アーマード・コア ナインブレイカー

【あーまーど・こあ ないんぶれいかー】

ジャンル カスタマイズメカアクション
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売・開発元 フロム・ソフトウェア
発売日 2004年10月28日
定価 6,090円(税込)
プレイ人数 1人~4人
レーティング CERO:全年齢対象
判定 シリーズファンから不評
ポイント 2004年クソゲーオブザイヤー次点
ミッションではなくトレーニングをこなしていく
ナインボール…のそっくりさん
後に対戦バランスは再評価
「NICE JOKE」
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
アーマード・コアシリーズ



求めるものは、「最強」と言う名の称号―。



アーマード・コアとは?

様々なパーツを組み替えて作り上げた自分だけのオリジナルロボット(アーマード・コア=AC)を乗りこなす傭兵「レイヴン」となり、企業からの依頼(ミッション)を引き受けたり他のレイヴンと戦ったりして報酬を稼ぎ、機体を強化していく3Dアクションシューティング、それが『アーマード・コア』シリーズ。
コントローラーの全ボタンを使用するために操作が非常に難しいこと・パーツに関する情報量が多すぎることなどから、人を選ぶ高難度のアクションゲームであると言える。

そして前作『ネクサス』から半年後、新作品として本作が発表された。
「ナインブレイカー」とは、初代『アーマード・コア』で登場したラスボス的機体「ナインボール」を制すものという意味をこめた名称である(ちなみにシリーズ四作目の『アーマード・コア2』では、「アリーナトップを打倒した新チャンプに与えられる称号」と定義されている)。

だが、発表されたゲーム内容は「技術向上を図るトレーニングと、ランカー自動生成システムを搭載したアリーナ。ミッションなし」というもの、そしてその上での「価格約7,000円のフルプライス」。いかにもやっつけ感が漂うその内容に、レイヴン達は一様に不安を募らせていった。

ゲーム概要

  • トレーニング・・・全30項目×5段階の計150種類の訓練項目を収録。攻撃・防御・移動・特殊状況下・総合訓練のカテゴリごとに、様々なトレーニングメニューをこなしていく。
    クリア評価は「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の三段階。パーツコンプリートには全ミッションでのゴールド評価が求められる。
    • 今作のセールスポイントの一つとして、最終トレーニングにはNB仕様にリメイクされた「ナインボール」が登場する。
  • アリーナ・・・用意されたランカーACを倒し、ランク1位を目指す。今作ではシステムが過去作品とやや異なっている。
    30位に入るまではランダムに生成される「自動生成ランカー」と戦い、その後は、自分の持ちポイントによってあらかじめ作成されているランカーとの対戦カードが組まれる。トレーニングである程度ポイントを稼がないと対戦できない。
    • 自動作成機能はこちらから選定ACの条件を指定できる。
    • 「電撃プレイステーション」紙上で募集されたユーザー考案アセンブル(機体構成)のランカーACが7機参戦している。
  • 対戦・・・お馴染みの通信対戦機能も搭載。
  • パーツ・・・既存パーツの性能を調整、更に26種類の新規パーツを追加。
    なお、所持金の概念が無い今作には「ショップ」は存在せず、プレイヤーはゲーム開始からかなりのパーツを所持しており、不足分はトレーニングやアリーナの褒章パーツとして入手していくこととなる。

問題点

ユーザーから最も多く言われる不満点は「ミッションが存在しないこと」である。とはいっても「NBにはミッションはない」と発売前から宣伝されており、やっている事はミッションとほぼ変わらないため「そういうゲームだから」と言う事ができるだろう。
では、そのトレーニングと、アリーナの問題点を挙げていこう。

