EARTH DEFENSE FORCE INSECT ARMAGEDDON

【あーすでぃふぇんすふぉーす いんせくとあるまげどん】

ジャンル TPS

対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
Windows XP/Vista/7※
発売元 D3パブリッシャー
開発元 Vicious Cycle Software
発売日 【PS3/360】2011年7月7日
【Win】2011年12月15日
定価 【PS3/360】7,140円
【Win】980円
備考 アップデートファイル
【PS3/360】2011年10月6日
※Win版はsteamでのDL配信
判定 なし
ポイント アメリカ生まれのシリーズ外伝
舞台・世界観一新、シリーズ異色作
TPSとしての出来は良くなっている
ただし『地球防衛軍』としては…
地球防衛軍シリーズ


概要

SIMPLEシリーズの傑作『地球防衛軍』シリーズのスピンオフ。略称は『EDF:IA』となっている。
開発はアメリカのD3パブリッシャー傘下のデベロッパーである、Vicious Cycle Softwareが担当。
従来のシリーズを開発を担当しているサンドロットのスタッフは世界観などの監修に回っている。
ゲームエンジンもVicious Cycleの独自エンジンが使われており、本家シリーズとは一風変わった作品になっている。


特徴

従来のシリーズ作品に比べ世界観や設定が大きく変化しており、システムも従来の物をベースに変化が加えられている。

  • 舞台・主人公について
    • 舞台となるのは20XX年、アメリカの架空都市である「ニューデトロイト」の街である。
    • 主人公はアメリカEDFの「ストライクフォース・ライトニング」部隊隊長である「ライトニング・アルファ」。
    • 上記の設定は従来の作品のいずれともつながっておらず、パラレルワールドであることがうかがえる。
  • 敵について
    • 敵の呼称は「ラヴェジャー」で、これは英語で「破壊者」という意味。この呼称は海外版『3』の敵の呼称(日本語ではフォーリナー)だが、前述通りパラレルなので無関係。本作では日本語翻訳版でも「ラヴェジャー」のままである。
    • 従来通り、蟻や蜘蛛の姿をした虫型の敵がメイン。だが従来の作品に比べるとリアルすぎてバカバカしくさえ見える姿ではなくB級映画のモンスター的な造形になっている。
      • 蟻は従来の酸や噛みつきだけでなく車を持ちあげて投げつけるというパワフルな動きも見せる。他に従来と違い地中を移動してプレイヤーの近くに現れる、高難易度でも酸の数は増えないが偏差攻撃をしてくるなどの特徴がある。
    • ちなみに設定上は「かつて地球で繁栄していた昆虫種族が絶滅寸前に宇宙へ逃げ出し、進化を遂げて地球以外の銀河系すべての惑星を支配し戻ってきた」というもので、従来の「虫の姿に似た巨大な宇宙生物」ではなく本当に虫である。
    • 二足歩行型ロボットの「ヘクター」(『3』のヘクトルに相当)や、航空戦力の「ガンシップ」に加え、戦力を供給する「キャリアー」といったおなじみの敵も登場するが、いずれも黒がメインカラーでところどころ赤く不気味な光を出しており、無機質な外観ではなくどことなく生物的な造形の物が多い。
    • その他衝撃波を飛ばす巨大なカマキリや素早い動きで空を飛び酸を浴びせるワスプ、くっついて自爆するティックにそれを生み出すボンバースパイダー、PVでは町並みをレーザーで焼き払い蜘蛛を投下している姿を見せたアシナガといった敵が登場。
    • 本作にはソラスやヴァラクのような怪獣型の敵は一切登場しない。やや残念だが、カマキリやアシナガ、大型のヘクターは怪獣並みの巨体となっている。
  • アーマー・武器について
    • 『2』の兵種に相当するアーマーが4種類存在する。
      • 「トルーパー」は旧作の陸戦兵に相当する。ランクが上がればスピードはジェットに次ぐダッシュ速度となり、緊急回避の速度も上昇。さらに味方の蘇生が一瞬で完了するようになる。なお、サバイバルではこのアーマーで固定となる。
