メダロット4 カブト/クワガタ

【めだろっとふぉー かぶと/くわがた】

ジャンル ロールプレイング

対応機種 ゲームボーイカラー(専用)
発売元 イマジニア
開発元 ナツメ
発売日 2001年3月23日
定価 4,725円(税込)
判定 なし
ポイント 『3』をベースにしたイッキ編最終章
圧倒的ボリューム
新規層へのフォローは乏しい
メダロットシリーズ


概要

メダロットナンバリング4作目。
『メダロット2』『3』『R』『カードロボトル』、アニメや漫画と幅広く活躍していた主人公「天領イッキ」最後の戦い。
メダロットとメダロッターの絆を主題にしたシナリオ、過去作のキャラクターやメダロットの登場など、シリーズの集大成となっている。


ストーリー

メダロットと共に過ごし、戦い続けてきた主人公イッキ。
一方で『自分は本当にメダロットのことを分かっているのだろうか』と悩んでいた。
そんな時、メダロット社から課せられる厳しい試験「メダ検」の数々を乗り越えたものだけに与えられる称号「メダマスター」の存在を知る。
彼の学校に新しい担任としてやってきたリュウコに、長年一緒にいたパートナー1体を残してメダロッチのデータをすべて取り上げられてしまったイッキは、これを機にメダマスターを目指すことを決意する。

一方「四天王」と名乗る小学生たちの部下によって花園学園が襲われ、イッキ達の友人であるカリンがさらわれてしまう。
イッキと仲間たちはカリンを助け出すために、東西南北の小学校に突如現れた「四天王」達と戦っていくことになる。


特徴(評価点含む)

シリーズ集大成にふさわしいボリューム

  • 「イッキ編最終章」と言われるだけあって、シナリオのボリュームやクリア後イベントの数が多い。
    • メダロット2』に登場した「おどろ山」や「フユーン要塞跡」など懐かしい舞台、コミックボンボンで連載されていた漫画『メダロッターりんたろう!』に登場するキャラクター達もシナリオに登場する*1など、ファンサービス的な面も。
    • パーツ・メダル収集にとどまらないクリア後のやり込みの数々。
      • メダ検で様々な条件下で行われるロボトルや競技を乗り越え、ランキング戦で並み居るメダロッターと戦い、メダマスターを目指す。
      • 様々なキャラクターと自由にロボトルできるなどエンディング後のイベント数も多い。
  • 登場メダロット数は全部で251体と携帯機作品では最多。
    • メダロット3』の機体はすべて続投。ただし本編ですべて登場するわけではない。
      • エンディング後、条件を満たすと前作『3』との通信パーツ交換が可能になり、『4』に登場しない『3』の機体も使えるようになる。
      • 『3』に登場していた機体の一部はパーツ・メダチェンジ後の能力値変更、グラフィックの描き直しが行われている。
    • メダロット』・『メダロット2』・『メダロットR』から合わせて40体のメダロットが再登場。
      • アニメや漫画など他メディアで活躍した人気機体からちょっとマイナーどころまで様々。
      • なお性能に関しては初登場時のものから『3』以降の基準に合わせて変更されている。
    • 本作からの新規登場機体は60体。
      • 本作登場の新行動が使える機体が大半を占める。メダチェンジ可能機体も増加。
      • 漫画やアニメで先行登場していた人気機体「ティレルビートル」や「アークビートルD」等もゲームに初参戦。
      • さらに設定こそ全く異なるが、ラスボスがアニメのラスボスと同じ機体であることも話題になった。

