SIMPLE2000シリーズ Vol.95 THE ゾンビV.S.救急車

【しんぷるにせんしりーず ぼりゅーむきゅうじゅうご ざ ぞんびぶいえすきゅうきゅうしゃ】

ジャンル カーアクション
対応機種 プレイステーション2
発売元 D3パブリッシャー
開発元 ヴァンテアンシステムズ
発売日 2006年2月9日
定価 2,000円(税別)
判定 なし
ポイント バカゲーかと思えば作業ゲー
グダグダな設定
SIMPLE2000シリーズ


概要

D3パブリッシャーによる廉価ゲームシリーズ『SIMPLE 2000』の1作。
救急車などのマシンを操作してゾンビだらけの夜の町を走り、ゾンビを轢き倒しながら生存者を救助していくのが目的。

特徴

  • ゲームの流れは以下の通り。
    • 自機に当たるマシンを選んで病院を出発し、ゾンビと戦いながら生存者を捜す。生存者の救出面は『クレイジータクシー』に似ている。
      • 生存者の近くに停車すると救助出来るが、一定時間以内に病院へ連れ帰らないと車内でゾンビ化してしまう。ゾンビ化してしまうと助けることは出来ず、操作性に悪影響も出るため、車を壁にぶつけて車外に吐き出す必要がある。
    • 通常の生存者を10人救助するごとに「政治家」が出現する。この政治家を3人救助するとボスバトルが発生し、倒せば次のエリアに進める。
      • ただし政治家を3人救助すると強制的にボスバトルに移行し、そのエリアに残っていた他の生存者は全て死亡した扱いになってしまう。継続的に特典のある生存者を失った場合、後に影響が出ることも。
    • 5つのエリアをクリアすると、今度は全てのエリアを対象に救助活動を行う事になる(これが6つ目のエリアに当たる)。この段階で政治家を3人救助すると、ラストバトルが始まる。
  • 救助した生存者に応じて、違った特典が受けられる。
    • 「一般人(男・女)」搬送時に士気が少量回復。
    • 「警察官」搬送時に士気が大きく回復。
    • 「軍人」士気の上限がアップ。
    • 「整備士」人数に応じて新パーツやマシンを開発可能。
    • 「政治家」上記生存者を一定数救出で出現。3人救出でボスバトルへ。
  • 車の改造。
    • 救出した「整備士」の人数に応じて新パーツやマシンを開発できるようになる。
    • 開発を発注した後は、パーツ(マシン)毎に決められた数のゾンビを倒すと完成する。
    • パーツはタイヤ・ライト・バンパー・エンジンの4種類が存在し、換装できる。
  • マシンは初期からある「救急車S」の他、救急車M・L、パトカーも存在する。性能が上下する他、一度に収容できる人数も変わる。
    • 更に条件を満たすと、(ネタバレに付き文字色を変更){ 隠しマシンである戦車も開発可能になる。因みにこの戦車は、同シリーズの『THE 戦車』に登場したものと同じ }である。
  • 敵の攻撃でマシンの耐久度が0になるか、時間経過で「士気ゲージ」が0になるとゲームオーバー。
    • 士気は一部生存者を連れ帰るか、雑魚ゾンビを連続で倒す「コンボ」を決めれば回復する。

評価点

  • 他では無い唯一無二のジャンル。
    • 生存者救出は『クレイジータクシー』、車で暴走するのは『グランドセフトオート』『ランナバウト』、ゾンビが大量に群れていてそれを倒していくのは『無双シリーズ』に通ずるものがあり、これらをごちゃ混ぜにしたような感じだろうか。また車で街中を暴走出来るゲームは数あれど、車で轢き殺すことがメインになっているものは、少なくとも和製ゲームでは本作のみであろう。
    • カスタムパーツもギロチンのような巨大な刃の付いたバンパーや、トゲの出たタイヤなど、種類は少ないものの他のゲームではあまり見ない特異なものばかり。まるで昔のレースアニメの悪役のカスタムである。

