ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1370 飼いドス
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ankoss
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ドスまりさ――。
もはや言うまでもあるまい。
巨大なまりさ種であり、ドススパークなる人間すら殺傷し得る武器を持つ、ゆっくりで
は唯一人間に抗することが可能な存在。
それゆえだろうか、ゆっくりの間にはドス伝説が根強く語り継がれる。
曰く、ドスはゆっくりをゆっくりさせてくれる――。
曰く、ドスは人間からゆっくりを守ってくれる――。
ドスのいない街に住む街ゆっくりの間でも、その伝説は生きていた。
ぶっちゃけ、街にドスがいないのは、侵入してきても速攻で殺されるからである。ゆっ
くりたちの伝説ほどに、ドスは人間に対して強くはない。
確かに、素手の人間と戦えばドスの方が強いだろう。
しかし、素手の人間と戦って勝てる生き物など、この地球上には無数にいるのだ。
それでもなお、人間がこれほどに――例えば、他の動物を絶滅させてしまい、人間自身
がそのことを気に病むほどに強盛を誇っているのはなぜか。
答えは簡単だ。
人間は道具を作り、それを使う。そして、その道具は日々年々発達していき、遂にはそ
れを駆使すればあらゆる猛獣を簡単に殺せるようになった。
ドスも、同じことだ。人間がその気になって道具を使えばあっという間に殺される。
だから、街という、山や森と違い完全に人間のテリトリーと言える領域にでかくて目立
つドスが現れれば、すぐに発見され、ある程度は人間に対抗できる――すなわち人間へ危
険を与えるゆえに、すぐさま殺されてしまう。
それでも、いや、だからこそ――。
ドスを見たことが無いからこそ、その幻想は膨らむ。
街ゆっくりたちは、いつ人間に殺されるかとびくびくしながら暮らしている中で、ドス
の出現を待ち続ける。
ドスが現れれば、ゆっくりできると信じていた。
ドスが現れれば、人間をやっつけてくれると信じていた。
もはや言うまでもあるまい。
巨大なまりさ種であり、ドススパークなる人間すら殺傷し得る武器を持つ、ゆっくりで
は唯一人間に抗することが可能な存在。
それゆえだろうか、ゆっくりの間にはドス伝説が根強く語り継がれる。
曰く、ドスはゆっくりをゆっくりさせてくれる――。
曰く、ドスは人間からゆっくりを守ってくれる――。
ドスのいない街に住む街ゆっくりの間でも、その伝説は生きていた。
ぶっちゃけ、街にドスがいないのは、侵入してきても速攻で殺されるからである。ゆっ
くりたちの伝説ほどに、ドスは人間に対して強くはない。
確かに、素手の人間と戦えばドスの方が強いだろう。
しかし、素手の人間と戦って勝てる生き物など、この地球上には無数にいるのだ。
それでもなお、人間がこれほどに――例えば、他の動物を絶滅させてしまい、人間自身
がそのことを気に病むほどに強盛を誇っているのはなぜか。
答えは簡単だ。
人間は道具を作り、それを使う。そして、その道具は日々年々発達していき、遂にはそ
れを駆使すればあらゆる猛獣を簡単に殺せるようになった。
ドスも、同じことだ。人間がその気になって道具を使えばあっという間に殺される。
だから、街という、山や森と違い完全に人間のテリトリーと言える領域にでかくて目立
つドスが現れれば、すぐに発見され、ある程度は人間に対抗できる――すなわち人間へ危
険を与えるゆえに、すぐさま殺されてしまう。
それでも、いや、だからこそ――。
ドスを見たことが無いからこそ、その幻想は膨らむ。
街ゆっくりたちは、いつ人間に殺されるかとびくびくしながら暮らしている中で、ドス
の出現を待ち続ける。
ドスが現れれば、ゆっくりできると信じていた。
ドスが現れれば、人間をやっつけてくれると信じていた。
「ゆっ、ゆっ、ゆゆゆゆっ!」
一匹のゆっくりれいむが大急ぎで跳ねていた。
「ゆゆっ? れいむ、どうしたんだぜ?」
「ゆっくりしていないわね。なにかあったの?」
友達のまりさとありすが声をかける。
「ド……ド、ドスだよ!」
れいむは大声で叫んだ。
「ド、ドスがいたんだよ! このすぐ先に!」
「「ゆゆゆゆゆっ!?」」
れいむの言葉に、まりさとありすは驚く。
ドスまりさ――あの伝説の主が、すぐそこに現れたというのか。
