ルーンファクトリー オーシャンズ

【るーんふぁくとりー おーしゃんず】

ジャンル ファンタジー生活ゲーム

対応機種 プレイステーション3
Wii
発売元 マーベラスエンターテイメント
開発元 ネバーランドカンパニー
発売日 2011年2月24日
定価 7,140円(税5%込)
廉価版 【PS3】PlayStation 3 the Best
 2012年1月26日/2,940円
【Wii】Best Collection
 2012年1月26日/2,940円
判定 なし
ポイント 『フロンティア』に目立った粗を改善・進化
シリーズの売りの農業要素が不評
シリーズ初の男性の攻略可能キャラクターが登場
ルーンファクトリーシリーズ


概要

『ルーンファクトリー』シリーズ通算5作目、据え置き機としては2作目。時系列としては『フロンティア』の数年後にあたる。 今回の舞台は海に囲まれた島「フィーニス島」と、その周辺に広がるたくさんの小さな島。


プロローグ

精霊魔法の使い手アゼルとちょっぴりおせっかいな幼なじみのソニア。
ある日2人は突如として現れた不思議な光に飲み込まれる。
見知らぬ大木の下で意識を取り戻したアゼル。しかし、ソニアの姿はなかった。

初めてなのにどこか懐かしいこの場所は…戸惑うアゼル。
そんなアゼルの前に現れた女の子オデット。
オデットの隣家を借りて島の町でしばらく暮らすことにしたアゼル。
しかし、翌日町を揺るがす大きな事件が起こる。

