ジェミニウイング

【じぇみにういんぐ】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 テクモ
稼働開始日 1987年
判定 なし
ポイント AC虫シューティングの一角
「ガンボール」を使いこなせるかが攻略の鍵


概要

  • 1987年にてテクモ(現:コーエーテクモゲームス)からアーケードにリリースされた縦スクロールシューティングゲーム。
  • 世界を侵略した虫型生物を壊滅させる為、2体の戦闘機がそれらの蠢く巣窟に挑むというストーリー設定。
  • 二人同時プレイ対応。全7ステージ*1構成。
    • 途中参加可能。ただし基板設定によっては、最終ステージの途中参加ができない。

主なルール

  • 操作系統。
    • 本作はレバーと2ボタン(メインショット・ガンボール)を使用する。
      • レバーにて自機の八方向移動。
      • メインショットボタンで使用無制限のメインショットを放つ。
      • ガンボールボタンで自機が所持しているガンボールを消費し効力を発する(下記参照)。
  • ガンボールについて。
    • 本作には直接取得で効果の出るパワーアップアイテムが一切登場しないが、その代わりとして「ガンボール」という球体が存在する。
      • ガンボールは特定の小型敵と中型敵が持っており、それらを破壊すると画面内にばら撒く。
    • ガンボールの効力を発するには以下の手順が必要となる。
      • 自機がガンボールに触れる事により、自機後方にそれが引っ付きトレースする様な形で一緒に動く。ガンボールに連続で触れれば複数個のものを引っ付ける事ができる。
      • 自機に付き従うとはいえガンボールはオプションの類ではない。よって、引き摺っているだけではただの飾りでしかない。
      • ガンボールボタンを押すと自機直下にあるガンボール1つを消費し、特殊攻撃などの効力を発揮できる。いわばガンボールは自機に引っ付けられるボンバーストックの意味合いが強い
      • 上記の通り、本作には取得して即効力を発するアイテムは登場しない。すなわち、ガンボールボタンを押さないと、対象のガンボール効力が一切引き出せない
    • ガンボールの特性に関して。
      • 自機同様にガンボールを後方に引き摺って登場する中型敵がいる*2。この中型敵にメインショットなどを撃ち込むと、それが破壊されるまでは1発当たる毎に、引き摺っている全ガンボールの種類が変化する。
      • 中型敵後方に回り込んで自機を近づけると、それを破壊する事なくガンボールを奪い取れる。また、その逆*3も然りである。
      • 二人同時プレイにおいては、お互いの自機が別々のガンボールを取得する事が可能だが、一方の自機が相手側の後方に触れると引き摺っているガンボールを奪い取れてしまう。
  • ガンボールの種類には以下のものがある。
    • 特殊攻撃系
      • 「3WAY」…自機前方に3WAYウェーブを放つ。ゲーム開始時にはこれを3つ持った状態で自機が登場する。
      • 「ホーミングミサイル」…自機から複数のホーミングミサイルを放つ。
      • 「ワイドビーム」…自機の縦座標を始点として画面横軸いっぱいに伸び、そのまま前方に直進するビームを放つ。
      • 「スイングファイヤーバー」…自機を始点として前方に伸び、一定時間左右にワイパー式の攻撃をするファイヤーバーを放つ。
      • 「スパークハリケーン」…自機周りから渦巻き状に放出されるハリケーンを放つ。
    • その他。これらは使うとそのすぐ次にあるガンボールも消費される。
      • 「スピードアップ」…自機の移動スピードを上げる。本作唯一のパワーアップ型ガンボールでもある。
      • 「エクステンド」…自機の1UP効果。滅多に出現しない。
      • 「ボーナス」…「2」「5」「10」の3種類のガンボールが存在する。使用するとその数字の10000倍のスコアボーナスが入る。
  • クリアとミス条件について。
    • ステージクリア条件は従来のシューティング同様、ステージ奥に待ち構えるボスを倒す事が条件となる。
      • 但し、ステージ3に関してはボスがいない(奥に進むだけでステージクリア)。
    • 敵・敵弾・壁に触れる事による一撃ミスの残機制。ミス後はその場復活となる。
      • ミスすると引き摺っていたガンボールが周囲に飛び散ってしまう。また、スピードアップ効果もリセットされてしまう。
    • 1人プレイ時にコンティニューすると、そのステージの最初に戻されてしまう。最終面でコンティニューした場合はステージ6の最初に戻される。*4