「お、お、長にしらせるんだぜ! ほかのみんなにも!」
「わ、わ、わかったわ!」
急いで跳ねてきたために息を切らせてへたり込んでしまったれいむを見て、まりさがこ
の近辺の野良ゆっくりの長の元へ、ありすが、その他の近くにいるゆっくりたちにドス出
現を報じに走った。
「「「ゆゆゆゆっ! ドスがいるならゆっくりできるよ!!!」」」
ゆっくりたちは歓喜に沸きあがった。
遂に、遂に、あの伝説が現実のものとなる。ドスによって人間たちは一掃され、真のゆ
っくりプレイスが現れるであろう。
「ドスに会いに行こうね! れいむ、案内してね!」
長のまりさに言われたれいむは、誇らしげに「こっちだよ!」と皆を先導する。
その後に続くのは、百匹近い野良ゆっくりたち。
そのゆっくりの大行進に、道行く人々は驚いて足を止めるが、あまりにも見慣れぬ光景
に度肝を抜かれて手を出そうとはしなかった。
街に住む野良ゆっくりはどいつもこいつも、人間に存在を認識されるのを避ける。それ
が、人目も気にせずの大行進だ。いったい何事かと思ってとりあえず様子見になってしま
ったのだ。
「ゆん! ここだよ!」
れいむが、とある一軒の民家の前で止まった。
「ゆゆぅ?」
長まりさが、その敷地内を覗く。
「ゆゆっ! ドス!」
すると、長まりさが感極まったような声を出した。その声につられて他のゆっくりたち
が我先にと跳ね出す。
「……」
ドスまりさは、その家の庭にいた。
底部から頭までの高さは1.5メートルにはなる。ドスとしては小さい方とも言えたが、
そこまで大きければ、れっきとしたドスまりさであった。
「「「ゆわわわわわあああああ!!!」」」
ゆっくりたちは、その勇姿を見ると、希望と喜びの詰まったような歓声を上げた。
伝説の主が目の前にいる。
これでゆっくりできる。
これで、もう人間たちの機嫌次第で殺されるような生活とはおさらばだ。
「ゆん! ドス! まりさはまりさなんだぜ!」
長まりさがぽよんと前に跳ねて挨拶した。
「……」
ドスは、それを完全に冷めた目で見下している。
「ドスに会えて感激してるんだぜ! ドス、まりさたちを……ゆっくりさせてね!」
「「「ゆっくりさせてね!」」」
「「「ゆっくちさせちぇね!」」」
長の後に、大人も子供もそこにいたゆっくりたちが一斉に唱和する。ドスの返事が一つ
でしかないことを信じきったその表情、街に生まれ街に育ち、ろくにゆっくりしてこなか
った饅頭生物たちの、生まれてから一番のゆっくりした表情。
「……駄目」
しかし、ドスの答えは、彼らの望んでいたそれではなかった。
一瞬、沈黙が場を支配する。現実を認識したくないゆえの空白の時。
「ど、どぼじでぞんなごというのおおおおおお!」
やがて、なんとか現実を認識した長まりさが叫び、他のゆっくりも後に続く。
どぼじで、にゃんで、ドスなのに、ドスはゆっくりさせてくるはずなのに……。
それらの声をじっと聞いていたドスは、おもむろに口を開いた。
「いや、あのー、なんで私があなた方をゆっくりさせなければいけないのですか? そも
そも、その理由がさっぱりわからないのですが」
「ド、ドスはゆっくりをゆっくりさせてくれるんでじょおおおお!」
「いや、知りませんよ、そんなの。いったい誰に聞いたんです。そんな与太話」
「だ、誰って……」
長まりさは後ろを振り返る。
「ゆぅ……おかあさんが言ってたよ」
「ゆん、れいむも、おかあさんに聞いたよ」
「ゆゆっ、おかあさんがそう言ってたよ!」
それを聞いて、ドスは深いため息をついた。
「あの、大変言いにくいのですが……あなた方のお母様は……そのぉ、なんと言いますか
……嘘を信じていたと言うか……まあ、騙されたんでしょうね……」
「ぞ、ぞんなわげないよぉぉぉぉ!」
「いえ、私は別にお母様たちが悪いと言っているわけではないんです。お母様たちも騙さ
れた……まあ、言うなれば被害者だったと言うか……まあ、騙される方が馬鹿とも言いま
すが……あ! いや、これは決してお母様たちが馬鹿と言うわけではなく……そう! お
母様たちは純粋! 純粋すぎたんですよ!」
「うおーい、ゆっくりしてっかあ?」
そこへ、民家の玄関から、一人の青年が出てきた。
「あ、ゆーちゃん、ゆっくりしていってね!」
「おーう、ゆっくりしていってね」
ゆっくりたちは愕然とした。
その青年とドスがゆっくりしていってねと挨拶を交わした時に両者の間を流れた、なん
とも暖かで和やかでゆっくりとした空気!