今まで誰も見たこともないような巨大な影が、町に落ちた日。
アゼルの海を越える冒険が幕を開ける。


特徴

  • 農業
    • 今回は自宅前には畑は無く、特定の島で農業を行う。
    • 農業用の島の「芽吹き点」で精霊魔法を使うことで芽吹かせ、野菜や果物などの作物を育てることができるようになった。
      • そのため今までの「畑を耕す」という作業は無くなった。
      • 冬の島では作物は育てられないが、鉱石を作る事が可能。
    • モンスターに農作業をさせるには「なかよしクッキー」というアイテムが必要。これが無くなるとモンスターは作業をしなくなる。なかよしクッキーは雑貨屋にて安価で購入可能。
  • スピリット
    • 無人島やダンジョンで集められる精霊。イエロー、ブルー、レッド、グリーンの四種類が存在する。
    • これらを牧場となる島に放つ事で、島の繁栄率を上げられる。繁栄率が上がればより多くの芽吹き点を解放できる。島によって、繁栄率が上がりやすいスピリットが違う。
    • 前作のルーニーに近い存在だが、煩雑だった前作と違って今回は至ってシンプルなシステムとなっている。
  • アイテム合成
    • 自宅に作業台を設置することで、料理、鍛冶、装飾、調合、大工等を合成でアイテムを作ることができる。
    • 自宅以外でも作業台があり、自宅に設備が揃わなくてもそちらで合成を行う事ができる。但し、一度に使用可能な素材が極めて少ないので、本格的な合成がしたければ自宅に作業台を置く必要がある。
  • 恋愛・結婚
    • 本作でも恋愛対象キャラと仲良くなると結婚するイベントが用意されている。
    • 様々なデートイベントがあり、選択肢によって会話が変化したりする。結婚をすると子供も生まれるようになる。
    • ヒロイン候補は従来通りだが、今作からは男性の恋愛対象キャラであるヒーロー候補も登場する。
    • 前作では全キャラに「仲良し度」、恋愛対象キャラのみ「ラブ度」が設定されていたが今回はラブ度が統合され、仲良し度のみとなっている。
      • 仲良し度はゲージで表示され、最大値まで貯まると全キャラに用意された「仲良しイベント」が発生し、一段階上昇する。
      • 主人公分離(後述)まで、各キャラの仲良し度は一定までしか上がらない。分離後は結婚可能キャラのみ最大値まで上げられるようになる。
  • 緑の巨人「ユミル」
    • 海を移動する時はユミル(名前変更可)に乗ることになる。ユミルは海底に沈んだ島や沈没船を引き上げられる。
    • 引き上げると、畑で農作ができるようになったり、ダンジョンが登場したりする。
    • 海は非常に広大なので、町でサルベージする地点の情報を得て、それに基づいて航海を行う事になる。
    • ユミルを置いて拠点の島に帰還する事はいつでも可能であり、自宅からもユミルの上に即座に移動が可能。
    • 島等を引き上げようとした際や航海中に巨大モンスターと遭遇する事があり、ユミルを操作して戦う。
      • この際は2D格闘ゲームのような視点となり、パンチとガードを駆使して戦う。間合いと攻撃のタイミングを読み、適格にパンチを当てなければならない。
      • 敵はHPが僅かになると気絶し、フィニッシュ技を決める事が可能。異様に凝ったモーションで派手に勝利することができる。
  • モンスター
    • モンスターに仲良しブラシを使って仲良くなると仲間にできるのは前作までと同様。
    • 従来通りモンスターによっては副産物が収穫できたり、作物の世話等を行うことができる。 今回の農作業はモンスターに任せる形になるので、特に重要な要素となる。
    • モンスター小屋は最初からユミルの中に設置されているため、建設の必要は無い。
  • かわら版
    • 宿屋「シスターズ」にあるかわら版で、住人からの依頼を受けることができる。
    • 宝探しや、お使い、モンスター退治など依頼内容は200種類以上もある。
    • 達成すると報酬がもらえる他、仲良し度も上昇する。ストーリー進行や仲良し度によって新たな依頼が出現する。
  • PS3版とWii版の違い
    • PS3版はトロフィー機能に対応していてプレイの条件を満たすとトロフィーを獲得することができる。また、ネットワークランキングに対応している。
      操作方法は通常のコントローラーの他、PlayStation MOVEでも操作可能。
    • Wii版はPS3版のようなトロフィー機能やネットワークランキングはないが、PS3版のトロフィーに代わる「賞」が存在する。自宅にあるトロフィーを調べてベースレコードを選択すれば確認可能。
    • セーブデータについては両機種ともに15個までとなる。
  • その他の追加点
    • 各時間帯につき一回ずつ、住民の近くを通った時に挨拶ボイスが聴こえるようになった。
      • 但し、そのまま話しかけると同じ挨拶をまた聞く事になるので、少々不自然ではあるが。
    • 好感度に応じて挨拶台詞が変わったり、しばらくぶりに話しかけると「久しぶり」と言われるなど、細かい追加要素もある。
      • 1~2日話し掛けなかっただけでずっと会ってなかったような反応をされる場合もある。狭く人口の少ない島と考えれば自然か。
    • 主要キャラとなる住民以外に、キャラクターアップの無いモブNPCも町に姿を見せるようになった。
    • 前述した例以外にもシステムが簡潔化、シンプルにまとめられた。
      • 前作では冷蔵庫、保管庫など、アイテムの種類によって保存用アイテムボックスが複数存在したが、今回は一つの保管箱に統一された。鉱石と食料品を一緒にしまえたりなどと違和感はあるが、簡単で便利。
      • また、合成の際は保管庫にある素材を取り出さずそのまま使用可能になった(自宅のみ)。
      • アイテムのレベルが無くなり、通常か星付きのレアかの二種類のみとなった。卵やミルクなどを生産するモンスターは仲良し度をいくら上げても生産アイテムは変わらない。
      • モンスター小屋を建てる必要が無いため、材木の概念が無くなった。自宅を増築する時も必要なのは現金だけ。