      • 「タクティカル」はトルーパーに近いが、トルーパーの性質の代わりにエネルギーを消費して地雷や砲塔といった展開兵器を使うことが可能で少し防御力が高い。ただし通常火器の威力が少し低い。
      • 「バトル」は非常に重い装備で、動きは鈍重だがその分防御力は高く、同ランクでも他のアーマーに比べ体力が高い。さらにエネルギー消費でバリアを張ることができるので防御力は最強。バリアを武器に扱うこともでき、武器自体の火力も他のアーマーに比べやや高め。
      • 「ジェット」は旧作のペイルウイングに相当する*1。防御力と火力はやや低いが機動力は最高。エネルギー消費で空を飛ぶことも可能。
    • アーマーの強化はミッションクリア時のスコアがそのまま経験値となり、ランクごとに一定の経験値がたまればランクアップする。ただし、難易度によって最大ランクは決まっていて、それ以上のランクだと制限され経験値も手に入らない(ノーマル5、ハード7、インフェルノ8)。
    • 武器の入手もスコアをそのままクレジットとして購入する形になっている。武器もランクが決まっており対応したランク以上でなければ購入できない。一部の武器には特定の敵が落とすアイテムから入手するものもある(こちらはランクさえ足りていれば購入せずに使用可能)。
    • 武器の総数はすべてのアーマー合計で300以上になる。
  • 操作について
    • 操作タイプは従来のテクニカル操作のみで、ノーマル操作に相当する操作タイプにはできない。
    • 残弾があってもリロードはボタン一つで可能になった。さらにタイミング良くボタンを押せばその時点でリロードが完了するクイックリロードが存在。戦略上重要な意味を持つようになったが、失敗するとリロード時間がやや伸びるペナルティがある(アップデートで仕様変更されペナルティは廃止された)。
    • ミッションごとに爆弾の設置や装置の起動などを行う場面がありこれも専用のボタンを使用する。味方隊員の蘇生や張り付いたティックをはがすのにもこのボタンを使用。
    • ジャンプと緊急回避が別ボタンに振り分けられたため暴発の危険性はなくなった。
    • 「ダッシュ移動」が追加。使用中は攻撃不可能で出だしはやや遅いが最高速度は緊急回避よりも早くなる。緊急回避連続で移動する必要もなくなった。
  • ゲームモード
    • ストーリーにあたる「キャンペーンモード」と、キャンペーンモードのクリア後に選択可能になる配置が他に用意された2種類からランダムで変化する「キャンペーン・リミックス」に加え、力尽きるまでトルーパーで戦う「サバイバル」がある。
    • キャンペーンは大きく3つのチャプターに分かれ、それぞれのチャプターで5つのミッションをプレイすることになる。オフラインでは二名のbot(NPC)とともに闘う(クリア後はbotoffでプレイすることも可能)。数は少ないが一つのミッションの長さが従来の3倍から4倍以上になるため、実際の一周に必要なプレイ時間は『3』とほぼ変わらない。
    • 難易度はノーマル・ハード・インフェルノの3段階。難易度によってEDは微妙に変化する。
    • それぞれオンラインの協力プレイに対応しており、キャンペーンとリミックスは3人まで、サバイバルは6人まで同時にプレイ可能。
    • 対戦は用意されておらず、説明書では協力プレイについてのアドバイスにわざわざ対戦プレイのサポートをしていない旨二回も強調して書いている。
      • 実際にフレンドリーファイアで味方を倒してしまうと…。
  • その他
    • 乗り物として操縦できるのは基地砲塔と戦車と二足歩行メカ「メックス」。
      • 基地砲塔は移動はできないがミサイルや近接信管つき対空砲など、使い方次第で戦況を大きく変える兵器となる。
      • 戦車は従来と操作法が変わってしまっているが、主砲だけでなく回転砲塔を二門装備しておりそれらに他のプレイヤーが入って操縦できる。さらにひっくり返っても復活できる。
      • メックスは『3』のベガルタと違いジャンプこそできないが機動力と旋回性能は大幅に上昇しており、装備された武器の火力も高い。
      • いずれも移動手段ではなく、純粋に武器として使いやすいものとなっている。