『メダロット3』からの改良や追加要素

  • 本作の「ロボトル(戦闘システム)」やインターフェースは『3』のものをベースに様々な変更・追加が行われている。
    • フィールドの地形・チャージエリア二分制やフィールドイベント、クリティカルの概念などはそのまま。
  • 行動時、攻撃アニメへの画面切り替えとターゲットカーソルのアニメが高速化し、戦闘テンポが若干改善された。
  • ロボトルフィールドには、地形エリアにいるメダロットの位置把握が難しくなる「じゅかい」や一定時間経過ごとに地形エリアにいる全メダロットがダメージを受ける「はりじごく」などが追加された。
    • 加え、本作初登場の行動「地形効果」によって任意にフィールドイベントを発動することが可能になった。
  • ロボトルメニュー画面に新たに「しょうさい」項目が追加。
    • ロボトルに参加中の全メダロットの地形適応やプラスマイナス・フィールド症状効果の確認が行える。
  • 本作ではイベントによって「装甲値200以下ロボトル」や「9VS9ロボトル」など様々なルール・制約を課したロボトルが行われることがある。
    • 前作に登場した「チームロボトル」もちゃんと登場。後述するパートナーのみが参加可能となる。
  • メダリアの装着やローテの設定がメダル確認メニューに追加され簡単に行えるようになる、パーツ選択・一覧画面でスタートボタンを押すことで名前・行動順での並び替え変更などの改良点も。
  • 「ライブラリー」項目がシリーズ本編で初導入*2され、メダロットのパーツ収集状況も確認しやすくなった。
  • エンディング後条件を満たすことで解禁される「ネームかえ~る」でメダルのリネームが可能になった。*3
  • 『3』に登場した機体やメダルは続投し、「メダチェンジ」や「メダリア」といったシステムも引き続き採用している。
    • ただし、『3』にあったメダチェンジ第二段階であるクラフティモードは本作には一切登場しない。
  • 新パーツ行動も全部で16種類追加。
    • 低威力だが絶対必中且つ援護・構えを無視できる「アサッシン」や特定の部位のみを使わせ続ける「行動誘発」など癖の強い効果が多い。
  • 「カルチャー」「マシン」といった新たなメダル6種と「チェンジふのう」などの新メダフォースも追加された。
    • なお『3』に登場したメダルの一部は属性・習得メダフォース内容が変更されている。
    • 一部のメダフォースは名称・消費メダフォース量などに変更が加えられている。*4
  • 『3』のメダリアは入手した時点での初期値が全て10であったが、本作ではシナリオの後の方で入手するメダリアほど初期値が高く設定されている。

「パートナーシステム」の導入

  • 所有するメダロットのうち1体を自分の「パートナーメダロット」に設定するシステム。
    • 選択したパートナーはイベント中の主人公たちの会話に参加してくれる。
      • その際、装備頭部パーツ・メダルの性格に応じてフェイスグラフィック・セリフは異なる。
    • 「パートナーメダロット」は全てのロボトル・サブゲームに出場させることになる。
      • 戦闘強制参加という足枷こそあるものの、愛着がわき『メダロット』らしいシステムとして人気がある。
      • 『3』ではカブト(クワガタ)メダルは常にいずれかのティンペットに装着していなければならなかったが、このシステムによってその問題も発展的に解決されている。

「会話」「親密度」「メダルのキャラクター的個性」の導入

  • 作品テーマに沿う形でメダルに口調などのキャラクター的な個性が加わり、メダロットと任意で会話できるようになった。
    • おせっかいな口調だったり、女性らしいしゃべり方、堅物など…基本的にはメダルの属性によって決まっている。
      • 初期パートナー機に装着されている「カブト」・「クワガタ」メダルは、『3』に登場した主役機体「メタビー」「ロクショウ」に準じた口調で話す。
    • メダロットへの会話は質問形式で行われ、質問内容はあらかじめ決められたものからランダムに行われる。
      • メダルの受け答え方はシナリオの進行度、戦績、自身の装備パーツやメダルの好み・性格・ローテや熟練度の設定状況で変化し、会話内容の成否によってメダルの親密度が上下する。
      • 親密度が上がれば行動の成功値が上昇。また会話の内容にも影響する。

「サブゲーム」の登場

  • 「メダマスターになるためにはメダロットのことを良く知らないといけない…」というわけでロボトル以外の競技が増えた。
    • どれも本編に大きく関与し、自分のメダロットを参加させるものばかりである。
    • サブゲームは「メダスピードキング・メダロードレース・メダバードコンテスト・ミスター・ミスメダロットコンテスト・ダークロボトル」の計5つで、どの競技もパートナーや参加メダロットのパーツ構成に影響される。
      + 各競技解説 メダスピードキング
    • 1対1でメダロットのスピードを競わせるレース。Aボタンで増減するMFゲージの調節によってスピードを調整する。
      • スタートのタイミングが難しく、多くのプレイヤーが一度は必ず「フライング一発失格」を経験することになる。
      • いわゆるドラッグレース。ボタン操作も重要だが、コース地形とパートナーの脚部タイプ、推進力がカギとなる。
    • メダロードレース