「あ? なんだ、こいつら……あー、はいはいはいはい」
そこで集まっているゆっくりに気付いた青年はそう言って、苦笑いをしながらドスを見
た。
「……ええ、例のアレです。まったく……」
「まあ、しょうがねえなあ。……じゃ、どうする?」
「やってしまってください」
ドスがそう言うと、青年はよしと頷いて、庭に建ててある広さ四畳半ほどのプレハブ小
屋の壁に立てかけてあったスコップを手に取った。
ゆっくりたちは一体何が起こるのかと、呆けた顔でぼーっとしていたが、青年がいきな
り集団の先頭にいた長まりさをスコップで叩き潰した瞬間に、その顔は驚愕と恐怖で染ま
った。
「「「な、なにずるのぉぉぉぉぉ!」」」
ゆっくりたちの声など構わずに、青年は次々にスコップを振り上げては下ろしてその度
にゆっくりの死体を作っていく。
何が何だかわからないが、とにかくこのままでは殺されてしまうという恐怖に突き動か
されたゆっくりがすること――それは逃げる――ではなかった。
「「「ドスぅぅぅぅ! だずげでえええええ!」」」
逃げるよりも確実なことが、そこには存在していた。
ドスまりさがいる。
これに助けてもらえばいい。
恐怖の元となっているスコップでゆっくりを殺している青年が、先ほどドスまりさと交
わした親しげな会話など忘れてしまったかのようだ。
ゆっくりの餡子脳に染み付いたドス伝説は、根強いものだった。
とにかく、ドスならばゆっくりさせてくれる、助けてくれると思ってしまう。
そんなわけはないのに――。
「ドスぅぅぅぅ、はやぐ、はやぐその人間をやっつげでねえええ!」
「ゆーちゃんを? そんなことするわけないでしょう。一緒に育ってきた、いわば兄弟で
すよ、私たちは」
生まれたばかりの赤ゆっくりだったまりさと、赤ん坊だった頃の青年、それが出会いだ
った。
「れいぶのおちびぢゃんがぁぁぁ、がたき、がたぎをとっでえええ、ドスぅぅぅ、あのク
ズ人間をころじでええええ!」
「こら、クズ人間なんて言わないでください。ゆーちゃんは、優しいんですよ」
まりさが無理をして怪我をしてしまい、餡子が漏れて死にそうになった時、それを母親
に知らせようと立ち上がった……それが、青年が初めて立った瞬間だった。
それからずっと一緒に育ってきた。
やがて、まりさは、急激に体が大きくなりドスまりさとなった。
このようになっては、もう青年の家に住むことはできない。どこか、山の奥にでも行く
しかないと思ったドスまりさに、青年と両親の会話が聞こえてきた。
「家の中じゃもう飼えないなあ」
「そうだ。庭にプレハブ小屋を建てて、そこに住ませよう」
「そうねえ、同じ屋根の下に住めなくなるのは寂しいけど、それがいいわね」
その時、ドスは、泣いた。ひたすら泣いた。
「おーい、お前の家を庭に……わ、なに泣いてんだ、お前!」
「ははは、おれたちの話が聞こえたんだろう」
「この家に住めなくなるから泣いてるのね。大丈夫よ、すぐそこなんだから、いつでも遊
びに行けるわよ」
この人たちは、家族だ。
それまでも、そう思っていなかったわけではない。
しかし、その時こそ痛切に思ったのだ。
この人たちは、家族だ、と。
そんなドスにとって、自分がドスになった途端に寄ってきて、ドスはドスだから自分た
ちをゆっくりさせてね、と言うゆっくりたちなどただのクソ饅頭に過ぎなかった。
「ゆべ! やべちぇ!」
「いぢゃあああい!」
「だぢゅげで!」
スコップが動くごとに、ゆっくりが死んでいく。
「ド、ドスぅぅぅぅ!」
「……」
ドスはゆっくりたちの悲鳴にも懇願にも動かない。
「ドス、何してるんだぜ。ドスなら人間なんかに負けないんだぜ! ドスは人間に飼われ
てるようなゆっくりじゃないんだぜ!」
ちょっと違う方向から、ドスを扇動しようとするものも現れた。
「いや、負けますよ……あの、あなた方、人間さんをナメ過ぎてないですか? 人間さん
が本気になったら、私なんか帽子の欠片も残りませんよ」
だが、ドスの返事は完全な拒絶であった。
