全員で共有している。そこに前述した操作方法の特殊さが加わり、操作に慣れないうちは時間回復すること自体が難しく、時間切れによる墜落が起こりやすい。
    • 例えば、フォックスで時間ギリギリに敵を殲滅し、次にスリッピーで戦闘開始して開幕数秒で何もできずに落ちる、ということも起きる。
    • これは「燃料切れ」ということらしいが、この説明を真に受けるならば燃料の残量を、各個に行動する全ての機体で共有しているというあまりに不可解な状況になってしまう。ゲーム的な仕様とはいえ、この状況を納得させられるような説明や設定は、ストーリー中には存在しない。
  • 戦闘の相手が母艦だった場合、ターゲットを全滅させた後にローリングしながらビーコンをくぐって母艦に突撃しなくてはならない。
    • 失敗すると逆に撃墜され、またしても残機を一機分失う。しかもせっかく倒したターゲットは復活し、また撃破しなくてはならなくなるため、ここでもやる気が削がれる。
      • ビーコンの判定はさほど厳しくないものの、ローリングの操作がタッチペンを素早く数回スライドさせるというものであるため、ローリング操作で進行方向がずれやすい上に、機体を徐々に加速させながらの操作になるため、慣れていないと通過に失敗することも普通に起こり得る。
    • ゲーム性には関係ない話だが、敵戦艦の撃破方法が体当たりしかないというのは流石にどうなのだろうか。
  • SLGパートでは、たまに敵がこちらの母艦に向けてミサイルを発射することがある。
    それと味方ユニットが接触すると敵との戦闘の代わりにミサイルを追いかけて撃墜することになるが、この際にもビーコンをくぐらなくてはならない。しかも母艦のものと比べ難易度が高く、くぐりながら攻撃を当てて撃墜しなくてはならない。
    • 味方ユニットの性能によっては破壊するのも困難になる。特に攻撃力の低いレオンのレインボーデルタや、ロックオン機能の無い機体などではかなり難しい。
      • 逆にパンサーのブラックローズや、ロックオンを重ねられる機体なら比較的簡単に撃破が可能。
      • なお、破壊に失敗するとミサイルは余計に直進してしまう。
  • マップ上には母艦のグレートフォックスがおり、STGパートで破壊し損ねたミサイル、又は複数の敵機を母艦まで到達させてしまうと、母艦が破壊されて問答無用のゲームオーバーである。
    • 母艦の武装はミサイルのみ。マップにあるアイテムで使用回数を補充でき、SLGパートで雑魚敵の処理に活用可能である。ただし、肝心の敵ミサイルの迎撃には使えない。
    • なお、従来までのグレートフォックスは『アサルト』で轟沈してしまったため、今作では平べったく艦橋が後方にある輸送艦のような姿になってしまい、見た目も微妙に。
    • しかし、上記のように敵機やミサイルが到達するだけであっけなく撃沈する母艦というのはいかがなものか。後述のように常にプレイヤー側の母艦として登場し続ける点など、突っ込み所は多い。
  • そしてステージをクリアすると、場合によってはボス戦になる。
    • パズル状になっている敵機体を揃える、攻撃で溶岩に押し込むなど面倒な手順を踏んで倒さねばならないボスも多い。
    • スターウルフはボスとして現れることもあり、例によって苦戦を強いられるのだが、本作では積極的に背後を取ってきたり激しい攻撃を加えてきたりもしない。だがこちらが一機のみなのに対し向こうは一度に三機出現し、周囲を飛び回り続けるため攻撃が当てづらく、全員を倒し切る前に時間切れになりやすい。
      • このため、スターウルフ戦における最大の敵は時間制限となっている。苦戦するといっても従来作のような強敵というよりただ面倒くさいだけのボスと化しており、因縁のライバル戦がそれで良いのだろうか。
  • SLGパートには共通してラウンド制限が設けられている。最大5ラウンドで、規定ラウンド以内にクリアできなければゲームオーバー。
