修正依頼」が出ています。「パーツコレクション」の総評を追記できる方はご協力をお願いします。


メダロット カブト/クワガタ

【めだろっと かぶと/くわがた】

ジャンル ロールプレイング
対応機種 ゲームボーイ
発売元 イマジニア
開発元 ナツメ
発売日 1997年11月28日
定価 4,179円
書換 ニンテンドウパワー
2000年3月1日/1,000円/F×4・B×4(共通)
判定 なし
ポイント 単なるポケモンの二番煎じではない独自性
メダロットシリーズの礎
全体的な出来は荒削り
メダロットシリーズリンク


概要

漫画家ほるまりん原作の『メダロットシリーズ』の第1作。
ゲームコンセプトは育成要素を含むRPGであり、1996年以降大量に現れたポケモンのフォロワーの中の1つでもあるが、本作独特の要素やシステムが一定の評価を得たため、後にマルチメディアな展開をしつつシリーズ化されていった。尚、本作の独自要素はそのままシリーズの基本になっている。

特徴

  • メダロット
    • 本作のタイトルである「メダロット」とは、自律行動可能な小型*1のロボットである。
    • 「メダロット」は、骨組みである「ティンペット」・「頭部パーツ」・「右腕パーツ」・「左腕パーツ」・「脚部パーツ」・頭脳である「メダル」から構成される。プレイヤーは各種パーツやメダルを収集し、自分なりのメダロットを構築することになる。これが本作の醍醐味の1つである。
    • 詳細はこちらを参照のこと。
  • ロボトル(戦闘)
    • お互いにメダロットをリーダー(必須)+2体の最大3体まで選んだあと、相手のリーダーメダロットの頭部パーツの装甲値(いわゆるHP)を0にするまで戦う。勝利すると対戦相手のメダロットのパーツがランダムで1つ貰え、負けると逆にランダムで1つ奪われる。イベント戦での敗北はゲームオーバーとなり、やり直し。
    • 戦闘方法は極めて特殊で、本作品の最大の特徴になっている。
      • 戦闘画面を一言でまとめると、シャトルラン式バトル。あるいは往復ビーチフラッグバトル*2
      • 戦闘が始まるとお互いのメダロットが左右の画面端に分かれ(プレイヤーのメダロットは左端)、画面中央にダッシュ→もとの地点に戻るをそれぞれ繰り返す。
      • 画面端で使用するパーツを選択し、画面中央に到達したときにそれを使用する。画面中央までのダッシュが行動準備時間で、元の地点に戻るまでの時間がクールタイムのようなものである。
        ゲーム中ではそれぞれの時間を「じゅうてん(充填)」、「ねつりょう(熱量)」と表記している。*3
      • 以上のように見た目こそ奇抜ではあるが、要するにファイナルファンタジーシリーズ等でお馴染みの「アクティブタイムバトル」をメダロットの動きで直接表現したものといえる。
  • 通信
    • 対戦はパーツを賭けない「あそびでロボトル」とパーツ・メダルを賭ける「しんけんロボトル」の二種類が存在する。
    • もちろんパーツの交換もある。また、通信交換でパーツが変化するものもある。
    • ただしメダルは「交換」出来ない。この点に関しては後述する。
  • 主人公はあがたヒカル。
    • ポケモンと違ってキャラ付けされた喋るタイプの主人公であり、元々メダロットに興味は無かった*4が、愛犬のボナパルト*5がメダルを拾ってきた事を切っ掛けにメダロッターへの一歩を踏み出す。
    • 本作での事件の解決から後々のシリーズ作品では「伝説のメダロッター」と称されることも。
      • 数年後の続編である『メダロット2』~『4』では主人公イッキの先輩ポジションとして登場。
      • 『2』の主人公イッキほどではないが、同シリーズ内での再登場も多く、イッキを超える最強のメダロッターという扱いを受けている。
  • カブト・クワガタの2バージョン発売。
    • カブトでは射撃タイプの「メタルビートル(通称:メタビー)」が主人公機として登場。火力の高い頭部のミサイルが主武装。
    • クワガタでは格闘タイプの「ヘッドシザース(通称:ロクショウ)」が最初のメダロット。成功値の高い両腕の格闘攻撃で戦う。
      • 上記の主人公機のように、どちらかのバージョンでしか手に入らないメダルとパーツが存在する。

