魔神転生

【まじんてんせい】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 スーパーファミコン
メディア 12MbitROMカートリッジ
発売・開発元 アトラス
発売日 1994年1月28日
定価 9,800円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2011年9月6日/900Wiiポイント(配信終了)
【WiiU】2015年7月15日/926円
書換 ニンテンドウパワー
1997年12月1日/1,000円/F×3・B×4
周辺機器 スーパーファミコンマウス対応
判定 なし
ポイント 女神転生シリーズ初のシミュレーションRPG
荒削りなゲーム性
女神転生シリーズ


ストーリー

1990年代末より起こった民族紛争は世界規模に発展した。
それから数十年後の202X年。
NIEDER TOKYO D-03地区に住む少年の元に謎のメッセージと共に「悪魔召喚プログラム」が送られてくる。
時を同じくして出現した無数の悪魔たち…。
少年はCOMPに召喚プログラムをインストールし、悪魔との戦いへと身を投じて行く。

概要

  • 『女神転生』シリーズからの派生作品、『魔神転生』シリーズの1作目。
    • このシリーズは今までの3DダンジョンRPGだった女神転生シリーズとは打って変わり、シミュレーションRPGとなっている。
  • キャラクター、悪魔のデザインは『真・女神転生』と同じく金子一馬氏。
  • 派生作品だが世紀末、終末的世界観や悪魔達による覇権争いなどの女神転生のテイストを色濃く受け継いでいる。

特徴

基本システム

  • 面選択のフィールドマップと、SLG形式の戦闘マップの2つに分かれている。
    • このうちダンジョンタイプの戦闘マップは何度でも挑戦することができる。
  • 女神転生シリーズでおなじみの要素は、本作でも色々と受け継がれている。
    • COMPを介して会話をし、悪魔を仲魔にする「交渉」は本作でも健在。
      • この作品のみ、従来の女神転生と違い同じ悪魔を複数仲魔にすることが可能。
    • 月齢は悪魔交渉発生の成功率や悪魔の強さに関わる。
      • 交渉発生の成功率は0~80%、新月の一番悪魔がおとなしい時期でも必ず成功するわけではない。
    • 仲魔同士を合体させる「悪魔合体」。本作では2身合体のみである。また、合体施設だけではなく戦闘マップでもユニットとユニットを重ねることによって合体することができる。(本作ではマップ上で敵ユニットも合体し強力な悪魔へとなる)
    • 貨幣の「マッカ」は交渉、召喚費用。「生体マグネタイト」は仲魔ユニットの移動と交渉に必要となる。
    • 店らしい店は、おなじみ宝石交換の「ラグの店」以外はない。よって武器と防具は戦闘によるドロップか、マップ上の宝箱から入手することになる。

戦闘システム

  • 基本的にファイアーエムブレムライクのオーソドックスなSRPGである。
    • 戦闘で死んだ仲魔はCOMPから消える。人間が死んだ場合は即ゲームオーバー。
  • 種族ごとに攻撃防御相性、移動力、移動における地形影響が決められている。
    • これにより敵の編成やマップの地形によってある程度仲魔の編成を考える必要がある。
  • 本作にも装備アイテムが存在するが、攻撃力や防御力は設定されておらず装備したキャラの能力値が底上げされると言う仕様。
  • フィールドには各所に「回復の泉」が設けられており、ここに待機すると毎ターンHP・MPが25%回復する。
    • 本作はHPの回復手段が限られておりMPの消費も激しいため、この泉の争奪戦が重要な要素となる。敵の中にもこの泉の確保を優先するAI(行動思考)を持つものが存在する。

ランクシステム

  • 『魔神転生』シリーズでは仲魔にも経験値が入り、8段階のランクに成長する。
    • 成長によってステータスアップはもちろん、その悪魔ごとに設定されている「特技」を覚えることができる。
      • 特技は合体によって他の悪魔にも継承できる。また、上げたランクによっては合体後の悪魔のランクも変わる。
  • この作品のみ敵悪魔も経験値によってランクが上がる。
    • 敵は特技は覚えないが攻撃力・防御力が跳ね上がる。倒したときの獲得経験値が上がるのでこれを利用した稼ぎも。
    • ランク最高の敵悪魔が2体マップにいると合体することがある。条件は無駄に厳しいが……。