評価点

  • 前作『フロンティア』からの改善点
    • グラフィックが改善されている。『フロンティア』と『オーシャンズ』のゲーム内の文字を見比べてみると分かりやすい。
    • マップ移動の際のロード時間が大幅に短くなっている(前作は10秒強あったが、今作は3秒程度)。発売元を同じくする『朧村正』のロード速度を目指したとのこと。ちなみにHDDインストールには非対応。
    • リングコマンドの登録可能数が増えた。
    • モンスターを同時に3体まで冒険につれていくことができる。
    • 主人公の移動速度、動作がかなりスピーディーになっている。前作よりもスムーズに収穫を行う事が可能。
  • シリーズ初の「女性主人公」、および「男性の攻略可能キャラクター」が登場。
    • それによってゲーム性が広がり、今までにないプレイスタイルが可能になった点は大きな評価点である。
    • 但し、ゲーム開始時に主人公の性別を選択するのではなく、「男性主人公アゼルの肉体に女性主人公ソニアの魂が同居」する形となっている。従って、基本的にはアゼルを操作する(ソニアも他者との会話は可能)。
    • エンディング後のイベントを進める事で二人は分離し、以降はどちらの主人公でプレイするか選択可能。選択しなかった方は恋愛対象キャラになる。
      • よって、ストーリー中のソニアは「もう一人の主人公」と言うよりは「常に主人公と行動を共にするヒロイン」と言ったような位置付けである。
      • ゲーム的なメリットは特に無いが、攻撃の時には一緒に掛け声を上げたり、「そろそろお昼だね」などと時間を知らせてくれたりなど、何かある度に声を掛けてくる。
      • ソニアの元気且つ優しいボイスの数々は、ダンジョン探索における孤独感や不安感を和らげる清涼剤的な役割もある。また、「3時だよ~」など毎日同じ時間に聞かせてくれるフレーズは一種の安心感を与えてくれる。
        それだけに分離後の寂しさは大きく、逆にソニアを主人公に選んだ場合は何とも言い難い感覚を覚えるだろう。
  • 岩崎美奈子氏のキャラクターは好評。
    • パートボイスとはいえよく喋り、よく動くようになっている。
    • 仲良しイベントやかわら版の依頼など、サブイベントもかなり充実しており、キャラの掘り下げも積極的に行われている。
    • ラスボス戦では仲良し度の高いヒロイン候補、ヒーロー候補達が主人公に力を与えてくれるという熱い展開もある。
    • 男女の主人公両方が登場するため、選択しなかった主人公との恋愛が可能。これは次回作以降には受け継がれていない要素である。
  • 『フロンティア』のキャラクターのうち3人がゲスト出演している。
    • それらのキャラに話しかけると、その日のみBGMが『フロンティア』のものに変わる。前作をプレイした人はトランルピア村での日々が蘇る演出である。
  • BGMの評価も高い。
    • 主人公2人に合わせてオープニングも曲、アニメ共に2つ用意されている。
      • オープニング曲は明るく爽やかだった『フロンティア』とは打って変わって、二曲とも静かで緩やかな曲調である。アニメもそれぞれの主人公の性格に合ったものになっている。
    • 一方でゲーム中のBGMは「白い石畳と海の町」という本作の舞台を反映した爽やかで開放的なものが多く、ゆったりとした田舎の雰囲気だった『フロンティア』とはまた違った独自の趣を演出している。
    • また、夜の酒場でヒロイン候補の一人・リリに一曲頼むと『フロンティア』のBGMのアレンジが聴ける。
  • ユニークな祭り。
    • 本作も様々な祭りが用意されている。据え置き機だからこそ価値がある水着コンテストと言ったものまでも。
    • 海鎮祭ではなんと非恋愛対象キャラとの新婚生活の(夢を見る)体験をできるというぶっ飛んだ要素がある。ほんの一時のイベントとは言え、子供や人妻、オッサン、前作からのゲストキャラとすら結婚する事が可能(しかも同性も可)。まさか、シリーズでよく囁かれる「結婚できないバグ」への対策なのだろうか…?
      • ただ、その選択肢が出現するのがランダムなのが惜しい所。
  • アクション性の向上。
    • 後方視点の3Dアクションとなり、2段ジャンプを駆使する爽快なアクションになった。
    • 直接攻撃の武器は双剣、両手剣、居合刀、斧(ハンマー)、槍の5種類があり、それぞれで使い勝手が異なるため、各武器の特徴を活かした戦い方が楽しめる。
      • 片手剣は無くなり、過去作で登場した種類は双剣に統合された。また、武器は両手持ちが基本なので盾も存在しない。
      • 前作では素早い攻撃が可能な片手剣以外の近接武器はやや癖が強かったが、全体的なアクションの高速化による重量級武器の使い勝手の向上・軽量武器では手に負えない集団戦が多くなりがちな今作の特徴もあり、状況によって武器を使い分ける戦略性が増した。
    • 杖も存在し、装備する杖ごとの魔法を発射できる点は前作同様。
    • 緊急回避も導入され、攻撃のキャンセルや瞬時の移動にも使用でき、スピーディな戦闘が可能になる。
    • 段差の部分に移動するとオートジャンプが行われるようになった。
    • 道具のショートカットができるようになった。
    • 今回はHPが0になって倒れると病院ではなく自宅で目覚めるようになった。前作のように怒られる事もない。
    • 公式サイトで今作の戦闘は「テンポ」「爽快感」「スピード」がポイントとされており、簡単操作でコンボを繋げられ、アクションが苦手な人でも爽快なバトルが楽しめる。
      • 但し、それに伴って敵の物量が旧作より圧倒的に増え、袋叩きにされる事も多い。また、ボスの攻撃力も全体的に高い為、簡単にはクリアはできない。装備の強化やモンスターの育成が大事なのは従来と同じ。