トレーニング

  • トレーニングというよりは「特殊なミッション」といった内容であり、シチュエーションが局所的すぎて実戦で役に立つのか疑問なものも多い
    • 移動するだけのACに狙いを定め続けてロック精度を向上させる「LOCK-ON SKILL」やAC戦における回避技術を向上させる「DEFENSE:SINGLE」など役に立ちそうなトレーニングもあるが、恐ろしく高熱量の部屋でひたすらミサイルを避け続ける「HEAT RESISTING」や光る足場を飛び移り続ける「DEXTERITY」、ランダムに動く相手との距離を一定で保ち続けなければいけない「PROPER DISTANCE」、ロックオン不可能な上にレーダーも使用不可能な状況で敵を撃破し続ける「NO LOCKON+RADAR」など多くは実戦では殆ど役に立ちそうもない局所的なトレーニングばかり。
    • 当然の事だが、トレーニングの効果はプレイする側の意識や、何を練習するかによって変わってくる。確固とした狙いを持ってプレイした場合と、「なんでもいいからクリアできればいいや」という適当プレイをした場合では、大きな差が出てくる。よって一概に「このトレーニングは無意味」という風に断定はできない。
      だがプレイヤー側が自主的にそういった事をしなければならないというのであれば、従来のミッションをプレイしているのと何ら変わりない。そもそも本シリーズにこういったトレーニングが必要なのか、という疑問も出てくる。技術を向上させたければ従来のミッション・アリーナでも十分だからである。
      • 本当にプレイヤーに腕を磨いてもらいたいのなら、テストモードにおいて敵の耐久力・移動速度・攻撃種類や、ステージを自由選択できるようにした方が遥かに有用であろう。
    • 一つのトレーニングに五つのレベルが用意されているのだが、難易度の差はあれど内容の変化に乏しいため飽きやすい。従来のミッションやアリーナに近いトレーニングが用意されている「OVERALL」などはやりがいがあるものの、そこにたどり着く前に投げてしまいやすい。
      • レベルが上がると難しいトレーニングになっていくものの、その内容が「障害物で移動が阻害される」「敵が熱量の高い攻撃をしてくる」など安易で底意地の悪い調整ばかり。障害物だらけのフィールドでグレネードを撃たれる中、敵との距離をひたすら維持するトレーニングに何の意味があるというのか。
  • ゴールド評価(他シリーズでのSランクに当たるもの)の取得条件がシビア。
    • クリアするだけならさほどの障害にはならないが、隠しパーツを揃えるためには全てのトレーニングでゴールドを取得しなければならない。「上級距離維持」Lv.5は多くのレイヴンを発狂させた。
      • ちなみにこの「Sランク取得で隠しパーツ入手」という要素は『3』で登場して以降、たびたび批判されているにもかかわらず、全く修正されていない。
        Sランクの条件が公開されない事、条件がプレイヤーの腕とあまり関係ない事も問題で『条件を知っていれば初心者でも簡単に取れるが、知らないと腕利きのプレイヤーでも全く取れない』といった事態が頻出する(もちろん本作でも)。スタッフは「プレイヤーのモチベーションを保つため」といった事を口にしているが、そういう事はゲーム部分でやるべきで、ゲーム性と関係ないところでのプレイ時間引き延ばしは作品を貶める行為ではないだろうか。
    • トレーニングに失敗すると情けない効果音と共に現れる「NICE JOKE」の八文字も不評(クリアするとクリアランクに対応したごく短いムービーが流れる)。一部で「スタッフが本気でプレイヤーを馬鹿にしているように感じる」と批判された。おまけにスキップ不能。

レプリカナインボール

  • 本作の特徴として「ナインボールの復活」というキーワードを欠かすことはできない。しかし実際に登場するのは「旧作のナインボールをモチーフにしたアレンジ機」。フォルムは似ているが、細部や武器の性能は別物であり、これには主に旧作ファンから賛否両論の声が上がった。
    だが決してカッコ悪いわけではなく、後にACシリーズを扱うプラモデルシリーズ「ヴァリアブルインフィニティ」のラインナップにも選ばれている。
    • 武装も変わっており、パルスライフルがリニアライフルに、小型ミサイルがマイクロミサイルに変わっている。
    • 古参のレイヴンからは、「登場時のBGMが『9』じゃない」という不満の声もある。
      旧作ではナインボール(ハスラーワン)にはテーマソングとも言える曲『9』が存在し、かつて『AA』でナインボールが再登場した際もこの『9』が流れていただけに、アレンジされた機体と相まって一部のファンは落胆した。
    • そもそも「なぜ世界観の違うN系にナインボールが出てくる?」という意見も少なくない。KOTYの選評ではこの違和感をガンダムシリーズに例えられ『機動戦士ガンダムSEED -逆襲のシャア-』と表現された。
      • 先程も挙げた『AA』の場合はPS三部作と時間軸を共有している(通称「地球暦シリーズ」)ので違和感はあまり無かった。またナインボールという単語は『AA』作中で出てこず、「正体不明機」「未確認機」などの呼称である。
    • 好意的に解釈すれば同じくガンダムシリーズの「ハロ」のようなスターシステムと見ることもできる*1。だがやっぱりPS三部作をプレイ済みのレイヴンは違和感を持つ方が多いだろうが。
    • ちなみに、本作のナインボールの構成パーツは、頭部以外全て過去作(3~NX)のOP機体から流用されている。武装が変わっているのも、ハイエンドCGを作る手間を省いたためと邪推されることも。
    • 余談だが、本作のOP映像の中にこのナインボールがほんの一瞬だけ登場している(海外版では少し長めに映っている)。ゲーム中の機体とはカラーリングが一部異なっているが。

