紫炎龍

【しえんりゅう】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード(ST-V)
発売・開発元
稼動開始日 1997年
判定 なし
ポイント 『大王』の後継作
シューティングとしてはごく平凡
紫炎龍
紫炎龍 /撃王 紫炎龍/ダブル紫炎龍


概要

  • 後の『トリガーハート エグゼリカ』で一部シューターにとって有名になるメーカー、童がアーケードにてリリースした縦スクロールシューティング。
  • 本作の4年前にアテナからリリースされた『大王 DAIOH』と非常に似通ったゲームデザインとなっている。…というよりかはほぼリメイクと言っても良い。メインショットの性能やアイテムの種類、各ステージの敵配置などに至るまで、『大王』と重なる点が大きく目立つ。
    • 童というメーカーは『大王』のリリース元であるアテナからの独立組が立ち上げたメーカーであり、本作は『大王』の一部スタッフが開発に関わっている。
  • 二人同時プレイ可能。全8ステージ構成の2周END。

主なルール

  • 操作系統。
    • 本作はレバーと2ボタン(メインショット・ボンバー)を使用する。
      • レバーにて自機の八方向移動。
      • メインショットボタンでメインショットを放つ。
      • ボンバーボタンで使用回数制限のあるボンバーを放つ。
  • ショットチェンジとアイテムについて。
    • 本作は『大王』同様にアイテム取得によるショットチェンジ方式を採用している。
      • 専属のショットアイテムを取得すると、自機のショットとボムの性能が変化する。
    • 敵を破壊すると以下のアイテムを落とす。
  • ショット系アイテム。
    • 赤 (チェンジバルカン):ゲーム開始時の初期ショット。メインショットが広範囲に攻撃可能なバルカンとなる。ボムは幅の広い扇形の攻撃範囲形。
    • 青 (チェンジレーザー):メインショットが低威力ながらも敵を自動追尾してくれるレーザーとなる。ボムは攻撃力に長ける自機前後方向の攻撃範囲形。
    • 黄 (チェンジミサイル):メインショットが連射がやや効きにくいながらも高威力かつ一部敵を自動追尾してくれるミサイルとなる。ボムは画面の半分程度を覆う攻撃範囲形。
  • パワーアップ系アイテム。
    • P (パワーアップ):自機のメインショットのパワーアップ効果。パワー最大時でも取得すればそれが最大3つまでストックされ、ミス後の復活時における保険となる。
    • P (フルパワーアップ):これ1つで自機のメインショットを最大までパワーアップできる。さらには1回だけ自機ダメージを無効化してくれるシールド効果も付く。
    • S (スピードアップ):自機移動のスピードアップ効果。
  • その他アイテム。
    • B (ボンバー):ボンバーストックが1発増える。
    • スコアアイテム:「見た目が発光ダイオード」の得点アイテム。赤と青の2種類があり、赤は500点、青は5,000点のスコアが入る。
    • 1UP:自機が1機増える。ちなみにスコアエクステンドも普通にある*1ので併用するのが吉
  • ステージクリアボーナス
    • 各ステージのボーナス(1面なら10,000点、2面なら20,000点・・・)に加え、「その時点でのボムの残数×5,000点」と「各ステージクリアまでに取得したスコアアイテム数×500点*2」が加算される。
  • ミス条件について。
    • 敵や敵弾に触れる事による一撃ミスの残機制。一人プレイ時におけるミス後は道中戦は戻り復活、ボス戦はその場復活となる(例外としてラスボス戦は戻り復活)*3
      • ミス後はパワーアップ効果とボンバーストックがリセットされ、ミス前のショット系アイテム状態での復活を余儀なくされる。
        但し、上記のアイテムの項で述べた通り、パワーアップアイテムを保険ストックしておくと、その分のパワーアップを上乗せした状態での復活ができる。

問題点

  • 『大王』を知っているプレイヤーからすれば新作という感じがあまりしない程で、悪くいえば大王のゲームデータとシステムを流用した使い回し作品といえる内容である。
  • 難易度的にも『大王』譲りの厳しさ。
    • 本作は自機がミスせずにパワーアップしていると難易度が段々と上昇していくランクゲーである*4。この難易度の上がり方が幾分か急気味であり、早い段階から敵が殺しにかかってくる。
    • 一人プレイにおけるボス戦はその場復活なのである程度のごり押しでクリアはできるが、ラスボスだけは戻り復活になるため一切それが効かない。それ故にラスボス戦はパターンを覚えないと非常にクリアが困難である。
    • 実はこのランクシステムも『大王』と同じシステムを組込んであることが判明している*5

