マジカルバケーション 5つの星がならぶとき

【まじかるばけーしょん いつつのほしがならぶとき】

ジャンル RPG
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 512MbitDSカード
発売元 任天堂
開発元 ブラウニーブラウン
発売日 2006年6月22日
定価 4,571円(税別)
プレイ人数 1~6人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント タッチペンに依存した操作
鬱展開が多い
マジカルバケーション
マジカルバケーション / 5つの星がならぶとき


概要

GBA『マジカルバケーション』の続編。海外版のタイトルは「Magical Starsign」。
太陽系崩壊を目論む卒業生「ジン・レオ」を止めるため出かけて消息不明になった「マドレーヌ先生」。 魔法学校のクラスメート6人は先生を追って魔動力ロケットに乗りこむが…。

前作のクラスメート(仲間になるキャラ)は登場しないが*1世界観は同じ。例を挙げると、人間以外の個性的な種族、キャラクター名や地名が食べ物の名前(もしくは逆読み・アナグラム)になっている…など。また、種族やアイテムやモンスター、魔法は前作から続投のものが多数ある。 前作は宇宙を構成する平面世界を舞台にしていたが、今回は宇宙の星をロケットで巡ることになる。


特徴

  • 属星魔法
    • 敵味方とも一キャラにつき一つの属星に属している。属ではなく属である。
    • 火・木・風・土・水は、運行図でその星が同じ色の場所にくるとオーラ状態になり、魔法が強化される。光は昼、闇は夜にオーラ状態になる。勿論、属星ごとに使える魔法は異なり、得意・不得意の相性関係も存在する。
  • 無属星魔法
    • どの属星のキャラも使える魔法。星の位置を動かせる「セレスチャル・タクト」のほか、攻撃魔法三種、回復魔法一種がある。発動させると固有のタッチアクションを要求され、結果が良ければ高い効果を得られる。
    • 「~ブック」というアイテムを用いて習得する。習得すると覚えていた無属星魔法は忘れてしまうので、戦闘中に使えるのは1キャラごとに1種類となる。ブックは使ってもなくならない。
  • 魔法詠唱中、術者をタイミングよくタッチするとマジカルブレイクが発動し、攻撃魔法・回復魔法の効果が強化される。
    • また、敵の攻撃を受ける際に味方キャラをタイミングよくタッチするとジャストガードが発動し、ダメージが軽減される。
    • このタイミングは魔法はキャラの周りを回る模様が消える直前、防御は攻撃がヒットする直前である。上級の魔法ほど、タイミングがシビアになる。
  • 隊列
    • 前列で魔法を使うと敵単体を攻撃できる。キックやパンチといった技が使える。前列の方が攻撃されやすい。
    • 後列で魔法を使うと攻撃魔法を敵全体、回復魔法・補助魔法を味方全体に使用できる。基本的に前列より威力は下がる。
      • 後列での威力の分散パターンは等分・前優先・固定・ランダムの4種類あり、魔法によって異なる。
  • フィールド魔法
    • クラスメート6人はフィールド上でそれぞれの属星のフィールド魔法を使える。
    • イベントの進行に用いる他、特定のアイテムをゲットしやすくする効果もある。
  • すれちがい通信機能を用いた「すれちがいアミーゴ」・通信対戦「アミーゴダンジョン」*2
    • すれちがいアミーゴでは、一緒に冒険できる「タマゴキャラ」を入手したり、レベルアップさせたりできる。
      • タマゴキャラは通信無しでも1つ手に入る箇所がある。
      • しかしこのタマゴキャラ、戦闘ではランダムで魔法が暴発して味方のみダメージを受けることがあるうえ、アミーゴを繰り返してレベルアップしてもとても実用レベルとはいえない能力値である。フィールド魔法の代わりにキャラ固有の能力を持つが、それも今ひとつパッとしない性能。おまけ程度の存在と考えていいだろう。
      • ただし、タマゴキャラのうちの一匹「ランプ」はこのゲームの世界観を深く知ることができる、ある意味重要なキャラとなっている。会話量も多いので、なかなか見られないのは勿体ない要素である。
      • また、前作プレイ者ならニヤリとできるキャラも…。

