BURNOUT

【ばーんあうと】

ジャンル レーシング
対応機種 プレイステーション2
ニンテンドーゲームキューブ
Xbox
発売元 Acclaim Entertainment
開発元 Criterion Games
発売日 【PS2】2001年11月1日
【GC/Xb】2002年4月30日
備考 日本未発売
判定 良作
ポイント 据置版『スリルドライブ
クラッシュ要素を取り入れた公道レース
ゲームエンジンを活かしたビジュアル・演出
国内では諸事情により発売中止に
バーンアウトシリーズ



Drive Dangerously!



概要

破壊系レースゲームの代表作『バーンアウト』シリーズの第1作。
これまでデベロッパーであるCriterionは『Redline Racer』(Win/DC)や『TrickStyle』(Win/DC)と言った作品での評価はそこそこあったものの、その知名度は悪く言えば「マニアに近い人なら知っている」レベルのものだった。
そんな中で出された本作はCriterion Games及び本シリーズの名が広まるきっかけとなった作品でもある。
なお、サクセスから発売されたPS SuperLite1500シリーズの『BURN OUT』とは無関係。


特徴

  • 基本的には四台の車でレースを行い、チェックポイントを辿りながらコースを3週してゴールを目指すといったシンプルな内容。
  • 制限時間があり、チェックポイントを通過すればタイムが回復し、タイムがなくなるとレースが終了する。
  • レースが終了するとリプレイを観ることができる。
  • ランキングシステムがあり、各コースにそれぞれ1ラップのタイム、レースタイム、ベストドライバー(スコア)、ワーストドライバー(被害総額)のランキングが記録されている。
  • 本作(というよりシリーズ全作)には開発元のCriterion Gamesが開発したゲームエンジン「RenderWare」を使用しており、リアリティのあるグラフィックや物理演算が本作最大の特徴。

ゲームモードは以下の通り。

  • Chanpionship
    • グランプリ。レースを数回行う。
    • 後のシリーズとは違い順位によるポイントは存在せず、指定された順位以上でゴールすれば次のレースに進む仕様となっている。
    • 本作ではクレジットが存在し、時間切れになるか指定された順位以下でゴールするとクレジットを1つ消費してレースをやり直す。クレジットがなくなるとゲームオーバー。
    • 後半のグランプリになると全てのレースで1位を要求される。
    • グランプリを制覇していくと、一部他のモードが出現するようになる。
  • Single Race
    • シンプルにレースを行う。
  • Time Attck
    • タイムアタック。ライバルは存在しないが、レースと同じく制限時間があり3週走るとゴールとなる。
  • Face Off
    • 1対1のレース。ライバルとコースが指定されており、勝利するとライバルの車を獲得できる。
  • Survival
    • 基本Time Attckと同じだが、一度でもクラッシュするとゲームオーバー。ドライビングテクニックのスキルが求められる。
  • Free Run
    • 一般車が出現しないレース。このモードだけランキングに記録されない。
  • 様々なタイプの車両を使用できる。
    • コンパクトカーからセダン、スポーツカー、果てはバス等の大型車まで使用できる。
    • 車にはそれぞれランク付けがされており、Easy、Midium、Hard、Specialの四種類で、それぞれ初心者~上級者用のクラスとなっている。
    • 一般車の方も軽車両からタンクローリーまで多彩な車が存在する。
    • 本作(及び『2』)ではATとMTを選択できる。
      • 大型車がライバルとして登場するのは一部のFace Offだけで、大型車とのレースを楽しむ事ができるが、無人のバスが後ろから猛スピードでプレイヤーにつっこんでいく姿はもはやホラー。
  • コースは16個存在し、アメリカとヨーロッパのコースに分けられている。
    • アメリカではニューヨークや州間高速道路などをモチーフとしたコースが登場し、ヨーロッパではスペインやパリをモチーフとしたコースが登場。
    • 複数のコースを繋げたマラソンコースも存在する。その名の通り1周が非常に長いコースとなっている。
  • 本作ウリの要素が「ブースト」。
    • 対向車線を走ったり、一般車とのニアミスやドリフト等を行う事でゲージが溜まり、最大まで溜めるとブーストを使用する事ができる。
    • 対向車線は走る距離が長い程ゲージの増加量が上がっていく。
    • ブーストを使用すると大幅な加速を得られ、最高速度を超えて走る事ができる。 マフラーから火は噴かない。
    • ブーストはゲージがなくなるまで走りきればバーンアウトとなり、ブーストゲージが半分まで回復する。
    • ブースト使用中はBGMが段々フェードアウトしていく。
    • ブースト使用中、上述の危険運転を行い続けてゲージを使い切ればバーンアウトブーストチェーンとなり、ブーストを連続で使い続けられる。
    • 本作のみ、ブーストを途中で中断しても使用する事ができるが、ブーストを使いきってもゲージは回復せず一から溜め直しになる。
  • そして本作最大の特徴が「クラッシュ」。
    • 車や壁に衝突するとクラッシュし、車が無残に破壊される様をリプレイで流すシーンに切り替わる。
    • クラッシュすると被害額が表示され、事故した車の破損状態によって金額が変動する。
    • 「RenderWare」の特徴を最も活かしている部分でもあり、車の歪みは物理演算によって実際に歪ませている。そのためクラッシュのパターンは無限大にあるとも言える。
    • ただし、レース上では単なるタイムロスに過ぎないので、できるだけクラッシュをしないように走行する必要がある。
    • 一定回数クラッシュするとBGMが変化する。変化までの回数はコースによって異なる。
    • 本作ではトラフィックの数が多いためか、ライバルがよくクラッシュする。トラフィックだけでなくライバルのクラッシュに巻き込まれないように警戒する必要がある。

