【あいどるますたー でぃありーすたーず】
ジャンル | アドベンチャー | |
対応機種 | ニンテンドーDS | |
メディア | 2048MbitDSカード | |
発売元 | バンダイナムコゲームス | |
開発元 | マイクロビジョン | |
発売日 | 2009年9月17日 | |
定価 | 6,279円 | |
周辺機器 | DSi/LL独自機能対応 | |
通信機能 | ニンテンドーWi-Fiコネクション対応(*1) | |
レーティング | CERO:C(15歳以上対象) | |
判定 | なし | |
ポイント |
ジャンルを変更し新規ユーザー向けの構成に シリーズ初のグラフィックつき男性キャラの登場 シナリオは高評価もシステムにやや難 |
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アイドルマスターシリーズ |
シリーズの外伝的作品(*2)。「PROJECT IM@S 2nd VISION」と銘打たれた『アイマス』シリーズ新展開の第1弾。「アイドルマスターDS」「アイマスDS」とも記載される。
新興プロダクションの「876(バンナム)プロダクション」を舞台に、「日高愛」「水谷絵理」「秋月涼」の3人の新人アイドル達の成長と活躍が描かれ、アイドルは876組、DS組とも記載される。ディアリースターズの呼称はゲームタイトルを指したり、主人公3人の総称を指したりしたが、『OFA』で1つのステージに立つユニットライブが実現したのを契機にユニット名と認知された。
ジャンルが過去作のアイドル育成SLGからアイドル視点のADVに変更。マルチエンディング制を採用しており、ゲーム上の成績(オーディションの勝敗)によってシナリオ展開やエンディングが多彩に分岐する。初の任天堂ハードタイトルでもあり、全体的に新規ユーザーやライトユーザー層を意識した構成で期間の制約がない等、ゲームの難易度は若干低い。実際に本作で『アイマス』に触れたというファンも少なからず存在する。
+ | 876プロ・アイドル候補生達 |
当初は、2nd VISIONでは765プロがリストラされるといったような見当違いのデマ(実際にはそれを超える酷い扱いだった)がゴシップ系ブログ等もあって警戒されたが、発売から日数の経過とともに実際に手にしたプレイヤーが増えるにつれて下記のような正当な評価がなされていった。
上記のような評価点の一方で、主にゲームシステム面を中心に、問題・賛否両論となる不備も挙げられた。
発売当初は後述の事実と異なる売り上げ不振などから面白くない作品という風評が先行したが、ゲームの出来は決して悪くなく、現在はシナリオを中心に一定の評価がなされている。その後の作品評価の見直しや関連商品の売り上げの高さに反して、自滅的な販促と供給打ちきりによる機会損失が影響しているため、売上の数字のみを以て本作の内容が悪かった根拠とするには苦しいものがある。
『アイマス』とは切っても切れない関係にある二次創作の現場においても今作のキャラクターたちが十分に市民権を得ている事も、今作がユーザーには黒歴史扱いされていない証であり、765組ではなく876組を創作の中心に据えているユーザーも少なくない。そうしたユーザーからの根強いフィードバックを無視して記録から抹消せず、むしろ定期的にゲームやアニメなどへのゲスト出演させている事からも公式の商業的な評価も決して低いものではないことが窺える。
DLCの追加出費が必要ないため、入手が困難な事を除いては『アイマス』の入門編として悪くない作品である。今では目立った展開が無い、関連商品が少ないというのも新規の「推し(ファン)」や「担当(プロデューサー)」が追いつきやすい利点と考えれば、876プロダクションのアイドルは入門者に間口が広いと言える。
初週の売れ行きが鈍かったこと、ワゴン送りになる一部の大型店舗の写真がゴシップ系ブログを中心に拡散したことで本作を黒歴史に推す動きもあった。様々な要因がもっともらしく指摘されていた。
+ | 売り上げ不振の要因とされた点 |
しかし実際は、ワゴンの写真は発注を誤った一部の店舗、在庫を大型店舗に集約させたチェーン店の年度末セールのものであり全国的に見られた光景ではなく、2010年には初期出荷本数の大半が市場から消えている。
参考までに、メディアクリエイトの初週消化率から逆算した出荷本数と累計を元に最終的消化率を計算した数字を示す(*12)。
出荷 | 55,740 |
初週 | 30,786 (消化率 55.23%) |
2009年 | 44,408 (251/1000位) |
2010年 | 7,129 (813/1000位) |
