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テイルズ オブ イノセンス R

【ているずおぶいのせんす あーる】

ジャンル RPG*1
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 セブンスコード
発売日 2012年1月26日
定価 Vitaカード版:5,980円
ダウンロード版:5,380円
プレイ人数 1人
周辺機器 別売メモリーカード必須
通信機能 PlayStation Network対応
※ダウンロードコンテンツ配信
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン セクシャル、暴力、犯罪
判定 なし
ポイント リメイクとしては中々
改善点も多いがボリューム不足感が残る
良くも悪くも携帯機向け
テイルズ オブ シリーズ


概要

2007年にニンテンドーDSで発売された『テイルズ オブ イノセンス』のリメイク作。
タイトルのRは「reimagination(再構築)」の意味。RPGとしては、Vita初の作品となった。*2
新キャラの登場やそれに伴うストーリーの再構築、戦闘システムの一新など様々な要素が改訂されている。


追加・変更・評価点

  • DI-LMBS(ダイレクトインタラクション リニアモーションバトル)
    • フリーラン、空中コンボを駆使した戦闘が楽しめる。また、レイヴシステム*3やガードカウンターの追加によって、戦闘のやり応えが増した。
    • 経験値稼ぎが苦になりにくくなり、テンポよく進めるのは大きい。
    • 操作は右スティックでフリーラン、十字キー+×ボタンで術技というマイソロ仕様。
  • 戦闘バランスの再調整
    • DS版では最大3人だった戦闘メンバーが4人に増加。また、メニュー画面で戦闘参加メンバー数を変更することも可能になった。
    • DS版では難易度が高く設定されていたが、全体的に戦闘難度が抑え目になった。「敵が強すぎて詰む」という状況に陥ることはまずない。
    • だが決して「簡単すぎる」訳でもなく、上記のDI-LMBSによる派手な戦闘を楽しみながら進められる適度な難度になっている。
    • ボス戦も、後半に登場する「回復術を使えるキャラとタッグで登場するボス」以外は苦労するようなことはない。装備品の属性と回復アイテムにさえ気をつけていれば、割とサクサク進める。
    • 最後の手段としてDLCによるレベルやガルドなどの補充という手もあるが、はっきり言って頼る必要はない。
    • エンカウントはランダムエンカウントに変更。高過ぎず低過ぎない程よい頻度になっている。
      • 中盤以降は一定時間エンカウントを完全に防ぐアイテムが販売されるようになるのも嬉しいところ。
  • スタイル
    • 敵を倒すことで「アビリティポイント(AP)」が入手でき、これを消費することで「コンボプラス(通常攻撃の回数を増やす)」「ライトライズ(光属性の攻撃威力上昇)」といった「アビリティ」を入手できる。
    • アビリティごとに設定されている「コスト」を「キャパシティポイント(CP)」の上限以内に収まるようにセットすることで、アビリティの効果が反映される。
      また、線で繋がっているアビリティ同士を全て取得すると、パラメータアップの恩恵が受けられる。
  • キャラクターの追加
    • 敵の術を受けることで習得することができるシリーズ初の異色のキャラ「コンウェイ」、術は使えないが多彩な技を持つアタッカー「キュキュ」が新たに仲間に加わった。
  • ギルドの廃止とミッション
    • オリジナル版で不評だったギルドがなくなりグレードはこれまで同様、戦闘の評価によって入るものになった。2周目以降の特典購入はもちろん、各街にあるグレードショップではレシピやレイヴ・作戦を購入できる。