アリーナ

  • アリーナにおけるステージは前作に続き基本ランダム選択。「軽量機体で出撃したが、狭いステージが選択されてしまい持ち味を殺される」などの事態が頻発する。
  • 戦闘ごとにポイントが増減する仕様のため、負けた際にその場で再戦が出来ない。同じ相手と戦うにもいちいち条件を検索する必要があり面倒くさい。
  • 敵ランカー達の解説は『NX』と同じくあっさりしたもの。
    • ゲーム内での情報の少なさを補完するためか、ゲーム情報サイト「ジーパラ」とのタイアップで様々なレイヴンの過去話が披露された*2。しかし『SL』以前の作品に比べ、レイヴン一人ひとりの個性が弱いのは否めない。
    • またタイアップに書かれている設定とゲーム内の設定・性能が食い違っているレイヴンもおり、ランカー「スタークス」はゲーム中では男なのにタイアップでは「彼女」と呼ばれていたり、タイアップでは強化人間になったことを匂わせているのに反して作中では真人間だったりする。
    • これ以前の作品と違い、ミッションで共闘・あるいは敵対関係になることがないのでゲーム内で人となりを知ったり、予想したりすることがほとんど不可能なので思い入れがわきにくい。いくら訓練されたフロム脳の持ち主であっても、推察の材料なくして脳内補完は不可能である
  • 強いランカーと弱いランカーの実力差が激しく、特に電撃PS企画のランカー達が強すぎる。
    • 代々CPUの強弱については賛否両論あったため、このへんは難しいところである。
    • 強さの「質」に関しても問題で、本作において強いランカーの多くは火力によるゴリ押しや強化人間*3の恩恵に頼った強さなため戦っていてつまらない・理不尽という批判が強い。
      • ランカーの機体は全体的に強パーツ中心で組まれており、見た目も戦法も似たり寄ったりのものが多い。特に、「電池」と呼ばれる代表的な強パーツ「JIREN」*4は30機中14機と半分近くものACが装備している。
    • ランカーのロジックは前作からはある程度改善されたものの依然として単調で、「強化人間の恩恵や機動性を利用したトップアタック」「ありったけの火力・熱量をぶつけてゴリ押し」など、AIの馬鹿さを強化人間の恩恵か火力で補っているランカーが多い。トップランカー「イツァム・ナー」の戦術もACシリーズ恒例の「強化人間の恩恵を利用したトップアタックからのラッシュ攻撃」であり、ある程度慣れたプレイヤーであれば、距離を取りながらの射撃で簡単に対処可能である。
      • ちなみにこの「イツァム・ナー」、瞬間火力こそ優れているもののAIが非常にお粗末であり、「壁を背にして戦う」「領域ギリギリで戦う」といった対策をするだけで一気に動きが悪くなる。キャノンによるゴリ押しなどはしないものの、典型的な強化人間の性能頼りのランカーである。
    • 「ECMでかく乱しつつ上空から攻撃を仕掛けてくるスタークス」や、「こちらの機体の機動力が高いと武器をパージして対抗してくるABYSS」など賢い動きを見せるランカーもいるが、そういった個性的な動きを見せるランカーは30人のランカー中、ほんの一握りいるかいないかといった所。
      • 一応「敵ランカーの(装備や強化人間に頼った)ゴリ押し」は今に始まったことではない*5。が、今作は仮にもアリーナをメインに据えた作品であり、過去作においては『SL』のフォグシャドウのような「強力なパーツや強化人間の恩恵に頼らない、実力とロマンを兼ね備えたランカー」が存在したことから「昔できていたことがなぜできなくなったのか」と批判の対象になった。
    • 各ランカーの順位もちぐはぐで、熱量と火力での一方的なゴリ押しというシステムを最大限に利用した戦術を駆使し、手慣れたプレイヤーでさえステージによっては苦戦を強いる強さを持つランカーが最下位近辺である30位近くに2人もいる一方で、逆に上位陣は中途半端なアセンブルや真人間が多く、思考ロジックに欠陥があるランカーも目立つ。総じて、ランカーの順位選定基準には疑問が残る。