評価点

  • オンライン協力プレイの存在
    • すでにPSP版『2』で実装しているため本作がシリーズ初ではないが、やはり従来から期待されていた要素だけあってこれがあるのはかなりの高評価である。
    • 特に、最大6人参加可能なサバイバルが熱いと高評価。最低レベルのトルーパーで専用武器限定の状態で、次々と敵が登場する「Wave」をどれだけ生き残れるかという内容であり、現在でも最大Wave記録が更新されている。
      • ミッションにもよるが当初は18Wave生き残れば猛者とまで言われていたのだが、やりこみにより「シャロー・グレイブ」というミッションでは41、49、56、65と2011年11月後半から記録が次々更新されている。「コーナーストーン」というミッションでは100超えを記録したという話まで。
  • グラフィックの質が向上
    • 他のPS3/360で発売されているゲームと比べると決して飛び抜けて質が良い部類ではないが、次世代機にはふさわしい程度の出来になっており他のシリーズ作品に比べるとかなり良質のグラフィックとなった。
    • 本家シリーズではマップに直に建物やオブジェクトの影を描いていたため、オブジェクトを破壊した後も影が残っていたが本作ではちゃんと影が形を変える。
    • ただ、デザインなどは旧作と方向性が大きく異なるため賛否両論である。
  • 爆発物で敵や建物を吹き飛ばす爽快感は健在。これぞEDF。あくまで守るのは地球。
    • エフェクトが従来と異なるため、このあたりには若干慣れも必要にはなるが。
    • オブジェクトは『3』と同様に非常に細かく、看板などの細かいオブジェクトも存在。いかにもアメリカの街といった印象を与えてくれる。
    • ガソリンスタンドを破壊すると炎上する、タイヤにぶつかると転がっていくなど、細かい部分の動きもしっかり作りこまれている。
    • オブジェクト破壊によるトロフィーや実績も用意されている。
  • 若干大味ではあるものの、『2』に比べれば難易度のバランスは凶悪ではなく、むしろ整っている。
    • ネタ武器と言えるものが無く、大抵どの武器も使い道はある。
    • アーマーを最高ランクまで上げれば旧作のジェノサイドガンに相当する武器「Pesticide」シリーズが使用可能。最大難易度をクリアしなくても手に入る。どうしてもクリアできない人のためのバランス崩壊武器といったところか(アップデートによりオンラインでは使用不可能になった)。
    • 自爆しても表示上のダメージよりもかなり少ないダメージになる。自爆の危険性は減っている。
    • 『3』のNPCは敵に一直線に攻撃しようとするため自爆するなど頭が悪かったが、本作のbotは割と賢く、状況に応じて適切な動きをする。主人公が倒れれば蘇生してくれ、キャリアーなどの敵に対してはちゃんと弱点となる部分を狙ってくれる。
    • 蘇生のおかげで自分が倒れてもゲームはすぐには終わらず、まだチャンスが残されている。
      • 蘇生にペナルティはなく、蘇生すると体力がデフォルトの値になるので、体力が残り僅かの味方に対してフレンドリーファイアで殺害し復活させるという回復手段もある。
    • 倒された敵からは初代同様判定が消滅し、すぐに消える。壁に使えなくなったが、誘導武器が扱いやすくなった。
    • ミサイルは一部のものが手動ロックになり、オートロックでも照準で合わせた敵に向かって飛ぶようになった。キャリアーなど弱点がある敵にはちゃんと弱点にめがけて飛んでくれる。どう撃っても一番近い敵を追尾(しかも死骸も一度着地するまで追尾対象になる)しかなかった本家よりもミサイルの信頼度は高い。
  • 従来からの問題であったアイテム回収の改善
    • 本作はアーマーの強化が経験値になったことによりアイテムが回復と一部の敵のドロップ武器以外に登場しない。さらに、クリア条件が敵の全滅でなく目標地点への到達というものがほとんどである。これにより敵を一体だけ残してアイテム回収という手間をかける必要が無くなった。
  • その他
    • 旧来のような紙芝居のごとき処理落ちはしない。一部の武器を使えば処理落ちをおこすことはあるが、まだ許容できる範囲である。
    • 仲間の無線や会話もパターンは少ないがB級映画のノリな個性的な台詞が多い。どちらかというと『3』のような熱い台詞よりもネタ的な台詞が多目。
      • かわいらしい声だが毒舌のオペレーター「オプス」に、とてつもなく口汚いbotの一人「キュロス」や落ち着いた老人のbot「オールドマン」、いわゆる「本部の罠」担当の「インテル」などなど…。
      • 主人公のライトニング自身もしゃべる。といってもゲーム中では通信への返答がほとんどで口数は多くない。しかしPVではベタなアメリカ人的な口調と声で、おまけに最後にきれいに死亡フラグを立てるなど旧来の主人公と違い強烈な個性を見せている。

