Mr.HELIの大冒険

【みすたーへりのだいぼうけん】

ジャンル STG
対応機種 アーケード
発売・開発元 アイレム
稼働開始日 1987年5月
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント FZ型買い物シューティング
見かけによらず超高難度
R-TYPEシリーズ関連作品リンク

概要

1987年にアイレム(現:アイレムソフトウェアエンジニアリング)より発売された業務用シューティングゲーム。プレイヤーは「ミスターヘリ」と呼ばれるデフォルメされた戦闘ヘリコプターを操作し、惑星の破壊を企むマッドサイエンティスト「マディ」を倒すのが目的。「Battle chopper」(戦闘ヘリ)のタイトルで海外版も発売され、1989年にはPCエンジン版も発売されている。


システム

  • 全6面で構成され1周エンド、自機は残機制とダメージ制を併用し、2人交互プレイ方式。ステージは地上面の前半と地下面の後半に分かれ、地上面の最後に登場する中ボスを倒せば地下面に移り、ステージ最後のボス敵を倒せば次の面に進める。ただし最終ステージには前半後半の区切りは無い。原則として任意スクロールでゲームは進行するが、面途中の一定地点に到達すると自動的に強制スクロールに切り替わるシーンが幾つかあり、スクロールと壁に挟まれるとエネルギーの残量に関係なく即プレイヤーアウトとなる。この他制限時間が設定されており、普通にプレイする限りはあまり無いが時間切れになると、プレイヤーアウトとなる。
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地上面と地下面。地下面は電源装置を撃ち、照明を点ける(画面を明るくする)必要がある

  • 自機の武器はメインショットの他、自機上部から発射されるミサイルと下部から投擲される爆弾の2種。ただしミサイルと爆弾は同時使用できず、飛行時はミサイル、地面の歩行時は爆弾が使用され、各武器とも2段階までのパワーアップが可能である。
  • パワーアップは『ファンタジーゾーン』に見られた買い物方式となっており、本作内の通貨にあたる「クリスタル(単位は$)」を集めて自機を強化していく。パワーアップアイテムはステージ内のブロック等に隠されており、購入できるだけのクリスタルを持っているとそのパネルが明るくなり、これに触れることにより購入が可能。クリスタルが不足していると暗く表示され、触れても購入することができない。
  • クリスタルはザコ敵やボス敵を倒すと出現する他、ブロック内に隠されていたり、「金ヘリ」と呼ばれる敵を撃ち続けることでも得られる。貨種として500$・100$・20$の3種がありその大きさに応じて価値が比例するが、クリスタルは重力に従い落下する性質があり、落ちて割れる度に価値が減っていくので、落下前に取るほうが望ましい。
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落ちて割れるクリスタル。割れる度に2割ずつ価値が落ちる(500x0.8x0.8で320$)

  • 自機の強さに応じてゲームの難度が変わるランク制を採用。自機の武器、特にメインショットのレベルによるランクの変動が大きく、ショットを最強状態にすると射程と範囲が飛躍的に伸びるがその反面、敵の耐久力が上昇し発射される敵弾の数も多くなる。このため攻略記事などでは「ショットのパワーアップは1段階に留める」と記載されていた。武器のレベルは「忍ヘリ」という敵キャラに接触すれば下げることが出来るため(この敵に限り接触ダメージは無い)、ゲームランクを落としたい場合は意図的にこの敵に触れる必要がある。
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金ヘリと忍ヘリ


評価点

  • 全体的にカラフルでポップな色使いのグラフィックは、見た目が綺麗なだけなく、細部まで描き込まれ、1987年当時ではかなりの出来栄え。サウンド面もBGMの他、クレジット投入音やクリスタル取得音などのSEも出来が良い。参考動画
  • 変化に富んだ地上ステージ。青空を飛ぶ1面をはじめ、火山・城塞・洞窟・機械化要塞などバラエティに富み、登場する敵・ギミックも、火山面は溶岩の噴出、洞窟面なら怪しげな生物、城塞面は鎧で武装したヘリ、要塞面ではメカニック系の敵など各面の特徴に沿ったものが登場する。
+ 各面とエンディング
1面
BOSS/シュリンパス
2面
BOSS/アーマーミート
3面
BOSS/カーメンポップ
4面
BOSS/アイアンヘッド
5面
BOSS/タバリアン
6面
BOSS/マディ
エンディング
業務用は1周エンド
  • 自機のエネルギーに上限が無い。エネルギータンク(小)を重ねてとることにより、エネルギーを際限なく増やすことができ、ゲームが進めば進むほど有利になる。ただしエネルギータンク(大)を取るとリセットされてしまう。
  • 地形に当たっても死なない自機。『沙羅曼蛇』『ダライアス』『R-TYPE』など床や天井に接触するとミスとなる横STGが多かった当時、そのどちらに当たってもペナルティが無く、逆に床を歩いた時にだけ使える爆弾を利用して倒すボスがいるなど、地形への接触を避けるどころか、攻略に必要なための要素としてしまった逆転の発想。