問題点

  • 士気ゲージの減りがわりと早い。そのくせ序盤は攻撃力が低いためコンボが決めづらく、回復もままならない。そのため初期の頃はあまり遠出もできず、本拠地近くのゾンビで小さなコンボを狙い続けたり、近くの生存者をちまちま捜す作業になりがち。
    • ゾンビは出現場所も出る数も決まっているので、士気回復の為に毎回同じ様な場所をウロウロする必要も出てくる。序盤から作業である。
      • 生存者、回復アイテムも出現場所は固定で、決まった場所の中からランダムで出現する。なので救助もエリアに入った手前付近で行いがちになる。いよいよ作業感が増す。
    • 生存者救出後のゾンビ化するまでの猶予時間も短い。それなのにステージ2以降は本拠地のあるエリアの外まで遠征する必要があるため、スピードが絶対に必要になる。「スピードは遅いが攻撃力or耐久値が高い」といったカスタムは論外という、プレイの幅を狭める結果に。
      • 遅くても回復アイテムを定期的に取ればどうにかなるが、この回復アイテムに問題がある(後述)。
  • ゲーム内容そのものが「ゾンビを轢く」→「生存者救出」→「拠点に帰る」をひたすら繰り返すだけのもの。ストーリーもほぼ無いようなもので、他にやることは無い。ボスバトル以外はこの単純作業のみがこのゲームの全て。完全な作業である。
  • パーツやマシンを開発する際、注文前に性能を確認することができない。実際に完成させてみなければ性能が分からない。
  • ステージ6クリア後にセーブしてしまうと、そのセーブデータではラスボス戦以外何もできなくなる。街中を走ることも、新しいマシンやパーツを開発することもできなくなる。
    • ゲーム中、この事への警告は無い。
    • 隠しマシンはゲームを一度クリアしないと開発できないので、そのプレイデータで開発したければ、ステージ6クリア直前のセーブデータを残しておく必要がある。
  • 使える車は4種に隠しを足した全5種だが、この内3種がサイズの違う救急車。能力が違うものの収容人数以外は改良出来るため、違いも大して無く面白みが薄い。内容的に消防車でも欲しかったところ。
  • 車はパーツによる改造で能力値が上がるのだが、基本的に「攻撃が上がる代わりにスピードが下がる」等デメリットがあるのに対し、最後に作れる最強パーツがどれも「攻撃もスピードも上がる」と、デメリットが一切無い。そのため最終的には最強パーツだけを付ければいいだけになり、カスタムする楽しみも薄い。パーツの種類も5種(デフォルトのノーマルパーツ含む)と少ない。
    • パーツの中の「ライト」は、「マップ拡大(中)」「マップ拡大(大)」「マップ拡大(大)+ゾンビ表示」「マップ拡大(大)+ゾンビ表示+アイテム表示」と、上位になるほど良くなる仕様なのだが、全てが同じ重量のため、上位のものを作った時点で下位を使う必要が一切無くなる。最後のアイテム表示が好みで必要かどうかくらい。
  • マップ画面には、敵は赤い点・生存者は白い点・アイテムは薄緑の点として表示されるが、生存者とアイテムは色が紛らわしく、点も小さいので判別しにくい。
  • 町の中には回復アイテムも落ちているのだが、特定の場所にしか出現しない上に通る必要に乏しい場所ばかりで、さらにランダム出現。通り道付近にあればラッキーであるが、わざわざ探してまで入手するほどの利用価値は薄い。
    • 種類は「耐久値回復」とゾンビ化の進行を抑える「ゾンビ化回復(小)」「ゾンビ化回復(大)」のみ。取ったときに適用されストックは出来ないため、必要なときに探して取りに行っても、欲しいものとは違い徒労に終わることもままある。またエリアによっては入り組んだ小道の奥にあったりして、時間を掛けてゾンビ化回復小を取ったところでほぼ無意味だったりもする。
  • ボスバトルはノーヒント。
    • それぞれ特殊な戦い方をするのにもかかわらず、事前に会話等でヒントが出ることは無いため、ボスによっては戦い方が非常に分かりづらい。
    • ついでにエリア内容もヒントが薄い。砂漠地帯では動く床があり一定のスピードが無ければ進むことが出来ないのだが、ノーヒント。気付かなければ一度の救出人数に大きな支障が出て、攻略が困難になる。
+ ネタバレ注意
  • 2番目の中ボスである兵士ゾンビのバトルが退屈そのもの。
    • ひたすら壁に張り付いて移動しながら真下に爆弾などを落としてくるのだが、攻撃範囲は自身の真下のみで、ステージ端には移動しないので、安全地帯が存在する。
    • 壁から叩き落とすことはできないので、弾補充の為に降りてきた隙を突いて体当たりするしかないのだが、降りる間隔は完全にランダム。1分以内に降りることもあるが、基本的には何分間も降りてこない為、ひたすら安全地帯で待っていなければならない。さらに攻撃回数もそれなりに必要。ただの作業である。
  • ラスボス戦が異様に簡単。バトルが始まった途端、ラスボスはすぐ目の前にいるので、ひたすら体当たりを連発するだけで良い。
    • …というよりそれ以外何もしようがない。ラスボスは移動ができないうえに、こちらが移動できる場所も殆どないため、これまでのボス戦と違って攻撃の避け場所を探したり逃げ回ったりする必要もない。
  • エンディングで主人公の相棒である女医が、唐突に「私は医者に向いてないから辞める」と言い出す。それまで最低限の台詞しか無いキャラだったので、本当に唐突である。

