ルナーク
【るなーく】
ジャンル
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ベルトアクション
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高解像度で見る 裏を見る
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対応機種
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アーケード(F2システム)
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販売・開発元
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タイトー
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稼動開始日
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1991年2月
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プレイ人数
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1~2人(同時プレイ) (設定次第で最大4人同時プレイ可能)
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配信
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アーケードアーカイブス 【Switch】2023年7月27日/838円(税10%込) 【PS4】2023年7月27日/837円(税10%込)
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判定
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ゲームバランスが不安定
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バカゲー
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ポイント
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動物保護の為に人間を大虐殺 かなり高めの難易度に反した派手な演出
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概要
4人の男たちが乱獲による絶滅の危機に瀕する動物たちを救うべく悪の密猟団「ブラックビーンズ」に立ち向かうベルトアクション。
本作はタイトーアメリカが海外向けに企画したもので、日本のタイトー中央研究所に開発を依頼する形で作られた。ちなみに海外版は『Growl』のタイトルでリリースされている。
ストーリー
時は20世紀初頭。密猟団「ブラックビーンズ」による野生動物の乱獲により動物達は絶滅の危機に瀕していた。
この事態に対し、4人の男達が動物達を救うべく「レンジャー部隊」を結成。「ブラックビーンズ」の追跡を行っていた。
だが「レンジャー部隊」の行動を察知した「ブラックビーンズ」は彼らが待機している小さな酒場に刺客を送り込み襲撃。
刺客の襲撃により瓦礫の山と化した酒場。間一髪で生き延びた「レンジャー部隊」は、胸に怒りの炎を灯し「ブラックビーンズ」を壊滅させるべくを行動を開始した。
基本システム
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操作はレバーと2ボタン(アタック、ジャンプ)。敵の近くでボタン同時押しでスペシャル攻撃。レバー上とジャンプでスーパージャンプ。
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ライフ制。拳マークで表示され、ダメージを受けると色が黄色→赤となり、最後にはマークが消滅する。使用キャラクターにより内部的にライフ量が違う。ライフを全て失うとゲームオーバー。
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体力ゲージは4ブロック分表示され、ステージクリア毎に1ブロック回復。
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プレイヤーは攻撃力や体力が異なる4人(名前は無し)から選択。基板と筐体の設定により最大4人同時プレイ可能。
評価点
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容赦の無い残虐表現
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爆弾やランチャーで敵を爆殺したり、列車に轢かせると木っ端微塵の肉片になって飛び散る豪快さ。
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救出した動物達は援護攻撃を行ってくれるのだが、これがまた残虐。ゾウは敵を容赦なく踏み潰し、ライオンは画面外に去る際に直線上の敵を皆殺しにしてゆく。この際にも肉片が飛び散り、豪快な演出に一役買っている。
敵はどうやって捕まえたんだろう
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素手の場合、敵との距離・状況によって攻撃方法が自動的に切り替わる仕様となっており、アクションは多彩。敵の体力が減るとへたり込んで息を切らす状態になるが、この状態の敵に髪つかみ膝蹴りやハンマーナックル、腰を屈めて襟掴み顔面パンチや踏みつけ等、なんでもありである。
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芸の細かい演出
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要所でインパクト大の会話が入ったり、船の上ではリアルな海の環境音が流れ、演出自体は作りこまれている。
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武器の種類が豊富。棒からロケットランチャーまで様々。
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本作は武器攻撃が強いゲームバランスである為、使いこなすことは非常に重要。ちなみに拳銃を除く銃系の武器は弾が尽きると銃身で殴る打撃武器に変化する。
