ラチェット&クランク オールフォーワン
【らちぇっとあんどくらんく おーるふぉーわん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション3
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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Insomniac Games
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発売日
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2011年10月20日
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定価
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5,980円(税込)
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判定
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なし
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ポイント
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協力プレイの代償にシステム大幅劣化
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ラチェット&クランクシリーズ
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SIEワールドワイド・スタジオ作品
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概要
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PS2から続く『ラチェット&クランク』シリーズの10作目。
今回はシリーズの中でも多人数プレイに重点が置かれ、過去にあった対戦ではなく「最大四人での協力」「オンライン協力プレイ」が導入された意欲作となっている。
システムの大きな変更点
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視点固定
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今までの作品ではカメラ視点を右スティックで自由に動かすことが可能であったが、今作では固定視点となっている。
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今作の右スティックはガラメカ(武器)変更に割り当てられている。
従来のガラメカ変更ボタンであった△ボタンは、味方を近くに引き寄せたりする時に用いるアクションボタンの役割になっている。
オフラインでのマルチプレイ時に画面分割を行わないようにするための変更と思われる。
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体力固定
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今作では体力は初期値に固定。従来作のように経験値やアイテムによって成長することはない。
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ガラメカアップグレード(武器強化)
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ガラメカの強化も経験値を貯めるのではなく、敵を倒した時に手に入るボルト(今作のお金のようなもの)を消費して弾数や威力を強化する方式になった。
評価点
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従来どおりの爽快感
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敵の撃破やオブジェクトを破壊する爽快感は健在。PS3のマシンパワーを生かして従来以上に描写も細かくなり、PS2からの進歩が窺える。
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グラフィックも前作FUTUREシリーズと同様に背景など美麗に描かれている。
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協力プレイの楽しさ
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協力プレイに重点が置かれているため、雑魚敵も体力が高めに設定され1人で戦っていると敵が硬い印象を受ける。
しかし今作は複数のプレイヤーが同じガラメカを使用して同じ敵を攻撃すると、攻撃力にボーナス補正がかかり、さらに攻撃を加えていくと敵の動きがスローになり大ダメージを与えられる。
このシステムにより味方と同じガラメカを使うことを意識するため、敵との戦闘で連帯感を感じやすく、オンラインでも自然と団結したプレイができる。
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特に各種ボス達はこれを意識することが前提の難易度であるため非常に強い。ラスボスもかなりの強敵であるが、その分多人数プレイでクリアしたときの達成感はオン・オフとわず非常に高い。
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新ガラメカ「VAC-U(バッキュー)」のアクション
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銃と掃除機が合体したようなガラメカで、常に○ボタンで使用する。「味方を吸い込んで遠くの足場に飛ばす」逆に「敵に向かって味方を吹っ飛ばしてみる」といったアクションができる。
この味方の移動を用いてステージでの謎解きを協力して行うので、謎解きでも連帯感を感じられるようになっている。
他にも「敵の投げてきた爆弾を吸い込んで敵に投げ返す」「遠くにある電源スイッチなどを近くに吸い寄せる」など協力プレイ以外でも活躍でき、これらのアクションは過去作では少なかったので新鮮な気持ちでプレイできる。
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対戦要素
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協力だけでなく対戦的な要素も残されている。ステージの特定ポイントで「倒した敵の数」「集めたボルトの数」に応じてプレイヤーにスコアが与えられ、ランキング形式で表示されるので、これを競う遊び方もできる。
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他にも「おじゃまモード」といった味方の攻撃でもキャラクターがひるむようになるモードもあり、これを用いて遊ぶとかなりカオスなことになる。
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キャラクター選択機能がある
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今までの主人公ラチェット以外にも、相棒の「クランク」、名物キャラクター「キャプテン・クォーク」、3の敵キャラクターだった「ドクター・ネファリウス」の4人のなかからキャラクターを1人選んでプレイする。
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4人は格闘攻撃や固有のガラメカを持っているという違いがあり、それぞれ個性的なアクションができるので、同じステージでもキャラによって違った感覚でプレイできる。
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シリーズ恒例のやりこみ要素も残されている。
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各ステージに隠されたヒーローボルト探し、特定条件を満たして入手するスキルポイントの獲得、さらにPS3のトロフィー機能にも対応している。
問題点
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UIに劣化した部分がある
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オートセーブ箇所がわかりづらくなった。
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上記のスコア表示時に画面にセーブアイコンのようなものが出たりするが、実際にはセーブされていない場合が多い。はっきりセーブされたとわかるのはステージ内のムービーが終了した直後。
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更に手動セーブも廃止されているので、ステージ攻略途中での中断するタイミングを計りがたい。
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ムービースキップ機能削除
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純粋に長いムービーもあり、ステージを始めるたびに見ることになるため何度もプレイしているとストレスがたまる。
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ヒーローボルトの収集状況がステージごとにはわからない。
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このためどこのステージで取り逃しているのかわからないので、下手をすると総当りでステージを探し回ることになる。
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カメラが固定になったことで、慣れないうちは崖から落ちるなどミスをしやすい。またこれによってステージの開放感などを感じづらくなった。
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上記のプレイヤーキャラクターの中でクランクが小さいので、固定視点の影響もあり敵や味方が入り乱れる状況になるとどこにいるのかわかりづらくミスをしやすい。
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プレイヤーの足元はそれぞれ違う色に光るなど工夫はされているが、完全に解決できてはいない。
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従来作品には存在した「チャレンジモード(2周目)」「インソムニアックミュージアム(没ネタなどを見れる開発室)」などが削除されている。
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特にミュージアムはやりこみ要素を全てクリアした際のご褒美の位置づけであったため、コンプリート意欲がやや沸きづらい。
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ただチャレンジモードが存在しない代わりに、最初からステージの難易度が選択できるようになっている。
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協力を前提としているため、ソロプレイでおざなりになっている部分もある。
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やりこみのひとつである「トロフィー」には協力しなければ達成できない内容があり、ソロプレイではコンプ不可能。
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上述したように敵が硬めに設定されているので、ボルトを集めて装弾数を強化しないと弾切れしやすい。
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ただNPCが1人ついており、NPCとの上記のような連携を意識すればクリア自体は十分可能である。
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スムーズに行けば全ステージをクリアにかかる時間は15時間程度で、一通りクリアするだけでは物足りない。
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オンラインプレイでのバグ
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ステージのギミックであるカタパルトで移動する際、プレイヤーのだれか取り残されてしまったりすることがある。
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せっかくオンラインなどの協力プレイが楽しいのに、こういったバグが起こるとルーム解散をせねばならない状況になることもあるので萎える。
総評
オンラインやオフラインでの協力プレイをしたプレイヤーからは「テンポよくワイワイ楽しめる」となかなかの評価を得ている。
ただソロプレイの場合、UIの不親切さやマルチプレイ前提の調整から物足りなさやストレスを感じてしまうのも事実である。
そのため自分のオンライン環境や、オフラインで一緒にプレイできる友人がいるかどうかが購入の決め手となるだろう。
全体的にパーティーゲームのような複数でプレイする楽しさが大きいので、協力プレイができる環境があるならば十分楽しめるゲームである。
最終更新:2022年02月15日 00:34