大逆鱗

【だいげきりん】

ジャンル アクションRPG
対応機種 Windows 95
Windows 98 / Windows XP(再販以降)
iOS/Android
発売元 ゲームバンク
サイバーフロント(再販以降)
クレアンスメアード(スマートフォン版)
開発元 日本アプリケーション(現、クレアンスメアード)
発売日 1996年
PCゲームBestシリーズ Vol.6 大逆鱗:1999年
大逆鱗&大逆鱗 II PACK:2005年
スマートフォン版:2019年
定価 7,800円(税別)
大逆鱗&大逆鱗 II PACK:1,980円(税別)
スマートフォン版:無料(広告表示あり)
判定 なし
ポイント ひたすらダンジョンを下に降りていくゲーム
ルール上はローグライク的だが、ゲーム的には別物
作業ゲー感が強く好みの分かれる構成
育成や収集等の楽しさはある
逆鱗シリーズ
逆鱗 / 大逆鱗 / 大逆鱗II / 大逆鱗III


概要

  • 日本ファルコムの『ドラゴンスレイヤーシリーズ』の生みの親、「木屋善夫」が日本アプリケーションに移籍後、最初に手がけた『逆鱗*1』の続編。
    • アクションRPGではあるもののシューティング要素が強く、ローグライクアクションシューティングRPGと言うべきか。
    • なお、タイトルの「大逆鱗」は英語表記の際「 DIE GEKIRIN」と表記する。
    • 30階までしか進めない制約の付いた体験版が存在する。当時のパソコンゲーム書籍等の付属CD-ROMに入っていたので、そちらから知った人もいることだろう。
    • 対応機種はXPまでだが、以降のWindowsでも普通に動き、Win7やWin10での動作も確認されている。

ストーリー

神が宿ると伝えられる伝説の剣「逆鱗の剣」。
10年前、ただの言い伝えとも言われていたその剣を冒険の末、一人の青年が遂に手に入れた。
彼はその剣の力を借りて理想の王国を創り上げ、若き国王として善政を行い、長き平和をもたらすものと考えられていた。

しかし、ある時王の前に邪悪な魔法使いが現れ、「逆鱗の剣」を奪ってしまう。
そして邪悪な魔物に姿を変え、「逆鱗の剣」を自らの身体に吸収し、ダンジョンの奥深くに潜ってしまった。
そして王もそれを追い、ダンジョンの中に姿を消してしまったのである。
これによって、伝説の剣と指導者を失った国は急速に没落し、治安の悪化、国力の低下の一途を辿っていった。