評価点

  • レースゲームとしての完成度は高い。
    • ルール自体は至ってシンプルだし、操作性も悪くなく、特別な操作も必要ないので、初心者でも簡単にとっつきやすい。
    • それぞれの車には性能の差がしっかりと設定されているため、車によってプレイスタイルが変わってくる。
    • ブーストを使えば最高速度を超えて加速する為、疾走感を味わえる。
  • 幅広いプレイスタイルが可能。
    • レースゲームとしては普通にプレイできる為、オーソドックスなプレイはもちろんの事、クラッシュ、被害総額というシステムを生かし無事故プレイといったプレイも可能。
    • 本作ではまだ「テイクダウン」は存在しないが、ライバルを押してトラフィックにぶつけてクラッシュさせる、所謂「疑似テイクダウン」が可能。
    • これらの他にも、工夫次第で様々なプレイができる為、プレイする自由度が高いのも評価点。
  • グラフィックは当時としては高水準。
  • 常時60fpsで動作するので非常に快適。その上処理落ちは皆無。
  • RenderWareを上手く生かした演出。
    • グラフィックや物理的な挙動、クラッシュ要素で肝心な部分である車の損傷も見事に表現できている。
  • クラッシュのリプレイを観る事ができる。
    • カメラや再生速度を変える事ができ、様々な角度でクラッシュを観察できる。
    • リプレイのセーブも可能で、メニュー画面から自由に閲覧できる。

