本ページでは『クロヒョウ 龍が如く新章』とその続編『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』を紹介しています。



クロヒョウ 龍が如く新章

【くろひょう りゅうがごとくしんしょう】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 セガ
開発元 セガ、シンソフィア
発売日 2010年9月22日
定価 通常版:6,279円/DL版:5,600円
レーティング CERO:D(17歳以上対象)
判定 なし
ポイント 少人数対戦に特化したバトル
携帯機では中々のボリューム
龍が如くシリーズ


暴力の果てに、誇りはあるのか?



概要

極道の世界を描いたアクションアドベンチャーシリーズ『龍が如く』の派生作品。
スピンオフタイトルであるが、パラレル扱いの『OF THE END』(以下『OTE』)とは違って時系列は本編シリーズと地続きであり、本作は『4』の半年後が舞台となる。
犯罪のもみ消しを条件に、神室町の地下格闘技場「ドラゴンヒート」でファイターとして生きることになった、暴力しか信奉できない不良少年の右京龍也が主人公。

「暴力という言葉は社会的にも嫌われている。しかし、暴力でしか何かを見つけられない存在もいて、納得のいく暴力もあれば、暴力を使う卑怯者もいる。社会から脱落者を都合よく出すような言葉だと思う。その想いを描きたくなった」とシリーズプロデューサーの名越氏が語っているように、作品のテーマは「暴力」と位置付けられている。


ストーリー

神室町に立つ1人の少年。少年の名は、右京龍也。
「力こそがすべて」と信じ、暴力でしか自分を表現できないその少年は、高校中退後、神室町の闇に身を投じながら喧嘩に明け暮れる毎日を過ごしていた。

ある雨の日、闇金を襲撃し金を横取りするという大胆不敵な計画を龍也は画策する。
あまりに無謀な行動に仲間たちが離れていく中、1人で襲撃を試みる龍也。しかし、そこにいたのは東城会直系九鬼組の幹部"戸田直輝"だった。
龍也に襲い掛かる戸田。
しかし、龍也はそれを圧倒。野獣のごとき強さで戸田をブチのめす。勝利に酔いしれ、高笑いする龍也だったが、気づくと戸田は死んでいた……。

九鬼組幹部殺害により、東城会、そして警察から追われる身となった龍也。
神室町からの逃亡を図る龍也だったが、九鬼組の組長"九鬼隆太郎"によって捕らえられ、ある場所に連れてこられる。そこは、九鬼組が運営する非合法の地下格闘場"ドラゴンヒート"だった。
「戸田殺しを見逃す代わりに、ドラゴンヒートで闘え」
龍也にそう迫る九鬼。それは、自由を奪われた少年に課せられた宿命であり、少年に選択の余地などない。
己の拳で運命を切り開くため、右京龍也は闘いの舞台に上がる。


特徴

  • バトルシステム
    • 周囲の様子よりも闘っている当人たちをメインに写す格闘ゲームに近いカメラワークに変更。本編より臨場感の高い戦闘が演出されている。
    • ゲージの非表示。
      • 体力ゲージや、必殺技を使用するためのヒートゲージといったゲージは一切画面に表示されない。
        体力は画面の端が赤くなったり心臓の鼓動音が早くなることで、ヒートは主人公の体が光る事で表現している。
    • 攻撃は□ボタンがパンチ、△ボタンがキック、○ボタンが掴みという3つの攻撃方法に細分化。それぞれのボタンの組み合わせや後述のスタイルによってコンボになることもある。
    • スタイルシステム
      • 本ゲームでは「スタイル」と呼ばれる概念があり、「ボクシング」「古武術(合気道)」といった全19種類の格闘スタイルのいずれかを装備し、攻撃の性能やステータスを変えて戦闘を行う。
        戦闘を繰り返すと経験値がスタイルが成長し、新たなコンボや技を習得。いくつかのスタイルを全て成長させたり、キャラクターに教えてもらう事で新たなスタイルを得ることも可能。
      • このスタイルシステムは後に『龍が如く0 誓いの場所』で本編サイドに逆輸入・引き継がれる要素となった。
    • 部位ダメージ
      • 主人公、敵共に頭、胴、足、腕の四種の部位の概念があり、それぞれに戦闘中ダメージが蓄積していく。
        あまりダメージを受けると軽症、重症とダメージレベルが上がり、頭に蓄積したのなら気絶状態になりやすくなり、腕ならば防御や攻撃にデメリットを生じさせたりする。
    • 本編シリーズのように落ちている空き瓶や看板を拾って攻撃に使うこともできる。ただし本編シリーズとは異なり、武器類を携帯して持ち歩く事は出来ない。
  • イベント
    • CGムービーではなくコミックに音声を載せる形式のムービーで、『メタルギア』シリーズの『MPO』や『MGSPW』とほぼ同様のもの。コマ割を意識したカットや擬音表現などが特徴的に使用されている。
  • にゃんこ
    • 本編シリーズのコインロッカーの鍵的な扱い。にゃんこは全101匹で、神室町各所に散らばっており鳴き声等を頼りに探すことになる。一定数捕まえるごとに修行メニューの料金が割引きされる。

