国連・子どもの権利委員会:日本の第4回・第5回統合定期報告書に関連する質問事項


CRC/C/JPN/Q/4-5
配布:一般
2018年7月3日
原文:英語・フランス語・スペイン語のみ
日本語仮訳:子どもの権利条約NGOレポート連絡会議
※当初、日本の本審査は第79会期(2018年9月17日~10月5日)に予定されていましたが、2018年2月の会期前作業部会終了後、第80会期に延期されました。
※7月3日付で公表された正式版に基づき、日本語訳を一部修正しました。主な修正点はページの一番下の更新履歴を参照。

子どもの権利に関する委員会
第80会期
2019年1月14日~2月1日
暫定的議題 議事項目4
締約国報告書の検討

日本の第4回・第5回統合定期報告書に関連する質問事項


 締約国は、追加の最新情報を、書面(10,700語以内)により、可能であれば2018年10月15日までに提出するよう要請されます。委員会は、締約国との対話の際、条約に掲げられた子どもの権利のあらゆる側面を取り上げる可能性があります。

第1部


1.子どもの権利に関する包括的な法律を採択する計画があれば、当該計画に関する情報を提供してください。改正児童福祉法が子どもの権利に及ぼした影響について説明してください。また、子供・若者育成支援推進大綱(2016年)からどのような教訓が得られ、かつ締約国がその成果に基づいてどのような措置の実施を計画しているのかについても、情報を提供してください。

2.人権擁護法案の状況、および、条約の実施を監視しかつ子どもの権利侵害についての苦情を受理できる国家人権委員会の設置に関する最新情報を提供してください。

3.女子、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである子ども、非婚の親から生まれた子ども、民族的マイノリティに属する子どもならびに日本人以外の出自を有する子どもに対する差別およびヘイトスピーチを解消するためにとられた、狙いが明確な(targeted)措置に関する情報を提供してください。また、包括的な反差別法を採択する計画があれば、当該計画に関する情報も提供してください。

4.あらゆる場面における体罰を、いかに軽いものであっても、法律によって明示的に禁止しかつ解消するためにとられた措置に関する情報を提供してください。また、暴力および子どもの虐待(とくに性的虐待)の防止、ならびに、被害を受けた子どもに提供される支援サービスおよびリハビリテーションサービスの種別に関する情報も提供してください。

5.子どもが家族から分離されまたは家族によって遺棄されることを防止し、子どもの脱施設化を加速し、かつ里親または養親による代替的養護を促進するためにとられた具体的な措置に関する情報を委員会に提供してください。児童相談所が運営する子どもの一時保護所の評価システムに関する最新情報を提供してください。離婚後に子どもが双方の親との関係を維持する権利がどのように確保されているか、説明してください。

6.改正学校教育法にしたがった、障害のある子どものためのインクルーシブ教育の発展における進展についての情報を提供するとともに、「特別支援教育」が何を意味するかについて説明してください。学童保育の民営化および規制緩和を踏まえ、障害のある子どものための学童保育の最低基準を改定するためにどのような措置がとられてきたか、説明してください。

7.高い低体重出生率を削減するためにとられた措置に関する情報を委員会に提供してください。また、2011年の福島原発事故以降、被曝した子どもに提供されている医療支援に関する情報も、委員会に提供してください。

8.日本が現在とっている気候変動緩和政策が、国内外の子どもの権利(とくに健康、食料および十分な生活水準に対する権利)を保護する日本の義務とどのように両立しているかについて説明してください。

9.増加しつつある子どもの貧困およびそれが子ども関連の社会的保護に及ぼす悪影響に対処するためにとられている措置についての情報を提供してください。また、社会的移転が子どもの貧困率の削減に及ぼす効果の低さの原因、および、社会的移転をより効率的なものとするために締約国がとることを計画している実際的措置についても説明してください。

10.乳幼児ケア施設を提供し、かつ乳幼児期教育の質を確保するためにとられている具体的措置(利用可能とされている資源を含む)についての情報を委員会に提供してください。子どもをいじめから保護するための措置に関する情報を提供してください。極度に競争的な学校環境の悪影響を緩和するためにとられている措置についての情報を委員会に提供してください。

11.子どもの庇護希望者の収容および親からの分離を防止するための法的枠組みを用意するためにとられた措置があれば、当該措置に関する情報を委員会に提供してください。また、子どもの庇護希望者が社会サービスにアクセスできるのであれば、当該アクセスについての情報も委員会に提供してください。

12.少年司法制度における条約の全面的実施を保障するためにどのような具体的措置がとられてきたかを明らかにするとともに、法律に抵触した子ども、被害を受けた子どもおよび子どもの証人に対し、再統合のためのおよび心理社会的な支援およびサービスとしてどのようなものが利用可能とされているか、詳細に説明してください。子どもの予防拘禁を根絶するために何らかの措置がとられているのであれば、それに関する情報を提供してください。また、少年非行の根本的原因に関する研究が実施されており、かつ何らかの防止措置がとられているのであれば、それらに関する情報も委員会に提供してください。