評価点

  • 斬新なガンボールシステム。
    • システム面における本作における最大の特徴は、何といってもガンボールにあるといっても過言ではないだろう。
      • ガンボールは取得するだけではなく、ボタンを押さないと効力を発しない。すなわち、ガンボールを引き摺った状態でミスしてしまうと宝の持ち腐れである
      • ガンボールの出現率は多めなので、あまり使い惜しみをしない方が得策であるが、あまりにも過剰に使うといざという時にピンチとなる危険性も孕むのが怖いところ。
      • 従来ではアイテム効力相当のスピードアップなどのガンボールも使わなければ無価値である。特にエクステンドは引っ付けているガンボールを無駄遣いしてでも使わないと泣きを見るハメとなる。
  • 意外と万人向けなゲームバランス。
    • ガンボールシステムがやや特殊ではあるが、ゲームそのものはごく普通のシューティングである。
      • 「ガンボールはアイテム効力を兼ねたボンバー」「メインショットがパワーアップしない」事を除けば、大方オーソドックスな内容となっている。
      • 露骨な初見殺しは少なく、ほとんどの場面ではアドリブ攻略が可能であり、ガンボール(特殊攻撃)を駆使すれば1コインクリアもそう難しくはない難易度に収まっている。
      • 敵弾の速度が遅めにばら撒かれる弾幕色の強い面を持ち、ステージ3以降は地形が自機の通行の妨げとなる場所が多く見られる。もちろん、これらもほぼアドリブ攻略は可能。
      • 本作はガンボールのエクステンド以外にもスコアエクステンドが多めに発生するので、ある程度のミスをしてもゲームオーバーに陥りにくい。この辺も易しい配慮といえる。
      • 1ステージあたりの構造はやや短めで、良くいえば軽快なテンポ感を持ち、悪くいえば少々のボリューム不足感を覚えてしまう。
  • グラフィックやBGM周りの評価は高い。
    • 1987年のACゲームとしてはグラフィックの書き込みは優秀な部類。
      • 虫系シューティングらしく出現する敵は妙に生々しい外観となっている、虫嫌いな人には少々きついものがあるかもしれない。
      • しかし、グラフィック自体はシャープテイストなデザインで描かれており、そこまで気持ち悪いという程のものではないと思われる。
      • ステージ1ボスが「滝を背景にチョコボールっぽい弾をばらまくアザラシ*5みたいなの」、ステージ2ボスが「髑髏の形をした山から生えている、ヘビだか鬼だかよく分からない一つ目コンビ」と、インパクトの強いボスが多い。
    • メタルユーキ作曲のBGMのクオリティも申し分ない。
      • 楽曲にはポップ系・かっこいい系・シリアス系といった様々な雰囲気の曲調が用意され、どれも聞き応えのあるものとなっている。
      • 虫系シューティングなのにおどろおどろしい楽曲が少ないという違和感も覚えるが…。
    • シームレスでのステージ進行。
      • 当時のゲームとしては珍しく、ステージクリアしても画面が切り替わらずに進むシームレス方式を採用している*6
      • これにより「1つの舞台を7ステージに分けて攻略する」という一体感を持ち、先に進む楽しみをより深く演出しているといえるだろう。

賛否両論点

  • ガンボール使用前提のゲームバランス
    • 本作における自機のメインショットは攻撃範囲が狭く、一切のパワーアップはできない。よほどの腕前でないとメインショットだけで攻略するのは相当きつい難易度となっている
    • ガンボール(特殊攻撃)には使用回数があるものの、攻撃力・攻撃判定共に優秀な性能が多い。よって、メインショットとガンボールを臨機応変に使い分ける技量が重要となってくる
    • 「ガンボールを使い惜しみするのは無駄、それでいて無意味に乱射して消費するのも危険」というジレンマが本作の味となっている。
    • 二人同時プレイ時においてのガンボールは奪い合いになりかねない。協力プレイなのにお互いが陰険な空気に包まれてしまうのは避けたいところだが…*7

問題点

  • 面倒草過ぎるラスボス
    • ラスボスを務めている巨大トンボは残念ながら本作の汚点として語り継がれている存在である。
    • 正面からの自機ショットはガードされてしまうので基本的に尻尾の弱点にボスが召喚する雑魚から入手出来るガンボールの攻撃を当てていくのが基本攻略であるが、攻撃をガードされてしまう確率が非常に高く中々ガンボールの攻撃が当たらない。
    • しかも、ACにおけるSTGでは当たり前のシステムであるボスの自爆という生温い仕様すら無く、ボスの攻撃・BGM共に単調な事も相まってか非常に面倒な戦いを強いられてしまう事になり、「気がついたら10分間もラスボスと延々と戦っていた」という普通ではあり得ない出来事も起こりやすい。
    • 一応、プレイヤーを自滅させた後の無敵時間を利用して弱点にショットを撃ち込む事も出来なくは無いが、クリア後に残機ボーナスが入る為か多用は禁物。

総評

微妙にボリューム不足な面はあるものの、ガンボールを駆使する楽しさを持ち、外見的にもゲーム的にもそつなく作られた、当時のテクモの丁寧な仕事ぶりを窺える作品。
とはいえ、あまりにも面倒なラスボス戦はどうにかならなかったのだろうか……。


家庭用移植

  • X68000版(1990年発売、テクモ)
    • システムサコム開発。BGMがアレンジされているが、ゲームとしては原作忠実となっている。ローランドのMIDI音源モジュールであるMT-32/CM-32L/CM-64に対応しており、AC版とは違ったサウンドを堪能できる。
  • Switch/PS4版(2020年9月10日配信開始、ハムスター)
    • アーケードアーカイブスシリーズとして初の家庭用ハードへの移植版となった。移植度もさる事ながら従来のアーケードアーカイブスからUIの改良が図られている。

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最終更新:2022年09月25日 08:52

*1 ゲーム内では「ラウンド」表記となっているが、便宜上このページではステージに統一する。

*2 これは自機に対して真正面に向いているので、敵が引っ付けているガンボールは厳密にいえば画面前方に位置する。

*3 中型敵に背後を取られ、こちらのガンボールが奪われる。

*4 基板設定には「最終ステージでゲームオーバーになるとコンティニュー不可」の設定もある。

*5 言うまでもないと思うが、アザラシはれっきとした海洋ほ乳類であり、間違っても昆虫の類ではない。でもボスの外見は本当にアザラシにしか見えない謎。

*6 例外としてステージ2のクリア後だけは演出後に画面が一瞬だけ暗転する。

*7 インストカード等では交換し合って使い易いように並べ替えるという使用法が書かれていたと思うのだが