評価点

  • 爽快なバトル
    • 殴る音蹴る音といった攻撃音が非常に凝っており、敵にダメージを与えた感覚がわきやすい。
    • スタイルシステムも一つ一つのスタイルが非常に個性的で、それぞれで立ち回りも大きく変わるので戦闘がマンネリ化しにくい。
      • コンボ数も結構豊富で、これによって結構多彩な動作を楽しめる。
    • 一方、本編シリーズのような「敵中に突っ込んで大暴れする爽快感」は薄い。基本的に1対1となるボス戦と合わせて少人数戦に特化したバトルと言える。
  • グラフィック
    • 戦闘中のグラフィックがとても美麗で、キャラの顔がクッキリとみえる。
  • 本編シリーズ同様のやりこみ要素。
    • シリーズ恒例のキャバクラや、豊富なサブストーリーにミニゲームといった寄り道要素も充実している。
      • 特に神室町の不良グループとの抗争を描くサブストーリーは大長編となっており、本編顔負けの熱いストーリーが展開される。この大長編サブストーリーは『阿修羅編』におけるサブストーリーに繋がる話でもある。
    • シリーズ初の少年主人公という事で様々なアルバイトが可能になり、本編シリーズには無い独自のミニゲームがプレイできる。
    • 他にもPS3のトロフィーのような機能、にゃんこ、トレーディングカードといった収集要素もある。
    • 容量の都合上、本編シリーズに比べるとやや少なめではあるが、それでもかなりのボリュームである。
  • ストーリー
    • 主人公右京龍也は自分の考えだけを貫き通していたが、事件を通して様々な人物と出会っていくうちに新たに自分の哲学を見出し、DQNから最終的に1人の漢へと成長していく様は必見である。
    • 据え置き機に比べ容量等のハンデがある携帯機としては中々のボリュームであり、上述のサブストーリー等をこなしていると据え置き機タイトルと遜色ないプレイ時間となる。
    • ドラゴンヒートで闘う対戦相手も、人間描写やバックグラウンドがしっかり作られている。数人の対戦相手は試合後もやり取りがあり、『クロヒョウ2』に端役ながら出演している者もいる。