評価点

  • 前作のシステムに見られた理不尽要素の緩和
    • 同じ属星の敵に与えるダメージ量が、有利でも不利でもない属星の敵に与える量と同等。
      • 前作では同属性相手には魔法攻撃のダメージが1しか通らなかった。主人公側の主なダメージソースは本作同様魔法であり、敵モンスターは無属性の高威力・広範囲の技を使えるので、苦手属性を相手にするより不利。まともな攻撃手段は終盤にならないと自由に入手できないアイテムや通信に頼るしかなく、ゲーム開始時に選んだ属性によっては苦戦を強いられた。
    • 敵のドロップアイテムを落としやすくするアイテムや、戦闘中にのみ能力を上昇させるアイテムが追加された。これにより、アイテム目的で何度も戦闘をするストレスは軽減され、装備品だけではカバーできない弱点の補強も可能になった。
    • 「100人アミーゴ」*3の重要性が下がった。
      • 今作で「100人アミーゴ」をしなければ手に入らないものは、主人公と同じ属星のタマゴキャラと、タマゴセット*4のみ。
      • モンスター図鑑のコンプリートには、アミーゴダンジョンと、そこやすれちがいアミーゴで手に入る「フィギュア」のモンスターを倒す必要があるため、通信機能が必須ではある。だが「100人アミーゴ」を行わないと2つの隠しダンジョンに入ることさえままならなかった前作に比べると、まだ良心的。
      • DSのすれちがい機能により、通信自体のハードルも多少は下がったといえる。海外版ではWi-Fi通信に対応している。
    • 合流時期・属星魔法の難易度・各パラメータの成長傾向などによるクラスメート間の性能格差は少なくなった。
    • 前作では乱数調整という手段さえ厭わなければ簡単に入手できた強力な装備アイテム「おふろセット」が入手し辛くなったり、賛否はあるが精霊の存在自体が無くなったので魔法の威力が最大128倍になるというバランスブレイカーだった精霊コンボが無くなったり、一部バランス調整も行われている。
  • DS初期には貴重な、そこそこボリュームのあるRPG(平均クリア時間は20時間前後)。
    • ゲームバランスも悪くない。戦闘時にはかけ声程度だがボイスが入っており、声質はどれもキャラに合っている。ちなみにスタッフの声(一部加工)らしい。
  • 亜人やツボやロボット等が登場する、ちょっと変わった世界観。前作譲りの要素である。
    • 個性豊かなクラスメートの会話。会話中の選択肢で「いいえ」を選択すると、ノリツッコミをしてくれることがある。
    • 固有の行動パターンや専用技を持つ敵が多く、印象的。モンスターずかんの説明も一体一体に用意されているので新しい敵と戦う際に楽しませてくれる。
    • イベントに関わるキャラだけでなく、モブキャラ一人一人にまで名前が与えられており、『MOTHERシリーズ』を彷彿とさせる*5会話が繰り広げられる。また、イベント前後で会話の内容が変わることも。
    • 中でも星降り祭りのイベントは人気がある。
  • ドット絵。建物や内装のデザインは見ていて楽しい。イベント時に見られるキャラドットのモーションも非常に細やか。
    • 2画面を活用した、迫力ある演出。特に魔法のエフェクトや巨大な敵キャラのグラフィックは前作と比較してかなり向上している。