問題点

以上に挙げたように旧作の問題点はいくつか排除されているが、新たな問題点も浮上しており旧作ファンからは「EDFらしくない」という批判も強い。

  • 敵に関する問題
    • 雑魚敵(アリやクモ)があまり巨大ではなく、同時出現数も少なめ。巣が密集していない場所や比較的大型な敵が登場する場所は処理落ちによる回線切断対策の為か数自体が少ない場合も多い。従来のような地平線の向こうから地面を覆い尽くすような大群が来る、という状況はない。
    • 全体的に敵の体力が高く従来あった爽快感を得にくい。最高難易度ではPesticideを除く最高級武器の殆どで最も多く出現する雑魚敵であるアリやクモすら一撃で倒せない。特に大型の敵やキャリアーはとても硬く倒すのに時間がかかる。しかも残り体力が分かりづらい。
    • おなじみの巨大生物の巣が登場するが、『2』『3』と違い攻撃を当て続ける事で巣を塞ぐ事はできるが、近づいて爆弾を設置しないと完全に破壊できない(Pesticideは別)。しかもこの設置時間が割と長く、その間に攻撃を受けると最初から設置しなおしで非常に面倒。
      • この爆弾だが、普通の武器では破壊できない巣を破壊できるという威力の上、設置できる数に特に上限と言えるものが設けられていない。イベントで機銃を操作することになる乗り物「ランダー」の機銃と合わせて「自由に使用できる武器に改良しろ」と(半ばネタで)言われている。
  • 武器に関する問題
    • 武器は全部で300種類以上はあるが、各アーマー間で似たような性能の武器も別カウントであり、レベルによって使用制限もされているためむしろ従来に比べて選択肢は減っている。しかも従来のシリーズにあった悪ふざけのようなネタ武器、およびネタ武器と見せかけた強武器はなくなってしまった。
    • 武器の値段はどれもこれも高く、特に最高レベルは高難易度で一回ステージクリアした程度で得られる額では全く届かない。また、スコアがそのままクレジットに反映されるため一度に入手できる額も限られてしまう(最大まで稼いでも最高レベルの武器を購入する額には届かない)。武器を入手するためには旧作と別の意味で常に稼ぎが要求される。
    • アサルトライフルなどの実弾武器はヒット時のエフェクトと効果音が地味で、当たっているのかどうかよくわからない。ロケットランチャーなどの爆風も地味。蟻などの生物系の敵は被ダメージや断末魔に高い声を上げていたが本作ではそれも地味。これらのせいで余計に敵が硬い印象を与える。
    • ホーミングする一部の武器。アサルトライフルなのに、ショットガンなのに、グレネードランチャーなのにミサイルランチャーと役割がかぶり気味。というか性能で完全に食っているものまで。
    • ショットガン系は拡散性が高い割に散弾数が6しかなく命中率がかなり低い。拡散性の大きいタイプだろうと散弾数は6だけ*2。信頼できるショットガンは拡散性の小さいタイプに限られる。
    • スナイパーライフルの仕様変更。ズームしないとあらぬ方向に飛んでいきまず当たらない。本家ではズームなしでも狙いはぶれず、上位種は最終ミッションの定番と言えるほど強力だったため従来と同じ感覚で使うと痛い目を見る。
      • ズームしたらしたで見える範囲が狭すぎる。至近距離での取り扱いはほぼ無理と言っていい。しかし、雑魚敵はプレイヤー周囲に出てくるというパターンが多いため余計使いづらい。また本作の実弾兵器の例にもれずヒットエフェクトが非常に地味で、当たっているのかよくわからない。
      • しかも最高難易度後半になると最上位でも火力が不足し、ほぼ死に武器と化す。
    • バトルのみPesticideが時限式グレネードなので、一部の敵に通用しない。アーマーの特性と合わせて一番安全に使用できるが使いづらく不遇な印象を受ける。
      • アップデートで衝撃式に変化したので通用しなかった敵にダメージを与えられるようになった。
