ルパン三世

【るぱんさんせい】

ジャンル アクション
対応機種 アーケード
販売元 タイトー
稼働開始日 1980年4月
プレイ人数 1~2人(交互)
判定 なし
ポイント アーケードゲーム初の版権ゲームにして原作無視(?)
ルパン三世ゲームリンク


概要

  • 1980年にタイトーより発売された業務用アクションゲーム。ゲームタイトルにもあるように、当時日本テレビ系列にて放映されていたモンキー・パンチ原作の人気アニメ『ルパン三世』を題材としており、プレイヤーはルパン三世(以下ルパン)を操作し、盗み出した現金袋を地下金庫まで運び入れることが目的である。
  • まだまだおもちゃ業界において版権の概念が薄かった当時であるが、本作は正式許諾を得て発売され、タイトル画面に(c)NTVとクレジットされているほか、インストラクションカードにもアニメスタッフ書き下ろしのイラストが使用されている。参考画像
    • なお『ルパン三世』はアニメ版と原作版でかなりノリが違う*1。本作は当然クレジットに表記される通りにアニメ版が基である。
  • 今の目で見ると原作を無視したゲームだが、当時のゲームとしては並レベル。むしろ、版権無視して訴えられかねない連中ばかりだった当時においては、版権使用許諾を取得しただけでも良心的。

システム

  • 1レバー1ボタンを使用。8方向レバーでルパンを操作、ボタンでマジック(後述)を使う。
  • 迷路状のフィールド上部には8つの現金袋が置かれており、ルパンを現金袋の真下に移動させて、レバーを上に入れると取ることができる。現金袋は2個まで取ることができるが、その場合移動速度が遅くなる。
  • フィールド上には敵キャラとして銭形警部・ガードマン・犬らが配置され、それぞれが個別のルーチンで動いている。プレイヤーはそれらの追跡をかわしながら、現金袋をフィールド下部の地下金庫まで運ぶ。
    銭形警部
    ルパンをしつこく追い回す。後半のステージでは 2人に増える ため、挟まれないように先を読んだ動きを要求される。

    警備員
    フィールド上をランダムに動き、目の前の路地にルパンがいても、素通りすることもある。


    フィールド下部を左右に行き来するだけで、上下には動かない。
  • 敵の追跡から逃れる手段としてマジックがあり、使用するとルパンはフィールド上に8箇所あるポインタのどこかにランダムワープできる。マジックは1ステージにつき4回まで使用でき、ステージクリアすると使用回数が元に戻る。
  • 地下金庫までルパンが到達すると、現金袋が金庫にたまり、ルパンはフィールド上のどこかの地点にランダムでワープする。これを繰り返し、現金袋を全て地下金庫に運び入れればステージクリア、残りタイムと残りワープ回数×500点のボーナス得点が加算される。面間のインターバルには原作での恋人(相棒?)である峰不二子と会うクリアデモが流れ、ステージが進むにつれ、その内容が変わっていくが13周目以降は変化しない。
  • 当時のゲームなのでエンディングは存在せず、自機が全滅するまでエンドレスプレイが続く。先のステージに進むにつれ、銭形警部・ガードマン・犬の数が2体まで増え、その移動速度も増すが12周クリアで難度はカンストし、以降は変化しない。
    • 制限時間が尽きると、いきなり敵の増援が来て、最高難易度状態となる。ただし即ミスになるわけではなく、クリアも可能なので制限時間オーバーのペナルティとしては軽い方。
  • ルパンが敵に捕まると投獄され1ミスとなる、残りルパンを全て失うと警察署に連行されゲームオーバー。コンティニューは無い。

OPの潜入シーン、ミスすると投獄され、最後は警察署に連行される

  • ステージをクリアする度に不二子との子供が増える。
    • 2面までは不二子に張り倒されるが*2、3面をクリアすると不二子と結ばれ、4面クリアで子供が誕生するという原作には無かったシュールな展開。
      • ただしスピンオフ作品『ルパン小僧』はルパンと不二子の子供という設定ではある*3
  • ステージクリアー時およびゲームオーバー時に流れるBGM、ドル袋を金庫に入れた時のチャイム音は別音源のオルゴールICとなっている。
    • パチスロ「ニューペガサス」「スーパープラネット」などに使われている音源といえばわかりやすいだろうか。

