星の丘学園物語 学園祭

【ほしのおかがくえんものがたり がくえんさい】

ジャンル 恋愛シミュレーション
対応機種 プレイステーション
発売元 メディアワークス
開発元 アトリエ彩
発売日 1998年10月22日
定価 5,800円(税別)
判定 なし
ポイント 手堅くまとまった佳作
ヒロイン多すぎ?


概要

主人公「村田和也(名前変更可)」は、星の丘学園に転校してきた2年生。
星の丘学園では1ヵ月後に控える学園祭の準備が始まろうとしていた。ゲームの主な目的は、この学園祭を成功に導くことにある。
転校してきたばかりの主人公には特定の所属が無いため、どの部活(催事は部活単位)を手伝うのも自由とされている。各イベントの手伝いを通じて仲間たちと交流していくのも目的の1つとなる。

システム

  • 昼休みと放課後の自由移動が中心となる。マップ内を移動してお目当てのキャラがいる場所へ行き、交流を深めたりイベントの手伝いをしたりする。
    SDキャラクターがMAP上に表示されているため、どこに誰がいるかはすぐわかるようになっている。そのため、ゲーム難易度は高くない。
  • 他の特徴的な要素としては「アイテム」「アルバイト」がある。アイテムは工具や文房具など様々なものがあり、それらを使うことで完成度を高めることができる。主に購買で購入したり各キャラとの交流から入手出来る。特定キャラの一定の好感度やイベントの進行がアイテム取得の条件というのもあり、しかもそのアイテムは別の部活で使える…ということが多い。そのため、全体を成功に導くためには満遍なく各部活に顔を出さないといけないだろう。
    • アルバイトは上記のアイテムを買う費用の足しにするのが主だが、主人公のステータスの上昇はアルバイトで行われるため、きちんと考えて仕事を選ばないといけない。
      各キャラクターには好みのステータスがあり、主人公がそのステータスを満たしていないとクリア出来ない。
  • 各キャラクターとの交流が進むと、お天気マークで「機嫌」が表示されるようになる。晴れのマークならばいいが、曇→黒雲→雷と悪化していく。
    ときめきメモリアル』における爆弾のようなもので、この爆発が起こると被害甚大。まずリカバリが望めないほどのダメージになってしまうため、ゲーム後半はご機嫌取りに忙しい展開になってしまうのはやや難点だろう。
    • 爆発の影響範囲は非常に大きく、爆発元のキャラと親しい人間全てに波及してしまう。登場人物はおおむね社交的で交友範囲が広いため、誰かが爆発すれば大抵は余波を食らってしまう。そのため、爆発は何としても防がないといけないのだ。
    • 各キャラクターは好感度が高まると登下校に誘ってくるが、それを誰かに見られると機嫌が悪くなり、上記のご機嫌取りが更に大変になる。男友達との登下校では誰かの機嫌が悪くなるということが無いため、男性キャラのお誘いが一種のオアシスという妙な状態になっている。

評価点

舞台設定

  • シナリオは無きに等しいものだが、学園祭の準備期間という舞台設定は非常に上手い。
    あちこちを巡り歩き交流しながら、一体となって学園祭を成功に導く。ゲーム内時間1ヶ月という短期間のストーリーが逆に功を奏している。
    学園祭の準備で盛り上がるというのは大半のユーザーが経験したことがあるだろうし、あの独特の高揚感をゲームでも楽しめるというのは評価すべきポイントだろう。

プレイアビリティ

  • システム回りはスッキリしていてゲームの動作も軽快な部類。メッセージスキップなどを使えば1~2時間の範囲で1周出来るため、繰り返しプレイするのも苦にならない。
    当時のギャルゲーはシステム周りが貧弱で遊ぶのにストレスを感じるものが多かったが、この点が解消されているというだけでも評価の対象になりえた。

問題点

新鮮味に欠ける

  • 小奇麗に、丁寧にまとまった良いゲームであるという評価は多いが、裏を返せば「これといった特徴が無くて地味」ということでもある。
    キャラクターのイラストが目を見張るほど可愛いというわけでもなく(少なくとも当時のギャルゲーマーにとっては)、システム周りで何か新しい要素があるというわけでもなく、全体的に既視感を感じる作り。
    良くも悪くも手堅すぎるところが多く、ユーザーアピールが足りていないのが残念なところと言える。
  • 毎日学園祭の準備がメインとなるため外出することもほとんど無く、あっても買出しばかり。主人公が住む学生寮は校舎敷地内のため、登下校といってもほんの僅か。一般的な登下校の楽しみというのも無いに等しい。学園祭準備という特殊な状況を楽しむゲームなので、日常的なイベントを犠牲にせざるを得ないのは仕方が無いところもあるが。

賛否両論点

攻略対象キャラの数と格付け

  • 実はこのゲーム、ヒロインは「メインヒロイン」と「サブヒロイン」に分けられている。
    メインヒロインとされる女の子にはエンディングが複数用意されているが、サブヒロインには1つしか無いし、内容も少々あっさりしている。
    そのため、サブヒロインに位置づけられてしまっているヒロインのファンからは不満の声も挙がっている。
  • 攻略の対象となるキャラクターが19人は流石に多すぎるという声も。確かにこれだけのキャラがいれば誰かしらお気に入りのキャラが見つかるだろうが、その分各キャラの密度は薄まってしまっている。普通のギャルゲーならばサブキャラで済ませているようなキャラまで攻略対象にしている(例:担任の先生、購買部の女性店員、中等部の後輩など)。「何故このキャラが攻略できない!」と言われるよりはいいのかもしれないが…

総評

遊んだ人からの評価は悪くないが、いかんせん購買意欲を喚起させられなかったのが悔やまれる佳作である。
ゲームとしての完成度はそれなりに高く、現在でもストレスを感じることなくサクサクと遊べるのは良点。
全CG、イベント制覇などに拘らなければそれほど難しいゲームではないし、攻略本も攻略サイトも健在。星の丘学園は現在でも門戸を開いている。


余談

  • 開発元のアトリエ彩は元々ガレージキットの開発・販売と3DCG製作を手がける会社であった。*1
    • キャラクターデザインの藤川明日香もプロモデラーとして月刊ホビージャパン誌で活動していた。
      • 新機動戦記ガンダムWや機動新世紀ガンダムXの頃、頻繁に作例を発表していたのでその方面で名前に見覚えがある人もいるのではないだろうか?
    • そのため同社よりガレージキットフィギュアとして「雪柳 なずな」「日向 照美」「芙蓉 瞳」「内田 真子」の四人が発売された。
      • ただし原型製作は藤川明日香ではない。
      • ゲームメーカー公式フィギュアが出ること自体は当時としても珍しくはないが、その場合原型製作は外注でプロ原型師に依頼する。ゲーム・フィギュアともに社内スタッフで製作・販売するのは本作とMAXファクトリーが手がけた『se・きらら』くらい、というレアケースである。
  • かなり古いゲームだが、5ちゃんねるのギャルゲー板ではまだ専用スレッドが残っている(ほとんど書き込みの無い過疎状態ではあるが)。
    なお、このゲーム内で学園祭が行われたのは2010年。まさかゲーム内時間までこのゲームのスレが残るとは…という人も。なんだかんだで愛されているということだろうか。

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最終更新:2022年09月02日 23:33

*1 現在は倒産している。