国連・子どもの権利委員会の一般的意見/一般的討議勧告


一般的意見

「条約のさらなる実施を促進し、かつ締約国による報告義務の履行を援助するために」(子どもの権利委員会暫定手続規則73条)作成される文書。他の人権条約機関も一般的意見または一般的勧告と呼ばれる同様の文書を採択してきており、それらは主に以下の2つの機能を果たすとされる(Alston, P., et. al., International Human Rights in Context, Clarendon Press, Oxford, 1996, pp.522-535)。
(1) 特定の条項について締約国報告書に記載されるべき情報を具体的に挙げること
(2) 特定の条項の意義や機能、その実施のために必要とされる措置等について条約機構としての正式な解釈を示すこと
一般的意見は、締約国の選挙によって選ばれた委員で構成される条約機関が、多数の締約国報告書を審査してきた経験にもとづいて採択した正式な文書であり、国際人権法の発展の重要な要素を構成するものである。そこに示された見解は、厳密な意味での法的拘束力こそ有しないものの、条約の規定に関するひとつの権威ある解釈として、締約国の政府や裁判所等によって正当に尊重されなければならない。日本の裁判所においても、少数ではあるものの、自由権規約による一般的意見が「〔自由権規約の〕解釈の補足的手段」として用いられた例がある(外国人登録法にもとづく指紋押捺の拒否を理由とした逮捕に対する国家賠償請求事件に関する1994年10月28日の大阪高裁判決〔判例タイムズ868号59頁・判例時報1513号71頁〕)。




一般的討議の勧告

「条約の内容および趣旨に関するより深い理解を促進するため、……条約のひとつの特定の条文または関連する主題」(委員会暫定手続規則75条)をテーマに選んで委員会が開催する討議。「テーマ別討議を行なう日」という意味でTheme Dayと呼ばれることも多い。
おおむね年に1回、秋の会期(9~10月)に開かれるのが通例。関連の国際機関、NGO、専門家等が幅広く参加し、2つ程度の分科会に分かれて議論するのが最近の慣例である。その議論をもとに、委員会は、国際機関、締約国、NGO等がとるべき措置について勧告を採択する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年7月28日。トップページよりコピーし、解説を追加)。/~/一般的意見26号の第1次草案の日本語訳へのリンクを追加(2023年1月1日)。/移住労働者権利委員会の一般的意見5を追加(1月25日)。/一般的意見26号の日本語訳へのリンクを追加(9月1日)。/一般的意見一覧の下に「子どもの権利条約第5条に関する子どもの権利委員会の声明」を追加(10月13日)。/一般的意見27(予定)について記載(2024年2月8日)。
最終更新:2024年02月08日 01:12