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後述の問題点はあるが、大量に群がるザコ敵達を武器攻撃でまとめて吹っ飛ばす様は中々に爽快。後年の無双系アクションの走り…ともいえるかもしれない。
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それでいてザコ敵が10体以上存在する場面であっても処理落ちがほぼ起きない。
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他ステージも列車上でのバトルや、洞窟のジャンプアクションゲームに変化(!)するエリアなど飽きさせない作り。
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洞窟の場面以外は場面切り替えの暗転がなくノンストップで進行していく。
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ZUNTATAのyack.こと渡部恭久によるBGMも出来がよくノリが良い。
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メインテーマである1面BGM「Rune&Ark」は「胸に怒りを秘めて戦いに身を投じる男達」を表現するような静かな曲調ながら熱い旋律が特徴の曲で特に人気が高い。
更にゲーム終盤のここぞという場面でメインテーマのイントロ違い版(「Dear Partner」)が流れ始めるニクイ演出も。
問題点
非常に高い難易度。
アーケードゲームということもあり基本難易度は高いが、本作は以下の点で並のベルトアクションよりも難易度が高い作品として分類されている。
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素手と武器の能力差が極端。
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素手の状態では威力や判定が弱く、カウンターを喰らいやすい。ボス級の敵はなかなかダウンしない為、ただ単に攻撃ボタンを連打しているだけでは殴り返される事がザラ。
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逆に武器が強すぎる。特に鞭は前後に攻撃判定があり、リーチがかなり長い。これがある間は振り回すだけでなんとかなってしまう。
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しかし特定のボスでは鞭以外の武器を使ったほうが有効だったり、他の武器も判定や威力が高いので決して鞭だけが有利なゲームではない…が、素手との極端な性能差が本作を武器ゲーにさせている事は確かである。
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また、上記の強力な鞭には他の近接武器と比べてボタンを押してすぐに攻撃判定が発生しない欠点があり、雑な立ち回りをするとその隙に攻撃を喰らうリスクがある。
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体力はステージクリアでしか回復せず、回復アイテムも無い。
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しかもステージクリア時の回復量はライフマーク1つ分だけ。全回復も無い。本作は残機制ではないため体力0で終了である。エクステンドも当然ない。
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攻撃を喰らうと強力な武器を落としてしまうので一気にピンチになる可能性が高く、1コインを目指すには攻撃をなるべく喰らわないシビアなプレイを要求される。
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ただし、ディップスイッチ切り替えでラスボス戦でのコンティニューが出来ない設定の時に限り、ラスボス戦突入時に体力が全回復する。
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ちなみにMD版では新たに体力回復アイテムのリンゴが登場するが、出現数も回復量も共に少ない物となっており、その恩恵を実感しない。
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4人プレイ前提で敵が配置されており、その物量が半端ではない。
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本作ではダウンからの復帰に無敵時間がないため、一人プレイだと敵が多い状況で一度ダウンされると、再び立ち上がることもままならないなんて事も…。
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メガクラに当たるスペシャル攻撃は、敵に囲まれているときにしか出せずリスクが高い。よって素手の状態で乱戦を切り返すには、跳び蹴りを繰り返すぐらいしかない。
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ステージ最後に待ち構えるボス敵はどれも強敵で、正面から戦えばあっさりと返り討ちにされる事必至。
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1面ボスの時点で強く、体力をある程度減らすと行ってくる爆発を起こして大ジャンプからの高速突進攻撃は回避が難しい。
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最終面後半ではボス敵がラッシュ形式で再登場するが1面ボスに至っては3体同時に出現する。直前で入手できるロケットランチャーで瞬殺し損ねたら待っているのは死である。
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その他
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ステージ構成がかなり短く、EDまで約15分程度と長丁場になりやすいベルトアクションにしてはクリアまでの所要時間が短め。永パ防止キャラもしっかり存在する(画面をスクロールさせずに一定時間が経過するとホーミングするロケット弾が打ち込まれ、大ダメージを受ける)。
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途中ベルトアクションからジャンプアクションに変化するステージにおいては操作説明も無く唐突に現れる為、初見では混乱しがち。奥行きが無くなり当たり判定が大きいままで進まなければならず、ジャンプのタイミングも結構シビア。