バカゲーか?

そのタイトルからバカゲー臭が漂う本作だが、ストーリーにはギャグなど全く無い(ストーリーそのものが無いようなものだが)。強いてバカっぽいところといえば、以下の通り。

+ ネタバレ注意
  • 隠しマシンが戦車である。
  • 「破邪バンパー」などのふざけたデザインのパーツが1部存在し、装備の組み合わせ次第ではデコトラの様な救急車ができあがる。
  • 1つの町の中に、市街地・森林区・大岩が転がってくる砂漠・一面凍りついた氷原が存在する
  • 各エリアで政治家を3人救出すると、「そのエリアの生存者の反応が途絶えた」と言い出す。
    • 事実ならなぜ認識できるのか。むしろ真実は重要人物を必要な分救出したからここは見捨てて別の地区の重要人物を優先するように…。と考えるのが自然なブラックさ。
  • ゾンビを連続で倒すとボイス入りの歓声が流れるのだが、ついさっきまで人間だった相手を轢殺して「ファンタスティック!!」と叫ぶ神経はどうなっているのだろうか?

公式との相違点

  • 公式サイトに載っている事前情報と見比べると、変更点がある事がわかる。
    • ストーリーは、公式では「敵国のウィルス攻撃を受けて人々がゾンビ化した」とあるが、製品では「地震で死亡した人々が、ある生物の体液の影響でゾンビ化した」となっている。
      • その生物の誕生理由についてもエンディングで取って付けた様に語られるが、ウィルス云々は出てこない。「敵国」に至っては単語自体出てこない。
    • 「建築士」という生存者が紹介されているが、ゲーム中には出てこない。また「病院の拡張もできる」とあるが、実際にはできない。
      • この「建築士」のグラフィック自体は、実際のゲーム中では「マシンのパーツ換装をしてくれる人」として登場している。

総評

「バカゲーかと思えば作業ゲー」、その一言に尽きる。
バグや致命的な問題点は無いが、行動に制限が多すぎるので自由度は低く、序盤から終盤までひたすら同じ作業を続けることになるため、大半のプレイヤーがすぐ飽きるだろう。ホラーゲーとしても怖さを前面に出してはいない。 どの方面に向けて作ったのかも怪しい「誰得ゲー」にも当たる。

余談

  • ファミ通WaveDVD2006年12月号「アメリカザリガニのキカイノカラダ SIMPLE2000シリーズをアピール!」にて『THE 歩兵~戦場の犬たち~』『THE メイド服と機関銃』とともに本作が紹介*1され、アメリカザリガニの柳原哲也氏がD3パブリッシャーの社員と共にプレイした。
    • しかし、肝心のゾンビとの戦闘がほぼなく、よくわからないゲームという印象を与えただけで盛り上がりに欠け、さすがにまずいと思ったのか進行役のADキムは早々と次の『メイド服』に移してしまった。
    • ちなみに、『歩兵』は最初のニックネーム*2だけで終了、本作は適当に走って終了、『メイド服』はろくにゲームの紹介もせず適当に進めて終了とかなりグダグダな展開になっていた。
+ タグ編集
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最終更新:2023年01月11日 05:08

*1 選考基準は「タイトルが面白かったから」。

*2 それぞれ平井善之氏が「泣きまねダイハード」、柳原氏が「特大キャット」、ADキムが「敏感サム」。