少年サンデー&少年マガジン WHITE COMIC

【しょうねんさんでーあんどしょうねんまがじん ほわいとこみっく】

ジャンル RPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 ウィンキーソフト
発売日 2009年10月15日
定価 5,250円(税込)
判定 なし
ポイント 良くも悪くも古臭い
戦闘長すぎ
原作への愛は感じられる
少年サンデーシリーズ
少年マガジンシリーズ


概要

サンデーVSマガジン 集結!頂上大決戦』に続く、『週刊少年サンデー』『週刊少年マガジン』50周年のコラボゲーム第3弾。
両誌の人気作品キャラが多数登場するRPGで、『サンデー』『マガジン』のコラボゲームでも最大のキャラ出演数を誇る。

ストーリー

ある日、少年は不思議な事件に巻き込まれる。
少年の父親が突然目の前から謎の異空間へとさらわれてしまったのだ。
呆然とする少年の前に現れたのは2人のマンガキャラクター、金田一はじめと江戸川コナンだった。
少年は2人から「マンガ界」の現状と、父親がそこ囚われていることを知らされる。
少年は父親を救うため、2人から託された「ホワイトコミック」を手に、マンガ界へと乗り込んでいく。

(公式サイトより引用)

  • 主人公は桜井ヒカルと遠山ケント、二人のうちから選択する。(名前は変更可能)
    • 前者は少年サンデー好き、後者は少年マガジン好きという設定で、サブイベントで手に入る仲間が異なる。

ゲームシステム

  • 基本的にはありふれたターン制のタイマンバトル。精神力を消費してキャラクターを召喚するか、アイテムを使うかで自分のターンは終了する。
    • キャラの召喚形態には「技」「サポート」の二つがある。
    • 「技」は相手への攻撃、自己回復、補助を行う。レベルが上がればコンボ(×2、×3などと表記される)や合体技も使用可能。
    • 「サポート」はキャラクターを召喚して主人公の隣で補助させるというもの。サポート中のキャラは技は使用できないが、同系統のサポートを二つ出すとより大きな効果が得られる。
  • 敢えて言うと、相手の体力を削り切れば勝利となる。
  • 同じ作品のキャラを複数仲間に登録すると、その作品のキャラの技を繰り出す際「フレンド」を用いてパワーアップできる。
    • 逆に、自分が相手の使う技と同作品のキャラを登録していた場合、「フレンド」を挟み込むことで、その効果を軽減させることができる。
    • フレンドは一度に最高4人まで追加可能。相手とダブった場合はその技は相殺される。
    • 技の発生中、原作において攻撃することができないキャラ*1を割り入れた場合、技を無効にできる。

評価点

  • 総勢100名以上、技として使えるのは50名近くのキャラクターが存在しながら、役に立たないキャラがほとんど居ない。
    • キャラ間バランスはレベルアップにつれてあたかも戦闘力がインフレするバトル漫画のように高いレベルで拮抗している。
    • 当然全員が全員メインウェポンとして戦えると言う訳ではないが、精神力消費の多少の違いで使いやすさがあったりと、上手く差別化が図られている。
  • キャラクターの繰り出す技は原作の漫画の一部カットをカラー化したもので、非常に見栄えが良く好評。
    • 決して原作のイメージを損なうような下手な色塗りではなく、例えば青山剛昌作品では原作の淡い絵の具塗りのような色合いになっており、原作ファンが違和感を覚えるということも無い。
  • 一度仲間になった後はほぼ空気になってしまうキャラが多いものの(後述)、仲間イベント時は全キャラがそれなりに喋る。戦略シミュレーション等でありがちな「会話も無く気がついたら仲間になっていた奴がいる」「一言も台詞が無い仲間キャラがいる」ということは無い。
  • そして、原作つきゲームで98作品参戦というのは後にも先にも本作のみだろう。*2タイトル画面直前の版権表示は圧巻の一言である。
  • キャラクター登場時の演出・クロスオーバーはファンのツボを正確に抑えており非常に凝っている。
    • あだち充キャラの「同じ顔」ネタ、高速で戦うサイボーグ009と8マン、コータローに間違われるらんま、久米田康治作品の雑誌の枠を越えたネタなど。合体技も雑誌の枠を越えた作品が多数あり、前作のクロスオーバーにガッカリしたファンからは喜ばれた。
    • 他にスポーツ系のキャラが仲間になった後に『あしたのジョー』のジムに行くと丹下段平がそのキャラの評価コメントをしてくれる等、ミニイベントにもクロスオーバーが仕込まれていることも。
    • 中には、ステージ3のタイトル「友情・努力・勝利」や、本当の意味での「火事場のクソ力」といった版権的に危ないネタも。