    • テイルズ オブ エクシリア』同様、所持グレードの上限こそあるものの、上限まで貯めればほぼ全ての特典が購入可能となった。引き継ぎ項目も充実。中でもパラメータをそのまま引き継げるのは画期的であり、その気になれば全ステータスカンストも狙える。
    • 戦闘突入時に低確率でミッションが発令される。「操作キャラのみ術技を使わずに勝利せよ」「誰も戦闘不能になるな」などで、クリアするとアイテムがもらえたり経験値などが増えたりする。なお、達成できなくてもペナルティは一切ない。
  • タッチ操作の導入
    • 戦闘中に画面下にあるキャラの顔をタップすることで、登録しておいた術技をショートカット使用できる。
  • Vitaの大容量を活かしてスキットやボイス等も大量に追加され、純粋なボリューム面も箔が付いた。
    • 不評の多かったダンジョンは仕掛けが多数用意され、従来の作品と比較しても遜色ないやり応えのあるものとなった。
      • DS版ではただ単に通るだけだったフィールド部分に多くの新ダンジョンが追加されている。
      • 隠しダンジョンも別のダンジョンに差し替えられ、ボスも変更された。DS版の隠しダンジョンが非常に面倒臭い仕様だった上に最深部に潜むボスがラスボスの使い回しだったので、特に問題になっていない。
    • 新しい街や施設もいくつか追加されている。
      • 新たに闘技場が追加された。当時最新作だった『エクシリア』のミラもゲストで登場している。
      • DS版ではミュース族はコーダしかいなかったが、新たにミュース族の里が追加された。『テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー3』に登場したアーダも逆輸入され、他のミュース族にも一匹一匹名前がつけられている。
    • スキットの数も大幅に増え、ボイス付きのスキットの割合もかなり増えている。内容も好評なものが多い。
    • 物語後半の通常戦闘・ボス戦用のBGMなど中村和宏氏による新規楽曲が多数追加。DS版では悪かったBGMの音質もかなり良くなっており、新規追加のBGMも人気が高い。
      • 既存の戦闘曲のアレンジは『マイソロ3』に近いものになっている。他は全て新規アレンジ。
      • 廃止されたダンジョンのテーマや差し替えられたBGMも別の場面で使用されている。削除されたBGMは一切ない。
    • 称号システムとそれに伴うコスチュームチェンジが採用された。本編中で手に入るものはやや少なめだが、『エクシリア』で批判されたキャラごとの格差はなくなっている。
      • 衣装変更は従来通り、称号を装備することで行える。今作の称号は、装備扱いとなっており、装備をすることでパラメータが上がる。
      • もはやお約束だが、DLC限定の衣装もある。ただし、今作では期間限定で特別価格にてダウンロードできるサービスが行われていた。
    • 今までのリメイク作品では作風自体が大きく変わったり、登場人物の性格や描写が改変されて賛否両論や問題点となる場合が多かったが*4、本作ではさほど余計な改変は行われておらず、それでいて適度な掘り下げや拡張を成している。
      • 目立つ改変と言えば、ヒロインの言動がややマイルドになっている程度。ただし彼女はDS版では性格や言動にトゲがあり過ぎると不評だった為、寧ろ好意的に受け止められている傾向がある。
      • 他にはリカルドがキャラをファーストネームで呼ぶように統一された。DS版ではファミリーネームで呼ぶ場合とファーストネームで呼ぶ場合が混在していたためと言える。
      • オリジナル版でも、その独特な言動から名物キャラとなっていた「ハスタ」は戦闘回数が増えた上、専用の戦闘曲が追加され、より印象に残る人物になっている。
    • 戦闘や場面転換時のロードも殆どなく、快適にプレイができる。
    • マザーシップタイトルとしては久々にワールドマップとランダムエンカウントが復活した。