      • タンクに重火器をこれでもかと搭載したいわゆる『ガチタン』系アセンブルなのに中途半端に機動力を重視しておりどっちつかずになっている上、真人間でレーダーも持っておらず、オーバードブーストでエネルギーを食うためかプラズマキャノンが飾りになっているランク2位の「ウォーロード」や、機動力は高く接近戦は確かに強いが「軽量機体に脆弱な武器腕」という構成のせいで総APが7000を切る脆さで、距離を取って撃ち合えば大したことがないランク4位「丁(ひのと)」、総火力・瞬間火力・機動力のすべてに劣るという三重苦を抱えており搭載武装もちぐはぐなランク8位「オルトリンデ」、それぞれ企業と専属契約を結んでいるという設定で構成パーツが対応する企業の製品に偏っており、武装のラインナップもちぐはぐな「ブルブル」「ディーバ」*6などはそのいい例であり、順位に説得力がない。
      • 「ホバーブースト*7で滞空し、相手の上をとって攻撃する」というコンセプトなのだが、AIがアホでホバーブーストと機体のブーストを同時に吹かして一瞬でチャージング状態になってしまう悪癖がある上、武器が弾数が少ないスナイパーライフル2丁しかなく最悪こちらを殺しきれない可能性のある「リッチ・スティッチ*8」など、下位ランカーにしてもお粗末なランカーもいる。
    • 先述した電撃PS企画の上位ランカーたちの機体は個性に富んだ面白いものも多いが、一部の機体は前作で猛威を振るったガチのアセンブルで構成されており、正攻法での勝利が難しくなっている。
    • 特にPS企画レイヴン最上位の「万字丸」は"クレホバ・軽グレ・マガスナ・ガトマシ"という『NX』で強機体のテンプレとされた構成であり*9、CPU特有の鬼のような操作技術とロック精度が噛み合って異常な強さになってしまっている。
      • 総弾数が少ないことや、エネルギーパックが切れると動きが悪くなることから、遠距離戦や長期戦に弱いという欠点があるが、上述のステージ選択不可の仕様により弱点を突くのは難しい。ランクこそ6位だが、本作最強のACと言っても過言ではない。
    • 万字丸ほどではないが、旋回能力の高い四脚に瞬間火力の高い武器を組み合わせて張り付きから火力と熱量でハメ殺すスタイルの「吉々利々」も強敵。一度捕まれば、マシンガンとグレネードで逃げるチャンスももらえずに焼き殺される。
    • その一方で、なぜ優秀賞に選ばれたのか疑問を抱くような機体も多い。特にフロート部門優秀賞の「ポーコ・ア・ポーコ」は、機体評価オールSランクのみを狙ったいわゆるネタ機体。まともな戦闘など望めないむちゃくちゃな機体構成で、下位とはいえランカーに取り上げる理由が見当たらない。
  • 名前だけの自動生成
    • 自動生成じゃない。あらかじめ用意された数十種の機体が、名前・機体色を変えて登場する。
      • 自動生成感を出そうとしたのか、はたまた本当に無作為抽出で組み上げたのかは定かではないが、極端な重量過多・出力不足寸前・ブーストするだけで熱暴走して勝手に自滅・明らかにAC1機を撃破するだけの火力がない等の欠陥ACがかなりの数混じっている。
      • 用意された機体の数も少なく、同じ機体が頻繁に登場する。絞り込み検索をすると顕著である。
      • 加えてAIに関しては動きの良さ順にA、B、Cと分けられているものの、最上級のAクラスでも動きが酷いと言われている上記固定ランカー勢と同等以下。
      • 機体もAIもお粗末な結果、「機動力も防御力も死んでいる四脚がまっすぐ向かってくるが追いつけない」、「機動力重視のフロートのはずが地形に引っかかり勝手に熱暴走し動けない状態でダメージを受けている」「当たらない距離からEN兵器を撃ちまくりENが枯渇したただの的になっている重量ニ脚」などが頻発。大袈裟でなくほぼ動かない的を攻撃するだけになることも珍しくない。
      • 前述のステージ選択不可かつ似たような超閉所が大半という仕様や熱システムと相まって、最早アリーナモードとしての体をなしていない。おそらく多くのACシリーズのテストモードの方が遥かにまとも、といえばどれだけ酷いかが伝わるだろう。しかしアリーナで上位に挑戦する為にはポイントを稼がねばならず、結構な回数この作業をこなす必要に迫られる。
      • ごく稀に強力なACが出現することもあるが、この自動生成システムのせいもあり狙って出現させるのは非常に面倒である。
      • ポイントが貯まらないと何度も模擬戦を強いられる。負けるとポイントが減算される仕様も地味ながらうっとうしい。

