機動戦士ガンダムSEED BATTLE DESTINY

【きどうせんしがんだむしーど ばとるですてぃにー】

ジャンル ガンダムバトルアクション
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 アートディンク
発売日 2012年6月7日
定価 Vitaカード版:5,980円
ダウンロード版:5,380円
プレイ人数 1人
周辺機器 別売メモリーカード必須
通信機能 PlayStation Network対応
判定 良作
ポイント SEED特化
シリーズ随一の爽快感
ガンダムシリーズ

概要

ガンダムバトルタクティクス』から始まった『ガンダムバトル』シリーズのVita版一作目であると共に、Vita初のガンダムゲーでもある作品。
「機動戦士ガンダムSEED」TV放送10周年記念企画の1つという事で、参戦作品を同シリーズのみに絞り、オリジナルパイロットで物語に介入していく。
ガンダム ザ・スリーディーバトル』が色々とアレな出来だった事もあって警戒する見方もあったが、蓋を開けてみれば手堅い完成度になっていた。


特徴・評価点

SEED系網羅

  • 「SEED」「SEED DESTINY」は勿論、「アストレイシリーズ」から「SEED-MSV」まで、SEED系作品はほぼ盛り込まれている。
    • ストライク等の本編登場機体は当然として、デスティニーインパルスやNダガーN等、今まで登場しなかった機体までも参戦している。
    • あるミッションでは、本家インパルスのパイロットであるシンが「デスティニーシルエットを!」という専用ボイスを発するなど、本作ならではの嬉しいファンサービスまである。
    • 本作の発売に合わせ、新たに設定されたストライクの最終形態とも言うべき機体「パーフェクトストライク」も使用可能*1
    • 新シリーズ初期作故に未収録機体も多い*2が、ファンを唸らせる渋いチョイスは流石と言わざるを得ない。
  • 登場パイロット達
    • 外伝作品に登場したプレア・レヴェリーやカナード・パルス、エドワード・ハレルソン等のパイロット達も登場。
      勿論全てキャラクターボイスを収録した上での参戦であり、思うがままに彼等と共に戦場を駆け巡る事ができる。
      他作品で不参戦やボイス未収録が多く、何かとファンから心配されていたカガリとディアッカもちゃんとボイス有りで参戦している。
    • 残念ながらミゲルとハイネ*3は声無しだが、こちらは概ね仕方ないとして受け止められている。
      一応ミゲル及びハイネ専用機は存在しており、またニコルの声はスペシャルエディション準拠の朴ロ美氏。

システムの追加・変更

  • SEED系MSの特徴であるフェイズシフト装甲も勿論導入。フェイズシフトダウン時には機体カラーが変更される凝りよう。
    • ちなみにゲームバランスの都合から、フェイズシフトダウンしてもビーム兵器が使用可能になっている。
  • 総弾数制
    • 装備武器の総弾数に制限が付き、これがゼロになるとその武器は使用できなくなってしまう。
    • 特に2連装武器やマルチロックオン武器は消費が激しいので、バカスカ撃っていると八方塞がりになってしまうので注意が必要。
    • 弾薬はコンテナの使用やスキル、また撃墜されて復帰した場合に補充可能。
    • なお、こちらもゲームバランスの都合により、核エンジン搭載型MSでも弾切れが発生するようにされている*4
  • マルチロックオン
    • 『マクロス フロンティアシリーズ』からの逆輸入で、複数の敵を同時にロックオンして攻撃可能。
    • めぐりあい宇宙』等にも似たシステムは存在したが、『ガンダムバトルシリーズ』では初。
    • 原作にマルチロックオンの概念が存在しており、それに合わせて導入したものと思われる。
  • 武装換装
    • 本作ではゲームプレイ中でも自由に武装換装が可能。従来作の変形と同じ感覚で使える。
    • 例えばストライクは「エール」「ソード」「ランチャー」を自由に換装でき、状況に応じて切り替えられるようになっている。
    • 「設定上では換装可能だが本編では再現されなかった」という機体も、本作では換装システムが用意された。ゲームならではの嬉しい配慮である。
      • 例えばストライクと同じストライカーパックを使用できる105ダガーや、「エール」「ソード」「I.W.S.P.」の3つが用意されたストライクルージュなど。
      • 特に「ATソード」「ATランチャー」「I.W.S.P.」を使い分けられるストライクEはファンにとっては嬉しいところである。
      • なお、パーフェクトストライク及びデスティニーインパルスは、換装ではなく独立機体扱いになっている。
  • コスト/再出撃
    • 各機の機体コストにより、再出撃可能な回数が設定されている。システム的にはガンダムVSシリーズのそれに近い。
      このシステムの採用により、わざと撃墜されて弾薬を補給する、敵のSPアタックを無駄撃ちさせる等の戦法も可能となった。
    • ただし被撃墜スコアも残ってしまうため、プレイスタイルによってはミッション成功率100%なのにやたらと被撃墜数が増える事も…。
  • その他、指令イベントなども追加されている。

シリーズ随一の疾駆感

  • 流石は携帯機トップクラスの性能だけあって、丁寧にモデリングされたMSが画面狭しと駆け回る姿は素晴らしいの一言。
  • よほどの事がなければ処理落ちも発生せず、快適に遊ぶ事ができる。

