SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.13 アウトラン

【せがえいじす 2500しりーず ぼりゅーむ13 あうとらん】

ジャンル レースゲーム
対応機種 プレイステーション2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 3Dエイジス
開発元 シムス
発売日 2004年5月27日
定価 2,500円(税抜)
プレイ人数 1人
セーブデータ 120KB以上の空きが必要
レーティング CERO:全年齢対象
判定 なし
ポイント 殺風景なポリゴンリメイク
原作とはプレイ感覚が微妙に違う
原作譲りな要素も引き継いでいる
SEGA AGESシリーズリンク


概要

2003年にて3Dエイジスがプレイステーション2にリリースしたSEGA AGES 2500(以下、AGES)シリーズの第13弾にあたるソフト。
1986年にてアーケードにリリースされ、今なおレースゲーム界の名作の一つに数えられる作品『アウトラン』のポリゴンリメイクにあたる。

AC版のステージを再現したコースの他に、新規ステージを追加したオリジナルコースでプレイできるモードも用意されている。

主なルールに関しては原作忠実なのでこのページでは割愛する。


主なモード・ゲームシステム

  • アレンジモード
    • AC版ステージと本作オリジナルの新規ステージを組み合わせたコースで走行するモード。
      • 1プレイあたりのステージ数がAC版よりも2つ増え、全7ステージ構成となっている。
      • コース分岐が「ひし形状」になっており、どのルートで進もうが最終ステージが必ず同じコースとなる。コースMAPに関しては下記参照。
    • このモードには他のモードにはない「ライバルカー」というアナザーカーとは別の敵車が複数存在する。また、アナザーカーもライバルカーとは別で登場する。
      • AC版におけるアナザーカーは「ただ単にプレイヤーカーの走行の邪魔をし、抜いたらそれっきり登場せず」といった存在だったが、ライバルカーはいくら抜いてもプレイヤーカーに執拗に追い着こうとし、ゴールに到達するまで邪魔をしてくる存在となっている。
        要は一般的なレースゲームでいうところのライバルカーと同じ存在といったところか。
+ アレンジモードのコースMAP
ステージ順 ⇒
4-A
3-A 5-A
2-A 4-B 6-A
1-A 3-B 5-B 7-A
2-B 4-C 6-B
3-C 5-C
4-D
  • アーケードモード
    • AC版のコースを再現したコースで走行するモード。
      • 1プレイあたりのステージ数は全5ステージ構成となっている。
      • コース分岐が「三角形状」になっており、ルートの進み方によって最終ステージが5つに分岐する。コースMAPに関しては下記参照。
    • 敵車はアナザーカーのみでライバルカーは一切出現しない。
+ アーケードモードのコースMAP
ステージ順 ⇒
5-A
4-A
3-A 5-B
2-A 4-B
1-A 3-B 5-C
2-B 4-C
3-C 5-D
4-D
5-E
  • タイムアタックモード
    • アレンジモードとアーケードモードの2種類どちらかのコースを選択し、一切の敵車が登場しない状態で走行するモード。
      • コースMAPなどに関しては各モードのそれと全く同じである。
  • ランキング
    • 「アレンジ」「アーケード」「タイムアタック(アレンジ/アーケード)」の各モードのスコアやタイムのランキングベスト20、及びネームエントリーが観覧できる。
  • オプション
    • その名の通りオプション項目に該当。設定したオプションは一部を除き上記すべてのモードに反映される。主なオプションは以下の通り。
      • アナログコントローラーの振動機能の有無を選べる。
      • ゲーム開始時の制限時間を5段階から選べる。
      • 難易度を3段階から選べる。
      • ギアの操作をマニュアルかオートかのどちらから選べる。オートにした場合は自動でギアが切り替わるが、任意によるギアチェンジができなくなる。
      • AC版でいうところの「日本版」か「海外版」のどちらかから選べる。選んだバージョンによって一部のステージに変化がある。この項目はアーケード、及びタイムアタック(アーケード)の各モードのみに反映される。
      • ハンドルの重さを3段階から選べる。
  • その他の情報。
    • 各モードのゲーム開始前にBGM選曲ができる。曲の種類はAC版をほぼ忠実に再現した楽曲3曲と、そのアレンジ楽曲3曲の計6曲が存在する。
    • セーブは各モードのゲーム終了後にて登録されたランキングの保存が可能。セーブは必ずゲーム終了後に行われ、オプションでの設定の有無はできない。
    • コントローラーの操作設定変更は一切できない。また、本作はPS2専用ハンドル型コントローラー「GTフォース」には対応していない。
    • オプションにてBGMのサウンドテストが可能。