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隠し操作として存在する大ジャンプがあるのだが、やり方はインストカードにも書かれておらず、意地悪。
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尚、突き出す針状のトラップは「突き出た瞬間だけ当たり判定がある」という「知っていればそこまでシビアではない」というのが救いだろう。
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本作の4人のプレイヤーキャラクターは全て顔違いか色違いのコンパチ。技の差別化は一切なしで、誰を選んでも演出や台詞に変化が無い。
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一応差別化を図っている点もあるが、それは攻撃力や体力といったステータス面だけ。つまり全てのキャラクターで全く同じ攻略法をする事になる。
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ちなみに、キャラクター性能には明記されていないが隠しステータスとして「攻撃速度」があり、これも考慮に入れた人選をすると、左から2番目と4番目のキャラクターが一番使いやすくなる。
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ザコの種類が少なく、最大でも5タイプまでで使い回しが非常に多い。
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が、それを補うべく1画面に大量の敵が入り乱れる展開になっている。
おバカな点
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本作の設定は「アフリカを舞台とし、レンジャー達が密猟組織から動物たちを救出する」という真っ当な物。
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しかし実際にしていることと言えば、敵の密猟者をひたすら虐殺するという身も蓋もないというかある意味、本末転倒な行動。
もちろん敵が女性であっても全く容赦はしない。へたり込んだ相手に対して顔面膝蹴り連打したり、爆発物で木っ端微塵に吹っ飛ばしたり、救出したゾウやライオンの力を借りて踏みつぶし・食い殺させたり……。ぶっちゃけやってることは密猟以上に酷過ぎである。
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本作のキャラクター選択画面は主人公4人の肖像画が並ぶ絵面となっているが、左端(白)以外はどれも強面で正義の組織の人間にはとても見えない。
上記の過激すぎる行動はそれ故か。
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敵である「ブラックビーンズ」もおかしなノリ
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特にボスキャラクターは上半身裸で体中にダイナマイトを巻き付けて爆発の勢いで大ジャンプ攻撃をするデブ、大勢で一斉に襲い掛かる商人風のデブ、命乞いをする覆面のマッチョマン、仮面をつけた紳士風の風貌のラスボスとどれもパッと見で分かるほどの色物揃い。
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そしてこれらのボスキャラクターは倒されるとどこその怪人の如く大爆発が起きて木端微塵になる。良くも悪くもひたすら豪快である。
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ちなみに上記で触れてる女性ザコだが、皆揃ってボディコン風の衣装であり、泥臭い世界観の中でやたら浮いた外見となっている。
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胸元から無限に取り出す手榴弾をメインに攻撃してくる他、旋風脚を使ってきたりとザコ敵の中ではそこそこ手強い。
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MD版にて敵キャラクターに名前が設定されたが、男性ザコは「ダイスケ」や「アラブー」と何故か投げやりなネーミング。
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テンポの良さに騙されがちだが、OPもかなりシュール。
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無線連絡で密猟団の存在を知る→次の瞬間にはいきなり奇襲されグレネードを投げ込まれる→アジト大爆発してすべて消し飛ぶが、テーブルの下に伏せていて助かる→「…許せない!!」。シリアスを狙ったのかも知れないが、人によってはギャグにしか見えない。
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この時自キャラが座ってる席は選んだキャラクターによって固定。特に黄色は敵が投げた手榴弾が足元に落ちており、どう見ても伏せる以前に助かっていない。
黄色の体力値が全キャラクター中最低なのはこれが原因なのかもしれない。
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その後、破壊されたカウンター前のタル4つからロケットランチャーが現れる。つまり、最初から殺る気満々ということである。
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象の怒りの体当たりで壊れる戦車。そこから出てくる敵の数が明らかに戦車に乗れる人数を超えている点。
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そしてここで出番終了…と思いきやラスボス戦で斜め上すぎる形で再登場を果たす。
その戦車の材質は一体どうなってるんですか。
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この戦車はドットが異常に粗いため、デザインが明らかに浮いている。
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ラスボス撃破後、ラスボスの体内から謎の生物が唐突に現れる「宇宙人オチ」。
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MD版はいかにもラスボス的な演出だが、アーケード版の演出はそれまでの展開とは裏腹にかなり不気味で、BGMがなくなり、ジャングルの環境音と謎の生物のうなり声のみが響く中、何故か背景はラスタースクロールで揺れ続ける。非現実極まりない状況をそのまま表現したような独特な演出である。ラスボスのデザインもMD版より不気味。
