麻雀学園2 学園長の復讐

【まーじゃんがくえんつー がくえんちょうのふくしゅう】

ジャンル 脱衣麻雀
対応機種 アーケード
発売元 フェイス
開発元 カプコン
稼働開始日 1989年1月
判定 なし
ポイント イタズラシステムを廃したガッカリゲー
男性キャラとの対戦可能という誰得要素


概要

1989年にリリースされた業務用脱衣麻雀ゲーム。前作『麻雀学園 卒業編』(以下前作)の続編にあたり、麻雀学園の学園長・脇坂圭子が前回の雪辱を果たすべく、浅井春雄にリターンマッチを挑むというシナリオ設定となっている。開発は前作に引き続きカプコンだが、版権の一部が前作のユウガからフェイスに譲渡されたため同社が発売を担当、大きな違いとして脱衣シーンのHボタン連打によるイタズラが無くなり(理由は後述する)、一枚絵が表示されるのみとなった点が挙げられる。また本作に於いて使用された基本ゲームシステムやBGMは、後にPCエンジン初の脱衣麻雀ゲームとして発売された『麻雀学園 東間宗四郎登場』にそのまま流用されている。

システム

  • 前作同様、勝ち抜き形式の麻雀ゲームとなっており、3回和了するか相手の持ち点をハコ以下にすれば勝利となり次の対戦相手が登場する。一方、プレイヤーの持ち点は1000点からスタート。後半面では1500点となり、0点以下になるとゲームオーバー。対局中の持ち点は実際の麻雀同様、和了を重ねる度に加算されていくが、対戦相手が変わると初期値にリセットされる。なお、前作には持ち点とは別に「スコア」の概念があったが、本作では撤廃されている。
  • ラウンドセレクト制を導入し、「ナイトシティ」・「オフィスシティ」・「ライトシティ」の3シティから好きな面を選んでゲームを始めることが可能。各シティに女性2人男性1人・計3人の対戦相手が待ち構えており、各シティ最初の女性は固定で残りの女性・男性はランダムな順番で登場*1。3人とも倒すとシティクリアとなり次のシティに進める。これを繰り返し、3つのシティにいる9人全ての対戦相手に勝てば脇坂圭子との対戦となり、彼女を倒せばエンディングが流れ、その後2周目が始まる。
  • 1人3枚の脱衣グラフィックが用意され、和了点の多寡に関わりなく1度の和了で1枚ずつ服を脱いでいき*2、最初の和了で相手の持ち点を0にすれば3枚の脱衣グラフィックが順番に表示される。但し今作に於いてはHボタン連打によるギャルへのイタズラは廃止され、ただ眺めるだけの仕様となっている。なお男性キャラとの対戦時には脱衣の代わりに「ボタンを使い相手を一方的に殴る」というフィーチャーが導入され、殴ることで「POWER」を溜めることが可能。さらにその後、スロット・神経衰弱といったミニゲームでPOWERを稼ぐことができる。
  • 前作同様、対局中にPOWER(以下パワー)を拾うことができ、これを集めることで各種のイカサマ技が使えるようになる。さらに今作では配牌後の第1打を打つ前にパワーを賭して「アガリ宣言」を行うことが可能。役の難度に応じて倍率が高くなり、最大で一度に1000パワーを得ることが可能となっている*3。またリーチ後に50パワー以上を有していれば50パワー消費して「パワーヅモ」の使用が可能。目押しが出来る上、3回まで使え、イカサマを多用するCOMへの有用な対抗策となる。
    • 積み込み・アガリ宣言・パワーツモは併用できない。つまり、積み込みを行った局ではアガリ宣言やパワーツモが使えず、アガリ宣言を行った局ではパワーツモができない。
    • 何も使わずにあがるとパワーが増え、さらに何も使わずにステージクリアするとステージクリアボーナスとして持ち点がパワーに還元される。
  • 前作においてもそうであるのだが、実はプレイヤー側の配牌は「上がりの完成形」から「何牌かを抜いた状態」に「ランダムの牌を加えた状態」で配られており、本来の完成形に必要な牌は、これからツモる牌の中に全て含まれている(ただし四喜和や大三元などの鳴きが前提の配牌も存在し、このパターンの場合は除く)。よって、プレイヤーが攻略すべきは麻雀の本来のセオリーなどではなく「どういった完成形から、どのような牌が抜かれたか?」ということを推測するのがこのゲームを攻略する鍵である。
  • ディップスイッチの概念そのものがなくなり、難度設定や東西ルールの選択はソフトウェア側で行うようになった
    • 関東ルールはツモ平和有・七対子2翻25符、関西ルールではツモ平和無し・七対子1翻50符。
    • さらに、ソフトウェア側の設定次第ではパスワードコンティニュー方式になり、コンティニューを断念した際にその時の状態とパワーを引き継ぐためのパスワードが表示されるようになる。