問題点

  • 移動時の問題点
    • 神室町のマップ移動時は『1』や『2』同様にカメラワークが自動で切り替わる形になっているが、頻繁に切り替わり見づらかったり、操作が混乱する場所が多い。
      • また特定の人物から逃げるイベントなどを行う際にも、このカメラワークが原因で操作ミスしやすい。
    • マップ全域を駆け回ることになるのに移動手段が徒歩のみで、本編シリーズにあるタクシーの様な移動手段がないのでサブストーリーの消化がやりづらい。
    • 更に神室町の移動中にカメラワークが切り替わると短いものではあるがロードが発生するため、移動に若干の不便が生じてしまっている。
      • 一応、本作では『OTE』に先駆けて、マップ上にサブストーリーの発生場所が表示されるので、絶望的に手間がかかるという程でもない。
      • 続編ではタクシーが登場し、この点は解消された。
  • バトルにおける問題
    • 敵の強さ
      • 雑魚敵も結構強い高めの難易度と、かつ格闘ゲームに近いスタイルが本作の長所でもある。
        が、これによって「一度敵に囲まれると、そのまま三方を囲まれて袋叩きにされかねない」という現実に即したかのような短所もあり、かなり腕の立つプレイヤーでないと所持アイテム次第で詰みかねない。
      • 通常打撃をガードした上でカウンターを叩きこめる「キャッチ」というシステムが本作にはあるが、本作のCPUは高い確率でこれを成功させてくる。
        ある程度慣れたプレイヤーならば、CPUがキャッチを決めてくるタイミングをある程度察知して、コンボのタイミングをずらして対処出来る。何より、この仕様でないと、敵が皆「ただ主人公に殴られるサンドバッグ」になってしまう為、この超反応は必要悪とも言える
        しかし、多くの初~中級プレイヤーにとっては、ボタンを連打して打撃を数発入れれば必ずキャッチされてコンボを強制中断されてしまうため、爽快感を得難いという欠点に繋がっている。
      • 実はこのゲームのCPUは、全身の各部位のダメージレベルだけでなく、体力の残量が減るにつれて反応速度は若干低下する。
        この仕様によって、序盤は牽制で少しずつダメージを蓄積させて、相手が消耗してきた中盤以降に猛ラッシュをかけて勝負を決める、という現実の格闘技に近い感覚のプレイを楽しむことができる。
        この仕様に気付けるか否かでコンボの自由度への理解等の戦闘の楽しさが変化するが、プレイ中にはなかなか気付き難い。
    • 格闘スタイルの性能の偏り
      • 本作の格闘スタイルは、下位スタイルをある程度育てるとより上位のスタイルへと派生していく仕様である。下位スタイルが用なしになり易いが、これ自体は仕方ない面はある。
      • しかし、下位スタイルに限らず、「打撃前後が隙だらけ」「打撃のリーチが極端に短い」「投げ技も強くない」「スタミナが切れ易い」という最早救いようのない、産廃同然のスタイルも複数生じてしまっている*1
  • ボスキャラの仕様
    • 本作のボスは強い。が、強いだけでなく問題のあるキャラクターも存在する。
    • 本作では、諸事情により「頭部を攻撃してはいけない」という制約の下で戦うボスキャラクターが存在する。
      問題は、本作は頭部への攻撃手段が極めて豊富であること。例えば、積極的に殴りにいかなくても、格闘スタイルによっては上記のキャッチを上手に決めても勝手に頭部へ攻撃してしまう。ヒートアクションなど決めようものなら嫌でも命中する。そして頭部へのダメージが一定以上になると即死させられてゲームオーバーに。
      そのため、プレイ中に理不尽さや不自由さを感じるという意見を持つプレイヤーも居た。
  • キャストについて
    • 全員が全員ではないが、棒読みの箇所が目立つ。
    • 特にヒロイン格といえる工藤沙紀の声はずば抜けた棒読み具合であるにもかかわらず、要所要所で登場するのでかなり目立っている*2
      • ボス戦では事あるごとに場外でヒントを喋るので、人によっては盛り上がるべきボス戦が苦痛になってしまう可能性も。
    • 主人公の右京龍也を演じる高良健吾の演技も叩かれることが多いが、こちらは戦闘中のボイスは非常によく、イベント中の演技も気だるい感じで合っているとする声もややあるので賛否が割れる。
      • この影響かは不明だが、続編では担当俳優がドラマ版で主演を務めた斉藤工に交代となった。また、沙紀についてはストーリーに登場しなくなり、ボス戦では本作にも登場したDJ RIKUOHが実況を担当するようになった。
  • 本作のシステム上仕方のない事だが、本編シリーズにある「敵を蹴散らしながら進むダンジョン」のステージは無い。
    • 敵の群れを突破する、というシーンこそあるがただの連戦でしかない。
  • これもハードの都合だが、プレイスポットに一部簡略化が著しいものがある。
    • 例えば『3』から人気のカラオケだが、今作では龍也が歌う静止画数枚をバックにただボタンを連打するだけ。歌も主題歌をそのまま流すのみであり、本編のような凝った内容を期待すると肩透かしを喰らうだろう。
      • スコアも記録されず、プレイしてもただ体力が回復するだけの効果しかない。
    • マッサージも背景にはお姉さんの姿が映るものの、やる事はカラオケ同様のボタン連打で、効果も同じく体力回復。寧ろプレイヤーは疲れが溜まる。

