臥竜列伝

【がりょうれつでん】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 アーケード
販売・開発元 データイースト
稼働開始日 1987年
判定 バカゲー
ポイント 三国志だと思ったらいつものデコゲーだった
ストーリー? 何それ?
ゲーム中最初の敵はカルノフ
難易度は激辛


概要

時は群雄割拠の三国時代、呂布奉先にさらわれた芙蓉姫を救うべく、桃園三兄弟「劉備玄徳」、「関羽雲長」、「張飛翼徳」が姫を救い出しに長安に向かう、という設定のトップビュー視点によるアクションシューティング。全8面。本作はループゲームである。

8方向レバー+2ボタン(ショット、気合弾)で操作。ライフ+残機制を採用。

道中にあるアイテムボックスを攻撃で破壊すると、様々なアイテムが出現する。

  • 得点:500点~5000点まで様々な点数が入る。
  • Pマーク:ショットが一定時間パワーアップ、重ね取りするとさらに効果が上がる。
  • アーマー:敵からの攻撃を1度だけ防ぐ。
  • オプション:自機の周囲に強力な弾を単発で放つ玉が付く。
  • ブーツ:自機の移動速度が上がる。
  • 紫玉:気合弾(ボンバー)が1個追加される。
  • ニンジン:自機が馬に乗っているときのみ有効。馬の体力を1段階回復させる。

他、ステージ中の特定場所に置いてある「馬」(乗ると移動速度アップ&3度までダメージ無効)、「E」と書いてある黄色い旗(エクステンド)もある。


問題点

  • ゲームの難易度は異様に高い。
    • 敵の数が異様に多い上に、やたら移動速度が速く、四方八方から出現する。
    • その上、自機の移動スピードは全体的に遅く、自機のショットの攻撃判定がやけに小さく、おまけに射撃方向を固定するような操作は存在しないため非常に攻撃を当てづらい。ミスすれば無論パワーアップは解除されるし、気合弾の数も回復しない。コンティニューもできない。
  • 乗り物の馬は「ニンジン」という体力回復手段が存在するのに、自機の体力を回復させる手段は一切ない。そのため、馬の有無も難易度の上下に大きく関わってくる。

変な点

三国志や三国志演義を題材にしたゲームは多々あれど、本作のジャンルはまさかの陸戦シューティング。

  • まず、「無地のショッキングピンクの背景に、劇画調の桃園三兄弟のドアップ」というタイトル画面からして雰囲気が怪しい。
  • プレイヤーは長兄の劉備(バランス型)、次兄の関羽(スピード型)、末弟の張飛(パワー型)から一人選択する。
    • 劉備の武器は小刀であり無難なイメージだが、関羽と張飛の武器は三国志演義で固まっているイメージのものではない。張飛の武器は蛇矛ではなく斧。関羽の武器は青龍偃月刀ではなく弓矢。
    • 関羽の顔はやけに痩せこけている。
  • 本作に出てくる三国志の武将は劉備(ゲーム上では「玄徳」と表記)、関羽、張飛、呂布(ラスボス)の4名のみ。
    • ヒロインの芙蓉姫*1を含めても5名。
    • 「臥竜列伝」なんてタイトルなのに「臥竜」と称された軍師である諸葛亮孔明は登場しない
  • そんなことが問題にならないほど、出現する敵は異常である。正直、まともな敵はいない。
    • 弓や剣を投げてくる雑兵はいいとしても、鉄アレイ*2(伸び縮みする鉄アレイもある)を投げてくる雑兵、カルノフ(デコゲーおなじみのハゲ)、ドラゴン、ガーゴイル、双頭の虎、巨大な蛙、巨大な蛾、緑と赤紫のやたらケバい色使いのUFOのような敵が常時大群で攻めてくる。
    • ボス敵は、ラスボスの呂布以外全員が意味不明な当て字の架空の武将。
      • 1面「万里」ボス「清玻」:道士風の格好で、黄色と青に点滅する手裏剣を投げる。後半面ではコンパチキャラがザコ扱いで登場する。
      • 2面「龍西」ボス「殷陵」:青い服を着て、光弾を放ってくる。後半面ではコンパチキャラがザコ扱いで登場する。
      • 3面「黄河」ボス「唯孫」:黄土色の帯状の弾を放ってくる。
      • 4面「長江」ボス「老楚空」:読んで字の如く、ロウソクを手に持っている。大きな火の弾を放ってくる。
      • 5面「江陵」ボス「司馬紀」:苗字こそ「司馬」だが、史実の三国志や三国志演義の司馬一族とは無関係だと思われる。分身を3体出現させ、自機の方向に真っすぐ飛ばしてくる。
      • 6面「成都」ボス「羅典」:分身を3体出現させるのは司馬紀と同じだが、分身は大きく回転するのでより避けづらい。
      • 7面「長安」ボス「龍王」:黒い服に髭面なので、董卓のようにも見える。パターンは1面ボスと同じ。
      • 8面「妖宮」ボス「呂布」:最終ボス。パターンは2面ボスと同じだが、より素早く動く。さらにはガーゴイルの援護も入ってくる。
  • ラスボスの呂布は赤い服に仮面という出で立ち。言わばタキシード仮面シャアを思わせるような姿である。デモ画面、4面クリア後の中間デモで見られるポーズも何か超能力をかけそうな感じで非常に怪しい。
  • 4面と7面、中間デモでは調子っ外れすぎる音楽が流れる。特に4面と7面は敵の城に攻め込むステージなのだが、BGMが明らかにミスマッチ感を漂わせる。
  • 「呂布に誘拐された芙蓉姫の救出」が目的のはずなのに、三兄弟は中国全土を片っ端から征服していく。事実、面クリア時に「万里 征服」といった文字が画面上に縦書きで表示され、中国全土の地図上で征服したエリアが色で塗られていく。まるで幼児向け絵本のような壮絶な世界観である。

評価点

  • 「三国志」+「アクションSTG」という、あまりに時代を先取りしすぎた、どう考えてもミスマッチな組み合わせを曲りなりに形にした。難易度が高いことを除けば、ゲームバランス的にはそれなりに遊べるゲームとして仕上がっている。
    • 実際はデコテイスト溢れる三国志っぽい何かなのだが、それゆえ他では全く模倣できない独創的な世界観を生みだした。
  • 主人公である劉備三兄弟の顔グラは3人の特徴を端的に捉えており、雰囲気は出ている。
    • 実は三国志演義のストーリー上に「劉備の婦人が呂布に攫われる」といえなくも無いシーンが存在している為、筋書きだけは意外とソレっぽい。
      • 実際は「劉備不在中に呂布が乗っ取り、逃げ遅れた劉備の母と婦人が捕虜にされる」なので、ちゃんと考えると間違っているのだが。
      • 尚、その場所は本作に登場しない徐州という場所である。

総評

「ぶっ飛んだ三国志ゲーム」はこの後も三國無双等様々なものが登場するが、今作はそもそもぶっ飛び方がおかしいと言わざるを得ない怪作。コテコテの難易度に加え当然のように出てくるカルノフやシャアそっくりな呂布等、わかりやすいデコゲーである。
三国志として突っ込みどころ満載な上に難しいゲームなので当然出回りも悪く、家庭用ハードへの移植は一切されていない。現在プレイするのは極めて困難な一品である。

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最終更新:2020年04月07日 08:22

*1 吉川英治や横山光輝の三国志にのみ登場する架空の人物、後の糜夫人という解釈もされる。

*2 鎖の両端に鉄球を取り付けた「流星鎚」という打撃武器の可能性もある。