    • 一応、ラウンド数はアイテムによって補充することが可能。どちらにせよ時間制限となる要素が多く、ステージ進行の面倒臭さに拍車をかけているのは言うまでもない。
  • エンディングは9種類あるが、これらをコンプリートするには逐一最初の面からやり直す必要があるので、それまでに何度も同じ面をやり直す羽目になる。
    • しかも何回か周回を重ねると最初の面が別物になり、難易度が上がる。複数周回への配慮だろうが正直面倒なだけ。
    • EDも紙芝居のように画像と解説文が表示されるだけで非常にさみしい。
    • 一面からエンディングまでの長く単調な道のり×9を乗り越えてEDをすべて制覇してもメニューのBGMが変わるのみ。『64』のような勲章やエクストラモードがあるわけでもない。
  • 過去作品で形を変えながらも続投していた、敵を巻き込んで撃破した際のボーナスが消滅した。スコアも敵の数以上に稼げることはないため、やり込みの底が浅い。
    • スコアを稼ぎたい場合は拠点の撃破を遅らせ、敵に増援を呼ばせて逐一全滅させるしか方法がない。最短で敵軍を撃破するにはターゲットとなっている敵機のみを撃破すれば良いので、比較すると無駄に時間がかかりダレやすい。
  • 従来のような奥へ進むレールシューティング面は存在しない。ミサイル迎撃と一部ボス戦以外は全てオールレンジモードによる箱庭ステージであることも惜しまれる。
  • トレーニングモードは用意されているが、内容は基本操作の練習に留まっており、『64』のようなやり込み要素は用意されていない。
    • 前述のビーコンくぐりは練習できない。また操作機体はアーウィンIIで固定なため、レーザーやロックオンが特殊なマシンの練習もできないと、いまいちかゆい所に手が届かない仕様となっている。
  • 本作はCVがなく、各キャラの音声は初代『スターフォックス』同様のハナモゲラ語である。
    • ちなみに『64』はROMの容量が12MBであったのに対し、今作は32MB。技術的にはボイスを収録することも可能だったはず*1。ただし本作は『2』をベースにしたテキストライクなゲームデザインである為、余分な要素を削ぎ落とした結果、CVは採用しなかったと察する事も出来る。
    • オプションでプレイヤーの肉声をDSのマイク機能で録音し、それを各キャラのハナモゲラ語として加工し利用する機能がある。しかし需要としてはどこかズレている上、DSのマイク機能を無理に入れた感覚は否めない。
      • 何故か録音する際に『 あなたの名前を教えて下さい 』や『 朝何時に起きますか? 』等のゲームとは全く関係ない身の上調査を行う事となる。突然こちら側のプライベートの事情を聞かれても困惑するだけであり、実際に録音すると本当にCVとして採用されると言う恥ずかしい仕様である。
      • 確かに、「何か喋れ」と突然言われても困るところではあるが、だからといってこの質問はないだろう。固定の文字列を読み上げさせるのでは駄目だったのだろうか。
  • グラフィックやデザインワークに関しても単調さが目立ち、映画的に表現されていたGC2作とは異なり、フォックス達のデザインも『ゼルダの伝説 風のタクト』の様な平たいカートゥーン調に変更されていて違和感が強い。彼らが一堂に会するADVパートも簡単な背景画像と左右にバストカットを配置しただけの簡素な物となっており、仕草もテキストに合わせて ハナモゲラ語を発し、口をパクパク目をパチパチさせるだけ 。そんなシチェーションで男女間の確執を描いても多くのプレイヤーが呆然とするだけである。
    • その一方、EDの画像はシリーズのデザインを務めてきた今村孝矢氏による水彩画である。色彩は美麗だが、キャラクターの顔のバランスがやや崩れて見えるなど、独特の画風から賛否が分かれる。