13.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書に基づいて委員会が前回行なった勧告(CRC/C/OPSC/JPN/CO/1)を実施するためにとられた措置に関する情報を提供してください。

14.武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づいて委員会が前回行なった勧告(CRC/C/OPAC/JPN/CO/1)を実施するためにとられた措置に関する情報(とくに、自衛隊の構成員を対象として、とりわけこれらの者が国連平和維持活動に参加する際に選択議定書の規定に関する研修を実施する計画があれば、当該計画に関する情報)を提供してください。

第2部


15.委員会は、締約国に対し、締約国報告書に記載されている情報のうち以下に関するものについての簡潔な最新情報(3ページ以内)を提供するよう求めます。
  • (a) 新たな法案または法律およびそれぞれに関する規則
  • (b) 新たな制度(およびその任務)または制度改革
  • (c) 最近導入された政策、プログラムおよび行動計画ならびにその適用範囲および資金調達
  • (d) 最近行なった人権文書の批准

第3部

データ、統計その他の情報(利用可能な場合)

16.過去3年間の予算についての整理された情報を、子どもおよび社会セクターに関連する予算項目ならびにさまざまな省庁の予算項目に関して、かつ国家予算総額、国民総生産および地域別配分額に占める各予算項目の割合を明らかにしながら、提供してください。

17.以下の子ども(農村部および山間部に住んでいる子どもを含む)の人数に関する過去3年間の最新データを、年齢、性別、社会経済的背景、国民的出身、民族的出身および地理的所在ごとに細分化した形で提供してください。
  • (a) 暴力の被害を受けた子ども(犯罪の種別ごとに)
  • (b) 親から分離された子ども
  • (c) 孤児である子ども
  • (d) 施設および里親家庭に措置された子ども
  • (e) 国内でまたは国際養子縁組を通じて養子となった子ども
  • (f) 児童手当制度の受益者となった子ども

18.以下の点に関する過去3年間の最新データを、年齢、性別、社会経済的背景、国民的出身、民族的出身および地理的所在ごとに細分化した形で提供してください。
  • (a) プライマリーヘルスケア制度への資源配分
  • (b) 乳児および子どもの死亡率
  • (c) 低体重出生児
  • (d) 肥満
  • (e) 10代の妊娠、ならびに、妊娠出産に関する医療サービスおよび専門家によるサービスを受けている女子
  • (f) 中絶
  • (g) 自殺
  • (h) 薬物濫用
  • (i) HIV/AIDSを含む性感染症およびAIDSとともに生きている子ども

19.締約国全域の障害のある子どものうち以下の子どもの人数に関する過去3年間のデータを、年齢、性別、障害の種別、民族的出身および地理的所在ごとに細分化した形で提供してください。
  • (a) 家族と暮らしている子ども
  • (b) 施設で暮らしている子ども
  • (c) 乳幼児期教育を受けている子ども
  • (d) 普通初等学校に通っている子ども
  • (e) 普通中等学校に通っている子ども
  • (f) 特別学校に通っている子ども
  • (g) 就学していない子ども
  • (h) 家族によって遺棄された子ども

20.以下の子どもの人数に関する過去3年間のデータを、年齢、性別、所在地および犯罪の種別ごとに細分化した形で提供してください。
  • (a) 少年司法制度からのダイバージョンの対象とされた子ども
  • (b) 未決拘禁の対象とされている子ども
  • (c) 予防拘禁の対象とされている子ども
  • (d) 刑を言い渡されて服役している子ども(および刑の種別)

21.報告書に記載されているデータのうち、より最近になって収集されたデータまたはその他の新たな進展のために古くなってしまった可能性があるものがあれば、最新のデータを委員会に提供してください。

22.加えて、締約国として、子どもに影響を与えている諸分野のうち条約実施との関連で優先分野であると考えるものを列挙することも考えられます。


  • 更新履歴:ページ作成(2018年3月2日)。/日本の本審査が第80会期に延期された旨を冒頭に記載し、第79会期に実施されるという前提で付していた訳注等を削除(3月9日)。/正式版の発表にあわせて日本語訳を修正。先行未編集版(advanced unedited version)からの主な修正点は次のとおり(7月18日)。
    • 差別に関する質問(パラグラフ3)で、「LGBTIである子ども」とされていた箇所を「ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである子ども」に修正。
    • 教育に関する質問(パラグラフ10)で、「乳幼児ケア施設のためおよび乳幼児期教育の質の確保のためにとられている具体的措置」(the concrete measures ... for the early childhood care facilities and quality of early childhood education)を「乳幼児ケア施設を提供し、かつ乳幼児期教育の質を確保するためにとられている具体的措置」(the concrete measures taken ... to provide early childhood care facilities and to ensure the quality of early childhood education)に修正。
    • 少年司法に関する質問(パラグラフ12)に、「子どもの予防拘禁を根絶するために何らかの措置がとられているのであれば、それに関する情報を提供してください。」の1文を追加。(先行未編集版にもあったが訳し漏らしていたもの)
    • パラグラフ18(i)に「およびAIDSとともに生きている子ども」を追加。
最終更新:2018年07月18日 20:34