問題点

  • 農業要素の大幅縮小。農業あってのルーンファクトリーシリーズなのに。
    • 従来のルーンファクトリーでは耕し、種まき、水やり、収穫等を全てプレイヤーが行う形だったが、畑仕事は仲間にしたモンスターがほとんど行なってくれるので、プレイヤーが農業している感覚があまりない。
    • プレイヤーがする事は「魔法の杖で芽を生やす」「モンスターが生産した木や鉱石を採取する」「収穫するor収穫箱から作物を取り出す」「モンスターのなつき度を上げる」くらいしかない。
      • そのため、前作品まであった「作物の種」「クワ」「じょうろ」が存在しない。
      • 当然、ダンジョンの畑も、そこに発生するルーンも存在しない。従来のようにダンジョンで作物を育て、ルーンでRPを補給すると言った事が不可能に。
      • 過去作では作るのが非常に難しかった作物も、実りさえすれば簡単に作れてしまう。これを作り甲斐が無いと取るか、楽ととるかはその人次第。
    • また、主人公が農作業をしないので、天候や季節があまり意味を成さなくなった。
      • 農業用の島は四季に合わせて四つ存在する。島の気候は固定なので、実際の季節が何であろうが農業には関係しない。そもそも作物は気候に関係無く作れてしまう(勿論、気候によって作りやすい作物の種類が変わるといった違いは存在する)。
      • 水やりも必要ないので、雨が降っても住人の行動パターンが変わるぐらいしか影響が無い。勿論、台風も起こらない。
    • できる作物はモンスターの気まぐれなので、狙った作物だけを生産することが難しい。
      • モンスターの種類を選別すればある程度は狙える。モンスターの好感度が高くないと作ってくれない作物もあるので、新しい作物を作りたければ新しいモンスターを仲間にする必要がある。
  • ユミルによる航海・探索が単調。
    • 一応本作における目玉要素である巨人ユミルによる海上探索だが、その内容はかなり味気ない。
    • 本作の拠点であるフィーニス島の周辺海域には当初は島がひとつも存在せず、ユミルによるサルベージで海底に沈んだ島を発見していく形式なのだが、この仕様のため 海上を進んでいても新しい島の影などは一切見つかることはない。
      見渡す限りの水平線が広がる海を目的地点まで延々と歩いていくことになるため、視覚的に非常に退屈。
    • メインシナリオの進行に関わらない多くの小さな島は「一時サルベージ島」という扱いで、探索の際はユミルが島を持ち上げた状態で上陸し、帰る際には再び海底に戻してしまう。
      このため『DQVII』のような「初めは何も無い海上に島を浮上させていく」という楽しみも薄い。エンディングまでプレイしても海上に姿を見せている島は農業や採集に関わる島・ダンジョンのある島などのごく数ヶ所だけである。
      • 一時サルベージ島は(かわら版の依頼に関わるものを除いて)イベントが起こることはほとんど無く、ダンジョンと呼べるかも微妙な小さな探索スペースにモンスターと宝箱がある程度で、いまひとつ探索の楽しみに欠ける。
        沈没船や意味深な空中庭園のある島などは初見でこそインパクトが強いものの、上陸して探索しても特に掘り下げがあるわけでもないため、航海に慣れる頃には感動も薄れてしまいがち。
    • 島のサルベージには「ユミルで海上を叩く → 付近にサルベージ地点があれば海面に泡が発生するのでそこを調べる」という工程を踏む必要があるため、大海原をノーヒントで歩いて新しい島を発見することは困難。
      • このため自主的に航海する意義が薄く、必然的にかわら版で依頼のあった時にだけ指定された場所に出向くだけになりがち。仮に先んじてサルベージしたところでその時点では特にイベントが起こるわけではなく、後々依頼を受けてから再訪するという二度手間になってしまう。