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ちなみに前述のラスボス戦でのコンティニューを不可に設定している状態でのみ、敗北するとバッドエンドになる。
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MD版では敵組織の名称が「ベルサー動物保護法人」となっているが、『ダライアス』の敵役のベルサー星人との関連性については、何の言及も無い。
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爆発のグラフィックと共に擬音が表示される、アメコミ風の迫力の演出。
総評
本作は海外向けの作品故に操作性やバランスがかなり悪く、ザコも大半が使い回しの連続と悪い点ばかりでヒットしたとは言い難い作品であるが、それを補うかの如く豊富な武器や豪快な残虐表現といった演出にとにかく力を入れた作品である。
そういった意味では「クソゲー」よりも「バカゲー」と評価している人も多い。内容的に誰にでも進められるようなものではないが、ネタとしてプレイすれば割と笑えるかもしれない。
移植
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MD版(1991年11月15日発売、開発:アイ・ティー・エル)
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主人公4人に新たに名前が与えられており、「世界動物愛護機構に所属するエージェント」という設定も付加されている。メッセージが全て英語に変更されている上に洞窟エリア等が削除され、難易度に調整が入っているアレンジ移植となっている。また協力プレイもカットされ1人用に変化している。肝心の敵が肉片になる表現もAC版ほどではないがちゃんと残されている。しかしグラフィックに関しては相当劣化しており、当時の他のMD作品と比べても格段見劣りするレベルになってるのが頂けない。
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なお、開発自体はAC版とほぼ並行する形で進められていた。
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PS2版(『タイトーメモリーズ上巻』収録)
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移植度はほぼ完璧であるが、表現規制の為にウリである「敵が肉片になる表現」が修正されているので注意。付属のブックレットにAC版開発の経緯が掲載されている。
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イーグレットIIミニ
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AC版に忠実な移植であり、PS2版ではカットされていた肉片も再現されている。
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アーケードアーカイブス版
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PS4とSwitchにて2023年7月27日配信。海外版『Growl』も収録。「ゲーム設定」にて最大2人同時プレイか最大4人同時プレイかを切り替えられる。ラスボス戦でのコンティニューのON/OFFの切り替えも可能。イーグレットIIミニ版と同様に敵がバラバラになる表現もノーカットで再現。
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海外では『TAITO Legends 2』(PS2、Xbox、Windows)に本作が入っている。こちらは海外版準拠のため『Growl』のタイトルで収録されており、上記の残虐表現はWindows版を除き各地域のレーティング規制によりカットされている。
余談
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実は、本作の初期企画書を書いたのは『奇々怪界』の企画・制作・キャラデザを担当した薮崎久也氏。
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企画初期の段階では「ジャングルクルーズしながら現れる動物をハンティングするシューティングもの」という真逆の設定だったのだが、「動物保護団体にクレームを入れられる」という理由でタイトーアメリカから却下されてしまった。そして半ばやけくそで内容を上記のように改定した結果、人間が大量虐殺されるという明らかに倫理的に問題ありな内容満載にもかかわらずすんなりと通ってしまったらしい。本人曰く「馬鹿な話ですよまったく(笑)」(同人誌「ゲームクロニクルvol.1『奇々怪界』」インタビューより)
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サントラはサイトロンレーベルの廉価シリーズである「G.S.M.1500シリーズ」において『ガンフロンティア』とのカップリングでリリースされた。全く趣の違う選出なのは両ゲームが発売が近く、曲数も少ない間柄だと思われる。
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残念ながら現在は廃盤となっており、近年になってタイトーのAC作品のコンピレーションアルバムである『タイトーデジタルサウンドアーカイブス』シリーズや『タイトーレトロゲームミュージックコレクション』シリーズが発売され、再録もあるかと思われたがどちらにも本作のBGMは収録されなかった
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2019年10月発売の「TAITO ARCADE SOUND DIGITAL COLLECTION Vol.1」にてようやく再収録を果たした。『エレベーターアクション リターンズ』とのカップリング。
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4人まで同時プレイ可能だが、F2システムの機能で1枚の基板で2台の筐体を使っての稼働。基板上に3P4P用コネクタがあり、当時のタイトー筐体「MM」「カナリー」の横穴又はバックボードから配線を伸ばしてコンパネに繋ぐ結構強引な手法。映像は分岐出力なので『スパイクアウト』みたいな離れた所でもシンクロプレイという訳にはいかない。
最終更新:2023年08月11日 14:25