賛否両論点

  • 新キャラの立ち位置
    • 追加された二人は異世界人であり既存のパーティーキャラクター6人と異なり「転生者」ではないため、イベントで置いてけぼりを食うことがしばしばある。一言も発しないまま次のイベントに行くことも。
      • キャラクター自体は二人とも比較的好評なので少々惜しいと言わざるを得ない。
    • 戦闘メンバーとしてはかなり癖が強く、ある程度システムになれていないと扱いにくい面がある。その分、うまく使いこなせば非常に頼れるのだが。
      • コンウェイは殆どの術習得がラーニング頼みなため、レベルアップで強力な術を覚えるパーティメンバーと比べると扱いにくい。またキュキュも、回復もできるエルマーナやある程度の術を使えるルカやスパーダに比べると少々見劣りしてしまう。
      • ただコンウェイはラーニングにより殆どの攻撃術を習得できる利点があるため、小まめに戦闘に参加させておけば、射程無限・回避不能という高性能な通常攻撃と合わせて万能キャラになってくれる。レベルアップで習得する専用術も、高レベルで習得するものはかなり強力である。
      • また、キュキュは技に「次の攻撃の威力を上げる」「一時的に敵の攻撃で仰け反らなくなる」といった付加効果を持つものや、「敵を引き寄せる」「敵を吹き飛ばす」といったトリッキーなものが多いため組み合わせ次第では非常に面白い戦闘が可能になる。
    • コンウェイの思わせぶりな行動の理由が明らかになるのはゲームが終盤にさしかかってからであるため、若干不満に感じるプレイヤーも少なくない。また、2人の行動も続編を思わせながら終わっているため、消化不良感が漂う。
  • グラフィックの質について
    • 据え置きHD機に比肩するスペックを持つPS Vitaの作品にしては低い部類で、近作の3Dテイルズによくある表情の動きのパターンが少ない。モーションのパターンも少なく、結果どの場面でも似たような動きをしているために見ていて飽きる。
      • ただし、単純にDS版から比較すれば目に見えてグラフィックが向上しているのは事実であり、見比べるとハッキリとグラフィックの進化が分かる。
    • モーションも変更されたが、スパーダは詠唱モーションや散沙雨系統が専用のものから汎用のものに変わっており、やや不評である。
  • DS版にあった術技の一部は差し替え・削除された。
    • 特にルカの代名詞の技だった火炎裂空が削除されたのは痛く、残してほしかったという意見も。他にも人気の術技が削除の憂き目にあっている。
    • 先述の通り技のモーションも変更されており、主にDS版では手数の多さと技のヒット数の多さが特徴的だったアンジュがその煽りをうけている。
      • 特に秘奥義は顕著で、軒並みヒット数が激減している。とはいえDS版は全体的に威力の低い攻撃を手数で補っていたのであって、本作のバランスが悪いわけでは決してない。
    • 一方で新規追加の技の性能は決して悪いものではなく、元々術技の大半が他シリーズキャラからの流用であったスパーダは個性ができたといえよう。
  • キャパシティポイントの上限がかなり低い。
    • 過去作にあったCPを上げる薬草や消費CPを1にする周回特典もないので、スキルを付け替える楽しみが薄いといえる。
    • クリア後ならグレードを使ってCPを倍にすることができるが、それでも解決するかと言えば微妙なところ。
  • サブイベントの発生がわかりにくい。
    • 近年のテイルズはマークでサブイベントの発生を示していることが多いが、本作にはない。DS版にはサブイベントは殆どなかった。
    • 時期限定のサブイベントが少なめなのが幸い。
  • オリジナル版でも指摘された、ボリュームについて
    • 再構成されたといっても、元が元ということもあり、本編ストーリーはやや短め。クリアだけなら、一周目クリアに20時間かからないだろう。ちなみに15時間を切るとトロフィーが貰える。
    • ラストも駆け足すぎで、振り回されているだけで終わってしまった感じが否めない。一応は原作のあっさりした部分は改善されている。
  • 評価点でも述べたようにキャラの改変は概ね受けいれられていることではあるが、チトセについては賛否が分かれている。
    + ネタバレのため注意
    • DS版では前世に思いを寄せていた相手であるマティウスに付き従い、思いを裏切られるも彼女に殉ずる形で自害するという悲劇的な人物であり、その最期に同情する声も少なくなかった。
    • 一方本作では出番の増加により、 ルカを攫うために戦艦で主人公の乗る船を襲った挙句、アスラ様(ルカの前世)以外要らないと言って部下諸共戦艦を沈める という、所謂ヤンデレキャラになっている。一応DS版でも兆候こそ出ていたが。
      • その最期も、マティウスに拒絶され斬られたうえに、マティウスが消滅したために狂死するという何とも救いようのないものになってしまい、批判の声が少なからずある。
  • 戦闘ランクは敵の全ステータスが1.2倍になる「ハード」の次が敵の全ステータスが3倍になる「アンノウン」(クリア後限定)になっている。
    • これまでの「マニア」に当たる中間の難易度がないため、「ハードでは物足りないが、アンノウンだと強すぎる」という意見がある。
      • もっとも「マニア」は近年の作品(ヴェスペリア・エクシリアなど)では用意されていないことが多くなっている。
  • DS版には存在したシリーズお馴染みのコレクター図鑑(入手したアイテムが記録される図鑑)が廃止されたのもしばしば不満点として挙がる。
    • アイテム数は大幅に増えており、ミッション報酬やくじ引き、敵からのドロップなどでしか手に入らないレアアイテムも多数あるため、コンプリートする楽しみ自体はあるのだが。
  • クリア後のパラメータ引継ぎは評価点にもなるが、これを引き継がないとレベルやドーピングはともかく、術技の使用回数やスタイル、料理レベルまでリセットされてしまう。特にスタイルは一度リセットしまうとストーリーが進むことで解放される物は再びストーリーを進めなければ解放出来なくなってしまう。絆値や称号は別で引き継げるのだからこれらも分けてほしかったという声もある。
    • 今作には全員特定以下のレベルでラスボスを倒すことで得られるトロフィーがあるため、欲しければ一度は引き継がないでプレイする必要がある。幸い、取得経験値を0にするスタイルは称号によって解放することで得られる物のため、その称号を引き継いでいれば問題は無い。