    • 当然ながら、島々はサルベージするまでは海に沈んでいるため「島に住む住民」などが居ることは無く、島関連のかわら版イベントの内容の薄さにも繋がってしまっている。
    • 言ってしまえば島々が海底に沈んでいるという設定がいまひとつゲーム的な面白さに繋がっていない。かなり特徴的な設定の割にさほど本作の物語に絡んでくるわけでもない*1ため、少々設定倒れの感がある。
    • 先述の通り航海中に巨大モンスターに出くわすこともあるが、ユミルによる2D格闘戦闘は良く言えばシンプル、悪く言えば大味なためこちらも飽きやすい。
  • ダンジョンのデザイン・構造が単純すぎる。
    • 今作のメインシナリオのダンジョンは「精霊殿」とよばれる4属性の遺跡なのだが、いずれも色合い以外はほとんど変わり映えのしない小綺麗な遺跡のデザイン。
    • 内部の構造も基本的に四角い広間同士が通路で繋がっているだけの単純かつ平面的なもので、仕掛けも「スイッチを押して開く扉」がほとんどであり極めて単調。
      • 『フロンティア』のダンジョンは本作と同じく遺跡ではあっても 所々が崩れて草木に侵食された「わかくさの遺跡」、溶岩の流れる「つるくさの遺跡」とそれぞれ個性的だったのだが…。
    • そんなダンジョンだが、広さだけは後半になるにつれてべらぼうに広大になっていく。それでいてどこを向いても景色がほとんど変わらないため非常に迷いやすい。
  • カメラワークが悪い。
    • 今作では視点は基本的に自動で動く。ボタンを押せばカメラが正面を向くが、多くの3Dアクションゲームでよくある「右スティックで視点移動」は出来ない。そのため不便という意見がある。
    • ユミル操作時に、「バードビュー」と言う俯瞰視点を開け、そこから目的地を指定して自動移動させる事ができる。しかし自動移動するよりも、プレイヤーがダッシュさせた方が早いので、バードビューでユミルを目的地の方角を向かせ、後は手動でダッシュするのが効率的である。
      • …と行きたい所だが、バードビューを開くとカメラが必ず北を向いてしまい、勿論手動で視点移動はできない。その状態でユミルを走らせるとすぐに方角が判らなくなる。
      • 苦肉の策で、ユミルを目的の方角に向かせた後、一旦主人公の視点に切り替え、再度ユミル視点に戻すと言う手があるが、なんとも面倒。
    • Wii版ではWiiリモコン+ヌンチャクという操作なので、更に不便に感じやすい。
  • オートジャンプが追加された関係で難点もある。
    • 段差ではオートジャンプが暴発することがある。もし付近にアイテムがあっても非常に拾いにくくなってしまっている。
    • 崖や急斜面などではオートジャンプが連続で発動し、操作しづらくなる事も。主人公が回転し続ける様は見てるこっちが気持ち悪くなりそう。
  • 依頼などでアイテムを受け取る際、ボタン連打してしまうとそのまま相手にあげてしまう事がある。
    • 貴重品もあげてしまう場合があるため、ここはプレイヤーが気を付ける必要がある。
  • アイテムやモンスターのグラフィックは前作『フロンティア』からの使い回しが多い。
    • 一応、本作は前作と違って視点が目まぐるしく変わる為、同じグラフィックでもある種の新鮮さがある。
  • PS3版はHD解像度での出力ができるものの、グラフィックはWii版とあまり変わらないため(同ハードの作品と比べると)粗く感じる。
    • 但し、背景や人物などのグラフィックはルーンファクトリーの雰囲気に合ったものになっている。
  • イベントシーン等でのキャラクターのアップが2Dから3Dに変わったのだが、やはりこの手の変更の例に漏れず「2Dの方が良い」という意見も少なくない。