総評

荒削りな部分があり無視できない問題点も多々あるものの、戦闘システムの独自性や爽快感は好評を得た。
また本編譲りのサブイベントの豊富さなど全体的な出来は安定している。


クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編

【くろひょうつー りゅうがごとく あしゅらへん】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 セガ
開発元 セガ(龍が如くスタジオ)、シンソフィア
発売日 2012年3月22日
定価 通常版:5980円(税5%)/DL版:5600円
レーティング CERO:D(17歳以上対象)
判定 良作
ポイント 前作から正統進化
新要素も良好
本作でストーリーに決着をつけた
龍が如くシリーズ


失った誇りは 戦って取りもどせ!



概要(2)

クロヒョウシリーズの二作目。前作から一年後、光の当たる場所へ出たはずの主人公が再びドラゴンヒートへと返り咲く。 危機に陥った「ドラゴンヒート」と大阪の謎の格闘技集団「阿修羅」との死闘を描く。 また、続編を匂わせる引きで終わった前作からの物語に決着を付ける完結編的内容となっている。
前作の要素のボリュームアップに加え、新マップとして『2』『5』『0』でお馴染みの「蒼天堀」の追加など数々の新要素が追加されたほか、システム等に改められた点もある。

また、初回特典には真島吾朗が唄うロック系の映像「真島のマジROCK」が収録された。


あらすじ(2)

ルール無用、勝敗の予測不能な非合法の地下格闘場「ドラゴンヒート」で、伝説の十連勝を成し遂げた若者は、
仲間たちに別れも告げず、日本を離れ、アメリカの地を彷徨っていた。
「神室の狂龍」と呼ばれた、その強者の名は「右京龍也」。
人生とは?誇りとは?何かを掴みかけたはずの若者は苛立っていた。
アメリカの地下格闘界でも連戦連勝の快進撃を続けていたのだが、その心が満たされることはなかった。
そんな折、ボクシングの才能を認められ、プロとしてデビューするため、自分の意志とは関係なく、帰国することとなる。

神室町は以前と変わらず、危険に満ちあふれていた。
その路地裏で龍也はチンピラに絡まれていた少年、坂本信司を助ける。
何と信司はドラゴンヒートの若きファイターだった。
ドラゴンヒートの名を聞き、自分の中で忘れかけていたものを思い出す龍也。
そのドラゴンヒートが大阪・蒼天掘の地下格闘団体「阿修羅」の神室町進出により、壊滅の危機に陥る。
龍也は、新たにできた仲間たちのため、そしてかつて自分のすべてを懸けて戦っていたドラゴンヒートを守るため、
輝かしい将来を捨て、再びドラゴンヒートのリングに上がる決意をする。

