田代まさしのプリンセスがいっぱい

【たしろまさしのぷりんせすがいっぱい】

ジャンル アクション


対応機種 MSX2(要128KB VRAM)
ファミリーコンピュータ
メディア MSX2: ディスク
FC: 2MbitROMカートリッジ
発売元 MSX2: HAL研究所
FC: EPIC・ソニーレコード
発売日 MSX2: 1989年5月26日
FC: 1989年10月27日
定価 MSX: 6,800円(税別)
FC: 5,500円(税別)
判定 バカゲー
ポイント まさかの田代まさしゲー
ゲーム自体は普通


概要

主人公は元タレントの田代まさしが扮する王子。
おとぎ話をモチーフにした4つのステージをプレイし、お姫様を救出してまわる。
4つのステージは好きな順番でプレイでき、ボスを倒すとそのボスの武器を入手できるという『ロックマン』シリーズに近いシステムとなっている。
キャッチコピーは「大切なものは勇気。守るものは愛。下心はぜーんぜんナイ。」

なお、最初にリリースされたMSX2版の発売元はかのHAL研究所である。
MSX2版とファミコン版のおおまかな内容はほぼ同じ。以下ではファミコン版をメインに解説する。

ゲームシステム

最初の4つのステージはいわゆる『スーパーマリオブラザーズ』型の横スクロールアクション。
HP制であり、画面左上のハートの数値がそれを現している。敵に触れたり、水場(池)にはまり続けるとHPが減る。0になると1機減ってしまう。
ステージ中に脱出不可能な水場やトゲだらけの床もあり落ちると即死になる。その際も1機減る。
ヨーヨーを使って敵を倒しながら進む。横方向・上方向に発射できる。初期のヨーヨーは1個のみだが、パワーアップアイテムをとる事で強化されヨーヨーの数が増える。

  • ヨーヨーの強化ショットは全部で2種類。飛距離を伸ばせるアイテムを後で取る事でかなり遠距離から撃つことも可能になる。 最終的にお姫様が囚われているお城に行きマージョを倒し、お姫様を連れて城を脱出するとステージクリアとなる。途中に出会う味方(女神、亀、騎士、町民)から力の冠を頂くことで田代本人の防御力がアップする。
    クリアするとHPが回復し、あいことばを教えてもらえる上、マージョの魔法の能力を得てヨーヨーのショットを強化する事ができる。能力は以下の通り。
  • ファイア・敵を燃やす能力を持つ。攻撃力が高い。
  • アイス・敵を凍らせる。一定時間足場として使える。
  • ストーン・敵を石の塊にする。実質アイスと同じ能力。
  • プラント・ヨーヨーを発射した後もう一度ボタンを押すと放射状に拡散弾が出る。一番使いやすい魔法。

ラストステージはこれまでと打って変わって『ゼルダの伝説』風の見下ろし型アクションとなる。
山を登り最後の左右の出口どちらを選ぶかでスタート位置が変わるが、最終的にボスの部屋へ行くのが目的となる。

  • ボスエリアでは雑魚敵やマージョがいるが慣れれば楽に倒せるし、無視して進行することも出来る。
  • しかし底抜けの穴や、乗ることで底抜け穴に滑り出されてしまう床、ツルツル滑る床が存在する。落ちれば一機減ってしまうのでなかなか気が抜けない。

評価点

  • 音楽やグラフィックの雰囲気はチープだが出来はよい。作曲は井上大輔。エンディングはラッツ&スターのヒット曲「ランナウェイ」と憎い演出もある。
  • 田代が当時所属していた「シャネルズ」(現・「ラッツ&スター」)のメンバーが、様々な形でゲスト出演している。
    • 主に味方として登場し、それぞれ世界観に則った格好をしている。ラストエリア直前に至ってはリードボーカルの鈴木雅之そっくりな「すーちゃん」が登場。ちなみに田代は彼だけに「どこかで見たことある顔だけどあんた誰?」とまともな反応を見せている。
  • システム的には『ロックマン』風ではあるが倒した敵の能力を使って進められるのもキャラゲーとしては珍しい方。
  • 当時の田代まさしの芸風に則ってギャグ描写が多い。
    • 協力者や敵に対して様々なセリフを言う。ラッツ&スターのメンバーらしきキャラ(すーちゃん以外)には厳しい態度で「なんだよ おめーはよ!」と吐き、女性に対しては「あはは、ぼく マーシーです。よろしくね。」とやんわり、番兵に至っては「だれ あんた?」と素っ気なくと態度がコロコロ変わる。お城に囚われている協力者には「おお!こんな ところに!」とシリアス。このくだりは志村けんの冠番組『だいじょうぶだぁ』や『バカ殿』に出演していた頃もあってか喜劇的すらある。後述するラスボスにも不埒な性格は表れている。

問題点

  • プレイヤーキャラ・田代の操作性(特に前半の横スクロールアクションステージ)。
    • やたらと重力のかかった動きをしており思うとおりに操作がきかない。更に大ジャンプする時の助走がしにくいことも操作性の悪さに輪をかけている。その反面、ラストステージの操作性は軽快である。ただし逆に滑りやすくなっているため油断は禁物。
    • 人魚姫ステージではスーパーマリオブラザーズの様に穴に近づくと吸い込まれる箇所があり、一度近寄るとジャンプボタンの連打が必要になるのだが、やたらと吸引力が高く復帰が難しいケースもある。とある場所だと段差の近くに穴が存在するせいで、ジャンプしても飛び越えるのに根気が要る場面もある。
    • マージョのステージの場合はスクロールする段差が存在するため、上るときはけっこう苦労する。加えてマージョを倒した後は制限時間が表示され城が崩れるまでに出口まで向かわなければいけない。スクロール中も時間経過するため大きなタイムロスになったりすることも。
  • 上へとスクロールする場面があるステージは落下すると一撃死になってしまう。その特性故にシンデレラ姫や白雪姫のステージの難易度がやや高く感じられることも。
    • シンデレラ姫のステージに至っては城の直前に上へ登る場面がある。田代のクセのある操作性に加えて1ブロック単位で飛び移らなければならない。大ジャンプ必須のため、1ブロック分で助走をしなければならないため非常に難関。
    • 加えてロックマンシリーズの様な「消えるブロック」も混じっているため難易度が高い。