評価点

  • オリジナリティ
    • 前述したとおり戦闘システムは他に類を見ないものであり、ゲームボーイという画面制約の厳しい環境の中で動きのある戦闘を上手く表現した点が評価されている。
    • 単純な通常攻撃だけでなく、回復・状態異常付加・トラップ・味方を庇う…などパーツ毎に異なる戦闘行動は多種多様なため、組み合わせ次第で様々な戦略が立てられる要素は揃っている。
  • 個性豊かなキャラ
    • 主人公のヒカルと愛犬のボナパルトを始め、ヒロインのキララ、悪ガキ三人組のイセキ&ヤンマ&クボタ*6、ライバルのおぼっちゃまのユウキとそのガールフレンドのパディと言ったクラスメイト達。敵となるロボロボ団の幹部。果ては主人公の父親に至るまで個性豊かなキャラ付けになっている。台詞回しも各キャラの性格をよく表したものが多い。
    • 一回しか戦わないキャラにすら、ロボトル時に表示される顔グラフィックに個性的なものが多数用意されている。モブも種類は多い。
  • 豊富なサブイベント。
    • メインのストーリーはそれほど長いものではないが、その分サブイベントが充実している。
    • 隠しメダルやパーツ探しなどのやり込み要素もそこそこある。ただ、隠し方には問題も(後述)。
  • マルチエンディング。
    • 幼なじみのあきたキララ、メダロット博士の孫アキハバラナエのどちらかとある程度仲良くなると、そのヒロインとの特別なエンディングを迎える。ゲームボーイ、しかもRPGでこのような要素というのは当時としては斬新で、『2』を初め以降のシリーズ作品のいくつかにも採用されている。
    • ちなみにどちらの条件も満たせなかった場合、一人残されたヒカルにヒヨコ売りが青いヒヨコを渡す(通称・ヒヨコ売りルート)という切ないエンディングになる。
      • キララの場合はエンディング条件のイベント自体が無いので、「条件を満たせなかった」というよりは「フラグを折ってしまった」と言った方が近い(後述)。バッドエンド気味の内容なのはその為か。

問題点

処女作ゆえに、システム関係は全体的に荒削りである。

インターフェイスに関する問題点

  • 会話文に名前も顔グラフィックも表示されないので「誰が何をしゃべっているのか」が把握しづらい。
  • メニューやメダロット組み立て時、画面が切り替わる度にわずかながらロードが入る。
  • メダルは交換できないが、通信でしか手に入らないメダルが存在する
    • 前述したが、メダルを通信交換する機能は本作にない。しかし、通信対戦の「しんけんロボトル」で勝利してメダル強奪が発生した際に特定のメダルを奪い取ると、奪ったメダルが変化して入手可能になるものが存在するのである。
    • 通信強奪で変化するメダルは4枚。カブトVer.かクワガタVer.によって変化後が異なるので、都合8枚もこの方法でしか入手できないメダルが存在する。
    • 「しんけんロボトル」で勝利した際にメダル強奪が発生する確率は20%。このため、メダル交換目的でヤラセ試合をしても、運が悪いと相当時間がかかる。8枚すべてを1つのカートリッジに集めるとなると尚更である。なぜ素直にメダル通信交換機能を付けなかったのかは謎。
    • 説明書にも攻略本にもこの仕様について詳しく書かれておらず、「通信でメダルが手に入る」という曖昧なものになっている。詐欺とまでは言わずとも、かなり不親切。
    • ちなみに、既に持っているメダルと同じものを強奪すると、持っている同名メダルのすべての熟練度が4上がるかわりに奪ったメダルが消滅する。要するに、同じメダルを2枚以上は持てない仕様になっている。
  • マルチエンディングの問題。