  • ミッションに関する問題
    • ミッションが基本的に「移動→殲滅→移動…」の繰り返し。敵は移動したポイント周辺に出てくるというパターンばかりなので以前の作品にあった高難度での戦略性が少なくなった*3上にテンポも悪くお使い感がする。
      • 本家シリーズの作品は最高難易度終盤ではとことん時間がかかるものの、低難易度序盤から中盤では大体のミッションが10分程度、ミッションによっては5分もかからずにクリアできるなど、ひたすらテンポよく進む作品だったので余計本作のテンポの悪さが目立つ。
    • 一周にかかる時間自体は旧作と比べて少なくはないが、ミッションの絶対数が少ないためどうしても物足りなく感じる。
      • キャンペーンについては一応リミックスモードが存在するが、敵の構成が変わるだけでストーリーなどの内容は本編と同じであるため、新鮮さが強いとは言いがたい。
    • またミッションが長期化する一方で、ゲームオーバー時に中間ポイントからのスタートなどという仕様はなく、本家と同じく最初からのプレイとなってしまう。
      • 味方NPCによる蘇生という救済措置でバランスが取られているとも言えるが、確実性に欠ける上、蘇生してもらうまでずっと待機しなければならない。
    • ストーリーもあまり深く作りこまれないシリーズとはいえ尻切れトンボな印象。明らかに続編を匂わせる終わり方。
+ 終盤の展開
  • 終盤、EDFはラヴェジャーの技術を応用した新型爆弾で蟻の巣を焼き払う作戦に出る。巣にいた女王アリを倒して爆弾を起動したライトニングだが、迎えのランダーは撃墜され、さらに街は封鎖されライトニング達はラヴェジャー撃破のため犠牲にされそうになる。ここまでの流れが最終ひとつ前のミッション。
  • 最終ミッションではこれに反発したオプスがライトニングを誘導して脱出させようとする。突如現れた敵のマザーシップと無数の敵のため戦闘は激しさを増していくが、ランダーパイロットのシュリーが応援に駆けつけてくる。敵を殲滅したライトニングはランダーに乗り込むが、そこへマザーシップから砲撃が…。
    • 以降の流れ(エンディング)は難易度によって変化する。ノーマルだとオプスの叫びに何も返答がない見事なバッドエンド。ハード以上だとランダーは無事だったことが明かされ、インフェルノではオプスがライトニングに愛の告白をする…が、唐突過ぎて意味がわからない。
    • しかも正確には変化するのではなく、ぶつ切りにして難易度に応じて続きが見られるというだけ。
  • 最終ミッションで登場するマザーシップだが、ここまでの流れを見てわかるとおり撃墜することができない。それどころかダメージを与える方法すら全くなく、ただビームによって邪魔をするだけのオブジェクトでしかない。
    • しかも仕掛けた爆弾が起爆して巣を焼き払う姿すら映し出してくれない。ラヴェジャーが撤退するというような情報も全く入らない。巣も敵母艦も健在の状態で残っているというのに、これでストーリーが終了したと言われても達成感もへったくれもない。
    • マザーシップ自体のデザインは本作の機械系統の敵キャラ同様に黒メインのカラーリングに赤い光と、とても禍々しく見た目も巨大なためラスボスとしてのインパクトは十分なものである。それなのにこちらからは一切手を出すことができずに終わりになってしまうためプレイヤーからの批判は強かった。
  • 結局、本作のラスボスは何かと聞かれると最終一個前のミッションで登場する女王アリと答えるしかない。最終ミッションは大型ヘクター数体というボスクラスの敵がわんさか出てくるがこれらすべてが既に倒したことのある敵で真新しさがなく盛り上がりに欠ける。素直にマザーシップを落とすという内容にするのでは駄目だったのだろうか。
  • 北米で作られた為仕方ない面ではあるが、どことなくB級特撮風なノリだった以前と違い、スターシップ・トゥルーパーズの様なアメリカのB級映画のノリに対して違和感を感じる人もいる*4