そんな国に、噂を聞きつけた一人の青年とドワーフが、伝説の剣と栄誉を求めて訪れた……

システム

  • プレイヤーの目的は、地下999階に眠るとされる「逆鱗の剣」を手に入れて持ち帰ること。
    • 進行のフォーマット自体は『トルネコ』・『シレン』に代表されるローグライク系のゲームに近く、フロアの何処かにある下り階段を降りることを繰り返すことで下へと進んで行く。
    • ただし本作はあくまでアクションRPGであり、ターンのような概念はなく、リアルタイムに敵が主人公に向かって移動・攻撃してくる。
    • また、フロアの構成はランダムではなく、特定のパターンから階ごとにあらかじめ決まっている。ゲームを何回やり直しても同じ階は同じ構成である。
  • 操作はマウスを使用。移動方向にカーソルを移動させクリックすることで、主人公をその方向に動かすことができる。押し続ければ動き続ける。
    • カーソルをウィンドウ外、アイテムウィンドウなどに移動させると時間が止まる。
  • 敵味方のダメージは数字で飛び出す方式。それ以外のアイテム入手、敵を撃破したメッセージ等はメッセージ欄に文章で表示される。
  • 左クリックで攻撃。装備している剣に応じて、発生するショットの性能と威力が変化する。
    • 本作の剣は全て飛び道具となっており、弾を発射して攻撃する。
    • 武器には耐久値が設定されており、攻撃を一回行うごとに耐久値が1減少する。
    • マウスの左ボタンを押し続けると連射ができるが、連射を続けると「VITAL」のパラメータが下がって行き、それに伴って攻撃力も減って行く。0近くになるとダメージが通らなくなるが、何もせず立ち止まればVITALは急速回復する。
    • 同じ敵を倒し続けると、「○○の△個目の弱点を見付けた。」と表示され、その敵への会心の一撃(クリティカル)が発生するようになる。「LUCK」のパラメータで更に会心の一撃、敵からの痛恨の一撃の確率が変動する。
  • 主人公にレベルや経験値の概念はない。攻撃力・防御力は装備品によってのみ決定される。
    • HPや「VITAL」「MENTAL」「LUCK」のパラメータも存在するが、それらは特定のアイテムを使うと最大値が上昇するシステムであり、ダンジョンから出ても下がることはない。
  • ステージ中に宝箱が設置されており、宝箱を調べるとアイテムを入手できる。
    • アイテムは剣・盾・鎧・消耗品の装備、そしてそれとは別にアイテムや装備していない装備品を21枠分所持できる。1枠(インベントリ)には同一アイテムをそれぞれ999個まで持つことが可能。
    • 手持ちのアイテムは任意のタイミングでゴミ箱に捨てることが可能。捨てたアイテムは消える訳ではなく、後述の倉庫のゴミ箱欄に送られる。
    • 宝箱は画面下から調べなければ開けることはできない。
    • 基本的に敵からアイテムを入手することはない。アイテムを盗む敵のみ、倒すとこちらから盗んでいたアイテムをその場に落とす。
  • 画面右上にマップが表示されるが、アイテムがない場合は登り階段、下り階段の位置しか表示されず、主人公が移動することによってマップが補完されていくこともない。アイテム「ダンジョンの地図」を持っていると通路や部屋の位置が、「ミラー」を持っていると敵の位置が追加表示される。
    • 地図、ミラーは階を移動した際に自動的に使用される。また、HP回復のライフポーションもHPが減って来ると自動的に使用される。
    • 自動使用は設定で切ることも可能(それぞれのアイテム毎に個別で設定可)。
  • 主人公は壁に向かって移動すると、 その壁をノーリスクで切り崩すことができる (特に行動速度の低下や、アイテムの消費等も発生しない)。主人公の移動に関して障害と呼べるのは敵と宝箱くらい。
  • まだ到達していない階層に続く階段には、全て鍵がかけられている。カギを所持していれば、1個消費して開けられる。
    • 通常、鍵はアイテム「階段のカギ」で開くが、特定の倍数階では上位の鍵アイテム「銅のカギ」(10の倍数)、「銀のカギ」(100の倍数)、「黄金のカギ」(1000の倍数)を使わないと開かない。
  • 敵はマップの特定箇所にあるジェネレーターから出現し、主人公に対して壁を考慮した範囲での最短距離で向かってくる(壁を壊す能力はない)。
    • 敵は無限湧きであり、倒しても一定時間後にジェネレーターからまた出て来る。
    • 敵は一部の敵のみが特殊能力として飛び道具を持っており、それ以外は近付かれなければダメージは発生しない。
  • ダンジョンからはアイテム「ワープの羽」を使うか、1Fの階段から上に戻ることで出られる。ダンジョン外ではセーブ・ロードが出来る他、各施設を利用可能。
    • 魔法使いの家……ダンジョンの、既に到達した任意の階にワープできる。有料で、1F当たり10Gが必要。
    • 武器と防具の店……各種装備品が買える。手持ちのアイテムを売ることも可能。
    • 道具屋……各種消費アイテムが買える。手持ちのアイテムを売ることも可能。
    • 鍛冶屋……主人公と共にやってきたドワーフのロバーツの店。有料で装備品のレベルを1上げる(+20が上限)か、耐久度を100回復してくれる。
    • 倉庫……倉庫のアイテムを出し入れできる他、ダンジョン内でゴミ箱に入れたアイテムを取り出すこともできる。
  • 各施設(倉庫を除く)は、大金を払うことで主人公が買い取ることができる。
    • 買い取ると武器防具屋や道具屋は品数が増え、魔法使いの家は料金がタダになり、鍛冶屋はレベルアップの上限が無くなる。
  • ストーリー上のクリアアイテム「逆鱗の剣」は999階、最終クリアのアイテム「大逆鱗の剣」は99万9999階まで到達しなければならないが、中盤以降は律儀に1フロアずつ降りるようなことはほぼなくなる。
    • 中盤以降、「強い酸」(10フロアダウン)などの「一気に階を降りるアイテム」が宝箱・ショップで入手できるようになり、最終的には「メルトダウン」( 1万フロアダウン )までが手に入る。

評価点

  • ダンジョンが奥深くまであることに伴ってアイテムの種類は多く、収集の楽しみは味わえる。
    • 剣・鎧・盾・その他装備アイテムのそれぞれが30種類近く存在し、倉庫に入れてコンプリートすることも可能。
    • 本作の倉庫はゴミ箱も含めるとインベントリ400個近くとかなり大きく取ってあるため、使い勝手は良い。
  • ロード等はほぼ無く、全体的に挙動は軽い。

賛否両論点

  • 極めて戦略性が低く、そもそも戦闘の必要性が殆どない。
    • 敵を倒しても経験値も金も、アイテムさえ落とさないため、 基本的に敵と戦うメリットは無い。 むしろ武器の耐久度を消費する分マイナス。
    • 同じ敵を倒し続けるとクリティカル率は上がるが、飽くまでその種類の敵にしか意味がないものであり、リターンとしてはほぼ無いも同然である。
    • 敵の移動速度は主人公の移動速度とほぼ同等、斜め移動をしてこない点を含めれば主人公より遅く、ごく一部の特殊移動持ちの敵以外からは簡単に逃げられる。そのため、嫌でも戦闘せざるを得ないという状況もほぼ発生しない。
    • そのため、本作は 「適当に敵から逃げ回りながら宝箱を漁り、一杯になった所でワープして帰る」という作業ゲー的な工程がほぼ100%を占める。
    • 前述の通り本作には多数の装備品が登場するが、「戦闘をする必要がない」本作の構成上、ぶっちゃけ実際に使う装備品はその中の極僅かである。
    • チェックポイント毎のボスについてはその限りではないが、ストーリー上のラストである999階とラストの99万9999階の二ヶ所だけであるため、これに関してはその場限りの努力をすればどうとでもなる。
    • もっとも、あくまで本作を 「色々なアイテムを集めたり装備品を強化することを楽しむ(良い意味での)作業ゲー」 として見るのであれば、特にストレスも無く進行でき宝箱開けに集中できるという点において、 変に戦略性を入れてどっちつかずになるよりは理に適っているとも言える。 本作を楽しんでいるプレイヤーの多くはこの見方である。