    • キララはイベントを一切行わなくても攻略可能だが、特定の行動でフラグが折れる可能性がある。しかもそれは最序盤であるキャラとの会話の選択肢にも仕込まれている。さらにヒロインとの会話ではない上に、直後の結果には影響のない選択肢である。
    • 攻略が簡単なキララに対し、ナエを攻略する場合はストーリーとは関係ないイベントを何度もクリアしていかねばならない。終盤のメダロット暴走時に学校の教師(理科と保険の先生)にパーツを渡すイベントもフラグの一つなのだが、うっかり保険の先生から先に渡してしまうと理科の先生に渡せなくなる。もし両名に渡せなければ即詰み。
    • また、女子トイレに何度も入っているとフラグ折れになるという罠もある。事前警告も標識の類も全く無いので、知らずにフラグをへし折ってしまう場合も。
      • これによる低下率はさほどではないので何度も入らなければそこまで心配する事は無い。ただ、本作は恋愛フラグが特殊(下記)のため、好感度上昇イベントを全然やっていない状態だとすぐにフラグ折れになる事もあるので、危ない橋は渡らないに越した事はないだろう。後者の例が多かったため、解析で仕組みが判明するまで「一度でも入るとアウト」と言われていたほど。
      • 学校の各部屋は入ってみないと何の部屋か分からず、サブイベントでは学校中の部屋を巡る事になるため、何も知らずに彷徨うと「よく分からず虱潰しに部屋に入る⇒うっかり女子トイレに入る」を繰り返してフラグを折ってしまう事も。
    • この分かり難いフラグ管理の所為で、初見時のエンディングで身に覚えが無いのに急にキララに冷たい態度を取られ、呆然としたままスタッフロールを眺めたキッズは少なくないだろう。
      • しかもED後のキララは当人とEDを迎えなかった場合、それまでの親しい態度から一変して他人行儀に振る舞うようになる。訳の分からないままヒヨコ売りEDを迎えたメダロッターに追い打ちをかけるかのような切ない仕様となっている。
    • ちなみに2人のフラグが連動しているため、ナエのイベントを進めると上記の理由で折れたキララのフラグが復活したり、ナエの好感度が下がるイベントを起こすとキララの好感度も下がったりする。
      • 不自然なためか次回作ではヒロインごとにきっちりフラグが分かれて管理されるようになり、選択肢自体も多少は分かりやすくなった。また、ペアEDを迎えなかった場合でも切ない演出が入る事は無くなった。
  • サブイベントは豊富だが、その分期間限定のイベントや取り返しのつかない要素が多い。
    • しかも気付きにくいような意地悪な配置が少なく無く、漫然とプレイしていてはその殆どを体験できずに終わってしまう事も。
      • 何も無い場所を調べる、などは当たり前。情報無しでは体験できる物はかなり限られるだろう。
      • その多くはメダルやパーツ入手に関わるものだが、逆に言えばそう言ったサブイベントをこなさないとメダルがなかなか手に入らなかったり、店売りのパーツばかり所持という事になりやすい。
      • 中にはPCの置かれた机……の前の椅子を調べて手に入るレアパーツすらある。普通ならキャラと重なる椅子の前にわざわざ立ってAボタンを押さなければならないため、知らなければ恐らく気付けまい。
    • 隠しマップの「シノビックパーク」は忍者の里をモチーフとしている事もあってか、テーマパークでありながら隠し通路を通らないと行けない。その場所はNPCが教えてくれるが、そもそも福引でチケットを当てないと入れない。
      • エンディング後は自由に出入りできるが、それもやはり普通にやっていたら分からない別の隠し通路を通る必要がある。
    • しかし本作は町でも平然とエンカウントする上に無効化する手段も無い(後述)ため、宛てもなくサブイベントを探すのは骨が折れる。