  • マップの使い回しが旧作に輪をかけてひどく、なんと3種類しかない。チャプターごとに1種類ずつである。
    • 厳密にはミッションごとに広大なマップの一部を描画しているらしく、バリアを乗り越えるとマップの残骸が見える。しかし同じような場所で戦うミッションも多い。
    • どのミッションも市街地で、山岳地帯や海岸というおなじみのステージや洞窟などが存在しない。旧作のバウンドガンみたいに壁で跳ね返る弾を出す武器があるが、その性質自体は『1』と同じく全く役に立たないと言っていい。
  • 移動した目的地の一帯で戦うことが多く、さらに設定上敵にバリアを張られている(旧作の外周)ため実際の街のマップの見た目よりもはるかに狭い範囲で戦うことになる(実際のマップの広さは歴代でも広い部類)。バイクやヘリといった機動力の高い乗り物は存在せず、建物も非常に多いため余計に狭い印象を与える。戦闘における移動の自由度は大きく減少した。
  • レーダー自体は建物や道路が表示され非常に細かくなっているが、レーダーに敵が常に映らない。常に映っているようにするにはタクティカル装備でスキャナという特殊武装を使う必要がある。しかも高さの表示はない。
    • アップデートでオフラインプレイは常に映るように変化したが、スキャナを使うと従来の仕様に戻ってしまう。どうやらバグの模様。
  • アーマーが勝手にレベルアップするため縛りが旧作以上に難しい。しかもレベルアップしないと強化された武器を使えない等縛りの自由度も低い。
  • アーマーのレベルアップが中盤以降遅い。また、下位難易度をスムーズにクリアできるレベルでも上位難易度だと序盤からかなり苦しい位のレベルデザインとなっており、アーマーレベルは使用可能武器にも直接かかわっているため常に稼ぎを要求される。ただし、レベルはカンストさせなくても最高難易度クリアは十分可能となっている。
  • その他の問題
    • 回避とダッシュのボタン配置入れ替え以外のキーコンフィグができない。アップデートで射撃ボタンの位置変更はできるようになったがまだキーコンフィグの自由度は低い。
    • アイテムが建物に引っかかった後建物を壊しても落ちてこない。こんなところで初代を再現しなくても。
    • DLCは非常に微妙な性能の武器パックとなっている。ゲームの難易度が崩壊することはないが攻略が特別楽になることもなく、システム、ゲームバランスの特性上下位レベルの武器はそのまま倉庫の肥やしになる。
    • 画面分割プレイ時のセーブデータが本家と異なり1Pと2Pで共有できない。本家『地球防衛軍』では1Pが使っているセーブデータをそのまま2Pも使用できたが、本作では別々にデータを作成し育成しなければならず非常に面倒。
      • 本家と比較すれば面倒な仕様ではあるが、そもそも海外のゲームは画面分割でプレイできる場合でも同様の仕様のものがほとんどである。
    • 司令部等味方のキャラは若干薄い。従来の作品だと友軍からミッションの進行状況に合わせて色々な通信が入ったが今回はかなり少なめ。戦闘だと頼りになるチームメイトも状況に関係なくあらかじめ与えられたセリフの中からランダムでしゃべるのみとなっている。
      • 台詞等一部に誤訳とおぼしきものも見られる。英語でないとわからないものや、アメリカ文化を理解していないとわからないネタもある。
      • botがそのステージに登場しない敵について普通にしゃべりだしビックリさせられることも。
      • なお、言語の選択はできない。吹き替え・字幕ともに日本版は日本語のみ、海外版は英語のみである。
    • その他、バグが結構多い。ささいなものからゲーム進行に当たって致命的な物まで。
      • アップデートである程度改善されてはいる。が、新たなバグの報告もされている。

