ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!
【ふぁいたーずひすとりー みぞぐちききいっぱつ!!】
ジャンル
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2D対戦格闘
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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24MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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データイースト
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発売日
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1995年2月17日
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定価
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9,900円
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判定
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バカゲー
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ポイント
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まさかの主役交代&キャラ減少 そしてあのアトミックランナーの参戦 当時としては珍しいプラクティクスモードの追加 難易度はさらに高くなった
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ファイターズヒストリーシリーズリンク ファイターズヒストリー / ダイナマイト / 溝口危機一髪!!
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概要
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データイースト(以下デコ)の対戦格闘ゲーム『ファイターズヒストリー』シリーズ第3作で、それと同時にシリーズ最終作でもある。
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本作はシリーズ中唯一アーケード版が存在せず家庭用のみで発売された作品でもある。
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元々本作は第2作『ファイターズヒストリーダイナマイト』のSFC版移植作品として作られていたのだが、新必殺技の追加・オリジナルモードの搭載等様々な要素を追加され、結果的に『ダイナマイト』の続編的作品となった。
特徴
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基本的なシステムは『ダイナマイト』に準拠しており、シリーズの特徴である「弱点システム」も受け継がれている。
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タイトルが示すとおり、本作の主人公は溝口誠となっており、溝口を操作するストーリーモード「溝口モード」が存在する。
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溝口モードのストーリーは以下の通り。「浪花を愛する溝口の目前で、浪花のシンボル“タコヤキ屋 浪花一番”の看板が奪われた。犯人は、全身から鈍い光を放つ謎の男。果たして彼の本当の目的とは……。格闘家からの情報を頼りに、看板を取り戻すため、溝口は旅立つ!!」
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溝口モード以外には、タッグバトル・サバイバル・プラクティスの3モードの中から好きなモードが選べる「エクストラモード」が存在する。
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その他のモードはSFC版初代『ファイターズヒストリー』からほぼ引き継がれている。
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プラクティスモードは当時としては珍しい連続技の練習モードで、各キャラの連続技を2Pキャラクターが指南してくれる。課題をすべてクリアすると本作で追加された新必殺技のコマンドを教えてもらえる。
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『ダイナマイト』のセガサターン版同様、溝口の「ごっついタイガーバズーカ」「通天砕」などで使用する攻撃ボタン4つ同時押しが、ボタン1つで代用できるようになっている(初期設定ではRボタン)。
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SFCの容量の都合上、プレイヤーキャラは『ダイナマイト』からレイ・マクドガル、サムチャイ・トムヤムクン、ジャン・ピエール、マットロック・ジェイド、マーストリウスの5人が削除されてしまっている。
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ラスボス兼隠しキャラとして、デコのかの問題作『チェルノブ』の主人公・チェルノブその人が登場している。
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溝口モードでの登場シーンでは「あるときは正義のロウドウシャ あるときは科学のギセイシャ!」と、AC版とMD版『チェルノブ』の設定にかけているセリフを言う。だがその時の背景は無数の「タコギライ」の文字と放射能のマーク。
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肝心の性能だが、原作で使用していた武器を元にした飛び道具を中心に戦うキャラクターで、遠距離攻撃の光子力光線が強力だが、相手の位置に対応した個別の技を持つオールラウンダーとなっている。膝をつかない拳王と違って、原作通りに後ろに下がれないという事も無い。
評価点
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初代のSFC版同様、SFCの対戦格闘ゲームとして非常に優秀で、格ゲーとしての実用性は高い。
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他の家庭用対戦格闘ゲームに先駆けてプラクティスモードを導入したことも評価すべき点である。
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グラフィックも初代と比べて綺麗になってキャラの大きさも一回り大きくなっている上に、ボイスも流用がなくなり本作に対するデコの本気を感じさせる。
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SFC版初代からたった4Mの増量だが、4Mといえどもその差は大きいといえる。
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溝口モードのストーリーもデコゲーらしさ全開で、溝口の濃い性格と強引なストーリー展開は思わず笑いがこみ上げ、デコの強引な展開が最大限に活用されている。
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チェルノブの登場も、デコゲーファンにとってはまさにサプライズであった。
問題点
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SFCの容量故に致し方ないとはいえ、『ダイナマイト』から5人もプレイヤーキャラがリストラされた事。
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特にカルト的人気を誇るサムチャイと、本来主人公であったはずのレイまでリストラされたことは非常に残念であるといえる。
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もっともレイは初代の時点で溝口をはじめ濃い脇キャラ勢に存在感を食われていたため、本作での扱いは妥当とするプレイヤーも多い。その所為で主人公(笑)というレッテルを貼られてしまう事になったのだが。
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一部ではその代わり(?)にチェルノブを登場させたことで充分元が取れているという評価もある。
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存在が消されたわけではなく、溝口ストーリーモードでは脇役として登場する。
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CPUの難易度の高さ。
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本作のCPUはプレイヤーの攻撃に対する反応が早く、こちらの攻撃をやたらとガードしたりこちらの隙を見逃さないのは、初心者にとってかなりきつい。
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ただ、一定の間合いで技を放つとガードせずに必ず食らうので、溝口のように連続して出せる必殺技を繰り出せば、自動的に間合いを詰めることができる分意外と楽にしとめられる。
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当然、そういった技を持っていないキャラは間合いを詰めるのに苦労するが、CPUは登り蹴りには弱いのでそれだけでも勝てる可能性もある。
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本作のCPUを担当した人の話では、バランス調整に参加したデザイナーの人から「まだ弱い」という評価を受けた模様。 参照
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対戦バランスは偏りがある。本作では主役の溝口の必殺技「空中連続蹴り」(通称チェスト)の隙が少なく、通常技と組み合わせると簡単に永久連続技となってしまう。
総評
キャラ削除やCPUの難易度の高さなど問題点もあるが、SFCの対戦格闘ゲームとしての完成度は非常に高いといえる。またデコゲーの馬鹿馬鹿しい世界観が好きだという人にもお勧めできる作品であろう。惜しむらくは、後のデコの倒産によって本作がシリーズ最終作となってしまったということか。
余談
本作である条件を満たすとスタッフロールが流れ、スタッフがどう見ても力が入っているという名前だけ見ても個性が強いというデコらしさが窺える。その後「おしまい」と書かれた後に本作に登場するキャラが全てデフォルメされた人形が全て置かれるという演出が入る。
その後の展開
溝口はデコ倒産後も、『KOF MIA』や『喧嘩番長3』といった他社のゲームにゲスト出演している。
また、2007年には携帯アプリで『餓狼伝説VS.ファイターズヒストリーダイナマイト』というベルトスクロールアクションが出ていた。
最終更新:2021年06月14日 04:57