不思議の夢のアリス

【ふしぎのゆめのありす】

ジャンル アクション
対応機種 PCエンジン
メディア ?MbitHuカード
発売元 フェイス
開発元 三金堂
発売日 1990年12月19日
定価 6400円
判定 なし
ポイント PCエンジンの二大アリスゲーの一つ
「イヤー」になりそうな鬼難易度
但し、ゲームバランスは悪くない。
高難易度に対する開発側からのフォローもあり


概要

なんというか奇天烈なゲームの割合が多かった気のするフェイスが1990年末に放った横スクロールアクション。
ゲームタイトルが示す通り、童話「不思議の国のアリス」をモチーフとしており、悪夢にさらわれた童話の世界の住人達を救い出すというファンタジックなストーリーになっている。
一人プレイ専用、全5ステージ構成(ステージ1~3は3つのエリアに分けられている)

主なルール

  • オーソドックスな横スクロールアクションゲームで、主に使うボタンは攻撃とジャンプの二つである。
    • 叫び声型の飛び道具「イヤー」。何を言っているのかかわからない人に詳しく説明すると、「イヤー」の文字を直線に放つ攻撃となっている*1
      『ワギャンランドシリーズ』の「ワッ」攻撃と似た感じで、説明書では「セリフ攻撃」と名付けられている。
      • 「イヤー」攻撃はボタンを押しっぱなしにする事により、最大で三段階の溜めが可能で、溜め具合によって「イヤー」の大きさと威力が変わる。但し、あまり長時間ためっ放しにしているとアリスが息切れをして一定時間動けなくなってしまう
      • また、パワーメーターの最大値をMAXにするアイテムで攻撃力を一時的に上げることが可能。*2効果の持続は取得したエリアのみで、次のエリアへ跨ぐことはできない。
    • ジャンプで敵を踏みつけて倒す事もできる。敵を踏みつけた状態でジャンプボタンを押すことで、通常よりも高いハイジャンプを繰り出せる。これを駆使しないと到達できない地点も多い。
  • 他にもアリスは魔法技を持っている。魔法ゲージがある状態でステージ中にポーズをかけ、
    使いたい魔法にカーソルを合わせて専用ボタンを押す事により、MP消費と引き換えに魔法が発動する。但し、ボス戦においては一切の魔法が使用できない。
    • 最初の所持魔法は初期段階では一つのみだが、ステージをクリアする事により使える魔法が増え、最終的には5つの魔法が使用できる。以下詳細。
      • 「レッドマジック」…始めから所持。消費MP1。一定時間、隠されたアイテムが見えるようになる効果。
      • 「ブルーマジック」…ステージ1クリア時に取得可能。消費MP1。一定時間、アリスのジャンプ力が上がる効果。
      • 「グリーンマジック」…ステージ2クリア時に取得可能。消費MP2。スイッチが出現し、それを踏めば画面内の敵にダメージを与える効果。
      • 「シルバーマジック」…ステージ3クリア時に取得可能。消費MP2。一定時間、アリスが無敵になれる効果。
      • 「ゴールドマジック」…ステージ4クリア時に取得可能。消費MP3。一定時間、精霊が現れ敵を攻撃してくれる効果。
  • 残機+初期ライフ3つ(レアアイテム取得で最大ライフを増やす事が可能)のライフ制、ミスすると戻り復活で残機とライフが全部なくなるとゲームオーバー。

問題点

ずばり「見た目の可愛らしさからは想像できない位の鬼難易度を誇るゲーム」。この一点である
可愛らしいアリスが描かれたジャケットを見て「子供向けなのかな?」とか「幼女可愛い…」なんて安易な気持ちで購入すると地獄を味わう可能性が高い
このゲーム、何が難しいかというと、アリスの操作に妙なクセがあり、なかなか思い通りに動かせないところにある。
具体的には以下の理由が挙げられる。