問題点

  • アーケードを意識しているのか、ボリュームは薄め。
    • メインのチャンピオンシップの数が6つしかなく、それだけをクリアするだけなら1~2時間程度で達成できる。
    • 操作できる車は隠し含めて全9台と少ない。
    • コースは全16種あるが、コースが逆走だったり、名前が違うだけのコースがあったりと水増ししており、実質なコース数は7つしかない。
  • ゲーム内容の種類が少なくバリエーションに欠ける。
    • 本作でできる事はレースかタイムアタックかの実質二種類しかない。
    • 後のシリーズ特有であるロードレイジやクラッシュイベントもまだ存在していない。
    • プレイの工夫次第で様々な楽しみ方こそは可能だが、それはユーザー次第である。
  • ブーストが使いにくい。
    • ブーストゲージがとにかく溜め辛い。判定が厳しい上に上昇量も少ない。
      • コースによっては序盤から溜めきれるのもあるが、1周かけないと溜まらない場所もある。
      • ブーストを溜めきった状態でクラッシュしてしまうとゲージが半分になってしまい、また溜め直しになる。
    • ブーストチェーンも難しく、チェーンをするには対向車線を長く走り続けた上でニアミスを重ねていく必要がある。
  • レースが長い。
    • 全てのコースは3周走る必要がある。
    • 1周するのに2~3分もかかるコースが多く、ゴールするのに少なくとも5分以上はかかってしまう。1周1分程度で済むコースもあるが。
    • 特にマラソンコースが非常に長く、一周するだけでも5~7分もかかってしまう。つまりゴールするのに最低15分以上はかかるため、面倒になる。
  • クラッシュのリプレイはセーブできるが、レースのリプレイはセーブできない。
  • 大型車はレースとしては全く使い物にならない。
    • 大型車はハンドリングが非常に重く、加速も最低レベルなのでレースとしては全く向いていない。
    • 一応最高速度だけなら平均的だが、そこまでに到達するのも一苦労する。
    • カーブが多いコースではトップでゴールするのはともかく、そもそも完走すら困難だったりする。
    • また残念な事に一般車をゴミのように蹴散らしながら走行する事もできない。
    • このように劣悪な性能を持っている事から、大型車だけランクが「Special」なのも納得がいくだろう。
      • ただ一つメリットとしては、小型車のライバルを弾きやすいという点である。うまく弾けばテイクダウンをする事ができるので、これを目的として使うのもアリだったりする。
    • ちなみに本作以降、大型車をレースで使える事はなくなった。

総評

元々アーケード専用だった『スリルドライブ』を家庭用として上手くアレンジして発売できた(海外のみだが)功績は大きいといえる。
純粋なレースゲームとしての完成度も高く、プレイスタイルの幅が広く、更には事故によるスリル感も抜群に体験できる点などが海外ゲーマーからは高く評価された。
シンプルで粗な部分もあるが、次回作からは大きく改善されていく事になる。
シリーズとしても、レースゲームとしても「クライテリオン」(基準)級な完成度である。


余談

  • 開発当初のタイトルは『Shiny Red Car』及び『Driving Hero』だった。
  • 本作は1998年にアーケードで稼働したコナミの『スリルドライブ』に影響を受けて制作されたとファンからは推測されている。
    • 理由としてはやはりゲームシステムが酷似している為。
    • ちなみに、YouTubeでは本作と『スリルドライブ』をコラボさせた動画がいくつか投稿されている。
  • 本作はセガから『グランドヒート』という名称として国内で発売される予定があったのが中止となってしまった。
    • 本作は東京ゲームショウ2002にて展示されており、某ゲームメディアサイトでは当時の様子が映し出されていた。
    • なお、『グランドヒート』のジャンルは「スリルドライビングアクション」であり、セガ側もあちらの存在は少なくとも把握していた事は窺える。
    • しかしコナミ側も参加していた為、『スリルドライブ』を知る関係者が本作を目にし後にセガ側にクレームをつけて中止にさせたのではないかと考察されている。
    • ただし発売中止になった理由としてはセガからは一切追及されていない為、現在でも謎のままである。
    • 次回作の『バーンアウト2』の日本版はサミーから無事発売された。
  • RenderWareは他社へのライセンス貸与も行われており、同エンジンで作られたゲームも多く存在する。
    • 本作以前は他社採用例も希少だったが、本作と同年に発売された作品から採用例が大幅に増えていた。
    • 2010年からは後継エンジンとなる「Chameleon」が開発された為、現在では使われなくなっている。
  • 2022年9月にまさかの『日本版BURNOUT』のROMが発見された。
    • 名称は「HEAVEN'S DRIVE」で、アクレイムジャパンによってローカライズされていたバージョンである。『グランドヒート』の発売中止から丁度20年が経過した後にかつてのアクレイムの元社員の関係者によって明らかにされた。
    • アクレイムジャパンからセガにライセンスが渡った事や、セガが何一つ発表せず突如発売を打ち切った経緯から見て、恐らく発売直前になってアクレイムジャパンが閉鎖された為に急遽発売中止になったのではないかという可能性が新たに浮上した。
+ タグ編集
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  • 2001年
  • PS2
  • RCG
  • バーンアウト
  • 日本未発売

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最終更新:2024年03月14日 21:21