賛否両論点

  • 良く言えば王道、悪く言えば陳腐で無粋なシナリオ
    • シナリオの大筋は「6つの世界を冒険し仲間を集めて、諸悪の根源マンガ王を倒しに行く」というもの。
    • 敵幹部は「自分以外は馬鹿に見える生意気なガキ」「すぐボーイズラブに結び付ける腐女子」「卑怯な手段しか使えないデブ」「強敵と書いて友と呼ばせる筋肉バカ」など。
    • 終盤のダンジョンでは上記の敵幹部が全員復活、再戦する羽目に(いわゆるボスラッシュ)。
    • ボスラッシュという設定自体は他作品でも多く見られるもので批判の対象ではないが、敵幹部と主人公との平行線なやり取りを再び見せられるのは本当に苦痛である。その上、敵幹部復活の際、とある味方キャラクターから「まぁ(敵幹部復活は)お約束だからしょうがない」とメタじみたことを言われる。
    • このメタ発言には、主人公らが普段マンガを読む立場、つまりシナリオの舞台となる「マンガ界」の外にいるという点も忘れてはならない。
  • 主人公らオリジナルキャラクターのイラストが良いとは言えない。どちらかといえば漫画雑誌というより、教育漫画によくあるような絵柄といった感じ。上記シナリオの問題もあり魅力に欠ける。
    • ちなみにヒロインは出番すらほぼ無い。
  • 多くの作品が一通りのキャラクターを押えているが、主人公のみ単独で参戦や、仲間やライバルはいるのにヒロインのみ不在といった作品が多少ある。
    • 『天才バカボン』がパパ、ハジメちゃん、本官のみ*3というデコボコした参戦であったり、『ドロロンえん魔くん』は主役3人組のうちえん魔くんと雪子姫2人だけの参戦であったりと、参戦キャラが変にまちまちな作品も。
    • 主人公のみ単独参戦の場合は、フレンドで強化出来ない代わりに絶対に敵に妨害されないという利点も一応ある。
  • 序盤に仲間になる体力と精神力の回復系キャラの一部がやや不遇。
    • レベルアップで数値の上限が大きく上がるのに回復量は固定のため、後々コンボや合体技や強力フレンド等で威力の底上げが無いキャラは、途中で回復量が追い付かなくなったり、上位互換のキャラが仲間になると使う意味が無くなってしまう。
    • とくに『かぼちゃワイン』は上記に当てはまることに加え、マガジン主人公限定キャラである。サンデー主人公でもクリア後に仲間になるが、精神力が2000を越えてから350の小回復を覚えたところで一切使い道が無い。
    • 『もうしませんから』の西本英雄は両主人公共通で最序盤に仲間になるが、マガジン主人公の場合すぐに上位互換の『かぼちゃワイン』が仲間になってしまうため、二者択一でこちらも不遇か。
    • 序盤の仲間キャラでもコンスタントにコンボや強力フレンドが使えるようになったり、終盤に強力な合体技を使えるようになるなど、序盤からクリア後まで使えるよう配慮されたキャラもいるのだが…。