その裏で、神室町全体を巻き込む巨大な野望が動き出していた…。


前作からの追加・変更点

基本的なシステムは前作とほぼ同一。ここでは変更点のみを書く。

  • バトル
    • レベルアップした時点で、成長ポイントが与えられて、それを好きなパラメータに割り振ることが出来る。
      これによって、自分のプレイスタイルに合わせてキャラクターを強化することが出来るようになった。
    • アクションも増加。
      • 掴んだ敵を任意の方向に投げ飛ばすことができるようになった。
        壁に敵を投げて叩きつけた状態であれば、龍也がヒート状態でなくとも自由に発動できる「ウォールヒート」。
        壁や窓ガラスに穴を開けて、そこに敵を投げて決着を着けることもできるようになった。
    • 仲間を連れて、戦闘に参加させる事ができるようになった。
    • 格闘スタイルにスキルを導入
      • 各スタイルのスキルポイントに応じて、「パンチ威力○%上昇」「体力○%上昇」「ガードブレイク」等のスキルを任意で付与させることが出来る仕様に変更。スタイルの自由度が上がった
      • 完璧に習熟したスタイルのパンチやキック、ヒートアクション等を自由に組み合わせて、自分の好みの格闘スタイルを構築出来る「我流」も搭載された。
  • 移動中に突然起こる「クライムイベント」が追加。
    • 街の中を歩いていると、突発的に事件が起こることがあり、MAP上にCのマークで表示される。
    • 発生したイベントは、しばらく時間が経過すると自動的に終了してしまう*3
    • クライムイベントで困った人を助けてから再び助けた場所に戻ると助けた人がお礼をくれる(絶対にもらえるわけではない)。
  • にゃんこ
    • 前作から1匹増え、102匹集めることになる。
    • 本作で捕まえたにゃんこはにゃんこカフェで仕事をするようになる。
  • 着せ替え
    • 実在のアパレルブランドとコラボした衣類を自由に着替えられるようになった。
    • 過去作ではクリア後の「プレミアムアドベンチャー」中のみ可能だった。
  • オートセーブ、どこでもセーブ
    • 龍が如くの世界では、公衆電話でセーブするため、特定箇所でしかセーブできなかった。
    • 本作ではどこでも好きなタイミングでセーブができるようになった。

評価点(2)

  • 熱く、意外性あるストーリー
    • 前作のドラゴンヒートのファイター達がそれぞれのドラマを持ち、龍也と熱くぶつかり合っていった者が多かったのに対し、本作の敵となる「阿修羅」の面々はろくでもない悪党ばかりである。
      それ故、今作は勧善懲悪的な雰囲気が強まり、前作のような「各章のライバルとの熱いぶつかり合い」という要素は薄く、その点で残念がるプレイヤーの声もある。
      しかし、その生き様を後輩達に示して奔走する、前作で言う「活人拳」と言えるものを体現した龍也の生き様と、それによって動かされる彼を取り巻く人々の様子は、間違いなく一見の価値がある。
      • 本作の黒幕は、龍也と似た境遇で育って似た感性を培ったものの、全く違う人生を選択した、極めて手強い策略家である。
        彼の謀略に時に翻弄されながらも、自分の生き方と戦いを貫き通す龍也。その彼と黒幕が何を語り、黒幕が龍也にどのような影響を受けて、最後に何を決断するか。その点は特に見応えのあるドラマになっている。
        その黒幕とのラストバトルでは湘南乃風の主題歌「Born to be WILD」がボーカル付きで流れるという本編シリーズでもほとんど類を見ない演出*4があり、いやが上にも盛り上がる。
    • 主人公の龍也自身、前作の戦いを経て人間的に大きな成長を遂げている。DQNから始まった前作とは打って変わり、主人公として申し分ないキャラへと変貌を遂げた彼の視点で追う為、モチベーションを下げることなくストーリーを追っていける。
