どきどきすいこでん

【どきどきすいこでん】

ジャンル どきどきコスプレ・シミュレーション(ADV+SLG)
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 アイレムソフトウェアエンジニアリング
開発元 イングローブ
発売日 2011年5月12日
定価 6,090円(税込)
レーティング CERO:D(17歳以上対象)
備考 ダウンロード版:4,800円/2011年12月20日配信終了
判定 クソゲー


概要

アイレムのWebサイトにて毎年4月1日に実施されているエイプリルフール企画にて、
2001年に架空のギャルゲーとして『どきどきすいこでん ~ふりむいて! わたしがいるよ~』が発表された。
それから 10年経って実際に商品化された のが【どきどきすいこでん】である。


エイプリルフールネタの概要

当時はウソの企画であったにもかかわらず凝った紹介サイトが作られ、

  • (ネタ元である『水滸伝』になぞらえて)様々な属性を持った
    108人のヒロインが、全て異なる声優のフルボイスで登場する。
  • イベントシーンは全てにムービー付き、CG枚数1万枚。
  • 好感度がゲージとして表示され、それを「愛の大波動」として放つ斬新な告白システム。
  • 巨大なパッケージに各キャラの等身大フィギュアや
    ボイス入り目覚まし時計などが封入された5万円近い値段の超豪華限定版

というように、かなり壮大な作品として紹介された。
それが大きな反響を呼び、その後のエイプリルフール企画に使われたりファンの二次創作が行われたりもしていた。


ストーリー

4月―。
幼い頃に住んでいた街に引越してきた主人公。
新しく通うことになった梁山学園で、ちょっと変わった女の子・ハイゼル祐子や幼馴染の小川五月、真面目な江口礼たちと知り合う。
おりしも、梁山学園では「学園の七不思議」のうわさで持ちきり。新聞部部長のハイゼルにつきあって、「学園の七不思議」の調査を開始するが…。
(公式サイトより)


登場ヒロイン

ヒロインの名前・設定は対応する元ネタの人物に関連した物になっている。
括弧書きでエイプリルフール企画版の設定と元ネタの『水滸伝』の人物を記述する。

  • 口礼(生徒会長 「天魁星」呼保義・宋
  • よう子(頭脳明晰 「天機星」智多・呉
  • 佳(巫女 「天間星」入龍・孫勝)
  • 遥(長い黒髪が自慢の薙刀部部長 「天勇星」大刀・勝)
  • 里由(ソフトボール部部長 「天捷星」没箭・張
  • 月(姉妹の次女 「天罪星」短命二郎・阮小五
  • ハイゼル子(地球に入り込んでいる宇宙人 「天牢星」病関索・楊
  • 王子々(猫耳が付いている 「地飛星」吒・項充)
  • ロザンナ・グラント(某国の内通者 「地平星」鉄臂膊・蔡福)
    ※蔡慶にあたるキャラと共に偽名設定であるため、名前は元ネタと無関係になっている

特徴

  • ストーリーの間にシミュレーションパートである対決モードを挟む展開。
    カードゲームのデッキに相当する 持ち物袋 に着せ替え装備やアイテムをセットしておき、対戦中に使用する。
    女の子キャラクターの衣装を変えることで様々なスキルを使用できる。敵も同様。
    戦闘中に服が破けることがあり、そうなると服に備わっているスキルも使用不可能になる。
    破れた服は持ち物袋から補填できるが、組み合わせ次第でシュールな見た目になってしまう。
    勝利条件はリーダーの撃破か、相手チームの女の子キャラクター全員の 服を全て破る事
    リーダー撃破が一番手っ取り早いが、得られる経験値もドロップアイテムも少ない。
    報酬目当てであれば、ひたすら服をひっぺがしていくことになる。
  • 露骨な下着描写。
    対決シーンの立ち絵と一枚絵で ブラジャーやパンティー丸出し。
    CERO対策で「下着のように見える水着」という婉曲表現を用いる事は多いが、公式に「下着」と断言したゲームは少ない。
  • アップデート
    2011年7月4日にバージョン1.1のアップデートパッチが配布され、
    キャラクター着せ替えや通信対戦機能の追加、システムやアイテム効果まわりの調整も行われた。
    売ったまま放置しない事は評価点だが、最初からあって欲しい機能ばかりであることは間違いない。
    発売後の悪評から客が離れてしまった後だったので、後の祭り感も否めず。

