空牙

【くうが】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 データイースト
稼働開始日 1989年
判定 なし
ポイント 「ニューヨークも沈黙しました!」
空牙三部作の筆頭
かっこいいBGMは高評価だがゲームとしてやや大味
空牙シリーズ
空牙 / ウルフファング / スカルファング ~空牙外伝~


概要

  • 1989年にて今は亡きデータイーストからアーケードにリリースされた縦スクロールシューティングゲーム。
  • 二人同時プレイ対応。全6ステージ構成 × 2周END。
  • のちにリリースされた『ウルフファング』『スカルファング ~空牙外伝~』と併せ、三作品で「空牙シリーズ」とも呼ばれている。

ストーリー

謎の軍事組織「ラグナロック」によって世界中の軍事組織が制圧され、「10日以内に降伏しないと核戦争を行う」と脅迫をかけてきた。
国連のもとに東西両陣営は決起し、ラグナロックの野望を断つ為、女神の名を持つ3体の試作戦闘機にすべてを託した。
オペレーションコードは「VAPOR TRAIL」*1(飛行機雲)。

主なルール

  • 自機は以下の3種類から選択。
    • 「XF/AV-01 SILPH」(シルフ機)…攻撃力・移動スピード共に平均的性能な機体。
    • 「XAV-02 VALKYRIE」(ヴァルキュリア機)…攻撃力が高く、移動スピードが低い機体。前方への火力を重視したタイプ。
    • 「XFV-03 SEYLEN」(セイレーン機)…攻撃力が低く、移動スピードが高い機体。後方への攻撃力を重視したタイプ。
  • 操作はレバーと2ボタン(メインショット・バレルロール)を使用する。
    • レバーにて自機の八方向移動。
    • メインショットボタンで使用無制限のショットを放つ。
    • バレルロールボタンで、自機がきりもみ回転し一時的に無敵となる「バレルロール」が発動する。一度使用すると、時間経過でゲージが回復するまでは再使用できない。
      • 後述のSユニット装着時は、バレルロールの代わりに強力なボンバーを放つ。但しSユニットは失われてしまう。
  • 特定の敵を倒すと以下のアイテムを落とす。武器アイテム系は併用できない。
    • 武器アイテム系
      • 「バルカン」…連射が効くクセの少ないショットで、各自機の初期ショットでもある。機体によって発射角度に相違あり。
      • 「ボンバー」…着弾すると爆発する前方ショット。爆風は敵弾もかき消す。機体による性能は同じ。
      • 「ディフェンダー」…全方位に向けて放たれるショット。機体による性能は同じ。
      • 「ミサイル」…ホーミング性能を持つミサイルショット。機体によって発射パターンが異なる。
    • パワーアップ系
      • 「パワーアップ」…ショットが強化される。
      • 「スピードアップ」…自機の移動速度が上がる。
      • 「Sユニット」…自機にユニットが装着され、武器アイテムの性能をも超える特殊なショットを放てる。機体によってショットの性能は完全に異なる。
    • その他のアイテム
      • 「ライフ」…自機ライフを1回復。
  • ライフ & 残機制。ミス後は途中復活となる。
    • ライフは全機体共通で2となっている。敵や敵弾に触れると1ダメージ。ライフが0になると1ミス。
    • ミス後の復活はアイテム効果がすべて失われ、どの武器アイテムを取得していようがバルカンに戻ってしまう。また、ミス後はSユニットアイテムが再び画面上を漂う。