評価点

  • 溜めやすくなったパワー。一度に拾えるパワーの量が増し、より多くのパワーが溜まる仕様となった。さらに「アガリ宣言」を成し遂げることにより、パワーを一気に増やすこともでき、強力なツミコミ技を使いまくり、ガンガン進むことも可能である。
    • さらに、本作では緑一色・大車輪*4の積み込みが比較的低パワーで使えるようになっている。もちろん禁断の積み込みは前作同様「役満確定・アガリも確定」である。
  • パワーヅモの導入。本作でも「ロン牌掴ませ」(後述)という卑怯な技をCOMは頻繁に使ってくる。前作に於いてはリーチを避け相手のロン牌を抱え込めるようにする程度しか対応策が無かったが、今作では面前でも聴牌さえすれば、パワーヅモを使用してこの危機を回避することもできるようになった。
  • 前作から続く秀逸なBGM。本作のサウンドは『大魔界村』『戦場の狼』などを手がけ、タイトー移籍後はZUNTATAのコンポーザーを務めた河本圭代と、数多くのカプコンアーケード作品においてサウンドデザインやサウンドプログラムを手掛けた坂口由洋が担当している。

問題点

  • グレードダウンした脱衣システム。
    • グラフィックやBGMそのものは前作と同等のクオリティを維持しているが、Hボタン連打が無くなったため他の脱衣麻雀との差が無くなり、ごく普通の脱衣麻雀ゲームとなってしまった。これは前作でHボタンを客が強打・連打したことによりHボタンの故障が全国各地で相次ぎ、ゲーセン側がメーカーにクレームを出したことに起因している。それなら今作の「敵キャラの男性をAボタンやMボタンで連打するのはいいのか?」ということになるのだが、この場合プレイヤーはそれほどの強打をするわけではないらしい。プレイヤー層の嗜好がはっきり出ている事象と言えよう。
  • COMがリーチをかけると、非常に高い確率でプレイヤーにロン牌を掴ませるという、COMの露骨なイカサマは今作に於いても健在。
    • さらにこちらの浮き牌・不要牌に合わせてテンパイ形を作って狙い撃ちしてくるという、もはやイカサマを通り越したチート技まで使って、プレイヤーからコインを毟り取ろうとしてくる。
    • 実はCOMは最初から基本的にテンパイしており*5、リーチをかけた何巡目か後のプレイヤーかCOMのツモに当たり牌が転がってくるようになっている。
  • ツミコミ使用や、アガリ宣言時の猶予時間の短さ。
    • 局の開始前に「ツミコミを使用するか?」「アガリ宣言するか?」などCOMが聞いてくるが、その際プレイヤーに与えられた考え時間は僅か3カウントのみ、実時間にして2秒程度という短さであり、ほとんど考える余裕も与えられない厳しい仕様となっている。
  • 対戦相手として男性が登場。何が悲しくて金を払ってまで男と麻雀を打たねばならないのか。
    • 「ボタンを使い相手を一方的に殴る」機能は『麻雀学園 東間宗四郎登場』に流用されたが、男性の敵キャラは脱衣要素同様に非難の対象となった。これは当時流行していたアクション系ゲームの要素を、今作の麻雀ゲームにも導入したいという販売元のFaceの意向が大きく関係しているが、どう考えても斜め上の試みだったと言わざるを得ない。

総評

版権が譲渡された背景もあるが、ゲーム自体は決して悪い出来では無いのだが、前述の通りセールスポイントであった「イタズラシステム」が無くなり、至って普通の脱衣麻雀ゲームと化してしまった作品。


その後の展開

  • この不評を受けたのかフェイスは暫く業務用脱衣麻雀から遠ざかる結果となり、1994年の『自分を磨くカルチャースクール・麻雀篇』までそのリリースは待たれることとなった。
  • 一方、本作の版権関係で麻雀学園の続編を出せなくなったカプコンと販売のユウガは、1990年に『スーパー麻雀(禁)版*6 を出したのだが…。

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最終更新:2023年07月07日 02:19

*1 男性と対戦する場合、相手側点数の「GAL」の代わりに「ENEMY」と表示される。

*2 一部、1枚どころじゃないケースもある

*3 役が成立しなかった場合、賭けたパワーはそのまま没収。三暗刻を宣言して暗刻3つを含む大三元をあがったり、小四喜を宣言して大四喜をあがった場合など上位役が優先されて下位役が成立しなくなった場合も不成立とみなされる。また"ツモ"の和了宣言はツモの役が成立した場合に限られるため、鳴いた場合や役満をツモあがりした場合は不成立。

*4 1~7、2~8、3~9など同じ種類で7連続の数牌で作る役満(ローカル役の性質があるためゲームによっては採用されていないこともある)。本作では1~7やピンズ以外でも成立する。

*5 役満に絡む数種の牌を鳴いた後にテンパイするパターンもある

*6 タイトルロゴでは、麻雀はMAHJONG、"(禁)"は○の中に"禁"の字。基板のラベルには"MG3"とあり、ROM中には元々『スーパー麻雀学園』として開発されていた名残が残っている