評価点

  • アーケードゲーム史上初の原作付きゲーム。
  • 当時としては凝った演出。

賛否両論点

  • 主人公がシルクハットにマント姿の「自称」ルパン三世
    • 一応版元のお墨付きではあるが、ルパン三世と言うよりは、元ネタであるモーリス・ルブランの『怪盗ルパン』(アルセーヌ・ルパン(初代ルパン))に近いデザインである*4。尤も当時の技術力(グラフィック性能)では一目でルパン三世と判るドットキャラを作ることは不可能なので、判りやすいデザインである初代の格好を拝借したのだろう。更にそれに合わせたイラストをアニメスタッフに描いてもらうことで説得力を持たせようとしたわけである。
      • インストカードに描かれたルパンはシルクハットを被っており、ネクタイが蝶ネクタイに変わっている他、マントを夜空に模して摩天楼(オープニングシーン)が映えるという、秀逸かつグラフィックに割と忠実なデザインとなっている。
      • さらに、拳銃(ワルサーP38)ではなく短銃身のマスケット銃(火縄銃)を持っている。ゲーム中では銃撃戦はせず逃げ回る事しかできないので*5、わざと愛用の銃ではなく使い慣れない装飾過剰な単発式の銃にしたのかもしれない。
      • 作中に登場する現金袋もちゃんと持っている。
      • ゲーム性の関係から、最後は必ず逮捕されて終わるためか、拳銃を持った側の手には手錠がかけられている。本当に芸が細かい。
    • ついでに銭形警部も手錠ではなく警棒を振り回し*6、帽子もつばを見る限りソウト帽でなく(おそらくは)制帽。

問題点

  • 緊急脱出手段として1面ごとに4回ワープできるが、ワープする先がランダム。
    • 運がよければ金庫前に出現するが、運が悪いと敵と囲まれた状態で出現したりと、運任せ状態。また、ワープ関連にバグもある。
  • ステージが進むにつれて増える銭形警部
    • 古いゲームなので仕方ない面もあるが、せめて増えても違和感のない一般警察官とかにできなかったのだろうか。
  • ルパンらしい所がBGMのルパン三世のテーマのみ。
    • しかも音源の都合でインベーダー改造の基板では流れない。

総評

アーケードゲーム初の版権ゲーム(キャラクターゲーム)だが*7*8、当時の技術的限界もあって設定を生かせたとは言いづらい。
そもそもゲーム自体も爽快感が無く、1ヶ月後に歴史的名作『パックマン』が登場した事により歴史の影に埋もれてしまった。
「キャラゲーに名作無し」はこの時点で既に始まっていたのである。


移植版

  • 家庭用機器には移植されておらず、MZ-80K/C(シャープ製パソコン)版の読者投稿プログラムが存在するぐらいであったが、2022年3月2日発売の卓上ゲーム機「イーグレットII ミニ」に収録された。
    • 収録されているのは国内向けに出荷された初期版(キャラクターが全て黄色になっているバージョン)である。PVや公式サイトでは海外版の画像が使用されている。
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最終更新:2024年01月04日 19:26

*1 原作ではダークヒーローであり、アニメ版ほどコミカルでもお人良しでもない(銭形警部の方もルパンを逮捕する為ならえげつない手段も使う)。2000年代に入ると原作に近いノリのアニメも登場するように。

*2 アニメ版を考えると、そのまま持ち逃げされるのだろう。なお原作では不二子に貢ぐこと自体が無い。

*3 尤も作者は編集部の指示で仕方なく描いていただけだそうだが。

*4 なお『怪盗ルパン』の版権元に対してはタイトーは勿論、三世の版権元でさえ許可を得ていない。そのためルブランの母国であるフランスでアニメ版が放送された際は『探偵泥棒エドガー』に改題された。なお原作者のルブランの死去が1941年で日本では著作権保護期間が50年+戦時加算(戦中敵国の著作物を保護していなかったとされる延長期間)3794日=約60年で終了するため、実は1967年から連載開始のルパン三世は21世紀頃まで著作権的に結構グレーゾーンだったりした(「ルパン」という名前自体はフランス人に実在するのでタイトル的には問題ないが「アルセーヌ・ルパンの孫」という設定が引っかかる。)。ちなみにフランス本国では著作権法が70年なので2011年にやっと著作権が消滅している。

*5 一応原作でも警察官はなるべく傷つけないようにしている。あくまでも「なるべく」だが。

*6 ただし手錠を振り回すのはアニメ版のみ。

*7 パソコンゲームだと『スタートレック』が既に有名だった。版権元には無許可の今で言う同人ゲームだが。

*8 一応、アーケードでも前年に『与作』が発売されている(カセットビジョン版『きこりの与作』の方が有名だが)。キャラクターゲームとは言い辛い作品だが(「与作は木を切る」と言う歌詞がある北島三郎の演歌『与作』の名を木こりゲームに拝借しただけ。当然版権元には無許可)。