マルチエンディング

  • プレイ中の行動によってエンディングが3通りに分岐する。
    • 『真・女神転生』のロウ、カオスの括りとは違いLIGHT,NEUTRAL,DARKとなる。
      • ニュアンスとしてはグッド、ノーマル、バッドといった感じ。DARKエンドは文字通り何も救われず後ろ暗い終わり方でNEUTRALもそれなりの鬱エンドである。
  • またエンディング分岐以外にもイベント悪魔の参入の有無などの分岐がある。

その他

  • 敵陣営のほか、中立の「ニュートラル」陣営が存在する。
    • ニュートラル悪魔はこちらに攻撃してこず、会話の成功率も一律80%である。
      • 倒したときの取得マッカやマグネタイトが敵より多いので倒しても美味い。ただしニュートラルは敵の攻撃を受けることもあり、敵に倒されることも頻繁にある。
  • 主人公が喋る。
    • 女神転生シリーズにおいては珍しいことである。
  • ゲームオーバー時にはシナリオで次に戦う魔王が主人公を挑発してくると言う、初代『女神転生』を彷彿とさせるような演出が見られる。

評価点

  • 特技継承による悪魔のカスタマイズが楽しい。
    • 飛んでいる敵が苦手な種族に、それらに有効な電撃相性の特技を継承するなど弱点を補うことができる。
    • 特技はいくらでも継承できるので、やる気さえあれば特技コンプリート悪魔を作ることも可能。
  • 戦闘時に表示されるグラフィックが女神転生より巨大で、金子一馬氏デザインのデティールを細部まで堪能できる。
  • 女神転生特有の世紀末的近未来のダークな世界観。
  • 青木秀仁氏によるテクノ風BGMは、女神転生シリーズとテイストこそ異なるものの、「らしさ」を出しており、世界観ともマッチしていて評価が高い。
    • エンディングで流れる曲も秀逸。この曲は『女神転生II』のラスボス曲「OMEGA」をアレンジしたものである。