総評

オリジナル版の不満点をなんとか克服しようとしてはいるのだが、全体的にこぢんまりとしてしまっている印象を受ける。だが逆に言えば、手堅くまとまっているともとれる出来栄えともなっている。
メディアの容量やスペックを活かしたグラフィック強化やボイス・BGM増量(音質改善)、ダンジョンのギミック追加等がもたらした恩恵は非常に大きく、据え置き作品には及ばないが元のDS版に比べると大きなスケールアップを果たしたと言えよう。
シナリオ面での余計な改変等がほぼ無いのも当たり前のようで嬉しいところ。

更に『エクシリア』で削除されていた定番要素の多くが復活するなど、シリーズファンからの評価は概ね好評。
腰をすえてじっくりプレイするにはやや軽い作品だが、リメイクとしてもテイルズ作品としてもなかなかの出来なので一度プレイしてみてはいかがだろうか


余談

  • コンウェイとキュキュの世界と関連するイベントにおいて、リメイク元と同じDS作品の『テイルズ オブ ザ テンペスト』・『テイルズ オブ ハーツ』を思わせる1枚絵が出てくる。
    さらにエンディングや予約特典のスキットでは、次なるリ・イマジネーション作品の発売が示唆されており、実際に『ハーツ』が『テイルズ オブ ハーツ R』としてリメイクされた。
    • なお本作のサウンドトラックは発売されておらず、ゲーム内にもサウンドテストはないため、本作のBGMが高評価なのも相まって悔やまれる。

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最終更新:2022年01月05日 21:27

*1 リメイク元にもあるシリーズ伝統のシリーズ内ジャンル名を用いず、純粋に「RPG」である。

*2 『ダーククエスト』や『LORD of APOCALYPSE』はアクションRPG。『魔界戦記ディスガイア3 Return』はシミュレーションRPG

*3 敵に攻撃を与えたり、コンボを繋いで「上手な戦闘」をすることでゲージが溜まり、攻撃力アップや戦闘終了時の経験値増加など、どんどん有利な状況で戦えるようになる。

*4 PS2でリメイクされた『デスティニー』、PSPでリメイクされた『なりきりダンジョンX』が顕著。