      • 相手が悪漢揃いという事もあり、熱いヒーローの顔になった龍也の手で遠慮なくぶちのめせる爽快感もある。
    • 前作に登場した九鬼の息子で龍也の相棒となる隆昌、上述した後輩達もいずれもキャラが立っており、見せ場や掘り下げもしっかり用意されている。
    • ドラゴンヒートを巡る裏世界の確執などが骨太に描かれており、スケールの壮大化と共に意外性のある展開で驚かせてくれる。
    • 前作キャラも多くが再登場し、メインストーリーやサブストーリーに絡んで来る。前作未プレイの人は、可能であればまず前作のプレイをお勧めしたい。
  • 前作に引き続き爽快なバトル
    • 前作からアクションが大幅増加、戦闘がマンネリ化しにくくなり、より爽快なバトルが楽しめるようになった。
    • 上記のウォールヒートに限らず、コンボ一つとっても細かい改善点が見られる。
      • 前作においては、「→or←キー+パンチorキック」といった発生の早さが異なる以外に意味の無い打撃もあった。
        しかし今作では、それらに「相手のガードをこじ開けるガードブレイク」や「当たれば相手に片膝をつかせるスタン効果」等、コンボを工夫するだけのメリットを持たせている。
    • バトルスタイルに関してはかなりの改善が加えられた。
      • 任意で付与できる「スキル」に加えて、最大までレベルを上げた際の各スタイルのスペックが相対的に上昇している。
        これにより、例え派生前の下位スタイルであっても、前作のような「ただの下位互換」になっていない。好きなスタイルで最後まで遊び易くなっている。
      • シナリオ後半で修得する「我流」スタイルは、「パンチ」「キック」「つかみ」「ヒート」の4項目を習得しているスタイルのモーションに組み替えて戦うことができる。
        良好な性能の技を組み合わせて最強のスタイルを作るのも、見栄え重視のスタイルにするのも自由自在。「スキル」も7つと豊富にセットできる。
  • ビジュアルは前作から正統進化。
    • 主人公の表情などもやや変化し、進化している。
      • 特にキャバクラは、モーションが追加される等大きく進化した。
  • 『龍が如く』シリーズらしいおまけ要素も多数。本編以上にそちらで熱くなるのも恒例。
    • サブストーリーもいつも通りの充実ぶり。ギャグ、感動、風刺などバラエティに富んだサブストーリーは勿論、前作で本編にも負けないほどにアツいストーリーを繰り広げた不良グループの抗争は前作の面々も再登場しつつ新たな展開を見せる。
    • 「麻雀」「パチスロ」「ゴルフ」といった新しいミニゲームが導入されている。
      • 前作から引き続き登場したものには操作系の変更がいくらか行われている。
    • アルバイトも「串カツ屋」「たこ焼き屋」といった、大阪ならではのアルバイトが用意されている。
    • 「カラオケ」はバックが静止画という点は変わらないが、今回はしっかりリズムゲームとして作られており、スコアも残る。
      • 曲は初回特典にも収録された「真島のマジROCK」。なんで兄さんの歌がカラオケにあるのか…。
  • 大阪マップが追加されたことにより、ボリュームもアップ。
    • 同じく大阪が追加された『龍が如く2』と同様、世界の広がりを実感し、その上で『クロヒョウ』ならではの大阪を体験できる。
  • 快適性も向上。
    • タクシーが使用可能になり、移動の利便性がかなり向上した。
  • ボス戦の実況。
    • 前作では棒読みヒロインに水を差される仕様だったが、今作ではリングアナのDJ RIKUOHが直々に熱い実況で盛り上げてくれる。
  • シリーズの小ネタもいくつか。
    • 当時ケータイアプリとして展開されていた『龍が如くモバイル』の主人公が登場したり、『2』『4』でその微妙な偽物ぶりで笑わせてくれた偽桐生がまさかの再登場を遂げたりなどの小ネタも描かれる。
    • 偽桐生は今作で本名が明らかになるが、まさかの…。

