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暴れん坊天狗

【あばれんぼうてんぐ】

ジャンル シューティング
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売元 メルダック
開発元 ライブプランニング
発売日 1990年12月14日
定価 6,500円
プレイ人数 1人
判定 バカゲー
ポイント 源平プロの遺伝子を継いだ作品
独創的過ぎる世界観
初期設定が不謹慎
でもゲーム自体は良作


概要

天狗の面がアメリカを助けるために摩天楼を駆け抜け、ビルや敵を破壊していく横スクロールシューティングゲーム。
源平討魔伝』などを手がけた源平プロの元スタッフが移籍したライブプランニング(現:KAZe)が開発を担当。その斜め上のシュールさから発表当時は「恐ろしいメーカーが現れた」「ゲーム界に超新星現る」「バイバイ、ジャレコにケムコ」などとゲーマーを震撼させたらしい。
一方、シューティングゲームとしてはオーソドックスにまとまっており、意外にも完成度は高い。


ゲーム内容

基本システムは普通の横シュー

  • 全5ラウンド。ラスボス以外の4ラウンドは自由に選択出来る。
    • ラウンドセレクト画面で「EASY」と「HARD」の難易度選択が可能。HARDにすると自機の慣性が強くなる。
    • コンティニュー可能だが回数制限あり。ちなみにステージクリアでもコンティニュー数が1回分増える。
  • ゲーム自体は、対空・対地ショットを基本とする横スクロールシューティングである。操作などの詳細は後述。
    • 人を何名か救助するごとにショットがパワーアップしていく。
    • ライフ制で、ダメージを受けると体力が減り、0になるとゲームオーバー。

変な点

まずストーリー設定がいろいろおかしい

  • なぜ舞台がアメリカなのか、なぜ自機が天狗の面なのかといった事情は一応、オープニングで明らかにされている。
    凶星があらわれた影響で亡者が徘徊する生き地獄になってしまったアメリカを救うために、人々の祈りに応えて天狗の面があらわれた」ということらしいのだが、これはこれで謎である*1
    • ちなみに、本作のストーリー設定はナムコのアクションゲーム『超絶倫人ベラボーマン』に登場する敵キャラ「ベンジャミン大久保彦左衛門」のモデルになった大久保高嶺氏の手によるもの。

どこか奇怪なゲーム内容

  • 天狗の攻撃手段はBボタンで発射される対空&対地ショットと、ある条件を満たすとAボタンで発動可能な特殊攻撃(画面上のザコ&敵弾を全て消去。)である。
    • ショットとして放たれるのはなんと目玉とつば
  • 道中、ビルなどを破壊して人を救助する事でパワーアップする…のだが、助けた際の効果音のせいか人を食ってパワーアップしているようにしか見えず、そう勘違いしている人も多い。
    • また、一部の敵は「亡者になった生身の人間」であり、倒すと爆発音ではなくて金切り声をあげる。
  • やられると「無念」の吹き出しととも天狗がうなり声を上げながら落ちていく。
    • コンティニューの際には、YESとNOの文字の周りを天狗がぐるぐると回り続けるというシュールな画面が表示される。また、何故かNOを選択しようとしている時の方が回るスピードが速い。
  • ゲーム中に体力を全回復するコマンドが使えるのだが、それがなんとコナミコマンドそのもの*2
  • 移動原子力発電所(かの戦う人間発電所とは関係ない)」「金星ヘビ」「自由の女神モドキ」とボスもクレイジーなら、「うざったいヘビ」「イカダ男インディージョーダン」「火の鳥カルテット」等々、ザコキャラも世界観相応に奇妙奇天烈な連中ばかりである。

評価点

  • ゲーム性は悪くない。
    • 奇怪な絵面や演出とは裏腹に、ゲーム自体は意外にも丁寧に作られており、根本的なゲーム性も普通にしっかり遊べる作品に仕上がっている。
    • 困難な要素も多いが(問題点にて記述。)、好きなラウンドから開始でき1プレイあたりのコンテニュー数も多いので練習を積みやすい。
    • 建物や地形をガンガン破壊して進んでいく爽快感は中々のものである。
  • サウンドのクオリティは高い。
    • BGMは『源平討魔伝』『超絶倫人ベラボーマン』を手がけた源平プロの元一員、中潟憲雄氏(ディレクターも兼任。)と『爆突機銃艇』の大久保高嶺氏が担当している。
    • 各ステージ毎にBGMが異なるのは勿論のこと、全てのボス戦で専用の曲が用意されている。
  • グラフィックの質も高い。
    • 破壊されたビルから噴き出す炎や落雷といったグラフィック演出もレベルが高く、中途半端な志で作られたものではないことを存分に知らしめてくれる。