戦闘に関する問題点

  • 戦闘バランスが悪い。
    • リーダーを集中攻撃すれば戦闘は終了になるので、シナリオを進める分にはわざわざリーダー以外のメダを倒すメリットが薄い。
    • 基本的に防御役のメダロットを1体作り、攻撃役2体でリーダーを集中攻撃すれば大抵はどんなロボトルでも勝てる。
      • これを受けてか、以降の作品では防御役を打破するのに向いている行動方法が追加されていくことになる。
    • 手に入るパーツの強さや敵の強さも金額やシナリオの進行度と一切比例しておらず、最初のコンビニで最強クラスのパーツが売っているし、このゲームで最高威力の腕パーツは初めてのバトルの相手の片割れが使ってくる。
      • また、このゲームの敵はボス含めて一式揃えたものか、2~4種類の機体からランダムで組み合わせたものである。なのでボスですら攻撃パーツを持っていないなどということが発生する。ラスボス連戦の1戦目の相手ですら発生する。
      • ラスボスは命中率が異常に低く、初めての相手を下回るというとんでもないことになっている。さらに行動も遅いため全く強くない。後述の『パーコレ』でネタにされる始末。
      • あまりにも弱かったため、次回作のラスボスは大幅に強化されている。しかし今度は強化し過ぎてメダロッター達にトラウマを植え付けることになってしまった。
  • 戦闘中、敵味方お互いのメダロットは全パーツのHPを足した総合HPしか表示されず、他のパーツのHPはどれくらいあるのかが把握しづらい。
    • 各パーツのHPが表示されるようになるのは『3』になってからだった。
    • 後述のリメイクである『パーフェクトエディション』では各パーツのHPが表示されている。
  • シリーズを通して一回の戦闘が長めなことは問題点に上げられるが、火力不足が常に付きまとう本作ストーリープレイ中は一層顕著に現れる。そこに後述するようなエンカウントの問題が重なるため、肝であるロボトルは確実に面倒になる。
    • 更に演出がかなりスローテンポなので余計に時間が掛かる。次回作と見比べると一目瞭然。
  • 女性型メダロットのクセが強い。
    • 全体的にパーツの装甲が薄く、直接攻撃出来るパーツも少なく、威力も低め。パーツ数も男性型より少ない。
    • 特殊な効果のない攻撃パーツ自体が2個しかない。回復や復活、最多回数の完全防御、停止、射撃トラップ、対空頭部といった特殊な効果のパーツが多いので扱いこなすには相応の知識が必要なうえ、使用しなくてもクリアに支障はない。個々のパーツでは飛び抜けた性能のものもあるが、例え使いこなしても盾がないため総装甲が低い・戦車と車両脚部が強いゲームバランスなのにその2つが女性型に存在しない点は不利。
    • さらに大半のパーツの入手難易度と値段が非常に高い。買える場所が隠しステージ限定、通信交換限定、特定のエンディング以外では入手機会が1回、特定のエンディングの過程限定などなど…
    • 女性型はいわゆる「レアアイテム」扱いだったということがほるま氏へのインタビューで明らかにされている(アーカイブ)。
      • 要は「男児向けゲームなのだから女性型を出しても積極的に大活躍させられるとはあまり考えられず、出す意味が無いのではないか。ならばレアアイテムとして出せば子供達も欲しがるのでは?」という意図だったとの事。
  • エンカウントが多い上に逃げるには消費アイテム「ロボロボメダル」を使う必要がある。
    • エンカウント率を下げるor無効にするアイテムなどもない。
    • そのロボロボメダルを入手する手段は主にロボロボザコとの戦闘報酬。倒せば確実に1つ入手できるとは言え、エンカウントを回避するためにエンカウントを狙うというおかしな事態に。
      • 序盤には41個のロボロボメダルが手に入るボーナス的なサブイベントが存在するが、その発生箇所は何もない場所であり、しかもメダルを貰うには一度イベントが起きた後にマップを切り替えて再訪しなければならない。ヒントは直前の村の住人がさり気無く語るだけなので、情報無しで手に入れるのはかなり厳しい。
    • 本シリーズは街中でも当たり前のようにエンカウントするので散策も落ち着いて行えない。この世界ではロボトルは「誰もが夢中になる最高の遊び」という扱いなので、誰も彼もがどこでも戦いを挑んで来る。
      • また、次回作と違ってミニハンドル*7使用時もエンカウントを避けられない。
      • 屋外どころか、一定以上の広さのある建物では屋内でも平然と戦いを挑まれる。
      • 町のNPCに何気無く話しかけただけでロボトルを挑まれる事も珍しくない。そしてこれらはイベントバトル扱いなので当然ロボロボメダルも使えない。
    • この仕様は次回作でも改善されず、寧ろロボトルの機会が激増した事で本作以上に戦わされる事に。
  • 戦闘曲が1曲だけしかない。ラスボス戦ですら通常戦闘曲である。
    • その戦闘曲はシリーズで人気の曲であり、以降のシリーズにも使われている名曲ではあるのだが流石に一曲だけは寂しい。
    • この反省か、次回作では通常戦闘の他にボス曲やラスボス曲と、複数の戦闘曲が用意された。
  • ラスボス(のパーツ)がコンビニで買える。しかも対峙する前に、である。
    • 高価だが個数制限すらない。しかもパーツの半分はその金額に見合わず、初めての相手より弱いという体たらくである。*8
    • 挙句、『2』以降のシリーズが原作であるアニメ版メダロットでは1話から右腕パーツが登場する始末。ラスボスの威厳はいずこへ…。
      • 一応アニメでは後にパワーが強すぎて販売を見送ったプロトタイプとして超強力な固体が登場。また、漫画版『2』では普通にコンビニに売っているが突如販売された謎の機体*9と言うことになっている。*10
  • 初期作故にメダルの性格やレベルが本作独自のもので、成長方法やロボトルへの影響度がどのようなものであるかを具体的に説明されていないなど、不親切な部分がある。マスクデータも多く、脚部は一部の項目が表示されていない。*11
    • 攻略本や後発の『パーツコレクション』などでは一応説明されている。遠回しに
      • 数値の上げ方などはファンの手によって明らかにされているが、出来る事なら正式な説明が欲しかった所。
    • メダロットシリーズ全般に言えるがただレベルを上げても殆ど強くならない。大半は熟練度が行動成功率に関わっており、レベルは殆どの行動に影響を与えない。
      • 基本的に「なぐる」を何度も使えば「なぐる」が得意になるという感じなのだが、とある熟練度は多岐の行動に関わる影響度の高いステータスなのに、その熟練度を上げるためのある行動に一切関わらないという訳の分からないことになっているためほぼ確実に騙される。
      • 具体的には「まもる」。いかにも援護に影響しそうなステータスだが実際は回避率&防御力&トラップの火力に影響し、援護には何の役にも立たない。そのくせ、援護行動を取らないと熟練度が上がらない。
    • 援護の成功率は実は脚部の「かくとう」値依存であり、「かくとう」が0の脚部を装備していてはいくらやっても援護に入らない。その説明は無いため、知らないプレイヤーは何故援護に入ってくれないのか理解できない。
      • また、上述の通り援護に「まもる」値は関係無いため、属性が「ぼうぎょ」で「まもる」の高いナイトメダルは実は援護向きではない*12