評価点

  • かっこよさを追求した作り。
    • 一般的にはかっこいい系のシューティングだが、当時のデコゲーとしてはむしろ普通すぎて異端な世界観すらも持っていた。
      • 「ラグナロックの暴走を阻止する為、女神の名を持つ試作戦闘機達が戦う」というストーリー設定が非常に燃える。アーケードゲームとしては珍しいことに、オープニングデモなどではストーリーの描写が描かれている。
      • グラフィックデザインに関してもメカ好きにはぐっとくるであろう硬派な書き込みがされており、当時のSFシューティングの中でも魅力的な部類に入る作品であった。
      • 演出関係も優秀で、「スクロールする高層ビルの背景をバックに出現し、倒すまでは延々とビルのスクロールが流れ続けるステージ1ボス」などの見所が数多い。
    • 痺れるロックBGMの数々。
      • 本作においてグラフィック、世界観以上に評価が高いのがBGMであり、多くのプレイヤーからは「空牙といえば真っ先に神楽曲が思いつく」という意見が聞かれる程。
      • ギターサンプリングに容量を使いすぎた影響で、ゲーム中の楽曲数は少なめ*2だが、
        当時の性能では限界寸前とまでいわれるギターサウンドをふんだんに盛り込んだ音源は、後のシューティングにおけるBGMに影響を与えたという説もある。

問題点

  • ゲームバランス的には大味気味。
    • 格別に悪いとまではいわないが、敵配置がやや単調な節がある。
      • この辺はデコの作風なのかもしれないが、1つのシューティングとしては良作と呼べるものかどうかは正直疑問を感じる。
    • 禁断の技「ディフェンダー連射」。
      • 武器アイテムの1つであるディフェンダーは普通に使えば連射ができず使い辛い。しかし、とある方法を駆使すると連射が可能となり自機周辺が弾幕化してしまうというバグがある
      • これを駆使すると、周りの敵が登場する間もなく撃沈するという状況と化し、大幅にゲームバランスが壊れてしまうチート具合となっている。*3
      • マニアなシューターとっては結構有名な裏技であり、「漢プレイヤーはディフェンダー禁止」という暗黙の掟があった…らしい。

総評

純粋にシューティングとしてみれば完成度が高いとは断言できない出来だが、シリーズの共通点であるかっこいい世界観・メカデザイン・BGMといった要素はすでに本作の時点で完成されている。


その後の展開

  • 本作の続編『ウルフファング』はゲームジャンルが横視線のロボットアクションシューティングとなり、さらにその続編『スカルファング』は本作を下敷きにレース要素などを入れた縦シューティングとなっている。

余談

  • テクモから同じアーケード用ゲームで『雷牙』『ワイルドファング』というタイトルがリリースされているが、もちろん単に牙(ファング)という部分が被っているだけで、空牙シリーズとは関係ない。
    • 『雷牙』はロケテスト時には『エアランドバトル』というタイトルであったが、営業からの要請で「『空牙』と『雷電』にあやかって命名された」と明かしている。*4

家庭用移植

  • メガドライブ版(1991年8月9日発売、日本テレネット)
    • デコ自身がリリースする予定だったが、諸般の事情で日本テレネットの発売となっている。*5
    • オプションで自機のライフが2もしくは3から選択可能な他、一周エンドになっている、OPデモの女性オペレーターのデザインが異なる等の変更点がある。
      またおそらくは意図的だろうが、ディフェンダーのバグはこちらでも再現されている。
  • Windows版(D4エンタープライズ)
    • プロジェクトEGGにてメガドライブ版とオリジナル版の両方を配信。配信元は空牙シリーズ3作のIPを保有しているパオン・ディーピー。
    • メガドライブ版が2020年4月21日、オリジナル版が翌年12月28日より開始。オリジナル版は32年目にして初の忠実な移植となる。
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  • 縦シューティング
  • タイトー

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最終更新:2024年01月14日 08:10

*1 海外版のタイトルにもなっている

*2 道中BGMは全ステージ共通の1曲だけしかない。

*3 ただし、被弾及びプレイヤーミスした時点で効果が切れるので完全に無敵というわけではない。

*4 2023年7月13日放送「第429回 アーケードアーカイバー 雷牙スペシャル!」

*5 当初は4メガROMでの発売が予告されていたが、発売元変更の際に8メガROMに増強されている。一説には、その増えた容量分はほとんどがBGMや音源ドライバーに使われたとか。