その他

  • 今作の追加パーツ
    • 「シリーズの伝統」といえばそれまでだが、今作の追加パーツも使える武器と使えない武器の差が激しい。
    • ミサイルの弾道に僅かに角度がつくがそれ以外は性能の差がなく、それでいて既存の垂直ミサイルから消費ENと重量は上がっている垂直ミサイル「CR-WB03MV」、「マガジンリロードになった代わりに連射力が向上した」という触れ込みだが肝心の射撃レートは既存のリニアキャノンと殆ど変わらず威力も低く、トドメとばかりにカテゴリ最重量のリニアキャノン「CR-WB03LGL2」、威力は非常に高いが重量・消費EN・発射時の消費ENなど装備の負荷が腕武器の中では最高クラスに重くリスクにリターンがまるで釣り合っていないデュアルプラズマライフル「WH12PL-ETTIN」、単発の威力はパルスライフル以下なのに消費ENがレーザーライフル並みで数発連射するだけで一瞬でENが枯渇する上、弾速・集弾率も微妙なエネルギーマシンガン「WH10-SILKY」など、まともに調整をしたか怪しい武器がちらほらある。
    • 特にSILKYは例に挙げた他の弱武器が「使おうと思えば使える」レベルの弱さなのに対し、ENは食う・当たらない・連射できないのでスペック通りの火力は出せないとどこをとっても弱く、ユーザーからも「ここまで弱いと救いようがない」と評される産廃っぷり。だがこの弱さに反してトップランカー「イツァム・ナー」が装備しており、この弱さを皮肉って「強化人間専用武器」「ハンデ武器」と言われることも。
      • ちなみにイツァム・ナーは強化人間のジェネレーター強化補正を受けているのだが、その強化人間の恩恵をもってしてもSILKYをフルに連射することは出来ない
    • 逆に、武器重量が最軽量クラスで格納可能、威力もライフル並みにあり「弱点は総火力と射程だけ」と言われる程の威力重視型のハンドガン「CR-WH01HP」、総火力は壊滅的だが異常な瞬間火力を誇り、装備負荷も軽く格納もできるパルスライフル「WH11PU-PERYTON」、装備負荷こそ重いものの威力・弾速・反動・ロック速度のバランスが良く、その性能の高さから「神バズーカ」を縮めて「神バズ」と呼ばれ恐れられた「CR-WH05BP」など、逆の意味で調整不足を疑う武器も多い。
      特に「CR-WH01HP」と神バズはその異常な性能から、各地の大会で禁止or制限の措置が取られたほど。
  • コンバートバグ
    • シリーズではお馴染みとなっている、直系作からのデータコンバート(引き継ぎ)。今作では『NX』からのコンバートが可能なのだが、それを行ってしまうと新規追加パーツの一つが永久に手に入らなくなるバグが存在する。性能的にあってもなくてもどうでもいいパーツなのが救い。
    • これは、本作で最初から所持するパーツのうち、引き継いだ『NX』のデータで所持していなかったパーツは消滅してしまうためである。そのため、『NX』で所持していないパーツなどがあるデータで引き継いだ場合、それらのパーツも手に入れられなくなる可能性がある。
  • レイヴンポイントの溜まり方
    • トレーニングのみではなくアリーナ戦でもたまるため、どちらか片方しか進めなくても最高の称号は取れてしまう。両方やらなきゃいけなかったらそれはそれで面倒だが……。
  • ランキングバグ
    • 破壊した壁の数と、進んだマップの距離がポイント化される「破壊力プログラム」LV5のランク1位が、バグによりとんでもない記録をたたき出している。
      • マップの全長が3990mであるにもかかわらず、5974m進んだことになっている。当然、このポイントは記録に加算されている。
      • 幸い、ゴールド評価を取るだけなら影響はないが、ランク1位を塗り替えるとなるとかなり厳しい記録になってくる。

評価点―良質の対戦バランス―

結局2004年度KOTYに次点入りしてしまった本作ではあったが、他プレイヤーとの対戦をメインとする「対戦派」のシリーズファンの間では、徐々に『NB』の評価は好転していった。一部の強パーツに制限を掛ければ、『NB』はなかなかに良好な対戦バランスを持った作品であることが判明したためである(強パーツに制限をかけるのはシリーズ通じての対人戦の慣例である)。