やがて、あれだけいたゆっくりは十匹ほどを残して全滅した。
さっさと散って逃げれば、所詮はスコップを武器にした青年一人である。かなりの数を
取り逃がしたに違いないのだが、みんなしてドスに助けを求めてその場に止まっていたた
めに殺されてしまったのだ。
「「「ゆわわわわ」」」
さすがに、その頃になると、もうこのドスは自分たちの味方をしれくれないと悟り切っ
た生き残りたちは、恐怖に震えしーしー垂れ流すばかりであった。
「んー、よし」
青年は、スコップを振るって生き残りたちを殺し……はせずに、大怪我を負わせた。
「お前ら、逃がしてやるから、うちのドスはお前らをゆっくりさせたりなんかしない、そ
れどころかスコップ持った人間が殺しに来るから絶対近付くな、って言っとけ!」
「「「ゆひぃぃぃぃぃ」」」
「ええ、そうしてください……あの、ホント迷惑なんですよ……」
青年の意図を察したドスが、心底うんざりした顔で言うと、生き残りたちは、ゆんやあ
あああ! と叫んで怪我で跳ねられぬ体をずーりずーりさせて逃げて行った。
「はぁ……これで少しは減ってくれるといいんだが」
「はぁ……まったく、しょうがない連中です」
「よし、そんじゃちょっとお邪魔すんぜ、一緒にゆっくりしようぜ」
「ゆふふ、いいですねえ」
そして、青年とドスは、プレハブ小屋に消えていった。
一匹のゆっくりれいむが大急ぎで跳ねていた。
「ゆゆっ? れいむ、どうしたんだぜ?」
「ゆっくりしていないわね。なにかあったの?」
友達のまりさとありすが声をかける。
「ド……ド、ドスだよ!」
れいむは大声で叫んだ。
「ド、ドスがいたんだよ! このすぐ先に!」
「「ゆゆゆゆゆっ!?」」
れいむの言葉に、まりさとありすは驚く。
ドスまりさ――あの伝説の主が、すぐそこに現れたというのか。
「お、お、長にしらせるんだぜ! ほかのみんなにも!」
「わ、わ、わかったわ!」
急いで跳ねてきたために息を切らせてへたり込んでしまったれいむを見て、まりさがこ
の近辺の野良ゆっくりの長の元へ、ありすが、その他の近くにいるゆっくりたちにドス出
現を報じに走った。
「「「ゆゆゆゆっ! ドスがいるならゆっくりできるよ!!!」」」
ゆっくりたちは歓喜に沸きあがった。
遂に、遂に、あの伝説が現実のものとなる。ドスによって人間たちは一掃され、真のゆ
っくりプレイスが現れるであろう。
「ドスに会いに行こうね! れいむ、案内してね!」
長のまりさに言われたれいむは、誇らしげに「こっちだよ!」と皆を先導する。
その後に続くのは、百匹近い野良ゆっくりたち。
そのゆっくりの大行進に、道行く人々は驚いて足を止めるが、あまりにも見慣れぬ光景
に度肝を抜かれて手を出そうとはしなかった。
街に住む野良ゆっくりはどいつもこいつも、人間に存在を認識されるのを避ける。それ
が、人目も気にせずの大行進だ。いったい何事かと思ってとりあえず様子見になってしま
ったのだ。
「ゆん! ここだよ!」
れいむが、とある一軒の民家の前で止まった。
「ゆゆぅ?」
長まりさが、その敷地内を覗く。
「ゆゆっ! ドス!」
すると、長まりさが感極まったような声を出した。その声につられて他のゆっくりたち
が我先にと跳ね出す。
「……」
ドスまりさは、その家の庭にいた。
底部から頭までの高さは1.5メートルにはなる。ドスとしては小さい方とも言えたが、
そこまで大きければ、れっきとしたドスまりさであった。
「「「ゆわわわわわあああああ!!!」」」
ゆっくりたちは、その勇姿を見ると、希望と喜びの詰まったような歓声を上げた。
伝説の主が目の前にいる。
これでゆっくりできる。
これで、もう人間たちの機嫌次第で殺されるような生活とはおさらばだ。
「ゆん! ドス! まりさはまりさなんだぜ!」
長まりさがぽよんと前に跳ねて挨拶した。
「……」
ドスは、それを完全に冷めた目で見下している。
「ドスに会えて感激してるんだぜ! ドス、まりさたちを……ゆっくりさせてね!」
「「「ゆっくりさせてね!」」」