問題点

  • 難易度がかなり高い。ライフゲージ制なのだが、ザコ敵からの被弾1発でゲージが3減るなど全体的に受けるダメージが高め。「ダメージ時の無敵時間」などという甘いものは無く、堅い敵に接触すると一気にエネルギーが減り、死に繋がる。
  • 自機が大きくスピードが遅い。さらに当たり判定が全身にあり、敵弾をかわしきれずに被弾しやすい。また自機の速度も遅めで、これをフォローするアイテムはバリアのみとなっている。このため「スピードアップが無いのは辛い、スピードアップさえあれば、こんな肉団子みたいなヘリでもスイスイかわしてやれるものを」と本作を評価するライターもいた。*1
  • 単調な展開の地下面。変化に富んだ地上面と違い、どの面も見た目ほとんど同じ、出る敵も全く同じというワンパターンな展開。ただ面自体が短めなので、気になるという程ではない。
  • 知らずにプレイすると翻弄されるランクシステム。自機を最強状態にすると、反って敵の攻撃が強くなり、ただでさえ高い難度が更に上がるためますますクリア不可に陥る。しかし再プレイ時に弱い装備で挑むとあっさり突破できたりもする。インストカードなどにも書かれていない隠し要素なので、「どうして?」と戸惑うことも。
  • ミスするとクリスタルが無くなる。どんなにクリスタルを溜め込んでいても、ミスすると0に戻されてしまうため、復帰時の立て直しが困難。敵のランクは最低になっているが、後半はそれでも攻撃が厳しく、クリスタルを溜め込む前に再度やられてしまうという展開もありがち。
  • 地上面でのミスは進行状況により途中からの復帰になるが、地下面、あるいはボスでミスをすると地下面の最初まで戻される仕様である。ボス戦でミスをする度に地下面を最初からやり直すのはモチベーションの低下に陥りやすいと言える。

総評

「最強時のショットガンとクリスタル取得音は心地良い」と当時のライターに評された一作。しかし同時に「鮮やかに描かれたグラフィックとサウンド以外に見るべきものはない」と評されるなど絵と音以外にはこれといった特徴が無かった。

難易度は高いものの、敵の出現パターンや攻撃は一定なので何度かプレイすればパターンを把握できる。しかしミスすると溜めたクリスタルが0になって復活に苦労する、戻り復活のため同じ箇所を何度もプレイさせられる、ランク上昇を防ぐためにショットのパワーアップを抑える必要があり、撃ちまくる爽快感に欠ける。などといった要素も手伝いコインを注ぎ込んでまでやりこむプレイヤーも少なく、ライトユーザーからは敬遠されてしまい、極僅かな期間で市場から姿を消した。

余談

  • イメージファイト』のPCエンジン版では、隠し要素としてミスターヘリを使用できる裏技が存在する。
    • また『最後の忍道』のPCエンジン版においても今作のことに触れている隠しメッセージが存在している。


移植版

ジャンル シューティング
対応機種 PCエンジン
メディア 4MbitHuカード
発売日 1989年12月1日
定価 6,700円
プレイ人数 1人
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2008年3月18日/617Wiiポイント(2019年1月31日配信終了)
【WiiU】2015年4月15日/617円(税8%込)(2020年6月30日配信終了)
判定 なし

概要(PCE)

  • 「あまりの高難度で短命におわった」*2業務用の反省点からアーケードと同難度のアーケードモードに加え、難度を下げた「ノーマルモード」を搭載、こちらは敵からのダメージが基本的に1ダメージとなっており、プレイがしやすくなった。1周エンドの業務用と異なり2周エンドの設定となっている。
  • クレジット投入音やハードスペック上の制約から2重スクロール・最終面背景の星雲が無いこと以外はほぼ完璧に移植され、各ゲーム雑誌からは非常に高い評価を得ている。*3
  • Wii及びWii UのバーチャルコンソールでPCエンジン版が617円で配信された。Wiiでは一時配信が停止していたものの、配信元がコナミに移った後に再開された(Wii版はWiiショッピングチャンネル終了に伴い2019年1月31日に、Wii U版は2020年6月30日に配信終了)。
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各面のボス

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最終更新:2023年12月10日 03:39

*1 ファミコン通信ゲームライター・渋谷洋一談。

*2 月刊PCエンジンより。

*3 月刊PCエンジン・マル勝PCエンジン・ファミコン通信ゲームカタログ1991より。