      • メダロット3体を1チームとし、3チームが競い合うレース。 リレー形式で1番走者から順番に走り、スミロッチをバトンに次々と交代しつつゴールを目指す。
        • 『メダロット2』からの再登場となるがフィールドが大きくなり、十字キーでメダロットを上下に移動可能になるなど、ルールは大幅に変更されている。
        • 更に「MFゲージ」「SPEEDゲージ」が表示され、A、Bボタンを交互に連打することでMFを消費しつつメダロットは前進する。その連打量によって速さ(SPEED)とパワー消費量(MFゲージ減少値)は比例して増加する。
        • MFはレース中回復せず、無くなるとSPEEDがガタ落ちする。
        • コース中は地形が随時変化し、岩・氷など、障害物なども設置されているため、ルート選択が肝となる。
        • メダスピードと違い、何故かメダチェンジ後の形態を使うことができない。
          • 脚部タイプとの相性や装甲値が大きく影響するものの、『2』の時と同じく連打ゲーである。

      メダバードコンテスト

      • メダロットを大砲の弾代わりにして目標地まで飛ばすゲーム。メダロット3体を1チームとし2体を発射台役にして、1体のメダロットを飛ばす。
        • Aボタンを連打することでスピードを調節し、目標地である小島の旗の出来るだけ近くに落下するよう目指す。
          • 脚部が飛行パーツなら減点対象となるものの飛行中に十字キーの上下で3回まで軌道を修正できる。
        • 上記のレース系2つとは異なり必ずしもスピードが早ければよいというわけではない。
          • これも初心者には難しく、大抵最初のジャンプの失敗、もしくはOBで水にドボンを経験する。
          • 距離がミドル以上になると、飛行型以外目的地に到達できなくなる。また、3体参加させるものの飛ばすメダロットはパートナー固定。
          • 装甲が低いほど良く飛ぶ。また担ぎ手の機体は推進が高ければ勢いが付きやすい。

      ミスター・ミスメダロットコンテスト

      • メダロット版ベストドレッサーコンテスト。
        • 審査員によって好みが異なるため、審査員に合わせてメダロットを組み立てる必要がある。
          • 男性ティンペットに女性風の口調のメダルの組み合わせが好き、横幅が広いパーツが好みなど様々。
          • 操作テクニックは一切関与せず評価基準は一応あるものの、どんな点数がつけられるかは実際に採点されなければ分からず、勝てるかどうかが不明瞭なため人によっては一番の難関といわれる。

      ダークロボトル

      • メダロットをユニット化したメダロット版潜水艦ゲーム。
        • その名の通り、敵メダロットが全く見えない縦6マス×横10マスのエリアを味方陣地・敵陣地の2つに分けて行う。
          • 装甲値が一体化されており、パーツ破壊の心配がない等異なる部分も多いが、行動ごとに攻撃範囲が異なるなど、ある意味、次回作である『メダロット・navi』の先駆けといえる。
          • なお、このサブゲームのみエンディング後に通信対戦が可能である。

シナリオに関して

  • 本作は友人のカリンをさらった「四天王」と戦うため、東西南北の小学校をめぐることとなる。
    • 前作と比較すると舞台のスケール自体は小さくなっているが、道中のマップ数は倍以上と濃密。
  • 上述したメダロットの個性に焦点をあてたシステムからもわかるように「絆」をテーマとしている。
    • 四天王が操る『メダロット三原則*5』を失ったメダロット達と戦う中で「メダロット三原則に縛られるメダロット達は本当に幸せなのか」と疑問に思い、パートナーと論ずるシーンなどに強く表れている。
    • 一方で四天王の本拠地へ忍び込むためにヒロインに強制的に女装させられるなど、キャラクター同士のやり取りに含まれるギャグなども豊富。
      • シナリオライターもやや暗めのシナリオだった『3』と比較し、「本作は明るいノリに戻した」と語っている。
  • 過去作に登場したカンちゃんやフユーンといった懐かしい人物や場所が再登場することや、若干後付け臭がするもののとある場所にて本物のレトルトの帽子を使ってイッキが快盗レトルトに扮したり*6、アリカがコマチの衣装を着たりする*7などファンサービスも充実している。