その他の問題点

  • ストーリー関連
    • キャラは個性豊かだが肝心のストーリーは薄めで、目的地に関しても「何故そこに行くのか」が曖昧なまま行かされる事や、或いは指示されない事が多い。
    • 本作の物語は以降の作品において非常に重要な意味を持つ事件なのだが、本作だけではその深刻さはあまり伝わってこない。ちゃんとスムーズに続編に繋げるなら後述の漫画も必読と言っていいかもしれない。
      • 当時のGBソフトとしてはそこまで珍しいものではないが、イベントが全体的にあっさりしているのも大きな原因と思われる。次回作以降のようにイベントスチルや顔グラフィックが無い点も印象を薄くしている。
      • 終盤、メダロットの暴走事件が起きると街中に暴走メダロットが出現し、一部NPC達にも変化が現れるだが、本当に一部でしかない。大半のNPCは前と同じ事しか言わず、能天気な人間ばかりになっている。
      • エンカウントする相手も変わらない。事件の最中におばさんだの観光客だの女子高生だのが挑んで来るのは勿論、ラストダンジョンですら以前(平和な頃)に入った時と同じ。事態の収束に向かっているのに空気を読まず「するっぺよ な?」など言ってと襲ってくる工事のオッサンには殺意すら湧きかねない。もしかしてメダロットだけではなく人間も暴走していたのでは…。
    • 後半にはキララが何故かバレバレの変装&偽名を名乗って地区大会に出場するのだが、その理由は明かされない。正体が発覚した際に「騙すつもりは無かった」とは言うが、何故そんな事をする必要があったのかは謎のまま。
      • 最終決戦前にまた変装してきた際の前口上から、後の怪盗レトルト&レトルトレディの原型となったと思われるが、何故(ry
    • 元々本作のシナリオはボンボン側からソースを貰い、それを基に組み上げていたのだが、当時新人だったディレクターがシステム製作とシナリオを抱え込んだ*13結果、オーバーワークによってソースが繋ぎ合わされず切れ切れに配置された意味不明なシナリオになってしまった。その後、急遽シナリオ会議を開いてなんとか矛盾しないように繋ぎ合わせたのが本作のシナリオらしい(参照)。
      • この反省も次回作に活かされ、製作体制が見直されたことでストーリー性が大幅強化されることになった。
    • ボリューム自体に関しても、単純にシナリオをこなすだけなら10時間程度でクリアできるため、当時としても若干物足りない。
  • グラフィック関連
    • メダロットのゲーム内グラフィックが微妙。攻略本などでのイラストと見比べてみると、ゲーム版は全体的に頭身と横幅の比率がアンバランスになっている。
    • ロボトル時の顔グラフィックの豊富さに反し、フィールド上のキャラチップはメインキャラ以外は数が少ないものを使い回している。明らかに顔グラフィックとかけ離れているものも多い。
      • 白衣の研究員のグラフィックは特に使い回されており、なんと男女共通なので話さないと性別も分からない。シリーズの重要キャラであるアキハバラ博士すら今作ではモブ研究員と同じ見た目である*14

総評

全体的に荒削りな部分が目立つが、「ロボットもの」・「育成ゲーム」といった定型にとらわれず、独自の遊びを提供した作品である。 それゆえに、ポケモンライクゲーが現れては消えていく中で、息の長いシリーズになったといえる。
システムの難点のうちの幾つかはシリーズを重ねるごとに改良されていったため、続編の中には名作たる評価を得たものも存在する。