問題点

  • 自機の天狗は慣性がついていて操作しにくい。慣れが必要。
  • 敵の攻撃が激しく、ボス「バニアン」の攻撃や「金星蛇」の死骸など一撃死の要素も多いため、慣れないうちはバタバタ天狗が落ちていく。
    • 初見殺しも多く、死んで覚える難易度。
      • 例として、一面の背景のビル(壊せる建物とは違いシルエットで表示。)からは光線が立ち昇っているが、この光線には当たり判定があり威力も凶悪。
      • 他にも方向を間違えるとスクロールに押しつぶされる分かれ道、特定のポイントで突如降ってくる岩など。
    • 実は弾に当たった時のダメージよりもボスや障害物に接触した時のダメージの方が大きいので、わざと弾に当たった方が被害は少ない。
    • その一方でラスボスは弱い。ただし、こちらも敵弾の水晶に当たると一撃死するので油断はできない。
  • 全体的に配色が暗めであり、天狗や敵・障害物などが見分けづらい。
    • 特に自機および自ショットの配色と、多くの敵弾の配色が同じで見分けがつきづらいのは困る。
  • オブジェクト数がかなり多いためか、ファミコンの性能上処理落ちやチラツキが多い。

総評

奇怪な絵面や演出とは裏腹に、ゲーム自体は意外にも丁寧に作られており、根本的なゲーム性も普通にしっかり遊べる作品に仕上がっている。少なくともバカゲーではあっても クソゲーではない
システム周りは全うと言える出来栄えでありながら、上述のよんどころない事情で変更が加えられた結果、真面目に作っていたのにバカゲーになってしまった作品と言えるだろうか。

こうした独特かつ奇怪なテイストなゲームが好みであるならばやって損はない。そんなゲームである。


余談

  • 実は、もともとのタイトルは「実録 怨念の生首」で、ストーリーは「平将門の首塚から飛び出した落ち武者の生首がアメリカ合衆国に復讐する」というとんでもないものだった。
    このような内容に当時の任天堂にもニンテンドーオブアメリカにも許可が下りなかったため、天狗の面に変更されたという経緯がある。
    • アメリカを救うはずなのに、思いっきり建造物を破壊して回っているのもこのためであろう。
    • 海外版は『Zombie Nation』という、明らかに元の設定を意識したタイトルで発売されており、自機は生首に戻されたがボスの「自由の女神モドキ」がメデゥーサに差し替えられている。
      • こちらのストーリーは、侍の総大将「ナマクビ」が伝説の刀を取り戻すべく渡米するという、これまた色々とおかしなもの。
  • CS番組「ゲームセンターCX」の第9シーズンにて、本作に有野課長が挑戦した。上記のストーリー内容は当然の如くナレーションで突っ込まれ「荒唐無稽なストーリー」と言われている。また、自機が元は天狗ではなく生首だったことやコナミコマンド的な回復コマンドの存在も紹介されている。
  • 2013年6月に初のサントラ「暴れん坊天狗音楽集」が発売された。
    • ライナーノーツ内のインタビューにおいて「当初の主人公案であった生首は任天堂がNGを出したため、任天堂の花札ブランドに用いられていた「天狗」をヒントに主人公を天狗にして「絶対的権力である天狗=任天堂が暴れている」という皮肉を込めていると語られている。
  • そして2021年。『暴れん坊天狗&ZOMBIE NATION』のタイトルで初の他ハードへの復刻移植が発表された。Nintendo SwitchとPC(Steam)で2021年10月28日発売。開発・発売はシティコネクションが担当。
    • 日本版はもちろんのこと上記の海外版も収録され、更に新モード、新曲等の追加要素も盛り込まれる。
    • Switchの限定パッケージ版に限り追加特典として開発中バージョンである『暴れん坊天狗 Prototype』のダウンロードコードが付属している。オープニングの文章が全く別物になっている、ミス時の「無念」が何故か横書きになっている、難易度EASYだと本作の特徴の一つである慣性が全くかからない、一部敵の耐久力、行動パターン、配置が違う、製品版では壊せなかった地形が壊せる、2面後半の突如降ってくる岩が最初から見えている、など製品版との違いは多岐にわたる。

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最終更新:2023年12月30日 03:02

*1 おそらく元ネタはジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画『ゾンビ』(原題:Dawn of the Dead)(1978年)。厳密には星の影響でゾンビ云々は公開時に配給元の日本ヘラルド映画によってつけられた日本独自の設定であり、オリジナルには存在しない。つまりは本家よりうさんくさい国内公開版からネタを引っ張ってきている。

*2 実は最後の「BA」は入れなくても通る。