BGM・ボイス

  • シリーズおなじみの山下絹代氏*8が手掛けるBGMは評価が高い。
    • 特にラスボス戦などに用いられる「DO・OR・DIE」が根強い人気。
    • ロボトルBGMは『メダロット3』と同様3種類から選べる。2番は新曲。
      • なお本作にはゲーム中BGMに曲名がついている。本編中のクイズミニゲームのためだと思われる。
  • 本作も『3』同様要所にテレビアニメ版と同じ声優によるボイスが導入されている。
    • 新たにヒカルと快盗レトルト、スクリューズの3人もしゃべるようになった。
      • ただし、パートナーシステムの導入に伴い、メタビー・ロクショウのボイスは本作には存在しない。
    • なお、ゲームをクリアするとサウンドテストでボイスを聞くことが可能である。

その他

  • ロボトル時の対戦相手の台詞がバージョンによって異なる。
    • これにともない、前述の主要キャラによるボイスも一部収録内容が違う。*9
  • 本編に直接関係ないミニゲームが増えた。
    • スロットを回して純正メダロットをそろえ、ルーレットの結果でパーツがもらえる「メダプライズ」。
      • スロット自体の難度は低く、ルーレットでうまくいけば100円で純正メダロット一式入手できることも。
    • スロットで出てきたメダロットのパーツの能力補正が一定時間行われる「おみくじ」。
      • 運勢結果によって補正値が変化する。メダルとの相性補正と重複するだけでなく、大吉ならメダルとの相性補正以上の効果を得ることが出来る。
    • 様々なジャンルの問題に早押しで答える「メダロット博士のメダクイズ」
      • パーツやメダロットのシルエットクイズだけでなく、ロボトルでの基本事項世界観について聞かれる問題、さらにはBGMの曲名当てクイズなど難度は高め。

賛否両論点

シナリオ・舞台面

  • 前作『3』に登場した舞台・キャラクターは全くと言っていいほど登場しない。
    • これは前作の時点でもそうだったが*10、ゲームの容量・シナリオの関係上仕方が無いと思われる。
    • 『3』でイベントのみ登場した主役機の変形機能「クラフティモード」も削除。
  • 地底都市・海底都市・空中都市・宇宙…と広大な舞台だった前作と比べると本作の舞台は東西南北の小学校を順に巡るだけなので行動範囲の規模が小さい。
    • ただし前述のとおりマップ数自体は大きくなっており、四天王が待つ東西南北の小学校にたどり着くまでの道のりも様々。
  • 女装した主人公に惚れ続ける特定キャラクター(いわゆるホモネタ)や同性愛・宗教ネタが含まれている箇所がある。
    • 個性豊かなキャラクターの特徴になっている一方、好みが分かれるところではある。参考リンク

システム面

  • パスワード制度の変更。
    • 『3』のように全パーツが入手できるわけではなく、完全に隠しメダロット入手のためのものになった。
    • パスポイントも各地に隠された宝箱などから入手するものになっている。
  • 「ジャック」「クイーン」メダルなど、『3』ではジャック型のジャッカル、クイーン型のメイクイーンにそれぞれきちんと対応していたにもかかわらず、なぜか属性を入れ替えられたメダルがある。
    • 「タイム」や「マネー」は相性の良いパーツの系統と所持熟練度がバラバラでメダリアを使わないと相性補正を生かせない*11
      • 装備パーツや脚部で相性を合わせることも一応出来る。

ラスボス戦に関して

  • シナリオ最終ボスの行動はローテーションで設定されている。またこちらが使用できる機体も固定されている。
    • つまり行動パターンさえ覚えて、相手の攻撃を確実に反射していけば勝てるというもの。
      • こちらが使用する専用機体は援護系であり、純粋にラスボス戦わせた場合は厳しい。また、ラストダンジョンに突入するとクリアするまで戻れなくなることも考慮して詰んでしまうことへの対策と思われる。
      • 一方、自分のお気に入りのメダルでも熟練度さえあれば勝つ事が出来るので、難易度をあまり上げずに『信じるパートナーと最終決戦に臨む』という雰囲気を盛り上げるという意味では成功している。
  • ただし必ず使用することになるティンペット・パーツは女型のため、主人公であるカブト・クワガタメダルを使用した場合は文句を言われるので注意。
    • 一応、属性相性の合っているメダルの多くは丁寧な女性口調なので、そのメダロットのイメージには一致している。