移植・リメイク

  • 99年にはワンダースワンにてリメイクである『パーフェクトエディション』が発売された。
    • グラフィックの大幅刷新やパートナーメダロットが喋るなど、かなり好評な出来。
  • 2004年には本作のリメイクである『真型メダロット』が発売された。
    • キャラクターデザインがメダロットの雰囲気と大きく異なる上に、キャラを一新した割にストーリーはほぼそのまま、メダロットの性能は『2』のリメイクである『弐CORE』とほぼ同様の使い回しと、メダロッターからはかなりの酷評を受けることになってしまった。
  • 3DSの『メダロット クラシックスカブト/クワガタ』 Nintendo Switchの『メダロット クラシックス プラス カブト/クワガタ』にはオリジナル版が収録されている。
    • こちらでは倍速、ロボトルスキップ、いつでもセーブ&ロードが可能で、GBよりも格段に快適にプレイできようになっている。
    • ロボトルスキップは熟練度が上がらないため多用は禁物だが、経験値とパーツが貰えて無制限に使えるロボロボメダルのようなものとなっており、エンカウント問題が大幅に緩和されている。また、倍速はスローテンポな本作のロボトルでは重宝する。

余談

  • 講談社の児童誌『月刊コミックボンボン』にて、原作者ほるま氏による漫画版がゲーム発売と同時期から連載開始。連載はコイシマル編の『メダロットG』まで続いた。
    • 次回作『2』以降はメッセージ性を持つオリジナル色の濃い作風になっていくが、本作にあたるヒカル編はゲームの展開をなぞったものとなっている。
      • メダロットとの出会い、ロボトルトーナメント、ロボロボ団の暗躍などはゲーム通りで、終盤の展開も基本はゲーム準拠である。
    • もちろん完全なトレスではなく、キャラの性格などは漫画ならではの味付けがなされ、漫画オリジナルの展開も存在する。また、この漫画版ヒカル編のオリジナルキャラが続編のゲームに登場する事もあった。
      • ストーリー性が薄めの本編を補間しており、終盤の事件も重大さや深刻さの伝わる描かれ方がされている。
      • 後のアニメ版や後年のゲーム(上述の『PE』含む)では相棒のメダロットも喋るようになっていくが、その性格のベースはこの漫画版であるなど、シリーズの礎として果たした役割は大きい。
      • ラスボスであるビーストマスターに至っては、初戦時に主役機であるメタビーを小学生のトラウマになるぐらいに破壊するなど、ゲーム版以上に恐ろしさが強調されている。
  • ロボトル中の「風向き」などのように開発者自身も気づかなかった隠し仕様が組み込まれていたりする。
  • ゲームクリア後、累積プレイ時間が長くなるとコンビニ定員の歩行グラフィックが二脚型メダロットやメダルのグラフィックに化けてしまい、セーブ・リセットしても以後そのままになってしまうバグが報告されているが、報告数が極めて少なく詳しい発生条件も不明である。
  • 本作のヒカル、キララ、アキハバラ博士、ナエと言った面々は次回作以降も登場するが、ヒカルとナエとの絡みは殆ど無くなっている。
    • 当初は入れる予定だったのだが、ある方から「小学校のときの恋愛を引きずってるなんて」という無情なアドバイスを受けて止めたと言う。ナエ派は泣いていい。

メダロット パーツコレクション

【めだろっと ぱーつこれくしょん】

メダロット パーツコレクション2

【めだろっと ぱーつこれくしょん つー】

ジャンル ロールプレイング
対応機種 ゲームボーイ
発売元 イマジニア
開発元 ナツメ
発売日 P1:1998年3月20日
P2:1998年5月29日
定価 4,179円
書換 ニンテンドウパワー
2000年12月1日/1,000円/F×4・B×4(P1のみ)
判定 なし
ポイント 初代メダロットのパワーアップキット

通称「パーコレ」。“パワーアップキット”という触れ込みであり、本編に登場する全てのパーツとメダルを手に入れることができる。
もちろん、本編カブト・クワガタバージョンと通信する事が可能。 本記事ではこの2本をそれぞれ『P1』、『P2』と扱う。

概要(パーツコレクション)

  • 主人公は本編の脇役であるパディ。
    • 魔女ミルキーにさらわれたユウキを助けるというストーリーだが、展開は次々と現れるメダロッターを倒す“だけ”という単調極まりないものなのであってないようなものである。
    • 限定生産品だったが、後に追加生産分として主人公がユウキになった『P2』も発売された。
      ストーリーと内容はほとんど同じなので、余程のファンでもない限り両方買う必要はない。