問題点

  • 前作と比較しての問題
    • 亀岡慎一氏がキャラクターデザインを担当した作品には他に例を見ない、アニメ塗り風のイラスト。真偽の程は不明だが「時間が無かった」説が出ることも。
    • DS初期のRPGとしてはそこそこだが、前作よりはボリュームダウンしている。
      • 属性(今回は属星だが)やクラスメートの数が大幅に減っている。それに伴いクラスメート固有の会話、魔法の数も減少。一部では「属性の相性関係の把握が面倒だったので、シンプルになってよかった」という意見もあるが…。
      • 会話の分岐は「はい/いいえ」に対する返答・風の星か木の星のどちらに先にいくか・主人公の性別程度。2周もすれば殆どの会話を読める。
      • 少人数にもかかわらず、前作のような個々のクラスメートの掘り下げや、説得シーンといった泣き所はほぼ皆無。ストーリー上当然ではあるが。
      • 物語終盤に行けるようになる光の星と闇の星は起こるイベントこそ派手なものの、マップもイベント量もかなり少ない。
      • 特にクリア後に入れる隠しダンジョンは、前作が大ボリュームだったことを抜きにしても、構造がはしごを降りるだけの一本道の所々をボスが塞いでいるだけで、単純を通り越して明らかに手抜きと言えるレベル。しかもそのはしごが無駄に長いイライラ仕様。
    • フィールドがやや殺風景。
      • レベルが低いわけではなく、アニメ塗り風のイラストに合わせたことも考えられるが、GBA初期で美麗な背景を描画していた前作と比較するとどうしても物足りなさを感じる。
  • 操作性の問題
    • ほとんどの動作をタッチペン入力に依存している。
      • ボタン入力でできる動作が、移動・話しかける・会話を送る・味方の魔法のアニメを飛ばす、ぐらいしかない。よって選択肢の選択・戦闘のコマンド入力・マジカルブレイク・ジャストガードはできない。
      • タッチペンでの移動にクセがある。一度方向を指定すると、次の動作を指示するか、障害物にぶつかるまで歩き続ける。
      • 前作にもあったランダムでアイテムを発見できる「やさがし」は、選択肢がタッチペンでしか選べないことに加えて、テンポが非常に悪くなっているのでストレスがたまる。
  • 戦闘関連
    • 主人公の性別を選べるが、圧倒的に女の方が強い。
      • 女の方が魔法の火力が高くなるため。魔法が強力なこのゲームにおいて、この点は大きい。
    • 戦闘のテンポが遅め
    • 戦闘ではタッチペンを使わざるを得ない。
      • 技(=物理攻撃)・アイテム使用時・敵の魔法のアニメを飛ばせない。味方の魔法のアニメを飛ばした場合、マジカルブレイクができない。特に最上級の魔法はアニメーションが長いものが多い。
    • 無属星魔法にはアクション要素があるが、それらの発動法についてのゲーム内での説明が十分でない。
  • メニュー画面の仕様が一部不親切
    • 今着けている装備・使える魔法の説明をメニューから参照できない。魔法の説明は戦闘時に参照するほかない。
      • 装備の説明は外せば見られる。しかし、装備にHP・MPの最大値アップの効果があった場合、一度外すと元の最大値にまで削られてしまう。
    • イベント時以外はいつでもワープできるが、ワープ用のアイコンが小さく、ややクリックしづらい。
  • グラフィックの問題
    • イベントでたまに挿入される短いムービーはローポリの3D。キャラクターが映るシーンは少なく、スキップ不可。
  • シナリオの問題
    • 救いの無い展開・断片的にしか明らかにされないラスボスの行動理由・クラスメートの見当違いなコメントなど、すっきりしない描写が目立つ。
      • ジン・レオの主張が正しいと思ってしまうと先生を助けられなくなるので、知らないほうがいいだろう、という台詞が序盤にあるほど。
  • ラストダンジョンのルフラカン洞窟ではボス戦が3回あるが、 その最初のボス戦後にセーブするとルフラカン洞窟から抜けだせなくなる
    • セーブせず突っ切るか、ボス戦前のデータを別のセーブスロットに残せば済むのだが、ゲーム内に事前に警告が無いため引っかかりやすい。

鬱要素(ショッキングな演出の数々。ネタバレ注意)