    • 身に着けているアイテム等も表示される、モーションによりキャラの感情が良く分かるなどの3Dならではの長所もある。
  • 「竜のほこら」の利用制限が厳しい。
    • 街の施設の一つ「竜のほこら」では、お供え(現金)と引き換えにドラゴンに「お願い」をする事ができる。指定位置にユミルを運んでもらう、敵のアイテムドロップ率が上昇するなど、多少値は張るが便利な機能がある。
    • しかし物語が中盤に差し掛かった頃になるとドラゴンが去ってしまう為、利用できなくなる。そして再び利用可能になるのはエンディング後。
      • 中盤と言うと、海もだいぶ開拓できて島間の移動が大変になり、合成の環境も充実して本格的に素材集めをしたくなる時期である。そんな時期から利用できなくなるのは不親切としか言い様が無く、エンディング後に再開しても今更感が否めない。
  • 男女主人公制の仕様がかなり独特で、女性主人公でのプレイや男性キャラとの恋愛までの道のりが非常に長い。
    • 主人公分離のイベントがエンディング後なので、それまでは「男性主人公を操作&女性主人公のコメント付きのプレイ」しかできない。分離イベント達成までも結構手順が多く、そこに至るまでは本当に長い。
    • 当然と言えば当然だが、結婚やデートは主人公分離後しか出来ず、女性キャラとの恋愛であってもクリア前は不可能。
    • ヒロイン候補はソニアを含めて10人と従来ほどの人数がいるが、ヒーロー候補はアゼルを含めてもたった4人しかいない。
      • 更にアゼル以外のヒーロー候補達のキャラ付け・設定もやや癖が強め(余談で後述)で、勿論好みにもよるがソニアに切り替えた後で攻略したい気になるかは微妙な所である。
    • また、クリアまで数十時間の長丁場をずっとアゼルでプレイしておきながら、急にソニアに切り替えるのでは感情移入の切り替えがしにくい。一心同体だったとは言えあくまでプレイヤーはアゼルとして行動し、ソニアはパートナーのような存在であったので、切り替えるという事はプレイヤーの立場が突然パートナーと入れ替わるようなものである。
      • ずっとアゼルで冒険や農業をしてきたのにアイテムや能力の全てをソニアに明け渡して、以降はソニアが仕事や冒険の全てを引き受けると言うのも、ゲーム的な都合とは言えかなり変な話*2ではある。理由付けも特に無く、分離時にプレイヤーが「どっちにするか」を選ぶだけ。
    • その為、乱暴な言い方をすれば「女性主人公でのプレイ」も「男性キャラとの恋愛」も、クリア後のおまけ要素のようなものなのである*3
      • 女性キャラについてもエンディング後までは本格的な恋愛ができないので、旧作より不自由と言える。
    • 公式PVでは「途中で選択できる」と語られているが、ED後を「途中」とは普通は言わない。本シリーズはED後もエンドレスでプレイ可能なため、ある意味では間違っていないが…。
    • 次回作『4』は主人公は男女それぞれしか存在しない世界であり、主人公同士の絡みや恋愛こそ無くなったが、最初からどちらでプレイするか選択可能になった。
  • 小ネタや細かい演出がいくつか廃止された。
    • 前作では町にあるオブジェクトを調べた際に他のキャラがコメントを付け加える事があったが、本作では無い。調べられるオブジェクトが多い割には、返って来るのは主人公の同じコメントだけである。
    • 温泉での盗み聞きイベントは健在であり、今回は聞くのも任意で、RP減少のデメリットも無い。
      • …が、イベントの発生自体がランダムになってしまい、しかも確率は低め。主人公もこれと言った反応をしないので味気ない。
    • 鍛冶や調合の際の主人公のモーションが無くなり、棒立ちしたままアイテムを合成すると言う不自然な構図に。