ストーリー関連

  • 重厚さを狙ったのか、話がしょっぱなからハード気味。
    • 物語に深みを出すためなのだろうが、全体的に描写が浅いためあまり意味を成していない。
+ 大まかなお話
  • のっけからチーム分裂済という説明が入り、下記の都合でナウス以外の全メンバーが離脱している。さらに進め方によってはさらに酷い展開になることも
    • ペッピー: 病床に伏したペパー将軍に代わり、軍のトップに就任。
    • スリッピー: 恋人アマンダとの時間を大切にした方がいいと帰郷。ちなみにどのルートに進もうと恋人とは仲良くやっている。
    • ファルコ: こんな金にならない仕事はやってられんと族の世界へ帰る。
      • 元々スターフォックスチームは仕事が少なく、常に資金不足というのは色々なところで語られている。そんな中チームの母艦も前作で盛大に轟沈してしまっているなど出費がかさんでおり、「金にならない仕事」という彼の言い分も頷ける。長年我慢が積み重なり限界を迎えてしまったと考えれば理解できなくはないだろう。
      • ちなみに、ファルコは過去にも一度チームを脱退している。
    • クリスタル: これ以上危険な事はさせたくないからチームを抜けてほしいというフォックスの意志に反発、大ゲンカの末に出奔しコーネリア軍の戦闘機パイロットに。
    • ウルフ: 積み重ねてきた悪事に裁きが下され、現在はメンバーであるレオン、パンサー共々指名手配となり、莫大な懸賞金をかけられた尋ね者となっている。
      • スターウルフの悪事については詳しく語られない上、『アサルト』ではアパロイド撃破に大きく貢献した実績もある。なぜ指名手配されているのかは不明。
  • 進め方によっては違うキャラの視点で進むことがあるのだが、単独行動するファルコだろうが、ライバルポジションのウルフで進行しようと常に母艦はグレートフォックスで、ナビゲーターはナウスになるという不自然な状況に。
    • 当然ながら、ナウスが最初に共に行動しているのはフォックスである。ストーリー展開にもよるが、フォックスはナウスによって母艦から追い出されたとも思えてしまう。
    • 結果的にナウスと共にストーリーが進む形となるため、本作の主人公はナウスと言われてしまうことも。
      • 発売数年後のインタビューにて、「フォックスやファルコ、ウルフが使っているのは実は全部同じ型のレンタルの戦艦」と言う設定が発表されたが、現在では後付けと思われても仕方がない。後付けでなかったにしても、ナビがナウスのままなのはやはり不自然である。
  • 2周目以降は分岐選択が可能になり分岐次第でエンディングが変化する、所謂マルチEND方式になっている。しかし正統派のエンディングの方が少なく、大抵はバッドエンド的なエンディングである。しかもいろいろな意味で酷い内容のものが多い。
    • しかしifEDやネタEDは笑えるものもあり、一見の価値はあるとの評価する声も無い訳ではない。良くも悪くも人を選ぶエンディングが多い。
      • また、この分岐は会話中に表示される選択肢によるもので、『64』のようなステージ中に特定の条件を満たすことによる分岐は存在しない。
+ ED一覧

エンディングの名前は最終ステージの名前と同じ。いくつか両立可能なEDがあるので組み合わせてみるのも面白いかも?
新キャラは名前だけだとわかり辛いので、うち何名かは簡単な解説も掲載しておく。(他はストーリー上の存在感が薄いので省略)

新キャラ名 解説
ルーシー・ヘア ペッピーとその亡き妻ビビアンの娘。宇宙物理学の教師だが、元はパイロット志望だったので戦闘機にも乗れる。
アマンダ スリッピーの恋人。何故かファミリーネームがない。どうでもいいがアマンダの方が惚れたらしい。
アッシュ・ボウマン スターフォックスに憧れるコーネリア軍所属パイロットの好青年。
アンドルフの孫というわけありな出自だが、本編中では大して取り沙汰されない。

ED1.フォックスとクリスタル

  • タイタニアでクリスタルと再会するも、クリスタルはフォックスだけでなく他のチームメイトにも冷たい態度をとり続ける。
  • しかし最後の戦いを通じて和解。フォックスもこの戦いで友情や愛情の大切さを身にしみて感じた。
  • その後スリッピーの恋人アマンダがスターフォックスの新たな仲間となり、アッシュは再生したベノムの新たな主となったのだった。
    • アマンダの加入で5人組のチームになる展開には驚きだが、全エンディングの中でも比較的まともなEDの一つ。また、アッシュはED6のベノム帝国に繋がる存在となっている。

