メモリーズオフ

【めもりーずおふ】

ジャンル 恋愛アドベンチャー
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 KID
発売日 1999年9月30日
定価 6,800円
廉価版 【PS】(SuperLite1500シリーズ)
サクセス/2000年7月19日/1,500円
判定 なし
ポイント 快適なシステムやせつないシナリオにより高評価
とくにライトユーザーの獲得に成功
メモリーズオフシリーズの原点
メモリーズオフシリーズ


概要

過去に悲しい出来事を経験した主人公・三上智也が、様々な女の子との出会いと交流を通じてそのトラウマから脱却していく、という内容である。
ゲーム期間は10月1日から11月頃までで、選択肢によってルートが分岐していくというオーソドックスな恋愛ADV。
副題は『かけがえのない想い…みつけた』。

ちなみに製作開始が1999年3月、マスターアップが1999年7月という異様な短期間で製作された。


特徴

  • 2択などの選択肢により展開が変わるアドベンチャーゲーム
    • 選択肢以外の分岐要素は存在しない。

評価点

  • シナリオ序盤から伏線が潜ませてあり、後半にはしっかりと回収されている。
  • 主人公の元恋人が死別したことによる恋愛のトラウマや、ヒロインのひとりが病気にかかりそのままEDを迎えるなど、せつないシナリオが好評であった。
    • 時期的に市民権を得始めた「感動物」のギャルゲーのコンシューマにおける走りとも言える。
      • ちなみにこの元恋人、ジャケットに単独で描かれるなど宣伝上はメインヒロインのように扱われていたため、故人であることが明かされた時の衝撃は大きなものだった。
  • 当時『HAPPY★LESSON』などで評価され始めたささきむつみがキャラデザを担当していた。
    • CGも比較的ささきむつみの原画に忠実に描かれている。
  • 主人公を除きほぼフルボイスである。
  • システム周りは当時のギャルゲーとしては非常に良質で、セーブデータが80個保存できたり、スキップ機能やバックログも完備していた。
    • スキップ時はテキストだけを読み込むため非常に高速である。

賛否両論点

  • 上でも述べたが、ヒロインのひとりはシナリオ途中で難病に侵され、治す手立てもないままEDを迎える。
    • ヒロインの死はギャルゲーとして反則ともいえ、当時KIDの公式掲示板が炎上した。しかしそれは本作のキャラが人気の獲得には成功したということでもある。
      • それ故後々のKID作品において『病弱属性=死亡フラグ』という方程式が成立するくらい、病弱なヒロインは必ずといっていいほど死ぬ運命が待っていたりする。

問題点

  • 一言で言うと盛り上がりに欠ける。
    • シナリオ前半の共通ルートが冗長であり、起伏に乏しい、後半の個別ルートではせつないシナリオが好評であるものの割とあっさりEDに入ってしまう。
      • 前半の問題はスキップ機能で解決できる。
    • 高校が舞台なのに学校行事が中間テストのみであり、ある意味リアリティーがある。
  • 主人公の虚言癖、暴言、捻くれた性格、シナリオに漂う電波ワードなど、受け入れられない人には受け入れられない要素が多い。
    • 「脳をゆすげ !脳を!」「かき氷ならぬかきコオロギ」といった珍言が散見される。
    • と言ってもシリアスな場面でこうした場違いなギャグが出てくるわけではないが、主人公に感情移入しづらい原因の1つにもなっている。
    • シナリオ担当の打越鋼太郎氏はこう言った批判がショックだったらしく、以降はあまり個性的な主人公を作れなくなってしまったと言う。

総評

恋愛ADVにとって重要なポイントは、魅力的なキャラクター、感動的なストーリー、快適なシステムの3つである。
本作について言えば、システムの品質は前述の通り高い水準にあり、キャラクターの魅力も十分ある。
残るストーリーだが、終始付き合うことになる主人公が感情移入しづらい事に加え、ヒロインの死という賛否分かれるシナリオで人によって大きく評価の分かれる物だった。
とはいえ、本作はライトユーザーを中心に好評を博し、多くのファンの獲得に成功したことで、名実共にKIDの代表作となった。比較的移植も充実している為、今でも手に触れる価値は十分にあるだろう。


余談

  • KIDは本作の発売以前、劣化移植メーカーと評されることが多かったが(『輝く季節へ』など)、本作や『infinityシリーズ』などの高評価によりそのイメージを払拭した。
    • 本作は後にinfinityシリーズで名を馳せる打越鋼太郎氏のシナリオデビュー作でもある。
  • 恋人が故人、という設定は後に『てんたま』でも使われている。
  • 20周年のシリーズキャラ人気投票では「双海詩音」が1位となり、ショートストーリーが公開された。

続編・移植

  • 主人公の中学時代を描いた『メモリーズオフ ~ピュア~』がネオジオポケットカラーにて発売された。
  • 移植として、様々な追加要素を加えたDC版(『メモリーズオフ Complete』)、DC版の内容に加え『メモリーズオフセカンド』をカップリングしたPS2版(『メモリーズオフ デュエット』)、後日談を収録したPSP版やWindows版がある。
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最終更新:2023年06月08日 15:16