総評

やや粗削りな面こそあれど普通のTPSとして見れば悪くない出来で、長くやっていれば面白味は出てくる作品である。
しかし『3』と同様にEDFのタイトルを使ってしまったために旧作のファンにはどうしても違和感と割高感が出てしまう作品となっている。
「SIMPLEだから許された」という部分も完全にぬぐいきれたとは言いにくく、別物としてみるとその点は余計目につくようになってしまう。
オフラインのみだと物足りないが、EDFの面白さの根っこの部分は一応掴んでおり、オンラインでの協力プレイ等据え置きでは今までなかった面白さもある。
シリーズの問題点は多くが排除されており、名作になりうるポテンシャルは充分に秘めていた作品…だったのだが、どうも詰めが甘かった。

なお、海外版は約40US$で、昨今の円高の影響と合わせ非常に安値で手に入る。
海外版であれば日本語吹き替えがされていない以外は同じ仕様なのでオフだけでも値段相応には楽しめるだろう。


余談

  • 本作のスタッフロールには、「ストーリー」「ストーリー編集」担当の他に、「追加ストーリー」という役職と担当者名もアップデート前の時点で記されている。
    • いかにも追加コンテンツを示唆する名目であるにもかかわらず、本作にてDLCシナリオやDLCステージの類が配信されることはついに無かった
      • マザーシップと決着をつけないで本編が終了するあたり、DLCなどで何かしらの補完をする予定があったのかもしれないが、配信されていない上に今日まで本件について公式から何の説明も無いので真相については闇の中。実に紛らわしい名称だが、DLCのことを指していないのかもしれない。
      • ちなみにスタッフロール自体は洋ゲーにありがちな仕様として、ゲーム開始前のメインメニューからいつでも確認できる。
  • 本作の開発を担当したVicious Cycle Softwareは2014年にアメリカのパブリッシャーであるLittle Orbitの傘下になったのち、数回のレイオフにより最小の人員を残すまでに規模が縮小され、2016年に1月に会社そのものも閉鎖された。
    • ちなみに最後の開発作品はCGアニメ映画『カンフー・パンダ』のゲーム化作品の1つで、2015年12月に発売された2.5D格闘ゲームの『Kung Fu Panda:Showdown of Legendary Legends』(PS4/One/PS3/360/WiiU/3DS/Win)。

その後の展開

  • 2011年10月6日にアップデートが行われたことで一部の仕様が調整され、バグもいくつか排除されている。
  • 2011年12月に海外の大手ゲーム配信プラットフォームであるSteamにてWin版(海外版ベース)が配信されている。
    • こちらは30fps制限など細かい変更があるもののほぼ家庭用(海外版)と同一である。値段も9.99US$*5と非常に安い。
      • さらに、PS3/360版には無かったDLC武器が用意されている。レベルが高い武器もあるので、割とまんべんなく使えるDLCになっている。
  • 上記の問題点や本家『4』が『3』に近い作風なこともあり、EDFファンからは別物扱いされている。
    • しかし、『4』には本作を意識したと思われる演出やシステムも取り入れられている。
      • いずれも旧作の問題点を修正した仕様であるため、本作が本家シリーズに与えた影響の大きさがうかがえる。
  • 2019年4月11日には株式会社ユークス開発のシリーズ最新作『EARTH DEFENSE FORCE IRON RAIN』が発売となった。
    • 明らかに本作を意識したタイトル名だが、侵略者名は「アグレッサー」となっており世界観的な繋がりは無い。
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  • Steam
  • D3パブリッシャー
  • 地球防衛軍
  • 2011年

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最終更新:2021年08月13日 23:09

*1 とはいえ、飛行キャラという括りにおいて共通するだけで、実際の仕様は大分異なる。

*2 本家EDFのガバナー系に相当するが、あちらは25~100の散弾数を持つ。

*3 例えば次の敵が出てくるポイントから離れた場所で狙うために敵を誘導する、あらかじめ出現地点に爆弾をセットしておく等。

*4 海外版パッケージの構図は『スターシップトゥルーパーズ』そのままである。

*5 2017年現在、日本のSteamストアでの価格は980円となっている。