ED2.さよならフォックス

  • 最後の戦いを終えたフォックスはチームを解散し、クリスタルとの平穏な生活を送ることを決めた。
  • 数年後、2人の間に生まれた息子、マーカスはすくすくと成長し、やがて父の影響を受けコーネリア軍パイロット士官学校に足を運ぶ。
  • その後マーカスはスリッピーの息子、ペッピーの孫娘、そして伝説的なパイロットとなったファルコ*2と共に、新たなスターフォックスを結成する。
    • トゥルーエンドと思われるEDだが、フォックスの引退を「シリーズ終焉を暗示している」と捉える声もある。
      ただ、シナリオ自体はかつての仲間達との友情をメインに据えたアツイ展開なので出来は悪くなく、第三期スターフォックスとED6のベノム帝国との戦いに期待するファンも多い。

ED3.アングラー皇帝

  • アングラー軍に勝利し、再び平和を取り戻したスターフォックス。
  • だがクリスタルと和解はしたもののわだかまりは完全に解くことは出来ず、数ヶ月クリスタルはフォックスにスターウルフに戻ることを告げる。
  • フォックスは泣きながらチームに残って欲しいと懇願したが、クリスタルの気持ちは変わらなった。こうしてフォックスは今度こそクリスタルを失うことになってしまった。
    • 平和は取り戻したがヒロインとは破局してしまう腑に落ちないED。なお、一周目は強制的にこのEDになる

ED4.復活!スターウルフ!

  • フォックスを利用して浄化装置を手に入れ、クリスタルとともにアングラー軍を打ち倒し見事に汚名返上をしてみせたスターウルフ。
  • しかしクリスタルは街に出ては裏切り者として後ろ指をさされ続けるのに耐えられず、スターウルフからも離れてしまう。
  • 数年後、クリスタルは別星系でクラゾアと名乗り凄腕の賞金稼ぎになっていた。フォックスは一度だけクラゾアと遭遇したが、彼女がクリスタルであるということに気付くことはなかったという。
    • 恋人が知らない人になってしまった切ないバッドエンド。

ED5.ルーシーとクリスタル

  • コーネリアを守りきった女性陣(ルーシー&アマンダ&キャット&クリスタル)。やがてフォックス達がアングラー軍を倒したという朗報を聞き、クリスタル達は御馳走を作ってもてなすことに。
  • ペッピーとルーシーは今は亡きビビアンの思い出を久し振りに語り合う。
  • フォックスとクリスタルも互いの気持ちを打ち明け、クリスタルはスターフォックスに復帰する決意をしたのだった。
    • 家族や仲間とのつながりが感じられる温かいED。精神衛生上これが真EDであると主張するプレイヤーもいるとか。

ED6.アッシュの選択

  • スターフォックスの協力もあり、アングラー軍を打ち倒したアッシュ。その後彼はベノムを再興させる決意をする。
  • 数年後、豊かな惑星となったベノムに次々と移住者が現れ、アッシュは指導者となり自然と科学が調和した惑星を創ることに成功。
  • 数十年後、アッシュを中心に巨大帝国となったベノム。「宇宙の中心はベノムである」というアッシュの演説に人々は熱狂し陶酔し、再びベノムは宇宙の脅威となった。
    • 所謂「歴史は繰り返される」ED。ただし、前述の第三期スターフォックスが繰り広げる、この新生惑星ベノム帝国との戦いが見たいというプレイヤーは少なくない。

ED7.スリッピーの決心

  • スリッピーはアクアスにてアマンダの無事を確認し、彼女を守るために故郷に戻り唐突に結婚式を挙げることを決意する*3
  • 数年後、アクアスにはたくさんの子供に囲まれたスリッピーの姿が…。
  • さらに数十年後、年老いたスリッピーは近所の子供達に若かりし頃の武勇伝を聞かせるのが日課となっていた。そして時折彼は思う。「フォックス達は今頃どうしているだろう…」。
    • 一見ほのぼのしたEDだが、戦争やフォックス達のその後を完全になおざりにしてしまっている(一応スリッピーは気にしてはいるが…)。皆投げ出して数十年音沙汰なしはあまりに酷い。