問題点

  • 悪魔の種族、種類共に少ない。
    • このうち交渉によって仲魔にできないもの(いわゆるDARK悪魔)は合体によっても作れない。
    • 元となる種類が少ないことから、せっかくの特技継承や種族相性と言った要素を活用する幅が狭まっており、後述するように強力な種族に強力な特技を継承させたパワープレイになりがち。
  • 戦闘バランスが凄く大味。
    • まず種族バランスが悪く、極端に強い種族もいるが弱い種族はとことん弱い。
      • 「飛竜」は飛行ユニットで移動で地形の干渉を受けないので機動力が高く、元々攻撃力が高いのに対地ユニットには100%ダメージが通る*1ので、飛行ユニットに弱いという点以外は器用万能で間違いなく最強ユニットである。
      • マップで交渉によって仲魔になるものは、特技も覚えず、ほとんどが育てるだけ無駄な戦力外のカスといっていい。
      • 魔法攻撃力や回復魔法に期待できる「女神」はまだしも、それ以外の合体悪魔も使いどころが限られる。「天使」「鬼神」「幻魔」あたりの種族は活躍の場もなく特技継承専用となるだろう。
    • 一部特技が異常に強い。
      • 具体的には「おしつぶし」。敵に相性関係なく通常攻撃の3倍ダメージを与えるという非常に強力なものになっている。終盤のボスですらおしつぶし継承させた飛竜に四方を囲まれ瞬殺なんてことも……。
      • 他にもおしつぶしの劣化版の「たいあたり」や周囲8マスに1.5倍の物理ダメージを与える「あばれまわり」なども強い。
    • ヒロインの最終攻撃魔法「リムドーラ』が余りにも強力すぎる。
      • この作品は魔法のMP消費の燃費が悪く、満月ごとにノーコストで使える特技の方が重視されがちだが、この魔法に関しては別格である。
      • MP消費99とかなりの高コストながらも射程2-3マスの敵全てが攻撃対象となり、威力も他魔法の最強のものの2倍以上である。特に魔法特化型のヒロインなら尋常でないダメージを叩きだし、雑魚はまず一撃で蒸発する。
      • リムドーラは衝撃魔法であり、全ての敵に75%ダメージである代わりに相性の影響を受けない。これもバランス崩壊の一因となっている。
    • その他、超序盤のダンジョンマップ「佐田研究所」での敵のランクアップを利用した経験値稼ぎなどもヌルゲー化を促進させている。
  • 戦闘マップが序盤から無駄に広く、移動に時間がかかる。
    • 後半はさらに面倒な地形が多くなり、冗長に感じる場面が多くなる。
    • 平均的なSRPGのマップの2倍以上は優にある。それにもかかわらず実際に戦闘で使われるのはその内の半分以下と言うマップがほとんど。
  • テキストが少なすぎてシナリオがとても把握しづらい。
    • 自衛隊の南陸佐や、謎のフランス人エティエンヌなどの登場人物が出るものの、このせいで目的がはっきりせず感情移入もしづらい。
  • アイテムの限界所持数が全キャラ共通で16個と非常に少ない。
    • これには宝石や、装備していない武具も含まれる。最強の武器「エクスカリバー」を入手するためには12個の宝石を手に入れる必要があるため、これを狙おうとするとアイテムが宝石だけでほとんど埋まる。
    • 宝石以外はあまり役立たないがアイテムコレクターにはつらいものがある。
  • LIGHTエンディングに到達するのが難しく、自力で解明するのはかなり厳しい。
    • 条件の複雑さが従来作とは比べ物にならない。攻略本やサイトのお世話にならずに見れた人はどれだけいただろうか……。
    • 個々のイベントはシリーズ経験者ならそう難しくない内容だが、「第xx話から第yy話までの間に、マップを逆走して既にクリア済みのダンジョンに再び潜ってイベントをこなす」などの複数の期限付きイベントを全てこなす必要がある。
    • ストーリーに一切関係しない選択肢*2も大量に存在し、余計に自力でのLIGHTエンド到達を困難にしている。
  • グラフィックが同世代のゲームと比較しても見劣りする。
    • まるでSFC最初期のころのようなグラフィックである。2ヵ月後には『真・女神転生II』が出ているというのに……。
    • 悪魔グラフィックも大きく表示されるのはよいのだが使いまわしが多い。
    • テキストはひらがな・カタカナだけであり、フォントも非常に小さく分かりにくい。94年発売のゲームでこれは…。
  • BGMは良質なものの曲数が少なく飽きる。
  • バグも多くはないものの「シナリオ58の特定の宝箱を開けるとフリーズする」などの凶悪なものが存在している。

総評

大味な戦闘バランス、説明不十分なシナリオなどゲームとしての問題は多く抱えているが、
仲魔の成長、合体による特技継承や相性による戦闘などはそれなりに面白く派生シリーズ1作目としては可もなく不可もなくといった出来。
これらの良要素は続編の『魔神転生II SPIRAL NEMESIS』でパワーアップされ日の目を見ることとなる。

移植

  • 2006年3月14日から2011年3月11日までi-revoからPC版のダウンロード販売およびレンタルが行われていたが、現在は入手不可能である。
  • 2011年9月6日よりWiiのバーチャルコンソールにて900Wiiポイントで配信を行っていた。Wiiショッピングチャンネルの終了により現在は配信終了。
  • 2015年7月15日よりWiiUにて926円で配信を行っている。

その他の展開

  • 月刊Gファンタジーにてコミカライズされた。作者は上田信舟。
    • 主人公の妹などのオリジナルキャラクターを出しつつも本編の内容を掘り下げる内容であり、南やエティエンヌの目的も分かりやすくなっている。
    • 評価は高く、3巻完結予定が人気により5巻まで延長された。

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最終更新:2022年11月27日 17:10

*1 裏を返せば、飛竜に対してほとんどの地上ユニットは有効な打撃を与えられないと言う事でもある

*2 一見するといかにもロウ・カオスのルート分岐に関わってくるように見えるが、前述のように本作にはロウ・カオスの概念は存在しない