本編との相違点

  • 初期パートナーの違い。
    • 『P1』・『P2』共に最初に手に入るのは本編でのパディ・ユウキが愛用するクマ型とザリガニ型のメダロット。
  • パーツセッティング時、性別の影響を受けない。
    • 本作で手に入るティンペットはグラフィックこそ従来の男性型・女性型だが、なんと「両性ティンペット」と扱われる。
      • 主役機のパーツに女物の脚部を付ける…などとネタ構成を楽しむことができる。強力だが装甲の薄かった女性型の右腕に盾をつけるという『2』でもできなかった組み合わせも可能に。
  • 一部グラフィックの描き直し・追加。
    • 歩行時のグラフィックの大半は新規。主要・モブ問わず新たに追加されたキャラも多い。
    • ラスボスであったビーストマスターに戦闘前フェイスグラフィックが追加されるなど。
  • 本編で戦う機会のなかったキャラクターの追加
    • 戦う機会のなかった主人公の母親や「みずぎギャル」のような本編未登場のモブなどが対戦相手として登場。
      • なお、「本編未登場のキャラクターや本編に登場していながら戦うことに無かった主要人物やモブといったキャラクターと戦える」要素は以降の『パーコレ』シリーズでも恒例行事となっていった。

『P1』と『P2』の相違点

『P2』は『P1』の主人公差し替えということで、基本的なゲーム内容は全く同じと言えど、以下の相違点が存在する。

  • 主人公と一部設定が異なる。
    • 『P1』ではパディが主人公となり、物語の舞台設定は彼女の夢の中となる。魔女ミルキーにさらわれた王子ユウキを助け出すために3つの塔に挑む。
    • 『P2』ではユウキが主人公であり、物語の舞台設定は彼が作ったゲームの中となっている。魔女ミルキーにさらわれた王女パディを(略)
  • 各種キャラクターとの会話内容や一部イベントCGが異なる。
    • 主人公が違うと言えど、変な手の込みようである。
      • 物語冒頭のカットをはじめとする『P2』主人公のユウキのプレイボーイっぷりはある意味必見…かもしれない。
      • 余談だが、スーパーゲームボーイ使用時の専用ウィンドウもそれぞれ描き分けている徹底ぶり。
  • 主人公の入れ替わり・舞台設定の変更によって、一部イベントの内容もそれに準ずる形で変更されている。

評価点(パーツコレクション)

  • ゲームをクリアすればすべてのメダルとパーツが手に入る。
    • 本編で入手回数が限られていたり、期間限定で取り逃したメダル・パーツも、本作があれば通信で持ってきてメインデータでコンプリートできる。
    • 周回プレイすれば主人公機やボス格機体など、希少な機体も複数揃えられる。
    • 通信対戦のメダル強奪によって同種のメダルを奪った場合の熟練度上昇を逆手にとって、「本編とパーコレを対戦→パーコレからメダルを奪う→ダブって本編のメダル能力アップ→パーコレのデータを初期化」を繰り返すことで本編セーブデータの全メダルを育成することができる。
      • 一応、毎回データをリセットする手間とメダル強奪が成功するまで粘る必要があるが。
    • 続編『メダロット2』では「クリアすると前作からメダルやパーツをコピーする機能」があるため、本作があると『メダロット2』でのメダル・パーツ集めにも役に立つ。
      • さらに言えば、『2』とパスワード転送でパーツのやり取りができる『メダロットR』のパーツ集めでも本作の存在が生きることとなる。 この辺になると完全にメダロットコレクター向けであるが。
  • 本編プレイでは分からないゲームの仕様を教えてくれるキャラがいるなど、メタなネタがちりばめられている。
    • 本編ヒロインの1人が「攻略フラグが複雑になってしまってごめんなさい」と謝罪したり、ラスボスが「パーツの威力は破壊的だが行動速度の遅さも破壊的」などと自虐めいた発言をするなど。
      • あくまでも主人公の夢の中(あるいは主人公が作ったゲーム)という設定だから無し得る物とも言えるか。

問題点(パーツコレクション)

  • 本編を持っていない人にはお勧めできない。
    • ゲーム起動時にも表示されるが、『パーツコレクション』はあくまで「本編の拡張キット」である。
    • 『P1』・『P2』共に基本的に「1フロアにいる相手を倒し、塔を登り続けるだけ」であるため、詳細なストーリーや新キャラなどがあるわけではなく、淡白。
  • 本編を持っている人でも作業ゲーになりがち。
    • 前述の通り、サブイベントすらないため。あるのは果てしないロボトルだけである。
    • 序盤に手に入るメダルやパーツの関係上非力になりがち…だからと言って、本編から強力なパーツを持ってくるとさらに作業感が増す。
  • 基本システムは本編と同じ。
    • 戦闘システムやインターフェースの問題点はそのまま。
  • カブト・クワガタの主役機が手に入るイベントのみ見落としやすい。
    • ゲームクリア後にある場所を調べると現実世界に戻る。その時に特定の箇所を調べるとなぜかさらわれた対象が現れ戦闘となり、勝利すると入手できる…というもの。
    • 調べる場所自体は目星が付くが、ノーヒント。因みに現実世界で調べることができる場所も(カブト・クワガタそれぞれ)2か所存在する。
  • PRの文章について
    • 「限定生産品の為数に限りがございます。弱いメダロットをお持ちの方はご遠慮くださいなーんちゃって。」という文章は「サポートキットを売り込む側として如何なものか」と言われることも。