本作初登場の行動に関して

  • 前述のとおり新規行動のほとんどは癖の強く、使いどころが難しい。
    • 敵味方・攻撃・回復・補助問わず援護中はあらゆるターゲットを使用者に集中させる「ターゲット吸収」
    • ヒットした部位の装甲を現在値の4分の1にするが、パーツを破壊することが出来ない「スタティック」
    • パーツ数が少ないため実質専用行動、かつ、症状依存のためクロス攻撃に比べ扱いにくい「刻印・封印武器関連」
    • 味方を1体構え状態にさせる割には効果の実感しにくく有用性が低い「加護」…など。
      • 一方で戦闘時間経過で威力がどんどん上がる「タイムアタック」、特定パーツだけを強制的に使わせ続ける「行動誘発」など強力で厄介なものもある。
      • 事実、本作で初登場した行動は全て次回作の『navi』で一度消滅している。*12

バージョン間の格差

  • 本作初登場のメダフォースは、カブトバージョンで手に入る新メダルだけが使用可能と偏っている。
  • 新規行動のクロス攻撃ファイアB・Cが使える機体が登場するのもカブトバージョンのみ。
    • 刻印武器が使える機体はクワガタバージョンのみであるが、対にあたる封印武器が使える機体がカブトバージョンのみの登場であるため、こちらはさほど問題視されない。
      • ただし、これらの要素はストーリー攻略にまで大きく影響するわけではない。
  • 主役機の基本性能・使い勝手における差。
    • 本作は『3』の続きであるため、本作の主人公初期機体は「サイカチス(カブト)」と「ドークス(クワガタ)」。
    • 3』のページで指摘されている賛否両論点とほぼ同様である。
      • シナリオ進行と地形の移り変わりが前作に近く*13、比較すると変形で山地にも強く、砂漠や水中地形に多い飛行型・潜水型メダロットに強いクワガタバージョンのドークスの方が使い勝手が良く見えてしまう。

その他

  • 従来作品に比べ、序盤から強力かつ使い勝手の良いパーツが手に入りやすくなっている。
    • 話しかけることで何度もロボトルを挑むことが出来る相手が増えていることも理由の一つ。
      • ライバル機or完全防御パーツ*14・メダフォース増加パーツ・高価買取パーツ等を早い段階で入手することが可能。このおかげで、バージョン間の難易度差は前作より小さくなっている。
  • 固有登場人物でありながら、肩書や言動に対して実力が見合っていないキャラが一部いる。
    • イッキのデータを徴収したリュウコなどが該当。彼女の使用機体はモブと同じもので、バージョンによってはパーツの破壊手段すら持たない。
    • 四天王の一人コクエンは横暴な手段で地域の支配を企むキャラなのだが、実際のロボトルでは防御寄りの機体を扱い、攻撃能力に乏しい。
      • こちらはキャラ・使用機体共にネタ的な意味で一部のファンから愛されることも。

難点

シリーズ作品としてのハードルの高さ

  • 過去シリーズ作品から人物把握をしておかないとわからないことが多い。
    • ストーリーが本作以前の出来事に関して知ってることを前提にして進むため、新規層は展開に対しておいてけぼりをくらいがち。
    • 序盤から『2』のキャラクターや舞台が登場することからも、『3』以上に本作は完全に「続き物」として作られていることが窺える。作中においても「詳しくは前作を遊んでね」といった旨の台詞がある。
      • 前述の『1』のキャラクターに関するイベントやロボロボ団員との会話ネタなど、シリーズ通して遊んでいるユーザー向けの小ネタも多い。