  • 優れた脚部パーツバランス
    • N系の中では最も選択肢が広い。今作ではそれまで「趣味パーツ」と見られていたフロート型の立場が向上。弱すぎた軽量二脚も僅かだが性能が引き上げられるなど、それなりのバランス調整がなされている。
      • どの脚部でも活躍できるようになっている…というのはさすがに言い過ぎだが*10、フロート脚部に関しては対戦でもまともに使えるカテゴリとして機能しており選択肢に数えられる。独特のブースト操作に習熟する必要はあるものの、「回避に重きを置いて滑るように射撃戦で戦う」という本来のコンセプトを存分に活かせる。
      • 前作ネクサスでもフロートは使われたが極端に性能の突出した1パーツのみであり、どちらかといえばスペックによるゴリ押しの意味が強かった。他作では極端に低い装甲と積載能力に回避能力が見合っておらず、水上ミッションで限定的に使う程度だった。フロート脚部が真っ当に対戦や強敵CPU相手に使える仕様になっているのは事実上アーマード・コアシリーズ中でも本作だけである。
  • 機動力の微上昇
    • ブースト出力の上昇、コアの耐熱温度上昇などによりアセンブルの幅が広がっている。熱量も緩和。
    • 『NX』より弱体化したOBコアが再び使用されるようになるなど、結構な影響があった。
  • 良質なBGM
    • 星野康太氏の音楽は相変わらず好評で、特にメイン画面BGMは高い評価を受けている。
      • 2006年に限定発売された『ARMORED CORE -MACHINE SIDE BOX-』に付属するベストサウンドトラックCDに、本作のオープニングデモ曲・ガレージ曲が収録されている。当然入手は困難。
      • オープニングデモ曲が無料でダウンロードが可能になった。2010/7/22までの期間限定だが、再配布はokとのこと。

総評

フルプライスの内容として見れば駄作扱いされても仕方の無い出来である。
前情報、そして一人プレイの評価の低さから本作を購入するものは少なかったため、長所である対戦バランスの良さも生きることは少なかった。
ACファンの間では、本作を「ネクサスの追加(対戦用)ディスク」と見なす意見が主流である。

本作発売に前後して「月刊アーマード・コア」というフリーペーパーがゲーム販売店で無料配布され、フロム公式ページでも「NOUTEN」が開設され、本作と連動した企画「ランキングオンライン」が同年度の冬まで実施され、ある程度の盛り上がりを見せた。随所でスタッフの新しい試みが見て取れた時期であり、本作もある意味、そうした新境地を探ろうとするフロム・ソフトウェアの苦悩を表わしたものであったのだと言えよう。


+ タグ編集
  • タグ:
  • アーマード・コア
  • フロム・ソフトウェア
  • PS2
  • ACT
  • 2004年
  • KOTY次点

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月27日 23:16

*1 実際、世界観の繋がりの無い「3」以降もナインボールのオマージュと考えられる要素はたびたび登場している

*2 現在はタイアップサイトは消滅している。

*3 ACシリーズ恒例の『公式チート』。脚部の積載量限界の無視、キャノン系武器の使用制限解除、ジェネレーター強化などの恩恵が受けられる。今作でも『NX』から引き続き、敵AC限定となっている。

*4 エクステンション(補助装備)のエネルギーパック。使用すると弾数を消費してACのエネルギーを急速回復させる。ブーストダッシュやエネルギー武器の使用など様々な用途に使えるエネルギーを手軽に回復できる強力な装備である。

*5 『2』のアレスやメイトヒース等はその代表例。

*6 ディーバは「接近戦がコンセプト」という解説がされているが、右腕武器はスナイパーライフルと明らかに矛盾している。ジーパラでは「ライフルは接近するまでの牽制・足止め」「ディーバにとって思い入れのある武器」とスナイパーライフルの装備意図が書かれているのだが、ゲーム中では語られない。

*7 エクステンション。発動するとブーストを吹かし機体の高度を一定に保つが、エネルギーを消費する。

*8 一応フォローしておくと、このAC自体は本作発売前に組まれたユーザー考案機体であり、その頃はスナイパーライフルの弾数も豊富で十分に戦える武装だったのである。

*9 縦方向への機動力の高いタンク脚部(クレホバ)に瞬間火力の高いグレネードランチャー・スナイパーライフル・マシンガンを組み合わせることで、圧倒的な攻撃効率と回避能力を両立している。

*10 NBになってから、旋回性能が調整されたとはいえ軽量二脚より速くなる中量二脚パーツが増えてしまったり等、新たな弊害も少なからず出ている。