賛否両論点(2)

  • 龍也の声
    • 『1』の項目にもある通り、主人公龍也の声は前作の高良氏から実写版のクロヒョウで龍也役を務めた斎藤氏に変更された。
    • それにより全体的に演技力が向上したとの声が多いが、前作の高良氏はバトル時の気合や絶叫等が非常に上手かったため、その点で本作は迫力に欠けるという批判意見も少なからずある。
      • とはいえ、前作の事件を経て龍也が成長した結果と見る声もあるので一概に悪いとは言い切れないだろう。

問題点(2)

  • 前作でも指摘されていたが、カメラワークがあまり良くない箇所がある。
    • 特に蒼天堀では、道の真ん中の自転車のせいで非常に見づらかったり視点変更の性で進行先がわかりにくくなる箇所がある。
    • 逃亡者を追いかけるシーンや、敵の大群から逃げるシーンはこの視点が最大の敵となる。
  • クライムイベントの不快感
    • 本作の新要素クライムイベントは「龍也が事件に自ら首を突っ込む、もしくは静観する」ものである。必然的に不快なものも混じっている。
      • 単に女性や弱者に絡むチンピラを追い払って感謝されるイベントは多い。しかし「困っている人を助けようとしたら逆に因縁をふっかけられる」といった、理不尽な目に遭うものも複数ある。
        これを避けようとすると、「(助けたら助けたで因縁をふっかけてくる相手が)怪我を負わされて病院に運ばれた」といったテロップが流れてイベントが終了したり、どの道不快感を覚える結末に終わることも少なくない。
      • 上述した女性や弱者を助ける場合でも「助けた女性が実は悪女で恩を仇で返して来る」「実は被害者もグルで嵌められる」という善行で馬鹿を見るというケースもあり、人助けする気が失せてくる。
      • 理不尽に襲ってきた相手を返り討ちにしても敵は無言で姿を消し、龍也が「余計なことすんじゃなかったぜ」などとぼやくだけなので結局カタルシスは得られない。
    • 加えて、発生条件が極めて厳しいものが二つあり、コンプリートが難しい。どれほどかと言えば「40時間プレイしたプレイヤーですら、普通にプレイすると遭遇せず、存在に気づきすらしない」という程。
  • 前作同様、逃走パートが存在するが異様に難しいものがある。
    • 前述したカメラワークの問題も据え置きなのに加え、ちょっとした操作ミスですぐに追いつかれる箇所も。距離も基本的に長めなので集中力も要され、失敗の度に最初からやり直しなので神経が磨り減る。失敗を繰り返したからと言って救済措置など無い。
    • あるサブストーリーでは、敵が速くて真っ直ぐ走っても追いつかれるシーンすらある。
      • 「移動速度アップ」のスキル持ちの相棒を引き連れていれば何とかなるが、情報無しではそんな事は分かりようもなく、そもそもスキルを持つ者を仲間にできていなければどうにもならない。
  • ランキングシステム
    • 本作を絶賛するプレイヤーでさえ、このシステムを"本作唯一にして最大の失敗点"と酷評する代物である。
    • 過去の「ボスランキング」や「○○闘技」と言ったランキングシステムは、"過去に戦ったボスキャラと、任意のタイミングで好きにバトルが出来る"ことが魅力であった。しかし今作では以下の負の三大要素があり、これら全てが重なってプレイヤーに襲い掛かる。
      • タイミングは一定時間後。しかも期間内の特定の場所でしか受け付けない。
      • 相手もCPUが選ぶ。好きな相手と自由に戦えない。
      • 防衛戦と称して、同じ相手と何度も戦わないとより上位の相手と戦えない。
    • これにより、上位29人に勝ち抜くだけのランキングバトルであるにもかかわらず「待ち時間だけで何十時間もかかる」上に「無駄に120回以上もバトルしないと勝ち上がれない」という、お楽しみやり込み要素にあるまじきものと化してしまった。
  • 前作ヒロインの沙紀は登場しなくなったばかりか存在にすら触れられていない。
    • 演者の都合もあるのかもしれないが、前作でがっつりストーリーに絡み、龍也にも少なからず好意を抱いていたのに一言も触れられないのは流石に寂しい。せめてサブストーリーなど声の出ない場所に登場しても良かったかもしれない。
  • 前作に続き、イベントスキップはクリア後限定。
    • クリア前は倍速しか出来ず、負けた際のやり直しが面倒なのは変わっていない。

総評(2)

システムは前作から正統進化、新要素も概ね好評といえる出来栄えとなっている。
ストーリーも前作の続編としても完結編としても出来が良く、特に前作から続けてプレイすればより一層良さが実感出来る。
前作プレイヤーは是非、そして未プレイヤーは前作から続けてプレイし、「クロヒョウ」の戦いの行く末を見届けて頂きたい。


余談

  • 2016年に本作で秋田靖人を演じた高知東生氏が逮捕されてしまい『龍が如く』シリーズのゲスト声優では初の逮捕者が出る事態となってしまった。
    • その為、公式サイトからは秋田の紹介と高知氏のインタビュー動画が削除される事態に。
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最終更新:2024年02月07日 06:10

*1 リーチの短さとスタミナの少なさが足を引っ張る「ボクシング」と、上記の欠点がほぼ全て当て嵌まる「武器マニア」がこれに該当する。

*2 CVはTVドラマ版でも沙紀を演じている女優の波瑠。

*3 プレミアムアドベンチャーでも全てのイベントが何度でも発生する。

*4 ボーカル曲をバックに戦うのは『5』の大吾戦などのごく一部のみで、ラストバトルで主題歌がそのまま流れるのは本作のみである。