ED8.ピグマの逆襲

  • ファルコはナウスの忠告も聞かず、脇に逸れた戦闘を繰り返した結果最終決戦に行きそびれ、仲間はずれになってしまう。自分はほとんど関わっていないため、オメオメ仲間と喜びを分かち合うわけにもいかず、一人悶々とする。
  • そんな彼にキャットから「スターフォックスなんかやめて、新しいチームを結成しよう」と持ちかけられる。落ち込んでいたこともあり、ファルコはこの提案に素直に耳を傾ける。
  • ファルコはアッシュもチームにスカウトし、新たな遊撃隊「スターファルコ」を結成。フォックスの好敵手となったのだった。
    • 最短ルートで辿り着くED。不協和音を繰り返した末に、人間関係的にはかなりのバッドエンド。
      • 但しファルコは前にもチームを脱退した事があり、こちらの方が文字通りに羽を伸ばせるのではないかとする意見もある。
      • あくまで別チームになっただけであり、フォックス達も事情やファルコの性格については十分理解していると思われるので、見た目ほど人間関係も崩壊していないかもしれない。というかそうだと信じたい。

ED9.ピグマの怨念

  • いくつもの罠にはめられた結果、手柄をスターウルフに奪われてしまったフォックス。
  • フォックスは名誉も恋人も全て失い、泣きながらファルコと共にやけ食いに走る。
  • そんな時にファルコから慰めついでにG-ZEROグランプリに出場することを提案される。結果、ぶっちぎりで優勝し忽ちサーキットのスターとなった。そして、彼らがスターフォックスであったことなど、もはや誰も覚えていないのであった。
    • 最悪のバッドエンドにしてネタED。ちなみにG」であって「F」ではない。上述した別EDの件もあって、本作のピグマはバッドエンドへと誘う存在でしかない。

キャラクター・設定関連

  • スターウルフのメンバー、レオンのキャラが改変されている。
    • 『64』では冷酷で血が大好きという設定があり、『アサルト』まではクールな二枚目(?)といった立ち位置だったのだが、なぜか本作では気が優しいという設定になっている。
    • 一人称も「私」から「オレ」に変わっており、セリフまわしも妙に小物臭い。カメレオンだから性格も変わるというのだろうか?
      • 一応初登場になるはずだった『スターフォックス2』のレオンは似たような性格だったが、こちらは未発売ソフトであり、ユーザーの知ったことではない。
  • 味方キャラの一人であるキャットの性格も『64』のセクシーお姉さんから姉御タイプに変わっている。外見もピンクから黒に変わり全面的に猫である以外共通点がなく、同名キャラである必要性が感じられない。
    • 性格に関しては前々作『アドベンチャー』の前日談の漫画版から引き継いでいるのだが、ゲーム本編だけ(『64』→今作)を見ると変わりようが激しい。
    • ちなみに見た目を変えたのは前述の今村氏。また、性格は「セリフが増えたから変わった様に感じるだけ」との事らしい。しかし、性格が変わったように感じさせてしまうようなセリフなのは問題だろう。
    • ショットの性能が独自である上に操作する機会も少ないので扱いづらさは随一。
  • あるルートではフォックスの父親であるジェームズが参戦してくれるのだが、常に無言で不気味。しかもフォックスにしか認識されていない節もあり、ほとんど亡霊扱いである。
    • 一応、戦闘にはきちんと参加して戦果も挙げられるし、特定条件を満たしてラスボスを倒すと一言だけ労いの言葉をかけてくれるといった生存を示唆する要素もなくはないのだが…。
  • タイトルを(悪い意味で)覆す程の衝撃的な新設定が存在する。
    • 「危険な研究を繰り返していたせいで、辺境の惑星べノムに永久追放された」というのが今までのアンドルフの設定だった。
    • そして今作で「ペパー将軍とアンドルフはお互い旧知の存在で、昔から仲が悪かった(文字通りというか見た通りの犬猿の仲)」ということが明かされる。
      ペパーにとってアンドルフは邪魔な存在であった為に理由をこじつけて危険分子として排除した。ちなみに、追放の決め手となった発明は、実はべノムを生物の住める環境にするための浄化装置だった
      ……つまり、過去作の物語の発端が「いいがかりで追放されたアンドルフの復讐劇」だったという驚愕の設定である。アンドルフの行った行為自体は間違いなく復讐ではあるが、元は「正義の鉄槌を受けた悪者の逆恨み」というパターンであり、ストーリー的には完全な勧善懲悪ものの筋書きに則っていたのだが……。また、この設定変更によって善人の立ち位置であったはずのペパー将軍に「善い人に見えて実は嫌なやつ」という印象も否めなくなった。
      • さらに言えば、二人の老人のくだらない小競合いが星系一つを巻き込む一大戦争に発展という、非常にしょうもない話と化してしまった。両軍の全兵員及び民間人からすればとんだとばっちりである。
    • 冒頭の流れといい「単純な勧善懲悪に納まらない複雑なシナリオ」を目指したのかもしれないが、仮にそうだったとしても夢も希望も面白味も無い、ただただしみったれたシナリオになってしまっては仕方ない。
    • そして、これを明かしてフォックス(とプレイヤー)を混乱させるだけ混乱させておいてその後の追及などは全く無しという体たらくである。
    • なお、この情報はクリスタルの口からさらりと出てくるのだが、彼女がそれを知っている理由は説明されない。
    • 本作の敵軍であるアングラー軍もどの様な侵略行為を行っているかは一切説明は無く、ナウス曰く『ベノムの硫酸海を活動の拠点とするクロム鋼*4を主装甲にした軍隊』と序盤で明かされるが、何故かここに来て現実の合金鋼の技術が登場する。シリーズでもカートゥーン要素が強い本作とは相容れぬ設定であり、違和感しかない。