    • 住民に話しかけた際、時間帯ごと最初の会話であれば「おはよう」「こんにちは」などと挨拶をされるのは前作と同様。
      • しかしその際は挨拶の一言だけで会話が終わってしまう事が多い。仲良し度アップの為に日課的に話しかけているだけの場合ならテンポが良く好都合だが、ちゃんとした台詞を聞きたい時には再度話しかけなければならず却って煩わしい。
    • 恐らく、前作の反省からテンポやスピーディーさを重視した結果だろうが、少々重視し過ぎたのか別段問題でも無かったような所まで削られ、味気なさが一部に生じてしまった印象がある。
  • 最後まで明かされない謎がある。
    • 住民達の詳しい設定はしっかりと語られる一方、メインストーリーに関しては曖昧な部分が散見される。ラスボスの正体や、主人公二人が一つの身体を共有してしまった理由など、明確には語られず終いの謎が多い。
    • ラスボスの正体に関してはラスボスが遠回しに語るが、そのラスボスが最期に語るそれまで聞いた事の無い単語や思わせぶりな台詞については結局何も明かされない。
      + ラスボスに関して(ネタバレ)
    • 本作の敵役であり、ラスボスである「仮面の男」だが、ラストバトル中に仮面を取った事で実は男ではなく女であった事が判明する。
    • 正確にはラスボスの本体はその「女」の体に乗り移った意識体なのだが、その意識体の方も性別不明で、そもそも性別という概念があるのか自体が怪しい存在である*4
      • ラスボスはラストバトル直前まではローブを羽織っているので体格からも性別は分からず、「男」というのは単に口調と雰囲気がそれっぽいから便宜上そう呼んでいただけである。良く言えば「悪人は男に決まってる」という先入観を逆手に取ったサプライズとも言えるが…。
    • にも拘らず、正体が判明してもラストバトル時の名前表示が「仮面の男」のままというのは違和感が強い。
      • 性別不明の相手(主に敵)をとりあえず「男」と呼び、後で実は女だったと明かすミスリード演出は他作品でも見受けられるが、正体を明かした後も「男」と呼び続けるのは本作くらいであろう。
      • その原因は他に呼び名が無いからだが、それも正体を遠回しにしか明かさない所為である。はっきり明言すれば、その正体の方の名前で呼べば良いのだから。
  • その他の不満点。
    • 前作にはあったイベントスチル(一枚絵)が無くなった。立ち絵が3D化した為かもしれないが、従来通りのセルアニメは普通にある訳で。
      • また、アニメムービー数も大幅に減少。恋愛対象キャラとの出会いを描くアニメが無く、結婚式のアニメも手しか映らない汎用のもののみ*5になってしまっており、総合的には前作と比較にならないほど減っている。
    • 仲良しイベント後はソニアが一言コメントを添えるのだが、これがイベント内容と合っていないケースが散見される。
      • 険悪な雰囲気で終わったのに「良かったね」、良い感じに仲良くなったのに「ふ~んだ」「どうしよう…」などと、まるで皮肉や嫉妬のようなボイスが出る事が多々。断っておくと、ソニアはそのようなキャラではない。
    • 細かい点だが、操作中のソニアに違和感がある。
      • ソニアの操作中のモーションがアゼルの使い回しであり、特に立ち姿や歩き方などが男性寄りで、女の子にしては雄々しい。その一方でイベント中やNPC化した時は普通に女の子らしいポーズや動きになる。気にしなければそれまでだが意識し出すと気になってしまう。
      • また、戦闘時のボイスの口調が普段と異なる。通常は「~だよ」「~だね」という口調で一貫しているが、戦闘ボイスでは「~わ」「~わよ」と言った口調になり、キャラが少々ブレている。