バカな点

  • 当時、志村けんに見出されていたこともあってかカトちゃんケンちゃんと同様におバカ要素がある。
    • ラスボス:戦闘前の会話で田代自身の台詞を2回選択することができ、選択によっては褒め言葉でラスボスが満更でない様子を見せたり、終始ボケを連発しているとツッコミを入れられたり、口説きっぱなしでナンパもできる。ちなみに選択後戦う場面になっても逃げられる。再度突入するとボスがわざわざ口上を仕切り直してくるので台詞を色々組み合わせて試してみるのも面白い。
    • ダメージ演出:攻撃を何度も食らいつづけると何かを訴えかけるかのようにしばらく正面を向いてボーッとする。コントのオチで本人がよくやっていた演出である。
    • 味方NPC:敵だらけのステージに混じって途中に現れる味方NPCをヨーヨーで攻撃してふっとばすことが可能。うっかり吹っ飛ばした人も多いのでは…?その際少し進んだ先でもう一度現れるので会話すると「さっきはよくも…」「気に食わないけど…」「痛かった…」等散々に文句を言われ、嫌々ながらに力の冠を渡される羽目に。
    • 変なアイテム:通常アイテムの他に支援や妨害アイテムとしてお酒、機械の部品、そして何故か女子学生の足(?)が存在する。
      • お酒:取ると顔が赤くなり、ジャンプして動きまわっていると顔が青ざめてもがきだす。数十秒経過すると顔色が戻るが、ライフが減らされるというマイナスアイテム。酔いすぎてライフが削られるあたりが妙にリアルである。
      • 機械の部品:ナットやネジ、ICチップなどが落下してきて、画面が数秒の間砂嵐になるという演出。ただの砂嵐という訳ではなくステージに併せたグラフィックの砂嵐となっていてやたら凝っている。初見ではRFケーブル*1の断線か!?故障か!?とドッキリさせられる。
      • 女子学生の足:乗ると遠距離に飛んでいけるジャンプ台の役割を持っているが、田代本人はもがきながら飛ぶ。ドMか。そして、どうしてこうなった。

総評

操作感はやや難はあるもののゲームとしては出来は普通であり遊べなくはない。
妙な選択設定、ギャグ要素、ラッツ&スターのゲスト出演など笑い飛ばせたり心憎い場面もあり楽しめる要素はそれなりにある。


余談

  • 4人のプリンセスのモデルは、小学生を対象とした公募によって選ばれている。それぞれ「シンデレラ姫」「人魚姫」「親指姫」「白雪姫」で、最終的に選んだのは田代自身。
    • 救出するとその姫からキスされる。またバッドエンドでは、好きな姫と城で同棲できる。繰り返すが相手は小学生である…。
    • 付記しておくと田代は発売当時、既に妻子持ちであり、しかもゲーム中にその息子が登場して「パパ、頑張って!」と応援するという裏技まである
    • 説明書にはモデルとなった小学生の名前、顔、年齢が掲載されている。
    • 肝心の公募が行われたのが1988年3月と、MSX2版までの発売までを考慮してもかなり長かった。だが、ゲームの出来がそこまで良かったものかというと…。
  • ラスボスを倒した後、崩れ去る浮遊城のシーンから突然部屋で眠る田代の場面に切り替わり、ベッドで眠る田代に妖精が感謝しながら口づけして消え去る。そして目覚めた田代が「ん?夢か?でもいい夢だったな。よし!もう一度寝よう」と二度寝するという、夢オチとも取れる内容となっている。
  • 発売当時はラッツ&スターが活動停止しメンバーそれぞれがソロ活動をしている中、お茶の間の人気者としてテレビを中心に活動していたのが桑野と田代だった。中でも田代は志村けんから才能を見出されてフジテレビ系の出演も多く『バカ殿』『だいじょうぶだぁ』のレギュラーになるほどの人気者だった。
    更に当時は原宿や軽井沢など各地にタレントショップが林立する程にキャラクターとしてのタレントブームが続いていて、それにあやかった有名タレントを起用したゲームが多数発売された時期であり、田代に白羽の矢が立ったのもある意味当然とも言える。*2
  • 後に田代自身が盗撮・覗き・薬物などで逮捕されたことから、笑うに笑えないゲームになってしまった。タイトルとゲーム内容も、冷静に考えると彼のその後を暗示していたと言える。
    • 2009年になって『ゲームラボ』の企画で田代本人がプレイしたものの、上記の微妙な難度からなかなか思うように行かず、かなりイライラしながらのプレイになってしまったようだ。
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  • ACT
  • FC
  • MSX2
  • タレントゲーム

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最終更新:2024年04月19日 06:32

*1 昔のテレビゲームの出力方式。テレビアンテナ端子に直接取り付けるのが当時の主流で扱い方次第では断線も起きやすかった。

*2 この年を含む80年代後期はタレントゲーが多い時代だった。中山美穂、明石家さんま、ビートたけし、聖飢魔II 、所ジョージ、TM NETWORK、志村けん・加藤茶、光GENJI、小川範子、酒井法子など。