評価点

  • フォックス以外のキャラクターを操作することができる。
    • スターフォックスメンバーはもちろん、ライバルのスターウルフメンバー、『64』では友軍だったビルやキャット、そして今作からの新キャラと非常に多彩。
    • 各キャラクターごとに専用マシンが用意されている。外見だけではなく、性能も千差万別であり、キャラの個性をマシンが殺してしまうなどということがない。
    • ちなみにフォックスのアーウィンIIのみ、ルートによってはレーザーのパワーアップがなされるなど主人公機らしい演出もある。
  • BGMも、名曲ぞろいの『64』をベースに適度なアレンジが施されていて好評。
    • STGパートのBGMは操作キャラ毎に変更され、各キャラそれぞれに一曲ずつ*5、フォックス・ファルコ・スリッピーのみ二曲が用意されている。殆どが新曲だがこちらも好評。
    • たとえばフォックスには『64』のエリア6が、ウルフは同じくスターウルフ戦のアレンジが与えられており、ビルやキャットに至っては登場した時の専用ジングルをBGMに昇華しているなど、旧作で好評だった曲を採用しているのは嬉しい点である。これらのキャラ毎のBGMはゲーム内のキャラクター紹介でいつでも視聴できる。
  • 粗があるストーリーではあるが、対人関係の厳しさや確執に重点を置いた、所謂「黒い任天堂」を意識したシナリオ構成は非常に味のある物で、個性的な出来ではある。
    • フルボイスが廃止されたものの、それを補う任天堂らしい味のあるテキストは健在。例えるならAのルートで分からなかったフォックスの心理はBのルートで明かされる等、意外にも心理描写の面では秀逸である。

総評

とにかく操作性が異質で、更に肝心のビーコンくぐりは練習すらできない為、本作独自の操作に慣れないうちはゲームオーバーになりやすい。
そうした苦労の果てに待ち受けるエンディングも「1周目はどうあがいてもヒロインとの破局エンド」とあっては、新規プレイヤーの継続意欲を萎えさせるには十分であろう。