評価点

  • グラフィック・BGM周りの評価は高い。
    • 「『大王』のコンパチ」のような扱いの本作だが、グラフィックとBGMに関しては完全に別物である。
    • 当時の最新基板(ST-V)の性能を生かした拡大・縮小・回転機能を使った演出がなされ、敵が細かく動く様はなかなかかっこいい。
    • グラフィックの書き込みに関しても『大王』以上に繊細となっており、同時期のシューティングと比べても負けず劣らずな外観を誇っている。
    • やや地味寄りながらもゲームの雰囲気に合った熱いBGMの評価も高い。

総評

  • 良くも悪くも、事実上の「『大王』のリメイク」、これに尽きるだろう。

余談

  • ステージ4では、背景グラフィックにさりげなく 「ダイオード」の回路記号が描かれている というちょっとしたお遊びがある。*6
  • 隠しボーナスとして、1周目のラスボスを「青 (チェンジレーザー)」で撃破すると1000万点のボーナスと残機が5機追加される。2周クリアを目指すにはこれを利用する手もある。
  • ランキングのスコア1~100位全てを300万点以上、尚且つ残機とボンバー残数0で「黄(チェンジミサイル)」を装備している状態に限り、スコアに倍率がかかるモードに突入するという隠し要素がある。
  • 2019年2月に永久パターンが発見され、これによりハイスコア集計が打ち切られてしまった。
  • 奇しくも童は本作とほぼ同時期にACで縦STGである『閃激ストライカー』(1997年・カネコ。使用基板はスーパー・カネコ・ノヴァシステム)を開発・稼働させており、爆発パターンやシステムフォントなどが本作と一緒だったりする*7

家庭用移植

  • マイナー寄りな作品な割に家庭用移植には恵まれている方。現状ではゲームアーカイブスにも配信されているPS版が最も容易なプレイが可能だと思われる。
  • セガサターン版(1997年6月27日発売、童)
    • 原作の使用基板であるST-Vとの互換性能を持つSSでの移植だけあって、その移植度は非常に高いものとなっている。
    • しかし、下記のPS版・PS2版のおまけ的なモードがない硬派移植な上に、フルプライス(定価5,800円)発売であり、購入のハードルの高さが難点とされる。
  • プレイステーション版(1999年5月20日発売、童)
    • 『撃王 ~紫炎龍~』のタイトルで発売された。原作の移植に加え、色々と突っ込みどころ満載なおまけモードが6つも追加されている。
    • 移植度という面では処理落ちの多さ、BGMの劣化などの要因によりSS版よりも劣る出来となっている。またいずれのモードも2周目が存在しない。
    • 初回版から定価1,980円という破格の安さとなっており、おまけの追加も相まってSS版購入者からは「不平等だ」という不満が多く聞かれる。
    • 後にハムスターより1,500円の廉価ソフト『Major Wave シリーズ』としてリリースされている。
  • プレイステーション2版(2003年10月23日発売、ディースリー・パブリッシャー)
    • 『SIMPLE2000シリーズVol.37 THE シューティング ~ダブル紫炎龍~』のタイトルで発売された。オリジナル新作『紫炎龍エクスプロージョン』と原作移植とのカップリング収録となっている。
    • こちらも童の自社開発で、H/Wスペックが向上したPS2だけあって原作の移植度はPS版よりも向上した反面、PS版のおまけモードは収録されていない。
    • 後に『SIMPLE2000シリーズ 2 in 1 Vol.5 THE シューティング ~ダブル紫炎龍~ & THE ヘリコプター』として、他ゲームとのダブル収録発売もされている。
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  • タグ:
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最終更新:2024年02月24日 07:25

*1 デフォルト設定では初回150万点、以後200万点ごとにエクステンド

*2 尚、プレイヤーミスした場合でも取得数はリセットされない

*3 尚、2人同時プレイでは如何なる状況に関わらずその場復活である。

*4 『大王』同様、残機数とボムの所持数もランク上昇の条件に入っており、更に本作では「スコアアイテムを取り続けること」も条件に入っている。特に本作はボムがそこそこ出るゆえ、ランク上昇の優先順位も「パワーアップ状態」や「スコアアイテム総取得数」の次に位置付けられている。

*5 2023年11月2日のアーケードアーカイバーに『大王』と本作のプログラマーであった田端勤氏がリモート出演した際、本人から明言されている。

*6 本作の開発中のタイトルが『大王怒(だいおうど)』だったことの名残でもある。先述の発光ダイオード状の得点アイテムもそれを裏付けている。

*7 プログラマーも本作と同じ田端勤氏