問題点

エイプリルフール版設定との剥離

  • 「108人ものヒロインがフルボイスで登場」「斬新な告白システム」などといった要素は全く再現されていない。
    メインとなるヒロインは10人足らず、おまけに生徒会長という設定だった江口礼は本作では風紀委員になっている、
    ハイゼル祐子の「ハイゼル星」から来た宇宙人という設定が活かされるシーンがほとんど無いなど、
    キャラ設定・元ネタの『水滸伝』要素が薄くなってしまっている。
    元が壮大なだけに完全再現は無理だったとしても、再現する努力をしてほしかったというプレイヤーは多い。

アドベンチャー部分

  • シナリオ部分が短いうえに完成度も低い。真相や黒幕が明かされずに終わるばかりか、
    分岐でもないのに「2話と3話の収録順が逆になっている」という大きなミスがある。
    おかげで初見は何か見落としたのかと混乱する。
  • グラフィックも、一枚絵と立ち絵で服装が異なる・雑魚敵は立ち絵の使い回しが多いなど粗が目立つ。
  • ヒロイン別のエンディングはあるが、そのフラグは「クリスマス」「バレンタイン」の2つ
    両方で同じヒロインを選んでおくだけで到達できる。
  • アドベンチャーゲームの定番であるCGギャラリー、バックログ機能がない。
    既読部分のオートスキップもない。手動スキップには×ボタン長押しが必要。

シミュレーションパート

  • 初期衣装が変更できないうえに、ターンの制限によりウリの着せ替えが自由にできない。
    そのため、初期衣装についているスキルが多い物語後半加入のキャラか、
    シンプルに攻撃力の高いキャラに出番が偏りがち。
  • 戦闘全般の動きがもっさりしているので、リーダー撃破で戦闘を終わらせる方がまだストレスにならない。
    勝利条件で報酬がほとんど変わらないので猶更。
  • 「リーダーに直接ダメージを与えるアイテム」を敵が連続で使ってくる。
    それを考慮して戦略を練らないと難易度が大きく変わってしまう。
  • 敵対時にある程度レベルが上がっているキャラが、仲間になる際にLV1になっている。
    敵とのレベル差があると経験値の獲得量が増えるという救済措置はあるが、レベリングの手間はかかる。
  • 「使用済みソックス」を売ることで資金を稼ぐのだが、換金アイテムという説明がない。
    アイテムとしての性能を期待して売らないパターンも有りうるため、説明は欲しかったところ。
  • ラスボスは着物の女性キャラなのだが、 服が破けない。
    着物も帯から上下に分かれているデザインであり、システム上も問題は無かったはずである。
  • 戦闘終了後の「おさわりパート」では選択肢が出るが、どれを選んでも結果は同じ。
    何も気にせず好きなようにお触りできると思えば利点と言えなくもない。

評価点

  • シナリオこそ雑だが、幼馴染、おっとり教師、お嬢様など定番キャラは押さえており、
    学園ラブコメとして形にはなっている。

総評

エイプリルフール企画が実現した記念すべき(?)ゲームではあるが、
単純な完成度の低さやエイプリルフール企画との剥離で評価を落とした1作。
唯一のとりえは、遠慮なく服が破けて下着全開にできる部分だろうか。
アイレムのゲーム事業縮小により本作が同社の実質的なオリジナル最終タイトルとなったが、
残念ながら有終の美を飾れたとは言い難い結果となった。


余談

  • モブキャラ「清里由羽」の追加シナリオが配信される予定だったがお流れ状態。
  • PSN個人情報流出事件の影響を受け、ダウンロード版の販売や、
    初回限定特典のダウンロードがPSNが復旧した7月6日まで先送りになった。
    • その後、アイレムの事業転換もあってダウンロード版は同年12月20日に販売停止。
      通算で半年さえも販売されていなかったことになる。
  • アイレムがまだゲーム開発をしていた頃、公式サイトで毎週更新していた『ふる里4コマ小唄』という4コマ漫画のコーナーがあり、
    スペランカー先生』や『アイレムひみつ日記』などの4コマが入れ代わりで掲載されていた。
    その中で『どきどきすいこでん』も不定期掲載されていた。色々なキャラの話が描かれたが、
    何かにつけては男の子を母星に連れて帰ろうとするハイゼル祐子の話が多かった。
  • 2009年に一部の4コマをまとめた書籍『スペランカー先生 -アイレム発 特撰ふる里4コマ小唄-』が発売されており、
    少数だがどきどきすいこでんの4コマも収録されている。
  • 開発部が自由に展開していたサイトは2011年のゲーム事業撤退の際に閉鎖されてしまい、
    4コマやエイプリルフールネタなどはある日突然見る事が出来なくなってしまった。
  • その11までなら、現在でも一応インターネットアーカイブで閲覧はできる。
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  • タグ:
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  • イングローブ

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最終更新:2024年04月15日 00:05