一方慣れたら慣れたで、今度は煩わしい戦闘をこなすだけの作業となる。
STGの楽しみ方の一つでもあるスコアアタックも本作では時間さえかければ誰でも天井まで伸ばせるため、その存在はほぼ無意味。
エンディング制覇には無駄に時間がかかるくせに、それが終わったらもうやることが無い。そのエンディングも費やした苦労の割に合わないバッドエンドの方が多いという、とにかくプレイヤーのやる気を削ぐ事にかけては一級品の出来栄えである。

更にはシリーズ常連キャラクターの設定改変や、従来のシナリオを否定しかねない設定を明かしておきながら碌に風呂敷を畳もうともしないなど、スタッフの過去作品軽視とも取れる姿勢は、熱心なファンであればあるほど開いた口が塞がらなくなってしまうものであった。

問題点ばかりが目立つため勘違いされやすいが、良質なBGMやうまく個性化された搭乗機体など幾つかの評価すべき点もあり、本作は決してクソゲーの烙印を押されるような全く遊べない作品ではない。

しかし残念ながら、傍目から見ても本作の完成度には大きな疑問符をつけざるを得ない。
結果として新規からもファンからも敬遠されてしまい、後に『スターフォックス64 3D』が発売されるまで、シリーズそのものに長い沈黙を強いることとなった。
ファンの間で本作が忌み子扱いされるのも、この有様では已む無しと言う他ないだろう。


余談

  • 本作では水中マップでも、各マシンがそのまま水中戦を行う。このため、『64』に登場した潜水艦ブルーマリンはやはり使われない。まぁ当時から「一回きり」と明言されていたが……。
  • 2016年には、『64』から本作までの設定をリセットした新たな時系列の完全新作『スターフォックス ゼロ』がようやく登場した*6
    • 『ゼロ』の詳細はリンク先の頁を参照。スターフォックスシリーズの再始動に安堵したファンも多い様子。
  • 海外のレビューサイトでは、日本とはうってかわって比較的好評の声が多いようだ。
    • しかし、シナリオ面については Youtube や Reddit などの批評を見ると壊滅的な低評価や「シリーズを殺した」と言われる場合も少なくない。
    • システム面についてどのような好評を得たのかは定かではないが、GC2作と比較しても容量が少ないハードであった事が功を成し、『初代』に近い無機質なプレイスタイルに回帰した事が要因の一つと思われる。
  • 2016年9月28日にバーチャルコンソールで配信 黒歴史ではなかったようだ
    • これにより、Wii Uが一台あれば本作と『64』『ガード』『ゼロ』の計4作、つまりSFCの初代とGC2作以外がプレイ可能になった。
    • またオートセーブ機能の実装により、結果的にビーコンくぐりの問題点も改善されている。
  • 本作を製作した「Q-Games」代表取締役のディラン・カスバート氏は、 本作はこれまでの作品とは別の世界線のストーリー として作っており、 公式(Canon)であるかどうかは個人の自由 だと述べている。
    • もっとも、アパロイド戦後という設定から前作と地続きに繋がっている事は明確である為、氏の発言を真に受けるならば、本作は「アパロイド戦後から分岐した別の世界線」または「アパロイド戦まで類似した歴史が続いてきたパラレルワールド」を描いていると言うことなのだろうか……。
+ タグ編集
  • タグ:
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  • DS
  • 任天堂
  • スターフォックス
  • 2006年

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最終更新:2024年04月23日 01:55

*1 本体のメインメモリの容量はどちらも4MBで同じなので、処理性能の問題でもないと考えられる

*2 何故か『F-ZERO』のキャプテン・ファルコンを彷彿とさせる衣装になっており、さらにジェームズっぽいグラサンも着用している。

*3 本当に唐突だから困る。しかも浜辺で二人+ナウスだけという余りにも寂しい結婚式。

*4 現代医療でも幅広く使われている合金鋼であり、骨折や虫歯用の補強材として使用される。

*5 ペッピーとジェームズのみ、BGMを共有している。

*6 因みに設定リセットはこれが初めてではなく、『初代』→『64』の時点で既に行われている。