余談(パーツコレクション)

  • 限定生産品だが「ニンテンドウパワー」のGB書き換えのラインナップに『P1』が含まれていた事もあった。
    • ゲームの内容が重複しているせいか、残念ながら『P2』は書き換えのラインナップに含まれていない。ちなみにニンテンドウパワーは『P1』『カブト』『クワガタ』とほぼ全ての初代メダロットシリーズが配信されていたこともあってか、『P2』は初代メダ唯一の未配信タイトルになってしまった。
  • 「パーコレ商法」の誕生
    • 以後『パーツコレクションシリーズ』は『2』・『R』・『3』と全部で4(5)作発売されることとなる。
      • 対応した作品に登場したパーツ・メダルが手に入るというのは共通するが、『2』のパーコレは『2』のパーツ・メダルのみ、『R』のパーコレはよりによってパーコレ単体でもパーツがすべて揃わないという問題作となっている。
      • 一応『3』のパーコレはパーツ・メダル共にきちんと揃い、本編ほどとは言わないが手の込んだシナリオやサブイベントが用意されているため、ファンからの評価もそれなりとなっている。
      • 逆に『R』のパーコレは前述のようにすべて揃わないばかりかストーリー性が皆無(必要最低限すらなく、本当に無い)であり評判は特に悪い。
    • 本編では登場しないメダル・パーツを用意しておき、パーコレで入手可能にする、という今でいう「アンロック商法」に近い。
      • 『ポケモン』のように地域や期間が限定されることが無い点はマシだが、結果的には「本編未満のボリュームのソフト1本を購入しなければいけない」という点ではタチが悪い。
      • 『メダロット4』以降は廃止された。この点は反省したと前向きに捉えてもいいだろう。
      • もっとも後に皮肉にもパーコレを排したことが裏目に出てしまった作品もあるのだが。
  • 本作の悪役を務めている魔女ミルキーは『2』以降は本編シリーズでのキャラクターとして登場している。
    • 使用メダロットは初出となる本作では本編の主役メダロットの流用だったが、『2』以降の作品ではサンウィッチーといった魔女型のメダロットを愛機として使用するようになった。
    • なお、モデルは『2』〜『4』のシナリオを担当した人物らしい(『1』ではグラフィッカー兼、上述の破綻したシナリオの修正など)。
+ タグ編集
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  • 1997年
  • GB
  • RPG
  • イマジニア
  • ナツメ
  • メダロット

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最終更新:2023年09月27日 18:57

*1 一部例外はあるが、概ね全長1m前後のサイズ。

*2 どちらも公式名称ではないし、見た目が似ているだけでシステムに共通点があるわけではない。

*3 なお「熱量」表記は本作のみで、以降のシリーズでは「放熱」または「冷却」となっている。

*4 ゲームでは割とすぐに興味を持つが、漫画版では当初はメダロットブームをかなり冷めた目で見ており、父にKBT型一式を強引に譲られて渋々メダロッターになる流れになっている。

*5 ちなみにほるま氏のデビュー作の主人公はナポレオンという犬。どちらも由来はかのフランス皇帝だろう。

*6 彼らの名前の由来は大手農機メーカーだろう。本作は米、稲作に関するネーミングが多い。

*7 メダロットを自動車型に変形させるアイテムで、屋外で高速移動が出来る。

*8 残りの半分は金額とラスボスに相応しい性能であるが

*9 車やゲームと同じく普通は試作品が作られ、イベントや雑誌で発表されるはずが前振り無しに唐突に発売されたという設定。

*10 漫画版『1』のラスボスであったロボロボ団が作ったビーストマスターの設計図をメダロット社が秘密裏に回収、デチューンして販売したと目されている。また、ラスボスだった個体は記憶を失った状態で発見・再生されて主人公達の仲間になるという数奇な運命を辿る。

*11 『2』で表示に追加された「いんぺい」は1から存在している上に特定の行動に関わっていた。

*12 援護に入ると回避も防御も出来ずに攻撃を受けるので「まもる」のステータスがそもそも活かせない。

*13 「一人でできるの?」と聞かれたら「当たり前じゃないですか」と答えたという。

*14 デザイン自体はしっかりされており、説明書にも載っている。