その他

  • ゲームバランスの大幅な改善
    • 従来の射撃武器は狙撃系ビーム兵器に偏っていたところがあった。しかし本作の射撃武器は光弾型ビームライフル=万能、
      レーザー型ビームライフル=中~遠距離、マシンガン=近距離、ゲロビ=遠距離といったように差別化され、状況に応じて
      様々な武器、及びそれらを搭載した機体を柔軟に使いこなしていくという良好なゲームバランスに調整されている。
    • 格闘攻撃も大幅に改善されており、特にダッシュ攻撃は見た目以上に射程が長く有効な攻撃方法となった。
      本作では総弾数制の影響で射撃武器が無駄撃ちできないため、格闘武器の活用が極めて重要な戦略となっている。
    • クリア評価も甘くなり、そこそこ被弾したり時間が掛かったりしても割と楽にS評価を取れるようになった。
    • 雑魚の強さも見直され、従来とは比べ物にならない物量で責めてくる他、こちらの攻撃をよく避ける等といった調整が施された。
      また、従来作のようにライフル1発では撃墜できなくなったが、それでも雑魚なりの耐久力であるため爽快感は削がれていない。
    • ミッションや収録機体はやや減少したが、1ミッションあたりのボリュームは増大しており、総合的なボリュームは決して減ってはいない。
  • 関連キャラクター同士による特定台詞の発生も従来作に比べて大幅に増えている。
    • キラ&アスランやシン&ルナマリア等組み合わせは豊富で、また本作では被弾(小)・被弾(大)・撃墜等で豊富な特殊台詞が用意された。
      台詞そのものも多く、例えばミッション開始&終了台詞が「作戦」と「演習」で違い、それが全てのパイロットに用意されている。

問題点

  • キャラの変顔
    • 全員真正面からの絵しかなく、中には異様に不細工に見えるキャラも。
    • 代表としてスティング・オークレーの撃破時の顔は最早ギャグでしかない。
      • 元々「オクレ兄さん」と呼ばれ半ばネタ的に愛されているキャラクターではあるため、プレイヤーからは殊更ネタにされている。
  • SPAの1つに、一定時間自分以外の動きが遅くなる「スローモーション」というものがある。
    強力だが「僚機が使用するとプレイヤーまでもが効果対象になる」というそれなりに大きな問題点が存在する。当然といえば当然だが…。
  • よく分からないロックオンの仕様
    • 至近距離に敵機がいるのに少し先の雑魚をロックする、という事が結構な頻度で発生する。どうやら画面内の敵機のみをロックするようだ。
      …と思いきや、「画面内の遠くの敵機より画面外の近くの敵をロックオンする」事もある。一体どういう仕様なのだろうか。
    • 一度解除→再度ロックオンという手順を踏むことでロックし直せるが、面倒な事に変わりはない。
  • 水中マップの削除
    • 以前はあった水中マップ、あるいは水中が存在するマップが削除され、水上を浮遊するようになっている。
      水陸両用MSも大半は収録されず、唯一アビスガンダムのみが収録されているが、変形できないという残念な扱いを受けている。
    • これは原作に水中戦シーンが少なかったためと思われるが、「SEED」では印象的な戦闘シーン*5もあったため惜しい点である。
  • キーコンフィグの劣化
    • キーコンフィグが用意された3パターンからしか選択できない。
      違いも移動や主兵装切り替えを方向キーに割り当てるかアナログスティックに割り当てるか程度で、攻撃ボタンの割り当ては不可。
    • 慣れてしまえば問題ないと言えばそうなのだが、不便には変わりない。
  • ギャラリーモードの削除
    • BGM視聴やMS鑑賞ができなくなったため、コレクション要素が薄れている。尤もこれは前作からなのだが。
    • ゲームプレイに直接関係する要素ではないが、折角綺麗になった機体モデリングを心ゆくまで鑑賞できないのは勿体ない。
  • マルチプレイの劣化
    • 前作までは全てのミッションをマルチプレイできていたが、本作では専用ミッションに分断され協力プレイの楽しみが低下した。
      ガンダムバトルユニバース』ではウリにしていた仕様だけに、マルチプレイを楽しみに購入したユーザーの落胆は少なくない。

総評

新旧様々なシステムを搭載し、ゲームバランスを大幅に改善、そしてそれらが高次元で上手く纏められている。
一方で雲霞のように湧く敵機をマルチロックオンで片付けたり、強力なSPAでボスに挑んだりと、シリーズ伝来の楽しさも相変わらず。
少々の問題点も目につくが、多数の評価点・改善点を見れば十分に目を瞑れる範囲である。
原作ファンは勿論、Vitaで爽快感のあるアクションゲームを求めるユーザーにもおすすめの作品。


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最終更新:2021年03月24日 22:32

*1 BB戦士にてオリジナル形態「スーパーストライク」として設定されたもので、後に放送された「SEED HDリマスター」では本編にも登場している。

*2 人気の高いフォビドゥンブルーやシグーディープアームズ、ジンハイマニューバ等も参戦していない。

*3 この2名は主題歌を担当したT.M.Revolutionこと西川貴教が担当していた。

*4 その膨大なエネルギーにより、核エンジン搭載型MSは大出力ビーム兵器の連続使用が可能という設定。

*5 例えばストライク用のバズーカなど、原作では水中戦でしか使用されなかった装備もある。