  • ジャンプの動きがもったりしている影響でジャンプ調整がし辛い。
  • 振り向き動作が鈍感ですぐには方向転換ができない(振り向く度に隙が生じる)。
  • 攻撃が連射できない上に、最大溜めで攻撃してもあまり大ダメージを与えられない(すなわち、力量任せのごり押しクリアはほぼ不可能)。
  • しょっぱなから初見殺しのオンパレードで、適当に進むものならあっけなくミスしてしまう(しかも戻り復活)。

こうした点もあり、このゲームにおいてはどんな腕前のアクションゲーマーでも死ぬ事が大前提なバランス調整がされている。
つまり典型的な死んで覚えるゲームなのである。
故に、この系統のアクションゲームが苦手なプレイヤーや、とにかく何も考えずに先に進みたいプレイヤーにとっては、あまりにも敷居が高く、展開自体が地味な事も相まって「クソゲーだこれ」という印象を植え付けてしまった。


評価点

  • 意外なバランスの良さ
    • 上述のようにかなり難しいゲームではあるが、高難度ゲーにありがちな「理不尽な要素から来る難しさ」ではなく「きちんと計算された難しさ」であり、
      パターンさえ把握すればその難易度はぐっと下がる。ゲームバランス自体も良好な部類に入る出来である。
  • システム面での充実した親切設計
    • 「ダメージを食らうと一定時間無敵になる」「魔法を効率よく使えば先の攻略が楽になる」「一見無茶な攻撃をするボスに実は安全地帯(もしくはそれに近いもの)が結構ある」といった親切な点が多く、これらを熟知さえすればクリア後に「あれっ?意外と難易度普通じゃん」と思えてくるような絶妙な調整になっている。
    • さらにはこのゲーム、ステージセレクトや残機数やコンティニュー数の増殖化といった裏技が豊富。やはりスタッフは本作の難易度の高さを深く意識していた様だ。
      スタッフ曰く「簡単にクリアされるのは嫌だから、あえて難しく調整した」とのことだが、バランス取りをきっちり行った上で、あらかじめ想定した難易度に対しきちんとフォローを入れてくれている点は評価できるだろう。
  • グラフィック面では不思議の国のアリスを彷彿とさせるファンタジーな世界観が上手く再現されており、そのクオリティはなかなか高い。
  • あくまでも雰囲気重視で派手な曲調なものは少ないが、BGMも世界観とぴったりマッチした楽曲に仕上がっている。
    • 作曲は「はにぃ いん ざ すかい」を手掛けた松平あこ氏。ちなみに裏技でサウンドテストが可能。

総評

とにかく、本作はミスする事により新たなる道を開ける根気と記憶力を持っているか否か、それで良ゲーにもクソゲーにもなり得る一作である。
とはいえ、ゲームそのものは決して理不尽なバランスに終始しているわけではなく、一定の難しさを保った上できちんとクリアできるようになっている。
難易度に対する開発側のフォローもきちんとなされており、根気さえあればクリアは十分可能なレベルに落ち着いてる。
絵面と難易度のギャップで損をしてしまった感が強い作品だが、高難度アクションが好きな人には十分おススメできる一品である。


余談

  • 実はPCエンジンにはアリスゲーが二つあり、もう一つのアリスゲーは『メルヘンメイズ』(ナムコ、現バンダイナムコゲームス)である(こっちは厳密に言うとアーケードからの移植もの)。ちなみに、双方の発売日は何故か重なっている(共に1990年12月発売)。
  • 本作のアリス嬢の服はピンク色。童話のアリスはディズニーアニメ版の影響で青服というイメージがあるが、これはちょっと新鮮で可愛い。
  • 当時のゲーム雑誌において評価は著しくなく、プレイヤーからも「難しすぎる!」「パッケ絵にだまされた(泣)」「アリスの「イヤー」ボイスはまさにこのゲームの存在を意味している」などの否定的意見も多かった。

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最終更新:2021年11月25日 13:09
添付ファイル

*1 説明書では「セリフ攻撃」と記載されている

*2 ちなみにそのアイテムは見た目そのまま「イヤ」の文字である。地面に落ちている「イヤ」の文字……なんかシュール。