問題点

  • 原作のキャラそのものは戦いに参戦せず、ストーリーは大抵オリジナルキャラのみで進行する。
    • 本作の設定では、原作キャラ達に出会い、彼らをホワイトコミックに仲間として登録することで、主人公の戦う力にするということになっている。
    • このゲームは完全にタイマンバトルがメインであり、いわば武器か道具のような扱いでキャラが手に入るため、一部のキャラ以外は仲間登録完了後空気になってしまうことがほとんど。
    • 敵サイドもしかり。「原作の敵キャラが共謀して立ちはだかる」などといったオールスター物の王道の様な展開は皆無で、中ボスもラスボスもオリジナルという前作の悪癖を引きずっている。
    • 勿論これだけ入り組んだ版権状態であり、実現が難しいという点は否めない。
  • 戦闘のモチベーション保持が困難。
    • 雑魚敵は5種類×カラーバリエーションのみ。全て敵組織の戦闘員。新鮮味ゼロ。
    • 敵キャラが序盤から、主人公と同レベルの回復魔法を瀕死になるとほぼ確実に使用。戦闘が長引く。
    • 中盤になると相手も自分の防御力上昇、相手の攻撃力ダウンといったサポートキャラを召喚するようになる。戦闘が更に長引く。
    • 相手の精神力は豊富なのに対し、主人公側の精神力はあまり多くなく、こまめに回復する必要がある。戦闘がかなり長引く。
    • ボスキャラに至っては、そのエリアで仲間になる弱点を突けるキャラに対してダメージを減らそうと「フレンド」を使ってくる。
      • 仲間にならないキャラクターの性能が一部かなり高い。*4
    • しかし、戦闘が長期にわたるおかげで、単なる脳筋プレイではなくバトル漫画以外のキャラの技で補助をかけると言った戦術が有効であり、どのキャラにも一応の魅せ場が用意される事になる。確かにロールプレイングゲームとしては不出来に違いないが、一概に悪いと断じることは出来ない。
  • 合体技の解禁条件は特定キャラを交互に使う、を計3回使用すること。言われなければ全く分からない。
    • 合体技は非常に強力なのだがゲーム中にヒントも無く、存在に気付かないプレイヤーも発生してしまった。夢のコラボと言えるものもあるため、実に勿体ない。
  • 一部のキャラが仲間になる条件が「敵が使用した特定の技にフレンドを使うとクリア後に仲間になる」であるが、こちらもノーヒント。
    • クリア後はボスと何度も戦えるため全ての技を手に入れるチャンスはあるが、技の使用はランダムなため運が悪いと使用頻度の低い技は見ることすら難しい。また、クリア後に仲間になっても…という威力のキャラも多い。
    • 敵専用キャラを図鑑に登録する条件も敵が使用すること。たったそれだけであるが、こちらも運が悪いと何回戦っても出してくれないし、誰が何のキャラを出すかはわからないため、図鑑コンプが困難。
  • その他、単純にゲームとしての作りこみの甘さが見られる。
    • 必然性も快適性もないのに全操作タッチペン強制。タッチペン特有の操作等はとくに無く、すべて十字キーとボタンで代用可能であるにもかかわらずである。
    • 「薄暗い夕方の町」や「暗い下町」「薄暗い屋内」のマップでは、原作キャラの住む建物が見辛いこともあり、ストレスになることもある。
    • 「装備品」が存在せず、プレイヤーキャラを育てる・強化する楽しみに欠ける。
      • ボス戦で行き詰ったとしてもレベルを上げる以外に攻略法が無い。しかし終盤だとザコ敵から手に入る経験値は雀の涙程度で、レベルがなかなか上がらない。
    • ちなみに一番効率が良いのはクリア後のボスラッシュであるが、初回プレイ時にはザコと戦う以外に無い。
    • 宝箱の中身は約半分が敵。残りの半分も回復や戦闘補助のアイテムばかり。宝箱を空けるメリットがほぼ皆無。

総評

キャラゲーとしては決して悪くないのだが、設定の都合上、サンデー・マガジンのキャラとの冒険や戦闘を満喫したいという願いには十分に応えられなかった。
このゲームを一言で表すならば「古臭い」。いまいち不親切なシステムや長ったらしい戦闘、王道シナリオに対するメタなどはまるで一昔前のゲームを見ているよう。
原作への愛と、長期戦に耐えうる覚悟があればプレイしてみても損は無い…と思われる。


余談

  • 最初にサンデー主人公かマガジン主人公を選ぶかで仲間になるキャラが変わるが、クリア後はもう片方の主人公限定の仲間イベントも発生するようになるため、片側のみの主人公で全キャラコンプが可能。
  • 各種ボスとはクリア後に何度でも戦うことが出来るが、ラスボスのみ一度しか戦えない。図鑑コンプには支障が無いためとくに問題は無いが。
  • 『湘南純愛組!』の主人公鬼塚英吉は本編クリア後のラストダンジョンの深部に出現と、何故か作品そのものが隠しのような扱い。
    • GTOの鬼塚英吉と同一人物だが、本編上で出すにはストーリー上問題があるというわけでもなく、性能的に壊れているというわけでもない。本編中に仲間にならないのはこの作品のみである。
  • 一部のキャラはプレイヤー使用時と敵使用時とでイラストが違う。『はじめの一歩』の一歩や『らんま1/2』のシャンプー等が該当。
  • フィールド上にタイガーマスクのちびっこハウスがあるが、イベントが何も無い。原作の施設で何も無いのはここくらい。シナリオが削られたか、開発途中だったのだろうか?

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最終更新:2022年10月17日 18:46

*1 主人公とヒロインの関係が多い。

*2 後にスマートフォン向けソーシャルゲーム『ジャンプチ ヒーローズ』では100作品以上が参戦したが、リリース開始から100作品参戦するまでに約4年ほどかかっており、本作とは事情が異なる。

*3 ハジメちゃんは保育所、本官は交番があるため参戦が決まったと思われる。しかし他作品は「メインキャラが全員集まっているところで」、もしくは「主人公キャラが仲間になるときに他メインキャラが集まる」といった形で一斉に仲間になるパターンが多いため、バカボン一家もそれでよかったのでは?という疑問が湧く。

*4 低コストで精神力を大幅に減らすサイコジェニーや体力を大回復する殺生丸など。