マニアックマンション
【まにあっくまんしょん】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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2Mbit+64kRAMROMカートリッジ
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発売元
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ジャレコ
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開発元
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ルーカスアーツ Realtime Assosiates
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発売日
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1988年9月13日
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定価
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5,500円
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プレイ人数
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1人
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判定
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なし
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概要
ルーカスアーツ(旧:ルーカスアーツ)から発売されたPC向けADV「Maniac Mansion」のローカライズ移植作。国内向けにグラフィックが一新され、BGMが追加されている。
移植及び販売はジャレコが担当している。
主人公デイブとその仲間2人を操作し、仲間をその時々によって切り替え、仲間の特技を駆使しながら協力して謎を解き、マッドサイエンティスト、Dr.フレッドの館に迷い込んだ主人公のガールフレンド・サンディを救出する。
特徴・評価点
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本作のシステムそのものは一般的なコマンド選択型ADVのシステムを踏襲しているが、本作では「
三人称視点で描写された背景にプレイヤーキャラクターが配置される
」という画面構成となっており、
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「コマンドを選択」
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「画面上のオブジェクト及び持ち物を選択」
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という形式で行動を進めていく。
主観画面でテキストによる情景・状況描写がメインの旧型のADVと比して非常に直感的で分かりやすいインタフェースとなっている。
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例
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例:「『取る』コマンドを選択」→「画面上のアイテムをカーソルでクリック」→「そのアイテムを入手する」
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Bボタンを押しっぱなしにすると、カーソルが合わせられている対象物の名前を知ることができる。
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実際ゲームシステムの完成度は非常に高く、後発のルーカスアーツ作品にも本作のシステムが改良されて使われている。
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ちなみに、このシステムを構築しているスクリプト言語はSCUMM(Script Creation Utility for Maniac Mansion)と呼ばれている。
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非常に自由度が高い。実際に出来そうなことは本編の攻略に関係なくできてしまえることが多く、反応も非常に豊富なので色々なコマンドを実行する楽しみがある。
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中には住人にいたずら電話をかけて釘づけにしている内に後ろを通り抜ける等、プレイヤーのアクションに住人が反応して移動したり、一定時間後に別のイベントが発生する事がしばしばある。
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よくあるコマンド総当たり系のアドベンチャーとは異なり、リアルタイムの要素も多分に含まれている。上記のいたずら電話も時間がかかり過ぎると住人に気付かれてしまい、捕まってしまう。
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行動次第では操作中のキャラが死んでしまう事もある。こうなると屋敷の入り口に墓が建てられ、以降はそのキャラを除いた残りのメンバーのみで進めなければならない。
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全員が死亡すると操作不能になり、ただひたすら墓のある画面を眺め続ける事になる。要は事実上のゲームオーバーであり、リセットしてやり直さなくてはならない。
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また、キャラがDr.フレッドの家族に捕まって地下牢に放り込まれる事もあり、その場合は他の仲間が牢屋を開けて助け出すまで、実質的にそのキャラを使う事が出来なくなる。
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後述の問題点にもあるが、死亡によってメンバーが減るとクリアが不可能になる場合もある。
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屋敷が吹っ飛んでパーティが一挙に全滅と言った場合には普通にゲームオーバー画面が表示される。
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選択した仲間によって謎解きの手法が変わったり、エンディングの種類も変わったりと、ボリューム満点。
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演出面もブラックユーモアが多分に含まれており、ゲームの進行や経過時間によって随所にイベントシーンが挿入されるなど、演出面の評価もなかなかに高い。
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住人が飼っているハムスターをレンジに入れて使う(!)といった事が出来る。キャラによっては「かわいそうだよ」と躊躇って出来ない事も多いが、一部のキャラは本当に使ってしまい、使用後の中身を飼い主に見せると殺されてしまう。
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プールの地下には何故か原子炉が存在し、調べると、「放射能に汚染されているから触りたくない」と言ったり、汚染したプール水を持って行ったりできる。色々と危ない。
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しかもこの原子炉はブレーカーを落とすと一定時間後に館ごと爆発して問答無用でゲームオーバーになる。
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メインBGMは、デイブ、他の仲間2人分の計3曲が用意されており、切り替える度にBGMが変化するというなかなか凝った仕様になっている。
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その内の2曲はどこかうさん臭さを醸すような曲調で、本作の雰囲気にマッチしている。