「「「ゆっくちさせちぇね!」」」
長の後に、大人も子供もそこにいたゆっくりたちが一斉に唱和する。ドスの返事が一つ
でしかないことを信じきったその表情、街に生まれ街に育ち、ろくにゆっくりしてこなか
った饅頭生物たちの、生まれてから一番のゆっくりした表情。
「……駄目」
しかし、ドスの答えは、彼らの望んでいたそれではなかった。
一瞬、沈黙が場を支配する。現実を認識したくないゆえの空白の時。
「ど、どぼじでぞんなごというのおおおおおお!」
やがて、なんとか現実を認識した長まりさが叫び、他のゆっくりも後に続く。
どぼじで、にゃんで、ドスなのに、ドスはゆっくりさせてくるはずなのに……。
それらの声をじっと聞いていたドスは、おもむろに口を開いた。
「いや、あのー、なんで私があなた方をゆっくりさせなければいけないのですか? そも
そも、その理由がさっぱりわからないのですが」
「ド、ドスはゆっくりをゆっくりさせてくれるんでじょおおおお!」
「いや、知りませんよ、そんなの。いったい誰に聞いたんです。そんな与太話」
「だ、誰って……」
長まりさは後ろを振り返る。
「ゆぅ……おかあさんが言ってたよ」
「ゆん、れいむも、おかあさんに聞いたよ」
「ゆゆっ、おかあさんがそう言ってたよ!」
それを聞いて、ドスは深いため息をついた。
「あの、大変言いにくいのですが……あなた方のお母様は……そのぉ、なんと言いますか
……嘘を信じていたと言うか……まあ、騙されたんでしょうね……」
「ぞ、ぞんなわげないよぉぉぉぉ!」
「いえ、私は別にお母様たちが悪いと言っているわけではないんです。お母様たちも騙さ
れた……まあ、言うなれば被害者だったと言うか……まあ、騙される方が馬鹿とも言いま
すが……あ! いや、これは決してお母様たちが馬鹿と言うわけではなく……そう! お
母様たちは純粋! 純粋すぎたんですよ!」
「うおーい、ゆっくりしてっかあ?」
そこへ、民家の玄関から、一人の青年が出てきた。
「あ、ゆーちゃん、ゆっくりしていってね!」
「おーう、ゆっくりしていってね」
ゆっくりたちは愕然とした。
その青年とドスがゆっくりしていってねと挨拶を交わした時に両者の間を流れた、なん
とも暖かで和やかでゆっくりとした空気!
「あ? なんだ、こいつら……あー、はいはいはいはい」
そこで集まっているゆっくりに気付いた青年はそう言って、苦笑いをしながらドスを見
た。
「……ええ、例のアレです。まったく……」
「まあ、しょうがねえなあ。……じゃ、どうする?」
「やってしまってください」
ドスがそう言うと、青年はよしと頷いて、庭に建ててある広さ四畳半ほどのプレハブ小
屋の壁に立てかけてあったスコップを手に取った。
ゆっくりたちは一体何が起こるのかと、呆けた顔でぼーっとしていたが、青年がいきな
り集団の先頭にいた長まりさをスコップで叩き潰した瞬間に、その顔は驚愕と恐怖で染ま
った。
「「「な、なにずるのぉぉぉぉぉ!」」」
ゆっくりたちの声など構わずに、青年は次々にスコップを振り上げては下ろしてその度
にゆっくりの死体を作っていく。
何が何だかわからないが、とにかくこのままでは殺されてしまうという恐怖に突き動か
されたゆっくりがすること――それは逃げる――ではなかった。
「「「ドスぅぅぅぅ! だずげでえええええ!」」」
逃げるよりも確実なことが、そこには存在していた。
ドスまりさがいる。
これに助けてもらえばいい。
恐怖の元となっているスコップでゆっくりを殺している青年が、先ほどドスまりさと交
わした親しげな会話など忘れてしまったかのようだ。
ゆっくりの餡子脳に染み付いたドス伝説は、根強いものだった。
とにかく、ドスならばゆっくりさせてくれる、助けてくれると思ってしまう。
そんなわけはないのに――。
「ドスぅぅぅぅ、はやぐ、はやぐその人間をやっつげでねえええ!」
「ゆーちゃんを? そんなことするわけないでしょう。一緒に育ってきた、いわば兄弟で
すよ、私たちは」