ストーリー面に関して

  • 「突然やってきた新任教師に全データを奪われる」という理不尽かつ強引すぎるステータス初期化理由。
    • それだけならまだしも、その後に先生に謝って返してもらったらいいというアリカの提案に対してイッキが拒否するシーンがあるため、見方によっては(発端は先生とはいえ)イッキが自分の意志でパーツとメダルを手放したとも捉えられる描写になっている。
    • 捨てメダロットの話は過去作でも何度も取り扱っており、本作でも捨てられた野良メダロットに対してイッキが捨てるなんてひどい!と同情するシーンがあるが、この導入のせいでお前が言うなと言われても仕方ないシーンになっている。
  • 前作で影が薄いと言われたロボロボ団幹部たちは本作でもさらに地味になってしまった。
    • 黒幕の手によって脱獄し四天王の元につき悪事を働いているが、完全に四天王の前座と化している。
      • 各地の四天王を倒した後、彼らのその後も具体的に明らかにされない。*15
      • ちなみに本作の幹部たちはアニメ版から素顔・本名の設定が逆輸入されている。

作業感の強いサブゲーム

  • 新たに追加されたサブゲームであるが、ミニゲームをメダ検受験資格獲得のために無理矢理やらされているといった印象が強い。
    • 試験内容にサブゲームが導入されるだけでなく、試験を解禁させるにも一定数のサブゲーム勝利が必要となるからである。
    • 特にメダロードレースやメダバードはかなり連打を要するため、勝ち数を稼ぐのも大変。
      • 一定数勝てば貴重なアイテムが入手できたり、ミニゲームのやり込みでしか手に入らない機体も存在するため、ロボトルとまったく無縁というわけではないが、通常時は勝利しても戦闘回避アイテムが入手できるだけなので実利の面でやり込むメリットはあまりない。
  • 誤解のないように言っておくと本編のストーリー内で必須として行われる箇所はそれほど多くなく、苦労するところも中盤のジャクナン小でのメダコン、終盤のトライアスロン大会くらいである。
    • ただし、「メダマスター」になり本作の全てのイベントを楽しみ、パーツやメダルを手に入れるためには、メダ検、つまりサブゲーム制覇は避けては通れない道となってしまっている。
      • シナリオテーマの関係もあるが、これらのサブゲームは全て本作のみの登場となっている。

パートナーシステムの弊害

  • パートナーシステムとサブゲームの相性が良くない。
    • 殆どの競技が一人のみの参加となるため、強制的にパートナーを選択することになる。
      • 最適なパーツに調整したメダロットをパートナーにし忘れていたりすると、泣く泣くリセットする羽目になる。距離がミドル以上だと飛行型以外クリア不可になるメダバードコンテストや、見た目のみの勝負であるメダコンなどは特に致命的。
      • そのためメダ検で連続で次々と競技が行われる場合、相手は次々と最適なメダロットに変えていく一方でこちらは固定であるため、後半になると特定の純正機体で挑まないとクリアが不可能となり、殆ど詰将棋のような状態になる。
  • 短期間ではあるがストーリー中、ある野良メダロットをパートナーとして行動することになるのだが…
    • パーツを組み替えないままイベントを進めてしまうと、熟練度も相性も全く無く攻撃パーツを持たない機体でそのエリアのボスと戦う(しかも連戦)ことになってしまう。
    • さらにその野良メダロットのメダルも使い勝手が微妙であり、イベント中は彼を必ずパートナーメダロットにしないといけない。組み替えずに戦った場合、敵との相性が最悪で、特に連戦2戦目のチームロボトルでは地形相性上、仲間のメダロットが全く役に立たないため、攻撃手段すらないまま一方的に殴られ続けることしかできない。
      • そのボスと戦う前に事前にセーブ可能なのが救いか(それでも初見だとそのまま進めてしまい敗北する可能性の方が高い)。

改善されていない戦闘バランス

  • 『3』から機体が100体追加されパーツ数が増えた一方、根本的なロボトルのバランスは変わっていない。
    • 新規登場パーツや調整*16こそあるものの微々たるものであり、下位互換等パーツ間の能力バランスは全く改善されていない。
    • 『3』以降で問題になった「速効メダフォース戦術」も顕在。
      • 通信対戦は世紀末状態で「フォース制御」で対策を練っておかないと、文字通り一瞬で勝負がつく。勿論プレイヤーもそうなったときの対策として、高威力の光学パーツなどを装備しているので、どちらにしても決着がつくまでにそれほど時間はかからない。