問題点

  • 概ねポリゴンリメイクは改悪と捉えられている。
    • 一見すると原作を忠実に再現したポリゴンに見えるのだが、所々でコレジャナイ感が充満している。
      • プレイヤーカーが原作のテスタロッサではなく、「詳細不明の赤い架空の車」に変更されている。
        おそらくは車体デザインの著作権絡み*1からの変更であろうが、「ゲームの一番の顔であるプレイヤーカーを平然と改変する発想が信じられない」と多くのプレイヤーに突っ込まれている。
      • ただし、車種の変更(テスタロッサだけでなくアザーカーも含む)は2001年発売のDC版*2で既に行われており、以降の移植ではAC版再現系の移植であっても基本的に車種の変更が行われている*3
    • コース周りも小奇麗にリメイク化しているが、原作の幾つかの描写が簡略化されている。
      • この辺もAGES特有のやっつけ臭いポリゴン化が目立ち、グラフィックが原作よりも大幅に殺風景となってしまっている。
      • 一部の演出が何故か省略されている場面すらもあり、その殺風景さに拍車をかけている。
  • プレイ感覚が原作と微妙に違う。
    • 操作性そのものは原作忠実だが、原作に比べて車両の幅や敵の当たり判定が厳しくなっているらしく、原作と同じ感覚で操作するとあり得ないミスをしやすくなっている。
    • それ故に、原作ファンからは「もはやアウトランじゃない別のレースゲーム」といわれる有様である。
  • 前方の視野が悪い。
    • コースによってはまともに前が確認できない程に視野が確認し辛い場面に出くわす事がある。
  • 今一つ魅力を感じないアレンジモード。
    • コース及びステージ数増強というと聞こえは良いが、実際は総計16コースしかなく、アーケードモードの総計15コースとさほど差がない。
      • 確かに追加されたコースがある反面、実は原作から削除されたコースもあるのであんまりプラスになっていない。
      • しかも、原作(アーケードモード)のような分岐による最終ステージ変化要素すらも失われ、どう走ろうが同じコースでのゴールになってしまうのも劣化しているように思える。
  • 新要素のライバルカーの存在も微妙。
    • 『アウトラン』シリーズも含め、ライバルとのデッドヒートが熱いレースゲームは数多くある。
      しかし、原作の初代『アウトラン』といえば「美しい背景に見とれながらも自由気ままに走る」楽しみを見出すプレイヤーが多く、ライバルカーの導入に面白みを見出せるかはかなり疑問だ。
    • そのライバルカー自体も「その辺のアナザーカーが単にライバルになっただけ」位の存在であり、「こいつらには絶対に負けられない」という個性がないただの邪魔な障害物程度にしか感じられない。
    • そもそも、ライバルカーの有無などオプションの設定で選ばせればいいのに、それをさせてくれないあたりがAGESらしいというか…。
      一応はタイムアタックモードで敵車の存在を完全に消す事はできるが…。
  • GTフォースに対応していない謎。
    • 本作の前にリリースされた同じシリーズのレースゲーム『SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.8 V.R. バーチャレーシング -Flat Out-』には対応しており、本作では何故対応させないのかと不満を漏らすプレイヤー多数。
      • ここまでくるとAGESスタッフは「本当に"こだわり"を持ってシリーズを作っているのか?」という疑問が沸いてくる。
  • その他の問題点。
    • ゲームをクリアするとスタッフロールが流れるが、飛ばすことができない。
      • なお、タイムアタックモードのみはスタッフロールは発生しない。
    • オプションの項目全般はセーブできない謎仕様となっている。2000年半ばのゲームでそれは…。

評価点

  • 原作を忠実に再現しようとしている努力もある。
    • 原作のバグ技として有名な通称「ロケットスタート」「ギアガチャ」はちゃんと再現されている。ファンにとっては嬉しいところ。
    • レースゲームとしてのスピード感はそれなりに持っており、原作に近い再現がなされている。
    • 何だかんだいってもアーケードモードなどの各コースは原作のそれに近い描写がなされており、「根本的に変わり果てた外観のリメイク」という訳ではない。
  • ロードは非常に短く、過剰に待たされる心配はない。
    • ゲーム開始前に数秒程度のロードが入る位で、後は完全ノンストップでゲームが進行する。
  • ゲーム中のBGMが計6種類から選べる。
    • 純粋に嬉しい。また、アレンジBGMに関しても原作の雰囲気を損なわずにアレンジした類の楽曲になっている。

総評

初期エイジスの例に漏れず「改悪」という評判が一般的なリメイクになっている模様。どの辺が不評なのかはAmazonやmkIIのレビューを参照にして欲しい。
原作者の鈴木裕氏が本作の監修に関わっているが、出来が出来なだけに「本当に監修したのか?」と疑うプレイヤーも少なくないのが悲しいところ。
とはいえ、ゲーム性までもを改変させるリメイクのある初期AGESの中ではまだ比較的まともな部類であり、「『アウトラン』ではないお手軽にプレイできるレースゲーム」としてみれば決して酷い出来でもないだろう。


余談

実際、本作を大らかな目で見るプレイヤーも少数いる模様。これに関してもレビューサイトで確認して欲しい。
そのためか、2021年現在は中古価格が定価の倍近くにまで跳ね上がっている。


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最終更新:2022年04月12日 13:49

*1 実車の車体デザインの権利は当然ながら自動車メーカーが保有しているため、現在はロイヤリティを支払った上でライセンス使用許諾をメーカーから得なければ使用できない。

*2 『シェンムーII』内のミニゲーム、もしくは書籍『鈴木裕ゲームワークスVOL.1』に収録。単体発売では無かったため、あまり話題にならなかったと思われる。

*3 Xbox版『アウトラン2』の隠しゲームで収録されたものはフェラーリ社のライセンス許諾を得ているため、ACのテスタロッサを再現している。ただし、テスタロッサ以外の車種は架空のものに変更されている。