問題点
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コントローラーの違いに起因する操作性の難。
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元々の原作がマウス前提の操作系統のゲームであるために、操作性の面でどうしても煩わしさが付きまとう。
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その上一部のイベントではかなりシビアな時間制限付きイベントや敵対キャラクターの回避が要求される局面もあるため、そういった面でも難易度を上げてしまっている。
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謎解きの難易度は全体的に高い。
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仲間の能力で実際に何ができるかを適切に判断しないとクリアは難しい。
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コマンドの組み合わせをうまく見つけるまでの試行錯誤も必要な上にヒントも少ないため、かなり厳しい。
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突拍子もないコマンドやアイテムの使い方を要求される局面が多く、序盤で館に入る方法でさえ非常に気づき難い。
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一応、序盤のヒントは取扱説明書に書かれているものの、ほぼ焼け石に水。
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画面解像度の関係上、指定対象のオブジェクトのサイズがかなり小さいものがあり、慣れないとオブジェクトの指定がうまくいかないことがある。
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デストラップも結構な割合で仕掛けられており、そういった面でも非常にシビア。
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また仲間の死亡やアイテムの選択ミス等によってゲームがクリア不能になることもある。
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この点、試行錯誤を繰り返していくという海外製ADVならではの作風ではあるが、難易度の高さもあって非常にシビア。
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メッセージが全てひらがなで表示されているため読み辛い。
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人名までひらがななので、雰囲気に少々そぐわない。
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説明書のキャラ紹介やストーリー中でもなぜか人名だけがわざわざひらがな表記になっている。
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パスワード制ゆえの弊害とコンティニュー時の不親切さ
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本作のコンティニューはどこでも取得可能なパスワード制なのだが、元から高いボリュームを誇るゲーム故、そのパスワードの文字数が105文字とファミコンのゲームの中でも屈指の長さ。ハマリの可能性があるゲームでこれはかなり厳しいものがある。
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ゲームオーバー画面では「RETRY(リトライ)」「PASSWORD(パスワード画面に移行)」の2つの選択肢が用意されている。
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意味合い的には「RETRY=ゲームオーバーになったシーンの直前から再開する」と解釈したいところだが、実際は選んでもタイトル画面に戻るのみで、結局パスワードを入れなければ再開できないため選択肢自体が無意味である。
そしてゲームオーバーになる度に冗長なパスワードの入力を要求されるため、難易度の高さも相まって非常にストレスフルな仕様になっている。
総評
日本向けにアレンジされている部分はあるとはいえ、原作譲りの高難度をほぼそのまま引き継いでおり、操作性の難もあって投げだす人も結構多かった作品である。
とはいえ元々のシステムの完成度は高く、一種ホラーチックでブラックな要素も相まって印象に残りやすい作品でもある。
現在は攻略サイトも充実しているので、手に触れてみるのも一興であろう。
余談
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ファミコン版発売の2年後にNES版が発売された。FC版と同じくルーカスアーツとRealtime Assosiatesの共同開発となっている。
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グラフィックが原作に近いものに全て描き直され、BGMもオープニングに流れるメインテーマを除き総入れ替えとなっている。
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国内版ではデイブ、他の仲間2人の計3曲のみだったメインBGMが、全キャラ分個別に用意され、キャラを切り替える度に流れるBGMが変わるという豪華仕様になっている。
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バックアップによる中断機能にも対応し、ゲームの再開がかなり楽になっている。
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キャラクターの移動速度が国内版よりも速めになっているが、同時に敵キャラクターの移動速度の上昇やイベント時間の短縮、1画面で収まっていたマップが2画面になる場所があるなどの変更点があるため、FC版よりも難易度が若干高くなっている。
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1993年に続編の『Day of the Tentacle』が発売された。
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『マニアックマンション』から数年後を舞台とする後日談で、本作に登場したデイブの仲間の1人、バーナードが主役となっている。
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歴史改変による謎解きをテーマとしており、3人の仲間を切り替えつつ過去・現代・未来の三つの時間軸で謎を解き、各時代に影響を与え合いながらゲームを進めていく。
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ゲーム内で本作の原作(PC版)をプレイできるというおまけ要素があるのだが、残念ながらPC版しかリリースされておらず日本語版も発売されていない(日本向けにはソフトの内容はそのままで日本語マニュアルつきで発売されている)。
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本作のリメイクとして、『Maniac Mansion Deluxe』がWindowsのフリーソフトでリリースされている。こちらはFC版ベースではなくPC版をベースにしたリメイク。
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また、本作を3D化してボイス付きでリメイクした『Meteor Mess 3D』もWindowsのフリーソフトでリリースされている。こちらもPC版をベースにしたリメイク。
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ただし、両作品とも多言語対応ではあるが、日本語には対応していないので注意。
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開発会社が映画制作会社系列ということもあってか、本作は1990年に映画化もされている。ただし、設定は原作とは異なる。
最終更新:2024年01月06日 05:55