問題点

  • 非常にストーリーや演出面が薄い。
    • およそイベントと言えるものが発生せず、ダンジョン外の固有のイベントと言えばゲーム開始時と店を買い取った時に店の主人が少し喋るだけ。
    • ダンジョン内でも、100F単位で王などのNPCがうろうろしていて話を聞けるというぐらいで、およそイベントと言うには微妙なもの。
    • ゲームの目的となる999階や99万9999階のボスでさえも、何のイベント等もなくその場から攻撃してくるだけで会話等も一切ない。
    • エンディングは無く、「逆鱗の剣」を手に入れてダンジョンから戻ると一枚絵とともにスタッフロールが流れるだけ。
      • 一応、その後店に入るとそれぞれの店の主人から固有の台詞は聞けるが、それも数行のコメント程度。
  • アイテム管理関連のUIに問題がいくつかある。
    • アイテムは1個ずつしか買えない。地図やミラー等は非常に安価であることもあり、手元に大量にキープしておきたいが、一切まとめ買いできずクリックを連打して買わなければならない。
    • 逆にアイテムを売る際は、1個ずつ売ることができず、手持ちアイテムのインベントリ1個分(エリクサーを5個持っているならその5個まとめて)しか売れない。
    • 中盤以降はアイテムが余りがちになり、特定の高価なアイテム以外を売り買いする頻度が減ってこの点は比較的気にならなくなるが、序盤の金策を考えなければならない状況ではストレスの原因にもなりがち。
  • オプション設定がやりづらい。
    • 「アイテムを自動で使うかどうか」「所持品を自動整頓するかどうか」などに混じって「BGMを演奏するかどうか」が入っていたりと、全くジャンル分けされずに乱雑にON/OFF設定が纏められている。
  • BGMのループが無い。
    • BGMは2周分しか用意されておらず、鳴り終わると以下効果音以外は無音になってしまう。違うBGMが流れるシーンに移行すると復活する。
    • 本作は仕様上あまり同じ階に留まることはなく、ダンジョン内は10F毎に違う曲が流れるため、そこまで長く同じ曲が流れることがないのが救いか。

スマートフォン版

  • 2019年から、iOS/Android向けの無料アプリとしてAppStore、GooglePlayで配信中。配信元はクレアンスメアード(元、日本アプリケーション)
    • ほぼベタ移植で、スマホアプリとしてはUIや文字が小さく。操作が画面上のボタンアイコンな為に操作性が非常に悪い*2等の理由から、各アプリストアでは概ね低評価となっている。
      • 2022年現在は残念ながら配信終了してしまっている 模様。

総評

 RPGは往々にして戦闘を繰り返してこつこつ進めるイメージがあるものの、本作はRPGを冠していながらRPGの概念を覆し、非常に大胆で大雑把で大味なシステムを有しており、頭を使うような場面がほとんど無い。
 ひたすらアイテムを集め、資金を稼ぎ、ステータスをアップしたらボスと戦う。状況によっては雑魚敵を倒さなければならない場面もあるにはあるが、その気になればラスボス以外一切敵と戦わずにクリアできる。
 結局やることと言えば、「ダンジョンにもぐってアイテムを集め、荷物がいっぱいになったら帰って換金」というだけの作業ゲーなのだが、その特異なシステムは、『大逆鱗』最大の特徴・魅力となっている。

 とは言え、本作の時点ではまだまだ至らない、と言うより「足りていない」ところが多い。
 Windows媒体のゲームソフトというものがまだ黎明期を抜けておらず、本作も実質的なシリーズ初作であったという点を考慮に入れても、あってしかるべき戦略性やストーリー性が丸々抜けてしまっている。
 もっとも、当時はWindows媒体のゲームというものが珍重されており、ゲーム全体の要求水準も低かったため、実際はそこまで不満もなく遊んでいたプレイヤーが多いとは思われるが。

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最終更新:2022年03月17日 03:33

*1 対応OSはWindows 3.1だがXPで動作可能なことが確認されている。また、公式に名称使用こそ出来ないもののドラゴンスレイヤー9であると木屋氏は考えている。

*2 タッチ操作を物理ボタンへ割り振りが可能な、スマホ用コントローラー&アプリもしくはPC用Androidエミュレーター上で遊ぶのが吉。