総評

据え置き機第二弾だけあり、前作『フロンティア』の粗を多く改善。全体的にシンプル且つスピーディーなプレイが可能となった。しかし、シリーズの売りである農業パート関連が成功したとは言い難く、「前作の正統進化」と素直には言えない作品となった。
また、シリーズ初の男女主人公制も限定的であり、売りとして前面に押し出すには弱いので、それ目当てに買うのはお奨めしない。
レビューサイトでは、本作の前に発売された『ルーンファクトリー3』のプレイ・未プレイで大きく評価が分かれる印象である。
もし興味があるなら、初めから「ルーンファクトリーらしい農業生活は送れない事」「主人公の選択はクリア後まで出来ない事」を考慮した上でプレイを検討すると良いだろう。


余談

  • ルーンファクトリーシリーズは今作で初めて「男性の攻略可能キャラクター」が登場したのだが、上述した通り攻略可能キャラクターは人数は男女で偏りがある。これに関してプロデューサーのはしもとよしふみ氏は公式ブログにて「今までの男性主人公の相手は少なくする訳にはいかない」と述べていた。
    • 一方、次回作の『ルーンファクトリー4』では女性主人公でのプレイが本格的に可能になった関係か、攻略キャラクター数が男女で均等化され、以降は本家である牧場物語シリーズと同様に男女どちらの主人公でも平等に楽しめるスタイルとなっていった。
      • しかし本作の時に上記の発言をした事が仇になり、「ヒロイン候補を減らされた」という不満を抱く一部ファンからそれを引き合いに出して批判される格好になってしまった。詳しくは『4』の記事を参照されたし。
  • PS3版では『3』と同じくインターネットランキングが存在し、更には結婚候補キャラクターの人気ランキングも存在するのだが、キャラクターの人気不人気が露骨に分かる結果となってしまった。特に「男性の攻略可能キャラクター」は顕著である。
    • 本シリーズをギャルゲーとして捉えているプレイヤーがメイン購買層だったと言う事もあるだろうが、アゼルを除くヒーロー候補3人はヘタレトラブルメーカーしかおらず、好みが分かれそうなキャラ付けになっている。
      • 兄貴肌のトレジャーハンターのジョーはいい年扱いて悪戯好きの大人げない悪ガキ風キャラ。美男子の商人のジェームスは商才に乏しく家計は妹頼りのシスコン。真面目な雑貨屋経営者のビスマルクは人見知りで姉に振り回されるヘタレと、全体的に頼りなく好感の湧き辛い設定が多い。乙女ゲーで想起されるような「格好良い」「頼り甲斐がある」と言ったようなヒーローのイメージとはかけ離れており、そういった点を求めたプレイヤーも落胆させたのだと思われる。
    • 勿論、彼らにも彼らなりの魅力はあるのだが、能力や人格が優れていたり親しみやすいキャラ付けが多いヒロイン候補達に比べるとネガティブな(言うなれば「ダメな」)面の方が強調されている印象が強く、今回はただでさえ人数が少ない中でキャラ付けが偏っていると言わざるを得ない。恐らく開発陣がまだ女性視点の恋愛ゲームの感覚を掴めていなかったのだろう。
      • この点はヒーロー候補が増えた次回作以降で改善されていく。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ルーンファクトリー
  • マーベラスエンターテイメント
  • ネバーランドカンパニー
  • ARPG

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年06月07日 20:03

*1 一応サブイベントでこの件に関わってくる住民はいる。

*2 本編開始前からアゼルは精霊魔法や剣術を会得し、元々似たような生活を送っていたが、ソニアの方はそう言った事は無かった。

*3 実際、公式サイトのスクリーンショットでソニアが操作キャラになっているものは僅か二つ。PVでも殆ど映らない。

*4 CVも女性声優で、その体の持ち主の声とは別人が担当している。

*5 しかし何故か季節毎には差分がある。