累計 | 51,537 (消化率 92.46%) |
販売不振のイメージに反して、廉価版、3DSリメイクやWiiUへの移植、VCによる復刻もないためそれなりに高値で維持されている。
*1 2014年5月20日にサービスは終了したが、本作はDSi以降の機種ならWPA2による通信に対応していた。
*2 ただし、外伝という位置付けはあくまで本作発売時には765プロ中心の世界しかなかったこと、プロデュースで競うシステムしかなかったこととの比較であって、別事務所を中心にした様々な派生シリーズが増えた現在では外伝とわざわざ強調する意味はない。
*3 舞の年齢が29歳で娘の愛が13歳なので舞が16歳の時に出産した(2009年の時点では、民法上では一応問題なかった)。そのうえ「実はかつて、日本史に残るほどの超トップアイドル」であり、13歳からわずか3年間しか活動しなかったにもかかわらず、未だに伝説として芸能界に語り継がれるほどのチート級実力者である。ただし、同様の実力者は本作以前にドラマCD『Eternal Prism01』に神長瑠衣(声:久川綾)、以後に『OFA』で玲音(声:茅原実里)が存在している。
*4 涼には“桜井夢子”という人物がライバル(ヒロイン?)として深く関わって、いわゆる「公式CP(カップリング)」ができあがっているうえ、涼自身も正体を隠している後ろめたさ、恋愛が目的ではない事から同じ事務所のアイドルに対しても鈍感である。その為プレイヤーが「765のアイドル達が涼と恋仲になるのでは?寝取られるのでは?」という心配を抱く可能性は低い。そのうえ、765のアイドルたちは自分のプロデューサーへの憧れをしつこいくらいアピールしているので、さらなる進展を見出すのはプレイヤー自身の寝取られ願望に他ならない。
*5 「そう、僕だ。」
*6 876プロのアイドルで唯一プロデューサーがついている水谷絵理と尾崎玲子のストーリーは信頼をテーマにしており、プレイヤーの手腕がありつつもポテンシャルの高いアイドルに商業的な成功をもたらす目標以上に大事な存在、アイドルが自立できる一定の成功をしても頼られていくという、アイドルマスターシリーズ全てに通じるプロデューサーの理想の関係がアイドル視点から示唆されている。
*7 765プロのアイドルは既に全員ランクAで幾度も勝ち負けを経験した末に勝ち負けで一喜一憂することがないステージから駆け出しの876プロへアドバイスをしてくれるうえに、日高愛のストーリーで母への対抗心に囚われ、アイドルを目指す理由や歌うことの楽しさを忘れていると天海春香に指摘させることでオーディションの勝敗が全てではない事が強調されている。これで勝ち負けにこだわれば、それは765アイドルを未熟と言っているに等しい。
*8 ちなみに、愛の持ち曲である「ALIVE」は元々舞の曲であるという設定があるのだが、舞にボイスが設けられていない影響で本家本元の「ALIVE」が存在していないという問題点が存在している。
*9 絵理のコミカライズは、本来バッドエンドに行く選択をしつつ重い展開を回避してトゥルーにいくフォローを入れていて原作以上に綺麗にまとまっているとの評価がある一方、未プレイには罠という評価もある。
*10 愛のコミカライズで登場する「ごはん山盛り太郎」により大食い的なイメージもついた。
*11 アーケード上がり家庭用機の古参プレイヤー中心だった当時の考え方で、視点こそプロデュース側だが自分の色に染める要素はない携帯電話機の『アイマス』シリーズが支持を集める現在では既に歴史的な意味しかない。
*12 エンターブレイン(ファミ通)集計では2009年の段階で1万本上振れしているが、消化率に着目するためメディアクリエイトの数字を採用した。
*13 2014年2月23日のSSA(さいたまスーパーアリーナ)で日高愛(戸松遥)が登場、2016年8月6日には『SideM』における秋月涼の声優に三瓶由布子の続投が決定して、特に携帯電話向け『アイマス』からの新規プレイヤーから注目を集めて需要が増加、一時期のように安価で購入することが一層難しくなった。
*14 現在はファンにより補完されたテキスト部分を読むことが可能なので、まずはググれ。
*15 『シャイニーTV』というソフト自体が、基本無料+楽曲課金式に近い作りとなっている。
*16 もっとも、裏を返せば涼以外の面々は冷遇状態が続いているという指摘も存在するのだが…
*17 早い話がアイマス版VTuber
*18 とはいえvα-livが最初に歌ったカバー曲が本作の主題歌である「HELLO!」であり、本作の絵理が配信アイドルとして活動していることを言及したりするなど、後から考えると伏線ではないかと思われる個所も散見されていた。