生まれたばかりの赤ゆっくりだったまりさと、赤ん坊だった頃の青年、それが出会いだ
った。
「れいぶのおちびぢゃんがぁぁぁ、がたき、がたぎをとっでえええ、ドスぅぅぅ、あのク
ズ人間をころじでええええ!」
「こら、クズ人間なんて言わないでください。ゆーちゃんは、優しいんですよ」
まりさが無理をして怪我をしてしまい、餡子が漏れて死にそうになった時、それを母親
に知らせようと立ち上がった……それが、青年が初めて立った瞬間だった。
それからずっと一緒に育ってきた。
やがて、まりさは、急激に体が大きくなりドスまりさとなった。
このようになっては、もう青年の家に住むことはできない。どこか、山の奥にでも行く
しかないと思ったドスまりさに、青年と両親の会話が聞こえてきた。
「家の中じゃもう飼えないなあ」
「そうだ。庭にプレハブ小屋を建てて、そこに住ませよう」
「そうねえ、同じ屋根の下に住めなくなるのは寂しいけど、それがいいわね」
その時、ドスは、泣いた。ひたすら泣いた。
「おーい、お前の家を庭に……わ、なに泣いてんだ、お前!」
「ははは、おれたちの話が聞こえたんだろう」
「この家に住めなくなるから泣いてるのね。大丈夫よ、すぐそこなんだから、いつでも遊
びに行けるわよ」
この人たちは、家族だ。
それまでも、そう思っていなかったわけではない。
しかし、その時こそ痛切に思ったのだ。
この人たちは、家族だ、と。
そんなドスにとって、自分がドスになった途端に寄ってきて、ドスはドスだから自分た
ちをゆっくりさせてね、と言うゆっくりたちなどただのクソ饅頭に過ぎなかった。
「ゆべ! やべちぇ!」
「いぢゃあああい!」
「だぢゅげで!」
スコップが動くごとに、ゆっくりが死んでいく。
「ド、ドスぅぅぅぅ!」
「……」
ドスはゆっくりたちの悲鳴にも懇願にも動かない。
「ドス、何してるんだぜ。ドスなら人間なんかに負けないんだぜ! ドスは人間に飼われ
てるようなゆっくりじゃないんだぜ!」
ちょっと違う方向から、ドスを扇動しようとするものも現れた。
「いや、負けますよ……あの、あなた方、人間さんをナメ過ぎてないですか? 人間さん
が本気になったら、私なんか帽子の欠片も残りませんよ」
だが、ドスの返事は完全な拒絶であった。
やがて、あれだけいたゆっくりは十匹ほどを残して全滅した。
さっさと散って逃げれば、所詮はスコップを武器にした青年一人である。かなりの数を
取り逃がしたに違いないのだが、みんなしてドスに助けを求めてその場に止まっていたた
めに殺されてしまったのだ。
「「「ゆわわわわ」」」
さすがに、その頃になると、もうこのドスは自分たちの味方をしれくれないと悟り切っ
た生き残りたちは、恐怖に震えしーしー垂れ流すばかりであった。
「んー、よし」
青年は、スコップを振るって生き残りたちを殺し……はせずに、大怪我を負わせた。
「お前ら、逃がしてやるから、うちのドスはお前らをゆっくりさせたりなんかしない、そ
れどころかスコップ持った人間が殺しに来るから絶対近付くな、って言っとけ!」
「「「ゆひぃぃぃぃぃ」」」
「ええ、そうしてください……あの、ホント迷惑なんですよ……」
青年の意図を察したドスが、心底うんざりした顔で言うと、生き残りたちは、ゆんやあ
あああ! と叫んで怪我で跳ねられぬ体をずーりずーりさせて逃げて行った。
「はぁ……これで少しは減ってくれるといいんだが」
「はぁ……まったく、しょうがない連中です」
「よし、そんじゃちょっとお邪魔すんぜ、一緒にゆっくりしようぜ」
「ゆふふ、いいですねえ」
そして、青年とドスは、プレハブ小屋に消えていった。
終わり
スレの方で出てた「飼いドス」という言葉に脊椎反射して書いた。
のるまあきと名乗った途端に投稿ペース上がったのは、別に自らにのるまを課したわけ
ではない。
のるまあきと名乗った途端に投稿ペース上がったのは、別に自らにのるまを課したわけ
ではない。
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