各種バグ・設定ミス

  • 通信対戦で「自己修復」機能を持つパーツを持ったメダロットでロボトルをすると、同期が取れなくなってしまう。
  • 「グレートファザー」という機体は頭部パーツの使用回数が0であり、変形後のドライブAが使用できないという設定ミスになっている。
    • 頭部回数設定ミスは本作が初。次回作『navi』でより問題化する。
  • クリア後のイベントにて特定キャラクターに何度も話しかけるとフリーズするバグの存在*17
  • 一方、オークションイベントで特定の選択肢を選ぶと所持金がオーバーフローして一定期間買い物し放題になるという有用なバグも。
  • メダルの属性が一部変更されたにもかかわらず、それを考慮せずに『3』の構成をそのまま流用しているため、敵の使ってくるメダルとパーツの相性が一致していない。
    • りんたろうやカガミヤマ等一部の主要人物が、前作から大幅に弱体化している。

総評

今までのメダロットシリーズのまとめと言えるほど、シナリオやボリュームに力を入れた作品。
前作をベースにした新パーツ・メダルの追加といった改良だけでなく、イベントや人物・メダロットの再登場などファンを喜ばせる要素も魅力的。
『2』から始まったイッキ3部作の最終章として相応しい出来になっている。

一方、『3』以上に「一見さんお断り」という作品になっていることも否定できず、『3』から抱え続ける通信対戦におけるバランスは改善されていない。
シナリオのテーマと連動したパートナーシステムも、サブゲームなど足かせになる場面も多く、さらに言えばシナリオ・パーツ数の増加によって煩雑になったともいえる。

対戦システムの肥大化、複雑化により新規層が初めて遊ぶには厳しいものとなってしまっているが、GBのRPGとしての出来は決して悪くなく、特に『シリーズ続けてイッキやメダロット達と共に歩んだメダロッター』に勧めたい一作である。


余談

  • 本作では「トウホウケン ブンロク」というメダロッターが登場する。
    • まさかナツメの処女作である『東方見文録』のキャラクターが本作に登場するとはだれが予想していただろうか。
    • 序盤の大会での対戦相手として登場するモブであるが、「日本一の雑貨屋さんになる夢」など独特のセリフはそのまま。その後各地でも彼の活躍(?)を垣間見ることが出来る。
      • さらに、パートナーメダロットの名前もブンロクの相方であった「マルコ」である。しかもカスタマイズも純正ではなく『東方見文録』のエピソードを思い出させるパーツで固められている。
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最終更新:2023年09月27日 19:06

*1 従来作では、漫画の主人公「波島りんたろう」が『2』・『R』・『3』で登場することはあったものの、大会での対戦相手やエンディング後の登場などに限られていた。

*2 これに準じた機能は『1』のリメイク作品である『メダロット パーフェクトエディション』に実装されていたが、本編では初めて。

*3 リネーム機能は『R』や『3』の『パーツコレクション』で行うことが出来たが、こちらも本編でのメダルのリネームは本作が最初。

*4 「しんりんランド」などの地形変更系メダフォースや「こうがくか1」などの射撃特性付加系メダフォースが該当。

*5 いわゆる「ロボット三原則」である。

*6 『2』にてその場所で初めて快盗レトルトに助けてもらったことから。

*7 『1』のヒロインの変装を『2』以降のヒロインがする。

*8 スタッフロールのクレジットでは「うえだ きぬよ」。

*9 クリア後のサウンドテストでも片方のバージョンに収録されたボイスのみ聞ける。

*10 『3』でも『2』で存在したマップには行けないなど。

*11 パートナーに捨てられた野良メダロットのメダルのため、そういう意味での説得力はあるが

*12 ただし、その後『メダロットDS』でアサッシンやスタティックが再登場したのを皮切りに、その後の作品でも調整のうえでタイムアタックやカウントアタックなどが復活している。

*13 『3』は「地底都市(山地)→海底都市(水中)→空中都市(砂漠)→宇宙(宇宙)」、本作は「北の四天王(山地)→西の四天王(森林)→南の四天王(砂漠)→東の四天王(水中)」といった形。

*14 どちらを手に入れることが出来るかは序盤の選択肢で分岐、また入手期間は限られている。

*15 ただし、クリア後に解禁されるロボトル訓練場のシミュレーターで何度でも対戦することは可能。

*16 例としてはダメージ減少、未満防御、索敵、重力制御の威力アップ、カウントダウンの威力低下など

*17 このバグのみかつて存在したイマジニアのユーザーサポートページでも発表されていた。