+ ...
  • クラスメートの一人である古代ロボットのカフェラテとの再会シーンが、さながら首無し死体発見現場。
  • ボスモンスターの技のアニメが一部エグい。(じょうおうアリ戦の「みつぎもの」、しんぼくのわかぎの「あおいかじつ」等)
  • ご神木・ダラサザーシのイベント
    • 最奥部ではご神木の養分として、ラッコ族とニャムネルト(猫の獣人の種族)が地面から首だけ出して生き埋めにされている。
    • 先生や浚われた魔法使い達は太陽内部の光の星に連れていかれてしまい、主人公達は助ける為に5つの星にそれぞれ存在するという「千年グミ」を集めなければならない。木の星の千年グミは、ご神木にある食人花が人を溶かして栄養にすることにより生み出す。千年グミがあればニャムネルトの村の魔法使い達も含め皆助けだせると聞いたニャムネルトの少女の一人が、引き止める間もなく自ら犠牲になってしまう。
  • 人口グミ関連のイベント
    • 古代ロボットを作ったエスプレッソ文明の技術者は、エネルギー枯渇時に人工的にグミを生成するよう古代ロボットにプログラムし、そのプログラムによりエスプレッソ文明は滅んだ。土の星の古代遺跡の地下に人工グミ製造工場がある。部屋中にグミのかけらがこびりついてたり、グミになった古代人が青い人型の塊のまま静止していたりする。
    • 古代遺跡の隠しボスである、びしょうじょグミ・イパルプア。戦闘中は「しがみつき」「ひめい」*6といった技を多用。ドロップアイテム「イパルプアのID」をコンピュータで使うと、グミになった過程がわかる「イパルプアの日記」を読むことができる。
  • ルフラカン洞窟
    • ジン・レオの目的は太陽を生まれ変わらせること。太陽内部にある闇の星のさらに奥にある、あらゆるものをグミにする洞窟・ルフラカン洞窟には、太陽を食べる虫がいる。それを成長させる餌にするため、ジン・レオ率いる宇宙海賊達は先生や彼女を慕う魔法使いたちをさらっていた。*7
    • ルフラカン洞窟の入口付近には、グミ化した海賊ラッコたちがいる。
    • 太陽を食べる虫との戦闘前には、その虫が洞窟のグミをむさぼり喰っている。
  • 結果的に主人公たちは太陽系を救うが、先生は主人公達の前から姿を消してしまう。
    • ただでさえバッドエンド気味なラストなうえ、前作から続投している数少ないメインキャラが死んでしまうとあって、この結末は大勢の前作ファンの反感を買った。

総評

前作ファンにはこき下ろされることが多く、単品で見てもイマイチな点はあるが、個性的なキャラクターや台詞回し、世界観など楽しめる部分が無い訳ではない。
目立ったバグやバランスブレイカー的要素はほとんど無いので、その点では安心して遊べる。
終盤にかけて閉塞感漂う展開になっていくので、鬱ゲー好きにはおすすめ。


余談

  • DSステーションにて、2006年6月22日から「すれちがい通信中継」サービスが行われた(現在はサービスを終了)。これと複数のセーブスロットを駆使して、一人で「100人アミーゴ」を完了させるプレイヤーも現れた。
    • 2006年7月20日~8月9日には、マドレーヌ先生と通信して正義戦隊フィギュアをゲットできるサービスも実施された。
  • 任天堂の公式サイトでは、「すれちがいアミーゴ推進企画」と題して「君とアミーゴ」というスペシャルコミックが公開されている。作者は開発元であるBROWNIE BROWNのグラフィックデザイナー・門井元。 進研ゼミの販促漫画を彷彿とさせる強引な展開が特徴的で、2chでも話題になった。ちなみに門井氏は聖剣HoMのブラウニー・ブラウン作成HPでも同様の漫画を提供している
  • 同社のHPでは、『5つの星がならぶとき』の初期プロットを基にしたとされるWebコミック「宇宙の騎士」が連載された。
    • 話がほとんど進まぬまま連載は中断されているが、前作キャラだけでなく名前だけしか出てこなかったキャラまで登場し、亀岡氏のイラストも前作のタッチなため「こっちがゲームになればよかったのに」という前作ファンの声は多い。

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最終更新:2020年08月23日 14:01

*1 あるモブキャラの会話に前作のあるクラスメートの名前が登場する。

*2 クリア済みのダンジョン(初期状態では魔法学校が選択可)を舞台に、それぞれのプレイヤーが、出現するモンスターを倒したり、宝箱を開けたりして点数を競う。プレイヤー同士が直接バトルする訳ではない。

*3 100人分のデータと通信すること。前作では、これにより闇の魔法使いにならないと解放されない要素が多数存在した。

*4 タマゴキャラのレベルに合わせて性能が上がる防具。全てのタマゴキャラのレベルが50より上であれば、作中で最強の防具になる。

*5 『MOTHER3』の開発に、本作の開発元であるブラウニーブラウンが関わっている。

*6 「しがみつき」ではズルズルと引きずられるようにして主人公達に近づき、膨張した手でこちらの味方一体を掴んで振り回す。「ひめい」では頭が膨張して叫んでる口だけになる。勿論どちらのアニメも飛ばせない。

*7 人工グミの核には高い魔力をもった人間が最適、という説明が土の星でされている。